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2022年01月20日号「日本ホル協特集号」

4面

コロナや生乳出荷抑制等不安の中で 登録・ゲノム情報利用で繁殖向上を
(一社)日本ホルスタイン登録協会 会長 前田勉

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    変異株感染が危惧

     明けましておめでとうございます。会員酪農家の皆様、登録委員並びに関係団体各位におかれましては、健やかに新春を迎えられたこととお慶び申し上げます。
     新型コロナウイルス感染症は、中国・武漢市から全世界中に拡大して丸2年が過ぎました。その間、新型コロナワクチン接種の普及等によって感染者数も一時は減少傾向をたどりましたが、最近のオミクロン株の猛威によって欧米諸国を主体に感染者数は急速に増大し、米国では1日の新規感染者が100万人を超え、全世界での感染者数は累計で3億人に達しました。日本国内でも極小に留まっていた新規感染者数が今年に入って急増しており、今後の感染拡大が危惧される状況です。

    牛乳消費促進対策が急がれる

     酪農関係では、昨年は生乳生産が好調に推移する一方で、コロナの影響や夏場の大雨・気温低下等によって牛乳・乳製品の需要が大幅に減少し、脱脂粉乳やバター在庫が依然高水準にあること、さらに年末年始の不需要期を迎えて処理不可能乳発生の懸念から、農水省をはじめ業界関係者による牛乳消費促進対策、生乳の出荷抑制や原料高騰に伴う飼料価格安定対策等、その対応が急がれるところです。

    登録や審査は回復基調

     このような状況下で、当協会の登録事業は、コロナ禍の影響はなお大きいものの、昨年末の血統登録申込頭数は、低調だった前年を大きく上回ったほか、特に都府県における体型審査についても回復基調にあります。
     今なお、酪農家戸数が減少する中で、性選別精液の利用拡大等によって、ホルスタイン種雌牛頭数は漸増傾向にあり、登録頭数の増加につながっています。日本ホル協では本年も、より多くの後継牛を登録に結びつけるため、安価で申込書不要の自動登録を推進し、強い近親交配の回避や遺伝病の発現防止、遺伝的能力評価計算の基礎となる正しい血縁の構築と情報提供を行ってまいります。
     また、令和4年度には登録事業のほか、後代検定娘牛の体型調査、生産性や長命連産に関係した耐病性指数の開発と総合指数(NTP)や長命連産効果の見直し、搾乳ロボット適合性指数の開発等を実施していく予定です。

    還元情報の拡充

     日本ホル協は令和2年秋に、家畜改良センター、家畜改良事業団、ジェネティクス北海道及び十勝家畜人工授精所の5団体から成る「乳用牛改良推進協議会」を設立し、わが国の乳用牛改良を円滑に推進するための調査と技術開発、普及啓発や情報発信するための活動を開始しました。
     その成果として、昨年8月の乳用種雄牛評価から「暑熱耐性」評価値の公表開始や本年2月評価からは在群能力を組み入れた新たなNTPが公表される予定です。
     また、日本ホル協では昨年8月から、SNPデータから推定可能な胚性致死関連形質(HH1~HH5)の保因状況をWeb上で掲載開始しました。さらに、本年4月からは「自動登録同時SNP検査」の還元情報(都府県版)をグラフ化等の見やすい様式に変更するよう準備を進めています。血統情報とゲノミック評価値を利用して、より適正な交配種雄牛の選定と受胎率の向上にも貢献できるよう努力してまいります。

    年は「ゆとりと決断」の年

     令和4年の干支は「壬寅(みずのえとら)」で、この干支の動物「虎」は、大きな身体と鋭い牙から「勇敢さや力強さ、溢れるほどの自信」が感じられます。「壬」は、ゆったりカーブを描きながら流れる大河を表しているそうです。加えて「決断」の意をもつ「寅」が合わさった2022年は、安定性と、心にゆとりを持ちながらもはっきりと決断できる年、おおらかに物事を見定めることができる年になることを期待しています。
     最後になりますが、新型コロナウイルス感染症の再拡大が心配される状況ですが、皆様におかれては、引き続き感染予防対策を徹底され、体調管理には十分留意され、ご健勝でお仕事に精励されますよう、心よりご祈念申し上げます。

