PAGE TOP

機関誌

機関誌内容一覧

平成13年4月20日


平成13年4月20日
「純粋と種系の一本化図る」

-国の個体識別事業も視野に-
登録制度の大改正に向けて準備進む
社)日本ホルスタイン登録協会(高島照治会長)では、平成14年4月を目途にホルスタイン種(系)牛の登録制度を大幅に改正することになり、現在その作業が進められている。今回の改正は、わが国で平成9年度から「家畜個体識別システム研究開発事業」がスタートして平成12年度末までに12万頭あまりの牛に耳標が装着されることを受け、またホ種牛とホ種系牛に分かれている制度を一本化して分かりやすい制度にすることを目指して行われるもので、今後農林水産大臣の認可を受けた後、関係者への周知徹底を図った上で平成14年4月から実施することになる。
雌の登録は血統濃度47%以上から
わが国のホルスタイン種牛の登録制度は、純粋種を対象としたホ種牛登録制度と種系牛に純粋の種雄牛を累進交配することによって純粋性を高め、種系から純粋への繰り入れを行うこと目指すホ種系牛登録制度があるが、個体の確認と血統の確認を行うものとして、前者には血統登録、後者には基礎登録がある。
今回の登録制度改正の太い柱の一本は、この血統登録と基礎登録を統合して「血統登録」の名で登録し、その登録規程も「ホ種牛登録規程」として一本化することである。
そして、結果としてホ種系牛関係の登録規程などを廃止することになっている。
第二の柱は、一本化により血統登録の名の下に登録された牛の中でも、その純粋性には差が生じることからその純粋性の程度を明確にするために「血統濃度」を採用することになったことである。
「血統濃度」は純粋種へ遡れる尺度なるもので1から100%の値で表示される。「血統濃度」は、その表示により祖先牛がより一層明確になるため、既に北米やヨーロッパ諸国が採用しており、今回の改正で、わが国も世界各国に歩調を合わせた登録システムとなる。
血統濃度の計算方法などについては別掲で示したが、新しい登録制度で、血統登録できる有資格牛の血統濃度は、雄牛のあっては93%以上のもの、雌牛にあっては47%以上とすることになっている。
品種の特徴を備えていても、無登録で血統濃度0%の雌に純粋の雄牛を交配すればその娘牛の血統濃度は50%になるはずと考えるところであるが、現在世界で供用されている種雄牛、例えばフランスのファタールやオランダのサニーボーイなどのように必ずしも血統濃度が100%ではないものがいるためで、93%の種雄牛と無登録牛の交配で生まれた娘牛の血統濃度は47%ということになる。
また、ホ種系登録規程の二代本登録されている牛には、血統濃度を計算すると50%のものから90%を越えるものまで様々に混在しているが、二代本登録はホ種系登録制度の中で、審査や検定の基準をクリアして飛び級的に登録し、純粋への繰り入れを目指している牛であることなどから、「諸般の事情を勘案して」(登録審議会答申)血統濃度が88%未満のものでも88%とすることになった。
なお、血統濃度0%は異品種を意味するのではなく、当然ながら、登録する際には毛色等の制限がつく。
事業による耳標での登録も
改正の三本目の柱は、国の個体識別事業への対応から、個体確認の方法を従前の斑紋による方法に加えて、事業で装着の耳標に付されている所定の9桁の番号による方法を新設することである。
従って、事業によって耳標が装着された牛が登録されると、その証明書には斑紋の代わりに9桁の耳標番号が載り、登録番号も耳標と同じ番号が使われる。
そして、改正の第四本目の柱は、国の個体識別事業からの登録申し込み方法を追加したことである。
これは耳標装着とともに個体識別事業で構築されているデータを活用して、斑紋による申し込みの際に必要とした申込書類を省略するなど、申し込みの簡素化を図ろうとするものである。
以上のような制度の改正案は、1月25日に開催の同協会の登録審議会からの答申沿って作業が進められているもので、関連の規程等の改正については農林水産大臣の認可を受けるなど所定の手順を経て、来年4月実施の運びになる。
新しい登録制度が広く早く浸透して、わが国の改良集団がさらに拡大することを期待したい。
表:規程・手続きの改正点(案)
名称現 行 の 内 容
ホ種登録規定1.ホ種とホ種系登録制度の一本化
2.血統濃度%の表示
3.個体確認方法の明示(斑紋又は個体識別事業の耳標)
4.国の個体識別事業からの登録申込み方法の追加
2.現行では表示しておらず、なお、種系から純粋種への繰り入れの手段として、2代本登録制度がある
3.現行では規程上には明示していないが、取扱手続でホルスタイン種固有の斑紋を申込書に記入すると規定している
4.現行は「国の個体識別事業による登録取扱要項」で定めているが、規程上には謳われていない
ホ種登録取扱手続1.上記の登録規程の改正に伴うもの
2.個体識別制度の事業名を明示するとともに、この事業に参加するものの登録取扱方法を規定
3.血統濃度%の定義と計算方法を規定
4.登録申込みに必要な書類を登録規程から取扱手続に移す
5.種系から純粋種への繰り入れ制度に関する事項を削除
4.現行は登録規程で規定している
ホ種系牛登録規定・手続き
1.ホ種とホ種系登録制度の一本化に伴い、廃止
注)ホ種:ホルスタイン種牛 ホ種系:ホルスタイン種系牛
登録審議会の答申
(平成13年1月25日開催)
1.登録制度の改正について
わが国における登録制度を、酪農家や技術者等の関係者に分かりやすい制度にするとともに、諸外国と歩調を合わせるため、次のように改正するものとする。
1)純粋種と種系を統合した登録システムとすること。
2)純粋種へ遡れる尺度として、血統濃度を採用すること。
3)個体識別事業を視野に置いた登録制度とすること。
2.血統濃度の計算と取扱いについて
1)血統濃度の計算に当たっては、両親の数値を合計したものを2で割り、小点第1位を四捨五入した整数値をもつ当該牛の血統濃度とすること。
2)両親が不明なものについての扱いは血統濃度0%とすること。
3)血統登録有資格牛は、雄牛にあっては血統濃度93%以上のもの、雌牛にあっては血統濃度47%以上のものとすること。
[付記事項]
1)現行の種系牛登録規程により登録された2代本登録牛については、諸般の事情を勘案し、血統濃度を次のとおり取り扱う。
(1) 血統濃度88%以上の場合は、その値とする。
(2) 血統濃度88%未満の場合は、88%とする。
血統濃度とは
1.血統濃度の数値の範囲
血統濃度の範囲は0~100%とする。 2.血統濃度の原則
①ホルスタイン種の毛色及び特徴を備えていても、無登録牛は0%とする。
②両親の数値を合計して2で割り、小数点第一位を四捨五入した整数値とする。
(例)母牛が無登録牛で血統濃度を0%と仮定、交配する雄牛が常に純粋種牛で血統濃度を100%と仮定すれば、その子孫の血統濃度は次のようになる。
【世 代 数】12345678
【血統濃度】0%⇒50%⇒75%⇒88%⇒94%⇒97%⇒99%⇒100%

