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平成28年09月20日


平成28年09月20日「正しい血統登録」が改良の基本!!自動登録推進で次代の改良集団確保を 〜(一社)日本ホルスタイン登録協会会長前田勉〜
日本ホルスタイン登録協会会員、賛助会員の皆様に改めてご挨拶を申し上げます。私は、去る6月17日開催の当協会の通常総会並びに理事会において、北良治前会長の後任として、会長の大役を仰せつかった前田と申します。微力ではございますが、今後とも登録事業を通じて、ホルスタインの泌乳能力や体型の改良を推進し、より効率的な泌乳生産と酪農経営の向上に貢献していきたいと考えますのでよろしくお願い申し上げます。
1日も早い復旧と義援金へのお礼
はじめに、本年4月に発生しました熊本地震では、特に熊本県内で大きな被害がありました。被災された皆様には心よりお見舞いと1日も早く復旧されますよう祈念申し上げます。当協会では、全酪連、全国酪農協会、日本酪農政治連盟との4団体で「災害対策酪農団体協議会」を設立して義援金募集活動を行い、多くの皆様からの義援金を熊本県酪連等にお届けしました。また、私共が事務局を預かっている「全国ホルスタイン改良協議会」でも各都道府県の改良同志会から義援金のご協力をいただき、熊本県乳牛改良同志会に贈呈しました。義援金募集にご協力いただいた皆様、関係団体各位に対しまして、改めてお礼を申し上げます。
家畜改良増殖目標に沿って
さて、会員である酪農家の皆様には、日頃から、乳牛の遺伝的改良の基本となる血統登録をはじめ牛群審査の推進や牛群検定成績の活用等について、多大なご理解とご協力をいただき厚くお礼を申し上げます。
本年5月に公表された生乳の需給動向では、全国の生乳生産量は3年ぶりに前年を上回り、国の対策や生産者の増産努力が徐々に表れてきた感はありますが、酪農家戸数や乳牛飼養頭数は依然として減少傾向にあり、ホルスタイン後継牛の不足と初妊牛価格の高騰、さらには酪農従業者の高齢化や酪農後継者不足、TPP対応等の問題が山積しております。
このような先行き不透明な情勢下で、国は昨年、新しい家畜改良増殖目標を策定し、酪農生産基盤確保のために、泌乳持続性や長命連産性等に重点を置いて改良を進めているところです。当協会としても増殖目標に示された改良方針に沿って、酪農生産基盤の強化の一助となるよう、引き続き登録事業の推進に努力してまいります。
自動登録で「全頭登録」を
平成27年度は、皆様方のご協力によって、都府県におけるホルスタインの登録件数は、血統登録申込が前年度対比106%、審査成績証明107%、検定成績証明131%で何れも好調でしたが、今年度4〜7月期の血統登録申込件数は、前年度対比を大きく下回る状況で推移しており、このまま行けば次世代の改良集団の確保が心配されるところです。