コロナ禍の現状と新たな情報提供  事業部 部長 國行将敏

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    感動と我慢の1年

     昨年、1年延期となった「東京オリンピック2020」が開催されました。無観客開催となりましたが、日本で開催したこと、アスリートたちの真剣勝負に感動した人も多かったと思います。一方、終息の見えない新型コロナウイルス。こんなに長く続くとは、誰も予想していなかったのではないでしょうか。感染者の増加のたびに私たちは行動制限を幾度となく受け、我慢をしなければなりませんでした。長く続いた緊急事態宣言も昨年9月末に解除されましたが、年末になり新たな変異株が増えてきて、不穏な年明けだったのではないかと思います。

    個別、自動ともに増加

     日本ホル協では職員の新型コロナウイルス感染防止対策として、出勤人数を最大で半分以下に制限する対応をしておりました。そのため、事務作業が多い個別登録申込については、コロナ禍前と比較して、血統登録証明書を発行する時間が倍以上にかかってしまったことに対して、深くお詫び申し上げます。
     このなかで個別登録申込は令和3年12月末現在、前年同期比101.7%と増加で推移していますが、コロナ禍前の令和元年度同時期と比較すると1800件少ない状況です。一方、自動登録は前年同期比103.4%と、こちらも増加で推移しており、令和元年度同時期と比べて550件増えています。個別登録から自動登録に切り替わっている農家も増えてきていることも、この結果に繋がっているのではと推測しています。

    審査は増加に

     牛群審査・体型調査については、令和2年度前期は緊急事態宣言の影響により、21府県のみの実施。令和元年度同期と比較すると、41.6%と少ない結果でした。令和3年度前期は38都府県で実施をして前年同期比286.7%となりました。コロナ禍ではありますが、改良の成果を見るための牛群審査の受検ならびに体型調査に対するご理解ご協力をいただいた結果と思われます。
     引き続き新型コロナウイルスの感染状況を注視しながら、支部承認団体の担当者と連絡をとって対応してまいります。

    新たな情報の提供

     昨年の8月から、ハプロタイプの情報を提供することになりました。
     ハプロタイプとは、生物の染色体上の複数のSNPの組み合わせを指しています。遺伝子は両親から良い遺伝子を受け継ぐ反面、遺伝的疾患の原因となる遺伝子も引継ぎします。 
     今回提供された情報は、妊娠期間中に胚死滅をもたらすHH1からHH5の5種類の遺伝的不良形質で、これらはSNP検査である程度推測することができます。この遺伝的不良形質の有無を知ることで、繁殖による経済的損失を最小限に防ぐことができると考えています。泌乳は分娩してから始まるので、分娩しないことは生乳生産どころか、後継牛確保にも影響を及ぼします。
     このハプロタイプは、遺伝子型検査を行わなくてもSNP検査で推測できますが、SNP検査をするには血統登録が必要になります。また、SNP検査は遺伝的に優れているかを早期に見極めることができる技術であり、若い時期にSNP検査を実施することを推奨しています。

    自動登録の普及推進

     日本ホル協では「自動登録同時SNP検査」を推進しております。これは自動登録で登録後、3か月以内にSNP検査をした牛について、血統登録料金の優遇をするものです。
     現在、SNP検査で得られた遺伝情報を数字だけではなく、グラフ等で見やすく、かつ分かり易く情報提供できるよう準備しております。これを機に個別申込みから自動登録に切り替えてみてはいかがでしょうか。
     皆様に素早く血統登録証明書をお届けするために日々努力しておりますが、個別登録申込みではどうしても調査に時間を要することになります。他方、自動登録は出生報告後スピーディーに血統登録することができます。日本ホル協では引き続き、自動登録の普及推進に努めてまいります。自動登録のことで何かご不明な点等ありましたら、日本ホル協に連絡ください。
     今後も血統登録の必要性に対する理解とその普及にご協力いただくよう、よろしくお願いします。

