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機関誌

機関誌内容一覧

平成21年7月20日


平成21年7月20日
「血統登録5%増の申込み」

~都府県は前年度比97%と頑張る・日本ホル協通常総会~
日本ホルスタイン登録協会は第59回通常総会を6月12日、東京都中野区の中野サンプラザで開催し、平成20年度事業と同収支決算報告、21年度事業計画と同収支予算案などの議案を諮り、可決承認を受けた。20年度事業報告によれば、血統登録申込みが20万1千頭弱で、前年度に比べて5%増となった。また、21年度は自動登録の全国的な普及や近交回避情報の活用による登録の推進に努めるとともに、22年開催の第13回全日本ホルスタイン共進会の準備を進めるとした。また、役員の補欠選任を行い、2名の新役員を選任した。
生産性向上に
議事に先立ち、北会長が開会の挨拶を行った。
北会長は、出席の登録協会社員及び農林水産省生産局畜産部畜産振興課畜産技術室の北池室長をはじめ、多数の来賓に対して謝意を述べた後、「すでにご承知のように、平成21年度における酪農をめぐる状況は、①脱脂粉乳等の過剰在庫は解消されたものの、飲用牛乳の消費の減退は続き、②配合飼料価格等の資材価格の急激な高騰と高止まりにより、酪農経営の存続が危ぶまれる厳しい状態となったが、③生乳価格の2度の見直し、国をはじめ関係機関による諸策が講じられ、厳しさも幾分緩和されてきた感がある。こうした状況にあって、当協会としては、育種改良事業、登録事業による乳用牛の生産性向上が酪農経営の改善に寄与するとの自負を持ち、登録事業の推進に努めてきた、
21年度の血統登録頭数については、全国では20万1266頭、前年度比104.8%の実績を確保することができた。社員、会員をはじめ支部・承認団体のご協力に対し、深く感謝を申し上げる次第である。」
と、昨年度の実績について触れた。
全共の継続を
更に、平成22年10月8日から3日間、北海道の安平町において開催される第13回全日本ホルスタイン共進会について、「北海道では、実行委員会を設立し、準備も順調に進めているところであり、共進会の成功に向け、社員の皆様からもご協力をお願いしたい。また、第14回全共の開催候補地についても、継続開催を念頭に検討してまいるので、併せてよろしくお願い致したい」と、述べた。
さらに、公益法人制度の見直しへの日本ホル協における対応について触れ、「当協会としても、平成25年11月末までには、法令に基づく新たな法人を選択し、移行する必要があり、現在、事務局において、協会の将来のあり方も念頭に、検討している段階である」旨の報告を行った。
そして、最後に、「平成21年度における酪農をめぐる状況は、引続き厳しい状況が続くことが見込まれるが、当協会としては、登録事業を主体に、乳用牛の改良面から効率的な生乳生産を推進することで、酪農経営の改善に資することができるよう、引き続き努力いたす覚悟である」と結んだ。
自動登録を推進
議事では、平成20年度事業報告と収支決算、21年度事業計画案と同収支予算案を協議し、原案どおり可決承認された。
平成20年度は、血統登録や牛群審査の普及拡大を主体に、①家畜個体識別システムと牛群検定などの授精報告を利用した自動登録の更なる推進、②国際的な観点での新たな体型審査標準による牛群審査の普及定着、③後代検定材料娘牛と同期牛3万5000頭以上の体型データ収集、④第13回全共の開催に向け北海道実行委員会とともに必要な準備、⑤近交回避情報の新たな様式によるサービスの促進などを行った旨の報告が行われた。
なお、20年度の会員数は1万7401名で前年度に比べて659名減少した。
審査ともに増加
また、登録申込みでは、血統登録が都府県4万3105頭で、酪農情勢の悪化により大幅な減少が危惧されていたが、前年度比97.2%と僅かな減少に止まり、北海道は15万8161頭で、同107・2%と大幅に増加したことから、全体としては20万1266頭(同104・8%)という実績を残すことが出来た。また、移動証明は1万2410件で10%減、審査成績証明は2万5636頭で、北海道、都府県ともに増加となった。検定成績証明は7万9651件で北海道は2%の減少、都府県は38%の増加となった。
21年度事業計画では、自動登録を中心に血統登録の普及拡大に努め、20万6000頭の申込みを、そのほか、移動証明は1万1500件、審査成績証明2万5045頭、検定成績証明7万5320頭を見込む。
新役員2名を
また、第5号議案として、役員の補欠選任が行われ、次の2名が選任された。
◇細野勝美(関東地区・群馬県畜産協会理事)
◇加登孝明(近畿地区・兵庫県酪農農業協同組合連合会理事)