ご案内のように、自動登録は事前に報告した授精データと個体識別センターに報告した雌子牛の出生データによって、個々の登録申込書が不要で、しかも通常の登録申込料金より540円割安、血統登録証明書がより早く交付される、母牛の移動証明申込を省略できる等、多くの利点があります。現在、北海道では血統登録頭数の97%が自動登録であり、都府県でも昨年度には自動登録が登録全体の53%を占めるまでに普及しています。今年度も引き続き、自動登録への加入を呼びかけ、「全頭登録」をめざして推進していきたいと考えます。
当協会では、今年度から自動登録並びにSNP検査の普及推進を行うために「自動登録同時SNP検査申込」をスタートしました。これは、当該年に自動登録した雌子牛がSNP検査を受けたときには、登録料の半額を還元する奨励策です。今後、未経産牛や若雄牛のSNP検査が普及していけば、近い将来にはゲノミック評価値を計算するための参照集団が拡充され、より信頼度の高いゲノミック評価値の利用と育成段階での早期選抜がより確実になるものと考えます。
このほかの登録振興対策では、乳牛の真の価値は、飼いやすく健康で、長命連産して後継牛を多く残し、生涯乳量をどのくらい生産したかであり、これらの記録を確実に残していくことが大切と考えます。そのためには、牛群審査の推進と牛群検定成績の生涯検定成績や検定成績一括申込等の一層のPRを進めてまいります。
繁殖記録の確認徹底を
血統登録を推進する一方で、昨年度までにSNP検査を実施した登録牛の数%に血縁矛盾の疑いが検出されました。登録事業は、登録申込者と当協会間の信頼関係で成り立っている事業ですが、「正しい血統登録」こそが改良の基本であり、血統の誤りは極めて重大な問題です。当協会ではこのことを重く受け止め、血統疑義のものは親子判定や授精、出生関係等を調査してその解決にあたるとともに、今夏の都府県5ブロックで開催した登録委員研修会では、「正しい血統登録を行うために」と題して、出席された登録委員の皆様に、農家に対して、繁殖記録を正確に行うことの徹底と、分娩した母牛と出生子牛の個体確認、登録申込の際には授精記録や父母子に間違いないかを再度確認するよう指導していただくことを強くお願いしました。いま一度、「正しい血統登録」について、会員の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
九州全共の成功を期して
最後に、平成32年秋には九州ブロックで第15回全日本ホルスタイン共進会を開催することで、九州各県の行政並びに酪農関係団体、全共会場となる宮崎県都城地域家畜市場など多くの皆様からの支援協力をいただき、来年度早々には全共実行委員会を設立して、開催計画の策定と具体的な準備に取り組んでまいります。来る九州全共が、今後の全共のあり方や方向を示すブロック開催の草分けとして、国産種雄牛の一層の利用拡大と酪農生産意欲の高揚、全国酪農家・関係者の親睦と絆がより深まることと、九州8県の特徴を生かした牛乳・乳製品の消費宣伝の機会になることを期待し、当協会もその成功に向けて、全力で準備を進める所存です。