3.血統登録有資格牛(輸入牛及び輸入精液・受精卵によるものも含む)
雄牛:血統濃度が93%以上とする。
雌牛:血統濃度が47%以上とする。ただし、父は血統登録牛であること。 4.現行制度の二代本登録牛の取扱い
現行の二代本登録牛にはいろいろな数値の血統濃度(%)が混在している。従って、今回の改正にあたり、二代本登録牛の血統濃度は次のように取り扱うこととしたい。
☆計算の結果、血統濃度が88%以上の場合は、その値を血統濃度とする。
☆計算の結果、血統濃度が88%未満の場合は、88%とする。 5.表示する証明書と表示方法
本会が発行する血統登録証明書、ほか各種証明書頚において、登録番号のあとに血統濃度を並べて表示する。
平成13年4月20日
平均80.7点
-都府県審査のまとめ-
日本ホル協が行った平成12年度の牛群審査と生涯生産性体型調査で、延べ2,071農家で実施され、合計24,095頭の体型記録を得た。
これらの牛の得点の平均および得点分布は、左図のとおりである。平均審査得点は、80.7点(標準偏差2.57)であった。これは、前年度の平均得点よりも約0.2点高くなっている。また、審査得点階層別頭数割合では、前年度と比べると75~79点が2.2ポイント減少し、反対に、80~84点の割合が0.8ポイント、85~89点が1.5ポイント増えている。特に、80点が4,865頭(全体の20%)で最も多く、次いで79点、81点の順になっている。