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平成20年8月20日


平成20年8月20日
「1,2位は家畜改良センター」

~2008-Ⅱ乳用種雄牛評価成績~
8月8日、家畜改良センターから2008―Ⅱ乳用種雄牛評価成績が公表された。精液供給可能種雄牛のうち、総合指数(NTP)ではNLBCマーシャリーズユースETが2回連続トップになり、2位は新規選抜のNLBCエルフィンマセラテイETが入った。この2頭は、家畜改良センターが「乳用牛育種改良プログラム」によって生産した種雄牛である。このほか、新規選抜種雄牛では5位ライト、8位ビギナーなどNTPトップ40に8頭が登場した。また、ノマドとトレビノは16年8月に新規選抜されて以来、4年間14回の公表で常にトップ40に入る好成績で、今回ベスト10以内に返り咲いた。
2位マセランテイ体型も期待~トップ40に新規8頭登場
以下の表には今回評価成績が公表された精液供給可能な国内種雄牛74頭のうち、NTPトップ40の種雄牛を示している。 表中、略号の前のNは新規選抜種雄牛で、すべての種雄牛はCVM(牛複合脊椎形成不全症)並びに、BLAD(牛白血球粘着性不全症)の検査で正常。信頼度%は乳量の信頼度で、評価値はすべて推定育種価(EBV)で表示している。 前回の2月公表に続き今回も「ユース」がNTP+2295でトップを飾った。本牛は昨年8月にNTP2位でデビューし、11月公表で2位、今年2月時には1位と安定した成績を収めている。乳量5位、乳脂量9位、無脂固形分量1位、乳蛋白質量1位、乳代効果2位と乳量・乳成分量の改良が期待でき、体型でも肢蹄で高い評価を得ている。 2位の新規選抜「マセラテイ」は父エルヒーローズ×母方祖父マーシャルの組み合わせで、体型面でも高く評価され、体貌と骨格で1位、乳用強健性4位、乳器2位、決定得点では堂々1位に輝いている。 3位は前回20位に新規選抜された「ラウンドアツプ」が順位を大幅に上げた。乳脂量1位、乳脂率2位、乳代効果8位で、乳脂肪と乳代効果の改良が期待できる。 前回から順位が1つ上げて4位の「ベチー」は乳量と乳代効果が期待できる。5位の新規選抜「ライト」は乳量(6位)と乳器(9位)に優れている。6位は昨年都府県で登録娘牛頭数が最も多く、乳器改良に優れた「ノマド」が前回9位から順位を3つ上げた。 今回トップ40には、新規選抜種雄牛が8頭登場している。2位マセラテイ、5位ライトのほか、8位ビギナーは乳量(10位)と乳代効果(9位)に優れ、15位マグナは体貌と骨格(4位)、19位ジョーダンは乳脂率(4位)と体貌と骨格(10位)、24位イーコンは肢蹄(3位)、乳用強健性(8位)、乳器(5位)、決定得点(3位)など体型の改良が期待できる。30位マウイ・ミラクルも体型全般に優れ、38位のジンジャーは乳器(8位)で高い評価を得ている。 今回の公表でワン・ツーに輝いた種雄牛の冠名には「NLBC」とあり、家畜改良センターが「乳用育種改良プログラム(ドナー検定を利用した種雄牛生産)」によって作出した種雄牛である。これは①国内外の優良受精卵を導入して雌牛を生産、②これらの雌牛を同一環境下で育成した後、未経産の時に採卵を行う、③得られた受精卵を用いて雄牛を生産する、④未経産時に採卵を行った雌牛を人工授精で妊娠、分娩させ、能力検定と体型審査を行う、⑤この結果に基づいて前記③で生産された雄牛の中から優れた個体の選抜によって種雄牛を作出する。この手法は同センターが平成13年度から取り組んでいる新たな改良手法で、今後も増える見込みであり、高い成果が期待される。