高得点牛紹介 岩手県佐野牧場 ラツキー チエン
       群馬県遠坂牧場 ヒーローズ ダツチ

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    泌乳にも優れたラツキー一族

     昨年12月の岩手県後期体型審査において、遠野市の佐野牧場所有の「プロスペリー ハーバート ラツキー チエン(平27.05.05、6歳5産、父:マツカチエン)」が、93点3Eに評価された。
     このラツキーチエン号は過去、4歳6月3産で92点、5歳7月4産で同92点を獲得しており、今回6歳6月で5産目を分娩し、93点の快挙となった。
     本牛は、同牧場で連綿と続く「ラツキー」一族で、母の「プロスペリー アドベント ラツキー ゴールド」が91点4Eなど別掲のとおり、極めて体型が良く、そのうえ泌乳能力の優れた系統である。5代前の「ドリームランチ ラツキー スター」が同県葛巻町の藤岡俊策さんから導入されており、佐野牧場で大きく開花している。
     初産85点、2産目89点と特筆すべき体型を呈しており、3産目で92点を得た後も順調。ただし、繁殖が順調過ぎることもあって、各種のショウや共進会にはほとんど無縁。
     一方、検定証明済みの泌乳成績をみると、初産から311日乳量が1万3284キロと高泌乳を示し、2産目332日1万5918キロ、3産目346日1万7142キロと続き、このたびの5産目もまだ泌乳前期であるが日量60キロ前後を泌乳中である。
     先般の体型審査での各部の配点は、体貌と骨格91点、肢蹄91点、乳用強健性94点、乳器94点(12月13日確認審査実施)。特に体型的特徴を挙げるならば、極めて正確なフレームを持ち、体長があり、姿勢は優美で頸は薄く長く、肋腹の開張に富み、乳房においては特に前乳房の付着が強く、後乳房は高さと幅が抜群という点であろう。5産目にして乳房底面が飛節端から8センチ以上も上に位置することから、今後の益々の活躍が期待される。

    プロスペリー ハーバート ラツキー チエン 令和3年12月27日撮影 提供:デーリィマン社

    都府県最高得点牛 リコ ダツチの娘牛

     同じく昨年12月、群馬県後期体型審査において、太田市の遠坂牧場所有の「フアイン ヒーローズ ダツチ(平27.6.27生、6歳5産、父:エルヒーローズ)」が、93点3Eに評価された。
     平成15年度後期に同牧場初となるEX牛が出て以来、令和3年度までの間で24頭と多くのEX牛を輩出している。その中でも本牛の母「フアイン リコ ダツチ」が平成28年度前期に94点、その翌年に95点を獲得し後にもEを更新している。また、「OK タイガー ウツズ ライオネル ET」が今年度前期に93点を獲得しており、これらに続きヒーローズは同牧場で3頭目となる高得点(93点以上)の快挙となった。
     本牛の審査記録は、初産84点、2産88点、3産90点、そして昨年12月(5歳5月・4産)の審査で92点を獲得し、この度の審査で自家生産牛2頭目の93点を格付けされた。各部の配点は体貌と骨格93点、肢蹄91点、乳用強健性94点、乳器93点(12月27日確認審査実施)。
     9月に5産目を分娩し、分娩後3か月経過した状態で、コンディションは良く、骨格構造は正確で前駆から中躯・後躯への移行に優れ、全体に伸びとゆとりのある体貌と骨格を備えている。また、全体に活力があり肋骨の間隔は広く後方によく開張し輪郭鮮明で、乳器においても前乳房の付着は強く、後乳房は幅広く高く付着しており乳房懸垂は強く、5産しているが乳房底面は高く、極めて機能的な乳器構造を備えている。
     なお、本牛は平成30年に開催された第19回関東地区ホルスタイン共進会に出場しており、インターミディエイト名誉賞を獲得。また、昨年コロナ禍の厳しい状況で開催された群馬県畜産共進会(乳牛の部)では最高位賞を獲得している。