平成28年09月20日「正しい血統登録を行うために」 平成28年度地区別登録委員研修会
去る7月21日から8月5日にかけて、日本ホル協(前田勉会長)で開催した登録委員研修会の「正しい血統登録を行うために」についての要旨を掲載する。
SNP検査による血統矛盾
近年、急速に普及が進んでいるゲノミック評価と、その検査手段であるSNP検査について、当協会ではその検査申込みの受付業務とSNP情報の管理を行っている。
SNP検査ではゲノミック評価の精度向上のため、検査牛の血縁関係が矛盾していないかを調査しているが、これに矛盾がある登録牛がおよそ検査対象牛の4%の割合で存在していることが判明した。当協会ではこの状況を重く受け止め、血縁矛盾のある登録牛については、従来からのマイクロサテライト法による遺伝子型の親子判定や登録の更正を無料で行い、早期解消に努めている。
元来、当協会の血統登録は、会員農家から申告された繁殖記録に基づき、農家との信頼関係の中で行っている。申告された授精日と申込牛の出生日から在胎日数を計算し、平均より外れていないか、また父牛については凍結精液が供用開始以降の授精日であるかなど、登録前に各種チェックを行っている。それでもまれに誤った血縁であるにもかかわらず、チェックを通過して登録に至ってしまうことがあり、これが登録後に受けたSNP検査によって血縁矛盾が明らかになるケースとなっている。その具体的な例を次に挙げる。
血縁矛盾が起こる事例
図1は、同じ時期に複数頭の人工授精を行った際に、それぞれの雌牛に授精した種雄牛を入れ違ってしまった例である。授精の際には、種雄牛と雌牛の個体確認を誤らないようにお願いしたい。
図2は、授精した種雄牛を愛称で記録していたら、同じような名号の種雄牛がいたために間違った種雄牛を申告してしまった例である。種雄牛は、愛称のほかに登録番号や略号なども併せて記録するようお願いしたい。
図3は、個体識別番号の拡大4桁だけで記録をしていたら、飼養牛の中で同じ拡大4桁が2頭いたために、記録が入れ違ってしまった例である。耳標は農家ごとに連番で配布されるが、導入牛などは拡大4桁が重複することがあるので、記録の際には個体識別番号10桁で記録をするようにお願いしたい。
図4は、子牛と母牛を入れ違えて、家畜改良センター個体識別部(以下、改良センター)へ出生報告をしてしまった例である。分娩の際には、分娩牛と子牛の耳標を正しく記録しておき、それを元に出生報告を行うようお願いしたい。
図5は、耳標を装着しないまま授精を行ったため、どの牛に対する授精記録なのかが分らなくなってしまった例である。まず耳標装着は出生したときに速やかに行う。また、飼養中に耳標が脱落したときは、新たな番号の耳標は装着せず、耳標の再交付手続きが必要である。
図6は、夜間など人が立ち会っていない間に複数の牛が分娩したため、親子関係が分からなくなってしまった例である。このような場合は、遺伝子型による親子判定を行うようお願いしたい。
繁殖台帳の管理
血縁矛盾が起こらないように、まずは繁殖台帳への記録を正しく行うことが必要である。繁殖台帳には交配の都度、授精に関する情報を記録する。繁殖台帳は1頭ごとに作成した方が管理しやすいが、そうでなくても、繁殖記録用のカレンダーなどしっかりと記録のできる様式のものを利用する。また、分娩時の情報も正確に記録し、早産や生時体重が軽いなど、特別な分娩状況があった場合はメモをする。
牛群検定実施農家は、家畜改良事業団が提供している「繁殖台帳Webシステム」を利用するなど、繁殖情報をデータ入力できる繁殖管理ソフトを活用することもお勧めしたい。
授精・分娩時の注意
人工授精の際には、種雄牛と雌牛の個体確認を誤らないようにする。また、精液ラベルは必ず保管しておく。
同一発情期に同じ品種の異なる種雄牛を複数回授精するのは、正しい親子関係が分からなくなってしまうので行わないようにする。追い移植などでやむを得ない場合は遺伝子型による親子判定を行うようお願いしたい。
分娩には必ず立ち会い、個体確認を行うようにする。生まれた子牛には速やかに耳標を装着し、改良センターへ出生の届出は、個体識別番号など正しい情報を確認した上で行う。
登録申込みの注意
申込書による個別の登録申込みの際には、当協会が認める登録委員が申込書の記入事項、繁殖台帳、人工授精証明書などの添付書類、改良センターへの個体識別報告内容などとすべての内容が一致するよう確認する。また、図7のように、連続する2発情期に同品種の異なる種雄牛を授精している場合で、最終授精から計算した在胎日数が260日など早産のときは、最終より一つ前の授精による受胎の可能性があり、分娩状況や生時体重などを調査して判断する必要がある。判断できない場合は、遺伝子型検査による親子判定を行う。
自動登録は交配の都度、電子データによる授精報告が実施条件となっており、授精報告方法は自動登録実施農家によって異なるが、いずれも繁殖台帳に基づいて正しく報告をする。
正確かつ簡便な登録のために
SNP検査は血縁が正しいことが前提であり、これが誤っていればゲノミック評価の恩恵は受けられない。血統登録を正確なものにするためには、登録牛すべてに遺伝子型検査を実施し、親子関係を明確にするのがベストであるが、毛根試料採取の労力・検査申込みの事務・検査費用がかかるため、登録料を値上げしないと実現できない。
半面、当協会ではコストを抑えた登録の手法として、「自動登録」を推進している。登録申込書が不要であり、それに係る事務が軽減されるため、登録料を通常より安く設定している。自動登録で登録をスムーズに完了し、ゲノミック評価値も含めた牛群改良のための情報を活用してもらいたい。
血統登録に正確性を求めるか、コストパフォーマンスを求めるか。どちらも両立させるには、農家における日々の正しい繁殖記録が不可欠である。