平成21年7月20日
「来賓祝辞(抜粋)」

~日本ホル協通常総会~
日本ホルスタイン登録協会の第59回通常総会に来賓として臨席され、祝辞を述べられた方々とその概略は以下のとおり。
引続きご協力を~農水省畜産振興課・北池隆生産技術室長~
酪農をめぐる情勢は飼料価格高騰などにより厳しいものが続いている。本年3月に畜産価格関連対策をまとめ、先般も21年度補正予算対応として大型の追加経済対策を措置した。諸対策を活用して、厳しい情勢の克服を目指して欲しい。
家畜改良は長い年月を要するが、皆様のご尽力で成績は着実に上がっている。それは登録事業あってのことで、効率的な選抜・淘汰の重要性は皆さんを前に語るまでもないが、引き続きご協力をお願いしたい。
また、本年は家畜改良増殖目標の見直しの年に当たる。ホル協にも委員として議論に入っていただくが、飼料価格の高い水準で推移が想定される中で、どういう改良を目指すかについても、充分議論させていただきたい。
二人三脚の関係を~家畜改良事業団・藤井吉昭理事長~
わが国ホルスタイン種改良の推進役は、種雄牛の後代検定であるが、登録協会は、基礎となる血統情報の提供をはじめ、長命性、連産性の改良に不可欠な体型データの調査提供等々、日本の後代検定事業に欠くことのできない存在である。
厳しい酪農情勢の中ではあるが、個体の能力を如何に発揮させるか。能力を把握せず早く淘汰してしまうのでは乳牛の投資を回収することは出来ない。長い年月に渡り改良してきた個体毎の能力を如何に発揮させるかが課題である。
今後の酪農経営を考えると、13億人の中国、10億人のインドが経済発展を遂げつつあるので、輸入飼料価格は安くなることはないと予測する。消費者にうまい牛乳を飲んでいただくため、ここは原点に返り酪農経営の強化を図っていただきたい。
今後とも、登録協会と私ども家畜改良事業団は改良面において二人三脚で協力し合うので、ご協力の程よろしくお願いする。
一層の連携強化を~全国酪農協会上野千里会長~
貴協会は、昭和23年に創立されて以来、乳牛改良の総本山として尽力され、酪農発展に寄与されてきた功績は誠に大きく、改めて敬意を表する。
本会との繋がりでは機関紙「全酪新報」の紙面で、改良の成果や世界の情報を発信いただいているが、一層の連携と友好を深めてまいりたい。
酪農経営には引き続き厳しいものがあり、酪農協会として、本年3月に酪農研究専門部会の答申を受けたが、わが国酪農の持続的発展のための11項目の提言について、これからその実現に向けて具体的な事業の発展を図ることとしている。(代読)

平成21年7月20日
「受章祝賀会」

日本ホル協は、酪農界における貢献により藍綬褒章を受章した山﨑博文氏(前会長)の祝賀会を、6月13日、通常総会後開催した。
会には、関係機関・団体の役職員多数をお招きし、また総会に出席した社員(会員の代表)や役職員も多く出席して、同氏の受章をお祝いするとともにこれまでの労をねぎらった。
同氏は、同協会においても、会長をはじめ副会長、理事として長年にわたり会の運営にご尽力をされた。

平成21年7月20日
「日々の活動に感謝」

~登録委員70名を表彰~
日本ホル協では、登録委員に対する記念品贈呈要領に基づいて平成20年度表彰登録委員25県70名を公表した。
登録委員は、酪農家に最も身近な立場で登録申込書の作成や改良指導などに尽力されており、登録推進には不可欠な存在である。日頃からの努力に対して心から感謝の意を表する次第である。
20年度の表彰登録委員は次のとおり(敬称略)で、各人には後日感謝状と記念品が贈られる。
日本ホル協では毎年度、会員拡大や血統登録、牛群審査の普及推進に貢献している各都府県の当協会支部・承認団体を表彰している。20年度の表彰団体は次のとおり。