    フアイン ヒーローズ ダツチ 令和3年11月17日撮影 提供:デーリィマン社

5面

1頭毎の繁殖の足跡を記録しよう ~繁殖台帳作成サービス~

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     会員の皆様は普段どのような形で繁殖記録を整備していますか。授精や分娩など、その日その時牛舎で起こったイベントを取り急ぎ記録するために、ノートやホワイトボード、繁殖カレンダーにメモをする方が多いのではないでしょうか。
     しかし、そのメモをそのままにしていませんか。正しい血統登録を行うためには、繁殖記録をその日の記録で終わらせずに、1頭毎の繁殖台帳の形に残すことが必要です。

    牛1頭毎の記録が必要

     日本ホル協では、正しく血統登録を行うために、「繁殖台帳の整備」を登録規程に定め、会員の皆様にお願いしております。血統登録は皆様の繁殖記録の申告に基づいて行っていますので、これが正確なものでないと血統登録を行うことができません。
     例えば、血統登録時のよくある事例で、「在胎日数エラー」というものがあります。「在胎日数」は授精した日から分娩した日までの日数のことで、牛の場合は平均280日とされています。血統登録を行う際に、登録申込書に添付された授精証明書等から在胎日数を計算し、平均から前後15日間は正常な分娩範囲としています。
     しかし、この範囲外(在胎日数265日未満もしくは296日以上)の場合は、正しい血統を確認するために日本ホル協から照会を行いますので、その際には「授精履歴」を確認してください。登録申込牛の母牛が複数回授精していないか、また異なる種雄牛を複数回に渡って授精していないか、複数授精の場合には、早産などの分娩状況も考慮して、どの授精による産子なのかを判断しなければなりません。
     この時、カレンダーやノート等にメモされた記録からその牛の授精履歴を確認するのは難しいのではないでしょうか。その牛に対して、いつどのようなイベントが起こったかが確認できる牛1頭毎の繁殖台帳の形が、正しい血統登録に相応しい記録の残し方です。
     また、(一社)家畜改良事業団が提供している「繁殖台帳Webシステム」等の繁殖管理ソフトを利用して、その日毎に入力したイベントを1頭毎の記録として確認できる機能があれば、それを活用することもお勧めします。

    繁殖台帳作成サービス

     日本ホル協では、会員様限定で牛1頭毎の繁殖台帳を印刷できるサービスを提供しています(図1)。
     印刷方法は、まず家畜改良データバンクのWebサイトのメインメニュー「会員情報」からログイン(※)します(図2の2)。すると、「農家別登録牛情報」ページが表示されます。このページには、その農家で現在飼養中の乳用種牛のリストが表示されます。次に、右上の方にある「繁殖台帳印刷」(図2の3)のボタンを押すと、繁殖台帳印刷の画面が表示されますので、繁殖台帳を作成したい牛を選んで、ご家庭のプリンターで印刷してください。この繁殖台帳には、血統登録牛であれば、名号、生年月日、血統濃度、3代までの血統、遺伝病検査結果が自動的にセットされます。印刷用紙の裏面には授精記録の記録欄を印刷して、両面でご利用ください。
     正しい血統登録を行うためには、日々の繁殖記録を整備しておくことが大切です。是非とも繁殖台帳印刷サービスをご活用ください。
     (登録課・門間)
    (※)ログイン時の農場コードは家畜改良センター個体識別部への出生届出(報告)で使用されている電話番号です。パスワードは別途あらかじめ設定されておりますが、地域によって変更されていることがありますので、ご不明の場合は各都府県の日本ホル協支部・承認団体へお問い合わせください。

胚性致死に関する遺伝子型調査はじまる

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     日本ホル恊は、令和4年1月4日より7種類の妊娠中の胚死滅または流産に関連する遺伝子型を確定する調査「胚性致死関連遺伝子型7種類同時(H1~H7)」の申込受付を開始した。
     日本ホル恊では令和3年8月よりSNP検査から推測されたハプロタイプの遺伝子型情報の提供を開始していたが、妊娠期間中に胚死滅にもたらすHH1からHH5の5種類の遺伝的不良形質に関する情報で、SNP検査である程度の精度で原因遺伝子を推測することができたが、正常/保因を確定するには遺伝子型調査が必要であった。
     これまでは胚死滅に関する遺伝子型調査はHH1の1種類だけであったが、検査を委託している(一社)家畜改良事業団家畜改良技術研究所にて胚死滅に係る7種類の遺伝子型の調査が可能になったことから申込の受付開始となった。
     今後は、胚死滅に関する遺伝子型調査は個別の申し込みは出来ず7種類一括の申し込みになり、それに伴い、HH1の判定の調査は廃止される。