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平成28年09月20日「新任役員」
8月31日の臨時総会で、杉浦弘泰理事の退任による役員補欠選任で鈴木康弘氏(愛知県酪農協副組合長理事)が理事に選任された。

平成28年09月20日「社員補欠選挙のお知らせ」
今般、社員の辞任に伴い、社員補欠選挙を実施いたします。なお、この選挙実施に伴う詳細につきましては、来る10月1日、当協会のホームページで公示するとともに、当該選挙区の選挙管理事務所において掲示します。


平成28年09月20日
「NTP1位は[SWナイアグラ]長命連産効果は[エモーション]」
~2016-8国内種雄牛評価~
家畜改良センターは8月2日、乳用種雄牛評価成績2016-8月を公表した。今回の評価成績では精液供給可能種雄牛は81頭で、新規種雄牛は総合指数(NTP)上位40頭に14頭が入った。表には主な形質についてトップ10を示した。
NTP1位は新規選抜牛「SW ナイアグラ」
NTPトップは新規選抜牛のウインザーマナーSWナイアグラETで、父ナイアグラと母方祖父(MGS)プラネツトから生産された。本牛は、産乳成分、乳代効果、乳脂肪量、無脂固形分量1位と泌乳能力が特に優れ長命連産効果も4位と高成績。また、体型能力もプラスの成績が多く高能力好体型の改良に期待が持てる種雄牛である。
2位は2期連続1位だったサンワードスーパーエモーシヨンETが入った。スーパー×バクスターとの交配で誕生。本牛は特に長命連産効果に優れ、乳代効果も6位と高い収益性に期待ができる。また、肢蹄2位、耐久性成分7位であり体型能力の改良効果も高い。
3位は新規選抜牛のテイーユーレデイスマナージヨージアで、ビーコン×アーニツトの交配で誕生。父牛のビーコンは特に体型の改良に優れており、本牛もまた体型の改良効果が高く、肢蹄の改良に優れている。また、乳成分も高く安定した能力とバランスの良い体型に期待ができる。
長命連産効果は3期連続「エモーシヨン」
形質別では、エモーシヨンが長命連産効果で3期連続トップとなった。2位にはエメラルドエーカーRCAミステイET(NTP19位)、3位には新規牛のイナパートエステイローダET(同20位)が入った。
「SWナイアグラ」が産乳も1位
産乳成分を見ると、前述のSWナイアグラが1位となった。2位には前回産乳成分1位のケネカランドプラツトユツプET(同10位)が入った。
耐久性成分を見ると、1位エステイローダ、2位リバーサイドグレイブET(同36位)、3位JCレジエンドバンビ(同13位)となった。
疾病繁殖成分は5期連続クロケツトエーカースFVエレベーシヨンETがトップを獲った。
14頭の新規選抜牛
最初に述べた通り、今回はNTPトップ40に新規種雄牛が14頭選抜され、内13頭がトップ20に入る高成績となった。
上位牛を見てみると、4位にはライジングサンサマーソニツクETが入りビーコン×プラネツトからの交配で、耐久性成分、体型形質の成績が全てトップ10に入っており、体型の改良に効果を発揮する。乳代効果、産乳成分もトップ10に入っている。
続いて5位にはNLBCバルサバベツジが入った。本牛は国産種雄牛遺伝子作出検討委員会(J―Sireプロジェクト)から作出された種雄牛で、特に産乳成分に優れており、体型では乳器の改良効果が高い。
その他は、8位グリーンハイツロードスタET、11位ヘンカシーンスーパーレジエンド、14位グリーンバレースーパーマンデイーET、15位レイバーナイアグラパリツシユET、18位テイーユーレデイスマナージエイドET、20位ピユアソウルナイトメアリーマークイスET、ケネカランドテンプレストブレイン、イナパートエステイローダET、25位テイーウエーブレーザービームETである。
父は「プラネツト」が5頭
NTPトップ40を父牛別に見ると、プラネツトが5頭、スーパーとナイアグラが4頭、MRバーンズ、バクスター、ビーコン、ブロンコ、マンオーマンが3頭と続く。プラネツトは、特に泌乳能力に優れ、米国では2010-8月にTPI1位を獲得し、5年間に渡りトップ10に入り、カナダでは12年にLPI1位を2期獲得するなど長期に渡り活躍した種雄牛である。
近親交配に気を付けて!
交配に当たってはNTP40までの中から、特に改良したい形質の遺伝評価値が高い種雄牛を選定するとともに、交配する雌牛との間で近親交配にならないように注意が必要である。
近親交配のチェックは家畜改良データバンクの「近交回避情報」で、雌牛の登録番号を入力し確認ができる。最近は近交係数も高くなり、近交退化やハプロタイプの遺伝疾患に配慮するためにも、交配時には特に近交係数や血縁に注意が必要である。