乳用種雄牛評価成績2008-Ⅱ(供給可能・国内種雄牛NTPトップ40)
略号種 雄 牛 名 号N T P乳代効果信頼乳量乳脂肪無脂固形分乳蛋白質体貌と肢蹄乳 用乳器決定父牛母方祖父牛
度%kgkgkgkg骨 格強健性得点
1JP5H52755NLBC マ-シヤリ-ズ ユ-ス ET2,295151,218862,22953-0.29190-0.0558-0.13-0.050.831.240.880.89BWマーシヤルコンビンサー
2NJP5H53241NLBC エルフイン マセラテイ ET2,136120,193771,86249-0.21139-0.2449-0.111.650.541.821.772.06エルヒ-ロ-ズマーシヤル
3JP3H53010スプリングヒルオ- テイ- ラウンドアツプ2,108141,641831,880860.16155-0.1049-0.110.520.100.750.751.01トレントアジソン
4JP5H52811プライセス ウエルカム ベチ- ET2,070147,750802,21557-0.26179-0.1455-0.160.920.380.970.741.01ガーターウインチエスター
5NJP3H53112レ-ガンクレストアルド ライト ET2,031132,797852,22335-0.48163-0.3057-0.14-0.110.050.781.120.70フオ-ビツデンウインチエスター
6JP5H51940アルタジエン マンフレツド ノマド ET1,999108,254981,57530-0.301450.0849-0.020.490.440.471.611.30マンフレツドルーク
7JP5H52428ハツピ-ライブ BW アニ- ET1,976144,721752,20762-0.20166-0.2646-0.241.161.011.781.011.55BWマーシヤルビクトリアス
8NJP3H53065キヤロル ガ-タ- ビギナ- ET1,973138,085832,06554-0.23167-0.1454-0.120.620.210.810.740.84ガーターウインチエスター
9JP3H51825テスクホ-ム マ-テイ トレビノ ET1,905143,217982,26054-0.30168-0.2950-0.220.290.400.980.870.99マーテイマンデル
10JP5H53090ポタ-ズフイ-ルド WG ボギ- ET1,881119,497851,66049-0.141500.0542-0.121.050.151.021.541.54ガータールドルフ
11JP3H52886GNT インデイ アロ-1,874109,034851,71316-0.501530.04560.011.100.151.391.161.33ジエスロアーロン
12JP5H52253スプリングヒルオ- ライトニング ET1,856113,776851,66142-0.20141-0.04560.03-0.18-0.181.330.190.34ランツセルシアス
13JP5H52766ビ-チロ-ン パトロン ハ-シユ エ- ET1,834146,028862,28255-0.29172-0.2751-0.210.120.270.080.590.31ハーシエルパトロン
14JP5H52937パインツリ- リヨウ エボニ-1,810131,024802,09043-0.35158-0.2451-0.160.290.320.440.610.63スクリーチセルシアス
15NJP3H52938ヘンカシ-ン ヒラリ- エア マグナ ET1,776127,095801,94141-0.31159-0.1156-0.061.340.431.340.210.75マグナデイマンド
16JP5H52575オムラフア-ム リスペクト セルシ-1,770125,583841,84448-0.21154-0.0751-0.080.030.281.000.230.41BWマーシヤルセルシアス
17JP3H52254レ-ガンクレストBE ランツ デニス ET1,73976,12189879420.10950.21470.210.870.311.400.390.77ランツフアタール
18JP5H52850テイ-ウエ-ブ ホリ フリスキ- オ-ル ブラツクス1,73877,14280902510.19880.1027-0.020.740.401.092.111.83ジエスロアーロン
19NJP3H53020ゴ-ルデンオ-クス ジヨ-ダン ET1,733113,093821,501640.09128-0.0442-0.060.990.631.000.530.91ガーターウインチエスター
20JP5H52679ハツピ-ライブ グロリアス ET1,731142,680842,31039-0.46178-0.2354-0.201.540.482.050.471.33ダツチボーイルドルフ
21JP3H52982オルスゼウスキ- バド ET1,72684,111811,18038-0.07101-0.02450.080.110.291.280.770.79マーシヤルウインチエスター
22JP4H52353ミスタ- サリ- オリ-1,72395,044861,28839-0.101200.09440.030.551.011.140.921.08エマーソンフアタール
23JP5H52577テイ-ウエ-ブ J シグナス1,722117,139851,75541-0.26147-0.0746-0.110.810.951.450.551.06ジエフアーソンコンビンサー
24NJP3H53120プロブストランド ガ-タ- イ-コン ET1,714109,913801,66141-0.22134-0.1239-0.150.371.121.571.471.75ガーターエモリー
25JP4H52848RCA アワ-ド ET1,710136,457891,94472-0.01152-0.1849-0.13-0.060.001.12-0.20-0.18スクリーチセルシアス
26JP3H52078ヘンカシ-ン トツプ ドリ-ム ET1,705117,141911,91332-0.40145-0.2244-0.17-0.890.04-0.021.350.84テスク テリーメイソン
27JP3H52677FL ロニ- アデイ ET1,691151,490872,41648-0.41185-0.2550-0.260.94-0.100.900.230.44アジソンベルウード
28JP3H52304レ-ガンクレスト ランツ ドミトリ- ET1,68694,064871,41222-0.331280.05460.010.470.490.770.961.16ランツベルウード
29JP4H53088ジユニパ-ビス G アロンゾ ET1,665114,828881,62850-0.11138-0.0443-0.090.710.370.270.690.79ガーターマンフレツド
30NJP4H53108アイリツチ マウイ ミラクル ET1,647101,950831,54134-0.25128-0.0745-0.050.910.270.711.021.19モーテイーブレツト
31JP3H51853サンデイバレ- バレツト ET1,63083,192991,12333-0.101080.10410.051.110.071.491.041.31アメルベルウード
32JP4H52583CE シヤルネス ET1,62789,372881,15743-0.011120.11380.010.790.922.141.081.35BWマーシヤルルドルフ
33JP5H52965NLBC ジエフ プル ET1,61295,669831,35235-0.161210.04480.05-0.260.26-0.160.300.26ジエフアーソンランツ
34JP3H52972リンクレスト BWM サマセツト ET1,611105,111861,47041-0.141330.0437-0.110.431.221.590.871.20BWマーシヤルランツ
35JP0H52760JHG マ-シヤルフイ-ルズ フロイド ET1,59884,440871,13037-0.051050.07450.100.480.210.620.570.66マーシヤルウエード
36JP5H52930コムスタ- リヴエレスト ET1,569115,416881,83447-0.22130-0.3033-0.261.631.302.671.051.70インクワイアールドルフ
37JP3H52833フア-ニア-テイ-ビ-ア-ル ドリ-ン ド-ギ-1,556122,372891,85447-0.22146-0.1640-0.201.160.801.760.430.92BWマーシヤルオスカー
38NJP4H53043ライブストツク ジンジヤ- ET1,52686,889801,32935-0.15101-0.1634-0.100.600.570.691.141.22モーテイーエマーソン
39JP3H52585ライスクレスト ヒルトン ET1,523114,608881,80127-0.41150-0.0744-0.140.610.920.520.090.48ハーシエルマンフレツド
40JP5H52569YKT テツチエ ゼノン ET1,52093,974861,44714-0.421330.07500.04-0.18-0.190.620.330.42マーシヤルダスター
平成20年8月20日
「平均乳量9,140キロ1戸当検定牛55頭に」