alic G評価値掲載決定

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     以前より、日本ホル協の会員等から乳用牛改良増殖推進事業(alic事業)でSNP検査を実施した牛のゲノミック評価値についても、日本ホル協が発行する牛群遺伝情報等に掲載してほしいという要望が多数寄せられていたが、(一社)家畜改良事業団との協議の末、2月公式評価より掲載することが決定した。詳細は支部・承認団体まで問い合わせ願いたい。

新人紹介

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    総務部経理課 課長 谷野剛史

     11月1日付けで採用され総務部経理課に配属となりました谷野剛史(やのつよし)と申します。
     出身は神奈川県相模原市で、学生時代から現在に至るまで相模原市で過ごしております。
     大学卒業後は監査や経理業務等の会計関係の仕事を中心に行ってきました。監査では様々な業界の企業に伺いましたが、酪農関係につきましてはこれまで縁がなく、入社するまで殆ど知識がありませんでした。これから少しずつ酪農業界について学んでいきたいと考えております。
     現在は総務部経理課で日常の会計処理や決算業務等を担当しております。まだまだ分からに事も多く色々と教えていただく機会も多いと思いますが、協会の仕事の進め方にも早く慣れ、協会内外から信頼されるような会計処理業務を行っていけるよう努力していく所存でおりますので、何卒よろしくお願いいたします。

    総務部総務課 黒田由佳

     12月1日付けで採用され、総務部総務課に配属になりました黒田由佳(くろだゆか)と申します。
     前職は東京都内の商工会に18年間勤務しておりました。商工業者の方々の経営支援を行う職場で、経理や労働保険関係事務に従事しておりました。この度、ご縁あり、当協会で総務業務を担当させていただくことになりました。今後は、微力ではございますが、酪農家の方々の経営環境が少しでも改善されるよう、当協会の業務を通じて貢献していくことが出来ればと思っております。
     私の出身は東京都です。多摩地区在住なので、住宅街に溶け込んで酪農を営まれている方が身近です。地元の果物を活用されたジェラートを作られていて、地産地消の新鮮さと美味しさを実感させてくださったり、子どもの遠足の際に、牛とのふれあい体験をさせていただいたりと、たくさん素敵な思い出を地元の酪農家の方からいただいてきました。
     私たちが、毎日、安心安全な美味しい牛乳を飲めるのは、酪農家の皆さまの日々の努力のお陰ということを、当協会で働くことで再認識し、感謝しております。
     これから、少しでも皆さまのお役に立てるよう精進してまいりますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

6面

1位 エモリー ジヨーダン 岩手県 中村隆幸さん 生涯乳量令和3年9-12月

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     令和3年9月から12月に都府県で検定成績証明されたものの中から、表には生涯乳量上位100頭を示した。今回は6頭が総乳量(M)10万キロを突破した。

    1位 中村 隆幸さん(岩手県)

     今回の1位は中村隆幸さん(岩手県)の「ラビアンローズ ウイーブルツフ エモリー ジヨーダン」の検定回数8回で検定日数3131日、M12万7331キロ、総乳脂量(F)3891キロ、平均乳脂率(F%)3.1%、総乳蛋白質量(P)3929キロであった。これは岩手県内で歴代5位の記録となる。本牛は7世代前に同県同市の山下牧場から導入されてきており、初産時から乳量1万キロを超える成績を収めている。現在、5頭の娘牛と孫牛、4頭のひ孫牛がおり、今後も同牧場を支えていくことがうかがえる。