平成28年09月20日「府県から18名が参加」 -登録事務研修会開催-
日本ホル協は去る9月1日、2日の2日間、東京都中野区の日本ホルスタイン会館会議室にて平成28年度支部・承認団体登録事務取扱者研修会を開催した。
この研修会は支部・承認団体の登録実務に携わっている方を対象とし、登録の意義・歴史から実際の操作方法など多岐にわたり、隔年に開催されている。質疑応答を交えながら熱心に受講する参加者は、北は宮城県、南は熊本県まで、今年4月から担当の方が7名、2年目が4名、3年以上が7名、計18名が参加した。


平成28年09月20日「生涯乳量」~ 都府県28年8月 ~
28年8月に都府県で検定成績証明されたものの中から、表には生涯乳量6万㌔以上の高記録牛18頭を示した。今回は5頭の牛が総乳量(M)10万㌔を突破した。
トップは池松和幸さん(福岡県)所有「ダーハムクリスター」
生涯乳量トップは、池松和幸さん(福岡県)所有の「アイハツピートリプルダーハムクリスター」(平14.06.12生)の検定回数11回で検定日数3845日、M12万9237㌔、総乳脂量(F)4611㌔、平均乳脂率(F%)3.6%、総乳蛋白質量(P)4247㌔であった。今回の記録は、県内歴代記録2位となる素晴らしい記録となり、11産目の検定成績証明により更に記録を伸ばした。
2位は、亀田康好さん(埼玉県)所有の「シンボライズレインビユーテイリリイ」(平14.01.21生)の検定回数10回で検定日数3684日、M11万2894㌔、F4961㌔、F%4.4%、P3893㌔であった。本牛は県内歴代記録5位で、今回の記録は10産目の検定成績証明により更に記録を伸ばしたもの。
3位は、荒井康裕さん(栃木県)所有の「アライダーハムBエリツクET」(平17.10.30生)の検定回数8回で検定日数2758日、M10万4451㌔、F3549㌔、F%3.4%、P3361㌔であった。今回の記録は8産目までの検定成績証明を一括申請したことによるもの。
4位は、佐藤俊さん(宮城県)所有の「デイフエンドジヤステイスイゼベル」(平17.08.24生)の検定回数8回で検定日数2408日、M10万2720㌔、F3898㌔、F%3.8%、P3237㌔、今回、8産目の検定成績証明により更に記録を伸ばした。また、本牛は審査得点でEX(90点以上)を獲得しており、泌乳能力・体型能力ともに優れた牛である。
5位は、青木洋介さん(埼玉県)所有の「ブルーバンブーラグアツプルモモ」(平19.01.02生)の検定回数6回で検定日数2391日、M10万2134㌔、F3425㌔、F%3.4%、P2729㌔、今回6産目の検定成績証明により更に記録を伸ばした。
前述牛をはじめ、体型においても優秀牛が多く、14位の「キーメーヤーススザンヌデツキー」(熊本県・松島太一さん)、18位「YKTレーガンクイーン」(静岡県・石川和博さん)は、審査得点EXを獲得しており、体型においても優れた成績を残している。


平成28年09月20日「検定成績優秀牛」

―都府県平成28年8月証明分F偏差値―


平成28年09月20日「ジャージー交流会開催のお知らせ」-全国ジャージー酪農振興協議会-


平成28年09月20日
「平成28年度前期(4~8月)

