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2022年02月20日号

コロナ禍も登録頭数は回復 社員会議を書面開催

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     日本ホルスタイン登録協会は本年2月、前年に引き続いて社員会議を書面決議で開催し、令和3年度中間事業概況と同前期収支決算、令和4年度事業計画骨子案、任期満了に伴う役員改選の実施等について伝達し、了承を得た。

    会員数の減少止まらず

     令和3年度も新型コロナ感染症拡大予防のため、通常総会を書面決議に変更して開催した。5月には任期満了に伴う社員選挙を行い、全国で計58名の社員が選出された。
     昨年12月末現在の会員数は都府県4318名で前年同期比92.2%となり、酪農家戸数の減少に伴って日本ホル協会員数も年々漸減傾向を辿っている。しかしながら、血統登録申込頭数は都府県3万2481頭、北海道13万8897頭の合計17万1378頭で、前々年から減少した前年同期を6ポイント上回り前々年並みに回復した。
     本年度前期の本局における一般会計の収支では、会費や血統登録料は予算に対して減収となったが、審査成績証明料や遺伝子型調査料収入等の増によりほぼ予算どおりの進度状況であった一方、会議費や旅費等の支出削減に努め、前期の収支合計では黒字決算に収まった。

    疾病データ収集と耐病性指数開発

     調査研究及び情報提供では、JRA畜産振興事業「乳用牛生産性長命連産性の遺伝改良研究事業」を実施し、前年度に収集した疾病データの分析と耐病性指数開発の検討を進めた。このほか、後代検定娘牛の体型調査や搾乳ロボット適合性調査、家畜改良センターが行う泌乳能力及び体型の遺伝評価に必要な血縁ファイル提供等を行った。
     また、日本ホル協を含む家畜改良5団体で構成する乳用牛改良推進協議会では、検定農家への還元情報の充実を図るため、胚性致死関連ハプロタイプ情報の提供や暑熱耐性の評価値公表、在群能力を組み入れた新しい総合指数(NTP)の公表を実現した。

    ハプロタイプ、新NTP公表を実現

     日本ホル協は昨年8月から、SNP検査申込者に送付する「牛群遺伝情報」のほかに、Web上で、胚性致死関連形質のハプロタイプHH1~HH5の推定結果(保因C又は正常F)を提供開始した。さらに本年4月からは、これらのハプロタイプに関して保因の有無を100%確定できる遺伝子型の7種類同時検査を開始予定している。
     また、本年2月の遺伝評価公表時から、7年ぶりにNTPの構成成分を変更した。新しいNTPでは耐久性成分に「在群能力」を10%追加し、各成分重みづけは、従来の産乳70:耐久性18:疾病繁殖12をそれぞれ60:28:12に変更した。在群能力を含めることによって新NTPでは、泌乳能力の改良を若干減速させるが、生涯生産性を総合的に改善することが期待できる、としている。

    自動登録同時SNP検査を推進

     令和4年度事業計画骨子案では、血統登録は引き続き、「自動登録」の普及定着を図るとともに、正確な登録を実施するために現場における出生子牛と母牛確認の徹底や親子判定抜取調査等によって登録の信ぴょう性向上に努める。また、牛群検定実施の自動登録農家に対して雌子牛の血統登録同時SNP検査申込を推進し、登録料の半額還元とゲノミック遺伝情報の利用拡大を図る。
     このほか、牛群審査・体型調査の普及拡大と生涯検定成績証明取得の奨励、パソコンやスマートフォンで閲覧できる「近交情報システムWeb」や「登録情報活用システム(RIUS)」等の情報の有効活用を推進する。
     また、前出のJRA補助事業は最終年度を迎え、疾病データとSNP情報を活用して耐病性指数の作成と、先の事業で開発した体のサイズ指数や肢蹄指数等を組み込んだNTPや長命連産効果の見直しを検討する。
     このほか、令和4年度は任期満了に伴う役員改選があり、昨年11月開催の理事会で決定した各地区役員定数と今後のスケジュール等を報告した。

北海道・小椋さん「ハート ブーテイー」 静岡県・石川さん「エレガンス ドツク」
2021-12月 国内雌牛評価成績

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     (独)家畜改良センターから令和3年12月7日に2021‐12月国内雌牛遺伝評価成績が公表された。そのうち、全国15位以内及び都府県で飼養されている上位牛の一覧を表に示した。