    母娘で10万キロ達成
    2位 ロメオ クララ 埼玉県 亀田康好さん

     2位は亀田康好さん(埼玉県)の「シンボライズ ロメオ クララ」の検定回数8回で検定日数3939日、M12万3953キロ、F4690キロ、F%3.8%、P3989キロであり、乳量は埼玉県内で歴代1位、乳脂量は5位の成績を記録した。この血統は9世代前に北海道河東郡の池上牧場から導入されて以降、同牧場を支え続けてきた。本牛の母牛「シンボライズ ロメオ パトラ」は2005年に栃木県で開催された第12回全共10部において1等賞を獲得しており、乳量も7乳期で8万8588キロを記録している。また、亀田康好さんは6位にランクインした「シンボライズ ロメオ クラウン」も所有しており、この牛は前述のクララの娘牛にあたる。検定回数8回で検定日数3201日、M10万311キロ、F3583キロ、F%3.6%、P3200キロと、親子2代で10万キロ達成。

    92-4Eの高得点牛
    3位 レーガン クイーン 静岡県 石川和博さん

     3位は石川和博さん(静岡県)の「YKT レーガン クイーン」の検定回数7回で検定日数3013日、M11万9622キロ、F4302キロ、F%3.6%、P3555キロであった。静岡県内で乳量4位、乳脂量6位の成績となった。この牛は北海道帯広市の杉浦牧場から導入されており、決定得点92-4Eを獲得した、体型面でも非常に優れた牛である。
     4位は新海益二郎さん(長野県)の「ラツキーマーシユ チルダ MJ」の検定回数8回で検定日数2656日、M10万8870キロ、F4423キロ、F%4.1%、P3417キロで、決定得点は92-5Eを獲得している。母牛が同県同村の小林牧場から導入されており、母牛も91点を獲得している。
     5位は(株)GRFホルスタインズ(岩手県)の「リバテイーフアーム ヒンペル クリスタル スーパー」の検定回数8回で検定日数2376日、M10万4200キロ、F3752キロ、F%3.6%、P3336キロで、本牛は同県同町の中六角牧場から導入された。9歳で8産と繁殖面でも優れている。また、10世代前から決定得点80点以上を獲得し続けている血統の牛でもある。
     また3位の石川和博さんをはじめ、新海益二郎さん(長野県)、(株)ブルーバンブーファーム(埼玉県)、松島太一さん(熊本県)、(株)荒木牧場(熊本県)、星野和司さん(群馬県)、吉田仁治さん(新潟県)、雫田岳志さん(長野県)、中六角保広さん(岩手県)、植木靖さん(栃木県)、藤岡俊策さん(岩手県)、妹尾優佳さん(岡山県)、(有)加藤牧場(埼玉県)、佐藤俊さん(宮城県)、(有)渡辺ファーム(宮城県)、駒場靖史さん(栃木県)畠山伸吾さん(秋田県)、小針勤さん(栃木県)は決定得点90点以上を獲得しており、体型においても優れた成績を残している。

今後の行事 日本ホル協

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    ◇令和3年度社員会議
     令和4年2月10日(書面)
    ◇令和3年度冬期登録事務担当者会議
     令和4年2月10日(Web開催)
    ◇第310回理事会
     令和4年3月18日(Web開催)

検定成績優秀牛 -都府県 令和3年12月証明分F偏差値-

ホルスタイン手帳発売中

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7面

RIUSのバージョンUP⤴⤴ -利便性向上を中心とした機能追加-

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     RIUS(登録情報活用システム)は、検定成績証明の自動継続発行を申し込まれている酪農家を対象に、各成績証明をスマートフォンやパソコンで簡単に閲覧できるWebシステムです。
     昨年は、「共進会賞歴」、「系統譜」、「優秀牛マーク」を新たに公開したことを機に、利用者数や各情報画面の閲覧数がともに増えております。
     今回は、RIUSの利便性向上を中心とした機能を追加しましたのでご紹介いたします。

    ログインが簡単に

     これまでのログイン画面は、会員番号の入力欄が4つに分かれていたため、個々に選択して入力する必要がありました。今回、入力欄を1つにまとめましたので入力作業の軽減を図るとともに、スマートフォンやパソコンなどのパスワード保存機能を利用することで、次からのログインが簡単になります(図1)。