審査4104頭・EX120頭」
- 都府県 -
都府県の牛群審査・体型調査は4月~7月下旬で前期の日程を終えた。ホルスタイン種の牛群審査は3,846頭、牛群奨励・個体審査は258頭、合計4,104頭を実施し、前年同期比で819頭の減少、83.4%であった。これは、4月に発生した熊本地震の影響が大きい。他品種では、ジャージー種61頭(19頭増加)、ブラウンスイス種1頭(3頭減)も審査を実施した。また、本年度の後代検定材料娘牛とその同期牛の体型調査については、623戸で3,588頭の体型データを収集した。なお、120頭(ホルス119頭・ジャージー1頭)がエクセレント(審査得点90点以上=EX)と評価された。
審査頭数は前年を下回る
28年度前期の都府県における牛群審査並びに体型調査が終了した。
ホルスタイン種の牛群審査並びに奨励・個体審査では、前年同期比で31戸・819頭減少し、372戸・4,104頭が実施された。大幅な減少の原因には、4月に発生した地震で、熊本県の審査・調査が中止となった影響がある。一方、ジャージー種では、牛群審査5戸56頭、個体審査5頭、ブラウンスイス種は個体審査1頭であった。
また、後代検定材料娘牛と同期牛の体型調査については、毎年予算が削られ、今年も前年より14%(1,239頭)減のなか、各県に計画頭数を割り当て、材料牛1,071頭・同期牛2,517頭、合計3,588頭の体型データが収集された。
岩手県が審査頭数1位
都府県別の審査頭数では、昨年に引き続き岩手県の682頭(53頭増)が最も多かった。例年であると次には熊本県が入ってくるが、前述のように中止なので、群馬県の333頭(23頭減)となり、栃木県、愛知県、千葉県が追随している。上位5県の審査頭数で都府県の43%を占めた。
一方、後代検定事業の体型調査では、例年突出している熊本県が未実施のなか、トップには岩手県、次いで群馬県、鹿児島県、栃木県、鳥取県と続いた。
牛群審査と体型調査の合計では、岩手県が唯一1千頭超えの1,063頭、次いで群馬県648頭、栃木県547頭、愛知県484頭、鳥取県367頭の結果となった。
EX牛は120頭
都府県で審査得点90点以上に評価された雌牛を表に示した。県別では、岩手県が15頭で最も多く、次いで群馬県12頭、千葉県9頭、茨城県・栃木県・愛知県・鳥取県・岡山県が7頭と続き、28都府県120頭がEXと評価された。
種雄牛別では、昨年度まで大きくリードしていたゴールドウインがトップを明け渡し、変わって8頭のEXを誕生させたのがダーハム。次にはアドベント・REDとタレントが7頭、トイストーリーとゴールドウインが6頭、Tバクスターが5頭、チャンピオン、ブリツツ、ダーハム・ロスが4頭と続き、今までにない多くの種雄牛から誕生している。
改良成果と管理技術向上
今回の審査では、28都府県の酪農家、80牧場、4高校・1大学校からEX牛が誕生したが、特に愛知県のウイス牧場で92点を筆頭に5頭、群馬県の萩原牧場でも92点を最高に5頭、岩手県の外谷辰也氏では4頭、同県の小岩井農場、静岡県の石川和博氏、佐賀県の古川豪樹氏がそれぞれ3頭のEX牛を輩出した。
また、今期最高得点は岡山県の吉原直樹氏の「グランデイール・スター・PT・ギン」は平成26年11月に95点を獲得し、今回、都府県では初の2期連続95点となった。本牛は3月16日に7産を分娩してもなお、前産と変わらない充実した体型で、優美な姿を見せてくれた。
今回は岩手県・川﨑一也氏、太田哲氏、茨城県・宮沢智浩氏、埼玉県・SDBQ、岐阜県・山下和成氏、岡山県・中国四国酪農大学校、福岡県・浜地邦夫氏、宮崎県・TKOシンジケート、鹿児島県・橋口智章氏の9牧場で初のEXが誕生している。追随するEX牛を待ち望むところである。
なお、今期EX牛のうち前回得点を更新した牛(同点を含む)は34頭で、全体の28%を占めた。産次・月齢が変わっても状態を維持する管理技術の高さと、長年に渡り続けてきた努力が改良の成果として現れたもので、敬意を表するとともに今後の更なる活躍を期待したい。また、神奈川県・グッドリバー牧場の「チャンピオンハーゲン」は6代連続でのEX牛となった。初代の「タイローハーゲン」91点から始まりEX牛は2代目7頭、3代目6頭、4代目1頭、5代目1頭と引き継がれ、脈々と素晴らしい体型を受け継ぐ優良牛が誕生した。