平成21年7月20日
「人事異動」

~日本ホル協~
(5月31日付)
◇退職(事務局長兼登録部長)千葉義夫
(6月1日付)
◇事務局長兼総務部長(総務部長)大友裕典
◇登録部長(調査部長)栗田純
◇調査部長(調査部次長)渥美正
◇調査部参与千葉義夫
(7月1日付)
◇登録部証書課主任(新採用)高橋貞光
◇総務部経理課(新採用)立間小百合

平成21年7月20日
「審査日程」


平成21年7月20日
~21年度事業計画~
「血統申込み20万6千頭」

~自動登録普及に一層の努力(都府県)~
日本ホル協の通常総会で承認された平成21年度事業計画の概略について紹介する。
先ず酪農関係者にとっての重要な共通課題は、今後も飲用牛乳の消費維持・拡大、消費者価格の値上げ・定着、飼料価格の変動に強い構造への改善等にあるとの認識に立ち、日本ホル協としては、平成21年度は登録事業を主体とした、乳用牛の改良面から効率的な生乳生産を推進するとともに、乳用牛改良情報の提供に努め、酪農経営の改善に資することを命題としてあげ、優良乳用牛の生産・確保、飼料構造の見直しの推進を図るとともに、平成22年度開催の全日本ホルスタイン共進会に向け諸般の準備を進めることとしている。
また、従前の事業については、以下のとおり計画し、実行する。
都府県4万6千目標
全頭登録に基本を置き、個体識別の生産情報と授精情報を結びつけてた、費用負担も軽減される自動登録の普及と定着を、特に都府県において推進する。
21年度の登録申込頭数は、血統登録が20万6000頭(本局4万6000頭、支局16万頭)、移動証明1万1500件(本局7500件、支局4000件)、審査成績証明2万5045頭(本局7560頭、支局1万8360頭)、検定成績証明7万5320頭(本局3200頭、支局7万2120頭)を見込む。
登録関係では、雄牛の血統登録申込に伴う遺伝子型調査や父母牛判定、フリーマーチン、BLADやCVM、単蹄の判定、抜取調査などで必要な遺伝子型調査を家畜改良事業団に従前どおり委託して実施する。
近交回避情報の充実
登録普及では、血統登録によってのみ得られる近親交配の回避情報をはじめ、血統情報や審査情報を提供し、その活用について推進する。
なお、これらの利用拡大にも資するため、機関紙(年4回発行)をはじめ、酪農関係雑誌等への関連記事の投稿に努める。また、乳用種雄子牛及び交雑種子牛出生確認書発行について、業務の電子化等を踏まえた見直しを進める。
後代検定関係では、後検材料娘牛とその同期牛の体型調査を実施し体型データ収集、候補種雄牛生産のための優秀雌牛選定資料、近交回避資料の提供を行う。
第13回全共の成功へ
円滑な開催に向け、実行委員会準備と連携して、必要な事項を推進し、次回の開催については、その開催地が、第13回全共までには決定されるよう、支部・承認団体、関係団体、行政当局のご理解が得られるよう努める。
このほか、審査・検定成績優秀農家の表彰や優秀登録委員・支部・承認団体の表彰、社員会議、登録委員に対しては地区別登録委員研修会や登録委員だよりの発行、中央審査研究会の開催などを行う。また、ジャージー種やその他の乳用品種の登録を行う。
公募事業も新たに
従前からの体型調査等に関する事業は、受託し引き続き実施する。また、配合飼料価格の高騰に対応した日本中央競馬会の公募調査事業のうち「牛の粗飼料利用性調査研究事業」には、新規に事業実施主体として取り組む。
公益法人として
また、公益法人制度の見直しにより、公益社団法人か一般社団法人への移行手続きを平成25年11月30日までに終えることが必要である。平成21年度も両者の利点・欠点の具体的検討、団体選択についての検討を続けるとともに、それに伴う定款の改正等諸般の検討を行う。(現在は、5年間の移行期間であり、特例民法法人となっている。)20年度収支計算書[PDF]