    拡大4桁番号でも検索が可能に

     以前、利用者から拡大4桁番号で検索したいとの要望がありましたので、証明牛一覧画面の検索条件に追加しました(図2)。
     なお、トップ画面にも登録番号で血統情報を検索する機能がありますが、拡大4桁番号には対応しておりませんのでご注意ください。

    共進会賞歴の情報量がUP

     これまで歴代成績の共進会賞歴は、検索期間を2000年以降としておりましたが、5年遡り1995年以降の共進会も検索できるようにしました。また、全日本ブラックアンドホワイトショウの各チャンピオンの賞歴データが整いましたので、共進会賞歴画面に表示します(図3)。

    血統図にも優秀牛マークを表示

     昨年は個体情報画面の本牛欄に「優秀牛マーク」を表示しましたが、今回は血統図の血統3代(母・祖母・曾祖母)にも優秀牛マークを表示しました(図4)。これによって4代EXなどの優秀な系譜が容易にわかるようになります。
     優秀牛マークとして表示されるものには、審査得点が90点以上のEX牛につく「EX」、初産で審査得点が85点以上90点未満の初産VG牛につく「初VG」、生涯乳量が10万㌔以上ある牛につく「10万」、検定日数365日以下で乳量が2万キ㌔以上あるスーパーカウにつく「2万」があります。さらに、優秀牛選奨規程に則り、総乳量(M)が6万㌔以上で、総乳脂肪量(F)が2040㌔以上及び総乳蛋白質量(P)が1800㌔以上ある牛には「金賞」、M5万㌔以上で、F1700㌔以上及びP1500㌔以上ある牛には「銀賞」、M3万㌔以上で、F1020㌔以上及びP900㌔以上ある牛には「銅賞」が表示されます。
     なお、外国牛は表示対象外となります。
     RIUSは、酪農家へ有益な情報を提供できるよう今後も新機能の追加を考えております。ご要望などがございましたら、今後のシステム開発の参考にしたいと考えておりますので、ご連絡いただきますようお願いいたします。
     さらに、まだご利用していない方やご興味がある方向けに、デモサイト(http://holstein.o.oo7.jp/rius/)を公開しております。図5の二次元コードからアクセスすることが可能です。サイト内の「ヘルプ」にある操作手引書をご参照の上、各情報画面などの表示内容や操作性をお試しください。
     ぜひ、この機会に牛群改良の歴史を紡ぐRIUSのご利用について、ご検討のほどよろしくお願いいたします。
     (北海道支局 若杉)

2期連続 「アルタゴープロ」首位 2021‐12月 海外種雄牛評価

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     (独)家畜改良センターから12月7日に海外種雄牛2021-12月評価が公表された。

    1位アルタゴープロ

     今回の1位も「アルタゴープロ」(ヒーリクス×モントロス)が獲得した。前回の8月評価で初登場1位を獲得し、2期連続の首位となった。乳量は2位と約450㎏の差をつけて2438㎏と際立って高い他、乳蛋白質量も表中1位、産乳成分は表中僅差で2位であり、乳量の改良に秀でた種雄牛である。

    2位ヒーラー

     2位は初登場「ヒーラー」(ブロートーチ×スーパーサイアー)であった。表中1位の高い産乳成分、乳脂肪量を誇り、体細胞スコアも低く優れている。

    3位ローリー

     3位は「ローリー」(ゲートダンサー×ルビコン)が前回の初登場5位から順位を上げた。こちらも産乳成分と乳脂肪量、体細胞スコアに優れた種雄牛である。
     新規牛は2位ヒーラーの他に、5位ライオネル、9位ラピツド、20位トルトウーガ、25位ダーウイン、28位レマンズ、32位オツクスフオード、38位サブゼロとトップ40中8頭で2割を占める結果となった。
     トップ40の中で、父牛別ではシルバー、バリスト、スーパーシヨツト、ジエダイがそれぞれ2頭、母方祖父牛としてはスーパーサイアーが9頭、ヨダーとルビコン3頭であった。