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平成28年09月20日「審査日程」 -都府県平成28年度後期-


平成28年09月20日「WHFF 第14回世界会議(2)」 -ゲノミックはどこへ行くのか?-
世界ホルスタイン・フリージアン連盟(WHFF)の第14回世界会議が2016年3月28日から7日間、アルゼンチン・ブエノスアイレスで盛会裏に開催され、そのうちホルスタイン・シンポジウムが2日間にわたり行われた。今回、その中のゲノミックセッションから紹介する。

2日間のシンポジウムはWHFFのM・シェーファー会長(オーストラリア)の開会の挨拶で始まった。セッション1「ゲノミックは私たちの問題を解決するのだろうか?」と題して、カナダ・デイリー・ネットワーク(CDN)のB・V・ドアマール博士の講演は次の通り。
北米のホルSNP100万件超える
図1では北米のホルスタインにおけるSNP検査件数は2009年の1万6千件から急速に増加して、15年には年間30万件のSNP検査が行われている。
表から16年3月までの北米における累計ホルスタインSNP検査件数は106万件(乳用種全体の86%)を超えて、他品種を圧倒している。以下は、ジャージー種が14万3千件(同11.6%)、ブラウンスイス種2万1千件(同1.8%)、エアシャー種5千件、ガーンジー種2千件と続く。また、図2からカナダにおけるホルスタイン種の2万8千件の種雄牛リファレンス(参照)集団の内訳をみてみると、国内検定済種雄牛が29%、71%が海外種雄牛であった。
図3はSNP検査をした種雄牛の父と母の平均年齢を調べたものである。08年では父が7歳、母が4歳であったが、現在では各々2歳半にまで下がり、世代間隔が縮まったことがわかる。
これらのことから、北米ではホルスタイン種の交配では検定済種雄牛からSNPを利用したヤングサイアに徐々に移行している事が窺える。
ハプロタイプ遺伝病HCD
世界会議・総会でホルスタインハプロタイプ遺伝病のHCD(ハプロタイプ・コレステロール欠損症〈仮称〉)がWHFFでは正式に遺伝病として認定され、キャリアの場合はCDCのコードを使う旨報告があった。コレステロール欠損症は、昨年発見された遺伝病で、生後コレステロールを吸収することが難しく、半年で死に至る。
図4はハプロタイプ遺伝病について、カナダの雌牛キャリア頻度を生年別にみたものである。HCDをみると、キャリアの割合が12年には17%に達した後、現在12%台で推移しているが、他のハプロタイプの出現頻度と比べるとかなり高い値を示している。この推移は遺伝病が発見された時期や人気種雄牛「モーリンストーム」がキャリアであったことで広がったと考えられる。
ヤングサイア利用とLPI急上昇
図5では、ヤングサイアの改良の急速な進展状況が示されている。公表された種雄牛は概ね300~400頭で推移しているが、LPIの値をみると、07~10年では年あたり120ポイントの上昇であったものが、10~13年では平均で189ポイントまで急速に増加している。
ヤングサイアと検定済種雄牛で市場占有率を見たものが図6である。06年では検定済種雄牛、ヤングサイアの割合が62:38と検定済種雄が多かったが、09年からSNP検査が始まり、13年から逆転し15年では36:64になった。
図7は平均LPIの公表年を3つに分けたものである。図の04~09年の回帰直線をみると、年あたりの増加は57ポイント、09~11年は88ポイント、11~14年では120ポイントとなり、09年までと11年以降では2倍以上の増加になっている。これらの変化はゲノミック選抜を利用したことに起因している。
近交係数7.10%
カナダでは図8のとおり09年から近交係数は年あたり平均プラス0.21ポイントで増加している。15年には近交係数がついに7.10%にまで達している。
改良ペースの速い現在、アウトクロスの若い雄牛をAI企業が提供することになると考えている。そして、近親交配は最高の交配レベルで管理されることになるだろう。また、SNP検査した個体の「DNAに基づいた交配」の概念も提案されている。
ゲノミックの利点
以上のことなどから、ゲノミックの利点としては、①次世代との短い世代間隔が改良速度をさらに速めている。②また、ゲノミックは正確な親子判定を確認できる。③そして、遺伝病を発見できる。すでにカナダやアメリカ等ではHH1(ホルスタイン・ハプロタイプ・1)~5、HCDをペディグリーやWebサイトで確認するシステムがある。
ゲノミックはどこへ行くのか?
おそらく、ゲノミックの最も大きい利点は、新たに重要な形質を改良する機会があるということである。たとえば、①個体の健康と抗病性(臨床型乳房炎、代謝性疾患(ケトーシス)など)。②蹄の健康と跛行。③牛乳(脂肪酸の栄養補助食品の特性、コレステロールなど)によって、ヒトの健康を改善する。④飼料効率とメタンの排出量の抑制などに貢献できる。
結論
ゲノミックの影響は巨大である。新たな課題として、供用される種雄牛の回転が速いことや、いくらかのブリーダーがAI企業に雄牛を販売する可能性がある。また、新しい遺伝評価およびゲノミック評価システム構築などがあげられる。
最後にドアマール博士は「ゲノミックを活用して酪農業界を発展させよう」で締めくくった。