~19年度牛群検定成績~
先般、家畜改良事業団から平成19年度牛群検定実施状況と成績(速報)が発表された。 表1には牛群検定農家戸数・頭数の推移を示した。これによると、全国では10,381農家、569,515頭の乳用経産牛が牛群検定に参加している。検定農家戸数は前年より299戸減少したが、検定牛頭数は7,623頭増加し、過去最多の17年の頭数に迫る勢いだ。また、1戸あたり検定牛頭数は前年より2.3頭増えて54.9頭になり、これまでの最多頭数となった。 地域では、北海道が5,230戸で356,426頭(1戸あたり68.2頭)、都府県は5,151戸、23,089頭(同41.4頭)で、北海道では検定牛頭数が前年より約1万頭増えた。 昨年2月畜産統計の成畜飼養農家に対する検定農家比率では、北海道が65.1%、都府県は31.2%、全国平均42.2%となり、いずれも前年を若干下回った。 また、経産牛頭数に対する検定牛比率では北海道が75.5%、都府県39.5%、全国平均は56.3%で前年よりわずかに上昇した。 表2には、検定農家・検定牛比率の高い都府県を示した。普及率が最も高かったのは鳥取県で、それぞれ72.1%、89.8%と群を抜いている。このほか、検定牛比率の高い都府県は宮崎県72.8%、鹿児島県69.0%、以下、福岡、岡山、熊本、愛媛、広島の各県などで、西日本に集中している。一方、検定牛比率20%未満が6府県、20~30%未満が13府県となお多く、その普及推進に苦慮している状況だ。 表3には牛群検定成績(ホルスタイン種立会、305日、2回搾乳)の5年ごとの推移と19年度の実績を示した。 昭和50年に牛群検定がスタートして以来、平均乳量は60年に7,000キロ、平成5年に8,000キロ、14年には9,000キロを突破した。 19年度の全国平均乳量は9,140キロで、前年比で39キロ減少した。最近5年間で平均乳量の増加量は127キロにとどまっている。地域別では都府県が9,298キロ(前年より54キロ増)に対して北海道は9,050キロ(同93キロ減)で、都府県が3年連続で北海道を上回った。 また、乳成分率(全国)は乳脂率3.96%、乳蛋白質率3.24%、無脂固形分率8.73%でほぼ前年並み。因みに、牛群検定発足当初の平均乳脂率は3.60%で、33年間で0.36ポイント上昇した。同じく、昭和62年に計測開始した乳蛋白質率は21年間で0.22ポイント上昇した。