    1位 北海道・小椋義則さん

     1位は北海道・小椋義則さんの「オムラ ストーン ハート ブーテイー」が獲得した。一際高い耐久性成分が目を引くが、その他形質も泌乳、体型共に優れた値を示している。また本牛の父牛は2021-8月評価で国内種雄牛1位となったブーテイーである。
     2位は北海道・鈴木進さんの「デイベロツプ モントーヤ プリン 9190 ET」。産乳成分、決定得点に優れた本牛は、生後8か月で稲川牧場より導入され、鈴木牧場の飼養下でその能力を発揮している。
     3位は前回1位だった北海道・(株)稲川牧場の「デイベロツプ デユーク リデイア 8460 ET」。稲川牧場は他にも多くの優秀牛を輩出しているが、その中でも本牛は表中最大の産乳成分を誇っている。

    都府県1位は静岡県・石川和博さん

     都府県からは静岡県・石川和博さんの「オークフイールド エレガンス ドツク」が8位で都府県1位となった。表中最高の決定得点を持ち、特に乳器に優れている。また20位「エンデユアー」も石川さんの所有牛である。
     都府県2位は群馬県・神沢勤さんの「シヤングリラ ドアマン アニー ET」が僅差で9位となった。産乳成分が高く体型面にも優れている本牛は、前回まで8期連続で都府県牛の首位に座していた。
     なお都府県の飼養牛については他にも、宮崎県・前原和明さんの18位「シヤネル」、福島県・(独)家畜改良センター42位「ラムダ」他4頭、岩手県・小岩井農場56位「レデイシヤウナ」他1頭、岡山県・吉原直樹さんの70位「チヤリデ アニー」、福岡県・永田智史さんの71位「ブラツクゴールド」がおり、トップ100の中に13頭が含まれる優秀な結果となった。

NTPが7年ぶりに見直し 在群能力が追加 2022年2月評価より

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     (独)家畜改良センターは、2022年2月評価から総合指数(以下NTP)の変更と在群能力の表示方法の変更を決定した。

    NTPに在群能力追加

     現行のNTPは2015年に開発されたもので、産乳成分が70%を占めていた。今回見直されたNTPでは、図で示されている通り、耐久性成分として在群能力が10%追加され、その分産乳成分が10%小さくなる。
     新しいNTPでは産乳成分が小さくなった分、泌乳能力の改良が若干減速する。しかし、在群能力は乳房炎などの疾病に対する抵抗性や繁殖能力が優れた牛ほど高く評価されることや、乳器・肢蹄・体細胞スコア・空胎日数と好ましい関係性があることが判明しているため、総合的に生涯生産性の改善が期待できる。またそれ以外にも、在群能力の高い牛は、体格が小さい傾向があることが分かっているため、近年の体格の大型化をある程度抑制することができると考えられる。
     NTPが見直されたことにより、産乳成分と在群能力との間には、遺伝的に高いレベルを両立することが難しい関係があるため、上位牛のNTPの数値自体は変更後に小さくなる。例えば、2021年8月に公表された供給可能種雄牛69頭を試算してみたところ、変更後のNTPでは平均で179減少していた。このうち66頭は減少し、3頭のみが増加しており、変動の幅はプラス148からマイナス497となった。
     なお、在群能力は3産までの各乳期を前・中・後期に分割した全9区分において雌牛が存在していたかどうかを指標とし、育種価を推定している。そのため、雌牛自身のデータは4産目の分娩が行われるか、淘汰された時点で確定するが、SNP情報のない3産以下の雌牛では、不確定な情報の影響が大きくなり、正しく評価が行えない。それにより、NTPの計算に使われる在群能力は、SNP検査済みの個体のみが評価の対象となっている。評価の対象外となる個体の場合、在群能力はプラスマイナス0として計算される。

    在群能力の表示が標準化育種価に

     今までは在群能力の評価値を97~103の7段階で表示してきたが、今回から、標準化育種価(SBV)に変更される。SBVは体型の線形形質や泌乳持続性、暑熱耐性で使われている表示法であり、この変更は、新しいNTPに在群能力を含めるにあたり、より詳細な数値で表示することを目的としたものとなる。
     変更された後の在群能力の評価値の見た目は今までの評価値から100を引いた値に近くなる。例えば、今までの評価値が103で、在群能力が比較的高いと評価されている牛であった場合は、新しい表示では3.00程度になる。
     詳細は家畜改良センターのWebサイトを確認していただきたい。

検定成績優秀牛 -都府県 令和4年01月証明分F偏差値-

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