平成28年09月20日「牛飼いの仲間から 熊本県へ気持ち届ける」 -全国ホルスタイン改良協議会-

全国ホルスタイン改良協議会(岡嶋建一郎会長)は、熊本地震が発生したことを受け、被災された酪農家を支援すべく、去る4月に各都道府県の協議会会員団体をはじめとする「牛飼いの仲間」に募金要請を行なった。
その結果、会員団体・関係機関をはじめとする全国63団体の同志から250万7992円の義援金が届けられた。全国ホルスタイン改良協議会は、7月13日に熊本県乳牛改良同志会(松野克紀会長)に出向き、全国の「牛飼いの仲間」からの志として見舞金を一括贈呈した。
岡嶋会長が代表して贈呈
岡嶋建一郎会長は義援金の贈呈に際し、「被災された酪農家の皆様におかれましては、日常生活のみならず築き上げられた酪農の歴史そのものを一瞬にして失い、今後の生活・経営再建等の見通し、精神的不安などその胸中を察するに余りあるものです。
また、歴史ある熊本県の酪農を守るために、日々復興に尽力されている関係者の方々に心より敬意を表す次第であります。」と述べた。
復興に向けた力強い言葉
これに対し、松野克紀同志会長は、「酪農を取り巻く情勢は、生産資材価格は一時期に比べ、落ち着きはあるものの、F1・スモールをはじめとする肉用子牛並びに初任牛価格の記録的高騰やTPP大筋合意により将来に対する不安要因など、今後の酪農生産基盤に与える影響が懸念されております。
このような状況下でこの度の発生した大地震を受け、本県酪農は極めて危機的な状況でありますが、全国の牛飼いの仲間である同志の皆様からは、深いご理解により多大なるご支援と数えきれないほど多くの励ましの言葉をいただきました。
ここに心より深くお礼を申し上げるとともに、酪農家の生活・農業経営の復旧に活用させていただき、一日も早く火の国熊本県の元気な酪農の姿をお見せできるよう努力して参りたい。」と力強い意見が述べられた。

平成28年09月20日「【メイフラワー】新規でTOP」 -2016-8月海外種雄牛評価-
家畜改良センターから8月9日に海外種雄牛2016-8月評価が公表された。
今回トップに輝いたのは、新規選抜されたメイフラワー。スノーマンとソクラテスの交配で誕生。NTP+3832、乳量+2337と高く、産乳成分も高い。また、疾病繁殖成分や体細胞スコアにおいても良い遺伝子を持っている。
2位はサルーン(アルタアイオタ×プラネツト)、3位はスーパーサイアー(ロバスト×プラネツト)で1位のメイフラワー同様産乳成分が高い。4位はヘツドライナー(ロバスト×プラネツト)、5位はスーラン(スーパー×MRバーンズ)がランクイン。
今回トップ40位のうち新規が11頭入り、また父牛にスノーマンやロバスト、母方祖父にプラネツトを持つ息牛が多くみられた。