表1牛群検定農家数、検定頭数の推移
年 度検 定検定農家検 定 牛1戸あたり検定農家検 定 牛
組 合 数戸 数頭 数検定頭数比率(%)比 率(%)
昭和501077,63196,95312.94.88.7
5520513,833293,40921.214.422.5
6034517,578461,22426.224.235.1
平成 234917,287543,17631.429.242.3
34613,755528,43438.434.143.6
1232311,599522,94745.137.146.5
1728210,929570,33552.242.554.5
1828210,680561,89252.643.455.6
1928110,381569,51554.942.256.3
(北海道)1125,230356,42668.265.175.5
(都府県)1695,151213,08941.431.239.5
表2検定牛比率の高い都府県(19年度)
検定農家戸数(戸)検定牛頭数(頭)1戸当頭数(頭)検定農家比率(%)検定牛比率(%)
鳥 取 県1586,37040.372.189.8
宮 崎 県2989,90033.270.372.8
鹿児島県1908,49344.758.169.0
福 岡 県2389,58240.363.168.0
岡 山 県26410,07838.257.466.3
熊 本 県43820,77447.449.961.6
愛 媛 県883,46939.441.957.8
広 島 県1324,66535.357.957.2
山 口 県431,71139.844.355.6
岩 手 県50917,89535.235.151.4
秋 田 県892,41227.151.150.8
滋 賀 県381,70444.840.450.7
東 京 都3297730.540.050.6
福 井 県1965134.342.250.5
栃 木 県41220,17149.039.249.4
表3牛群検定成績の推移(ホル種、305日、2回搾乳)
年 次頭 数平 均平均乳平均乳平均蛋平均濃厚飼料
乳量kg脂量kg脂率%白質%SNF%給与量kg
昭和506,7215,8262083.601,889
5598,2666,3392323.702,029
60210,8407,0082563.658.602,478
平成 2261,6707,7982883.693.098.622,807
276,8588,2823143.803.168.653,035
12283,2748,7943413.873.198.733,205
17318,3259,1213603.953.258.753,339
18318,4989,1793633.953.258.753,318
19313,1839,1403613.963.248.733,270
(北海道)199,6619,0503644.023.248.733,056
(都府県)113,5229,2983573.843.238.723,648

平成20年8月20日
「厳しい現況を報告」

~5地区で登録委員研修会~
日本ホル協主催の地区別登録委員研修会は7~8月、都府県5地区で開催され、登録委員や関係者など約200名が出席した。
この研修会は、日頃酪農の現場で登録普及や改良指導に直接携わっている登録委員を対象に、登録事務の伝達と改良情報の提供、審査研修などを行うもので、毎年夏季に開催している。研修会では、登録の厳しい現況を報告し、引き続き登録の普及推進をお願いした。また、「ホルスタイン登録の手引き」によって登録実務の詳細を確認した。
2日目の審査研修は暑い中だったが、教材牛を使って、牛の見や機能性、持久性の関係について熱心に勉強した。また、研修会と合わせて開催した支部・承認団体事務担当者会議では、自動登録の加入推進、雄牛の登録や表彰関連で登録規程・要項の一部改正、第13回全共の各都道府県別出品割当頭数案など報告し、協議を行った。

~登録委員研修会
平成20年8月20日
「牛個体識別のWEBアンケートご協力を」

農林水産省畜産振興課の個体識別活用班、家畜改良センター個体識別部、家畜改良事業団電子計算センターではこのほど、現場での牛個体識別の実態や意見を把握するため、「牛個体識別システムにかかる生産者等アンケート」調査を実施している。 調査は、インターネット上のWEBサイトにアンケートを設置し、実際に牛個体識別システムに携わっている生産者等を対象に、牛トレーサビリティ制度の理解や牛個体識別システムの活用方法、耳標などに関するWEBアンケートに答えてもらうものであり、より多くの皆様の回答をお願いしている。WEBアンケートの実施期間は今月8日~31日までで、下記のURLアドレスまでアクセスを。https://www.id.nlbc.go.jp/search/