平成21年7月20日
「北海道全共まで1年余り」

~後代検定娘牛の部新設なども~
第13回全日本ホルスタイン共進会は、平成22年10月8日から4日間、北海道勇払郡安平町で行われる。開催まであと1年2か月に迫り、北海道では全共実行委員会を中心に準備が進められている。
高校特別枠も
第13回全共の特徴は、
①従来の出品一般枠に加えて、後代検定種雄牛並びに候補種雄牛の娘牛を対象とした3部門(未経産1クラス、経産2クラス)を新設
②高校など学校出品特別枠(該当する月齢クラスに出品)を新設するなど、後代検定事業の重要性や酪農後継者の育成奨励を盛り込むとともに
③既存施設を活用して全共開催経費の節減をめざす。
全共日程と催事
全共日程では、10月8日がオープニング・セレモニーと開会式、9~10日が各部審査と最高位・名誉賞決定審査、11日が各部優等賞牛パレードと閉会式・褒賞授与が予定されている。
また、北海道酪農の歴史、食の安全と乳製品手作り体験、北海道物産や牛乳・乳製品の販売、酪農資材農具展示などの付帯事業を予定している。
なお、「共進会規則」の詳細は、当協会ホームページ下欄の「第13回全日本ホルスタイン共進会」に掲載しているので参照されたい。
ホル15、ジャ4部門
出品区分は別表のとおりで、ホル種が未経産6部、経産9部、ジャー種が未経産2部、経産2部の合計19部からなる。
ホル種は、各都道府県の一般割当頭数の過半数を経産牛とし、1戸あたり出品頭数は2頭以内とする(後代検定娘牛の部とジャ種出品牛は除く。
出品牛の条件等は
出品牛は、国内産のホル種およびジャー種の血統登録雌牛で、家畜個体識別耳標を装着し、飼養条件を満たしていることとする。なお、受精卵移植による生産牛を出品する場合は、登録時所有者の居住する都道府県を産地とする。
ホル種、ジャー種ともに、出品牛または母牛に当協会の検定成績証明の取得(または申込中)を条件としている。区分毎の出品牛及び母牛の検定上の条件は別表のとおり。
衛生要領の遵守を
共進会の開催にあたって、伝染性疾病等の発生予防と発生時の適切な衛生対策は最も重要な事項の1つである。この全共では、北海道の監督・指導のもとに「第13回全日本ホルスタイン共進会衛生対策要領」を定めて、衛生検査と予防注射などを徹底させて万全を期すことにしている。
全共の「衛生対策要領」の詳細については、当協会の支部・承認団体に問い合わせるか、日本ホル協のホームページをお開き頂きたい。

平成21年7月20日
「血統、審査とも岩手ダントツ」

~20年度都府県の各種申込み~
平成20年度の都府県別登録申込状況は別表のとおり。
会費納入件数は8360名で前年より571名減少した。都府県別のトップは岩手県の1216名で都府県合計の15%を占める。会員数の多い上位5県で全体の40%を占める。
都府県の血統登録申込頭数は4万3105頭で前年より1256頭(3%)減少した。近年は申込頭数の大幅な減少をたどっていたが僅かな減少に留まっている。登録頭数がもっとも多かったのは岩手県の4618頭で、以下、熊本県、群馬県、茨城県、愛知県、栃木県、鹿児島県、福島県が2000頭以上を数えた。
前年度よりも登録頭数の増えた県は23都府県で、そのうち年間1000頭以上登録した県は5県である。増加数トップは群馬県の398頭で計3200頭の申込みとなった。会員酪農家をはじめ、登録委員、県支部や関係者各位の努力に敬意を表したい。
審査成績証明(体型調査頭数分は含まない)は7635頭で前年に比べて234頭増加した。審査頭数のトップは岩手県の1080頭で前年度よりも385頭増加した。次いで群馬県、熊本県、栃木県、茨城県の順。審査頭数が100頭以上で前年度よりも大幅に伸びたのは岩手県、山梨県、愛媛県、鹿児島県など。
検定成績証明は3725頭で前年度より1298頭増加した。トップは栃木県の604頭で、以下、茨城県、長野県、埼玉県と関東地方が上位を占め牛群検定普及率とは逆の傾向である。なお、前年度後半に不具合で証明出来なかった頭数分が含まれている。

平成21年7月20日
「無駄、無理のない経営実施」

~岐阜県羽島市大井幸男さん~
大井幸男さん(44)は岐阜県羽島市でホルスタイン100頭を飼養し、平均乳量9千㌔、平均乳脂率3.75%と泌乳面は平均的ながら、分娩間隔389日、平均授精回数1.7回など繁殖面では際立った成果を挙げている。万歩計とパソコンを連動した発情管理や牛群検定成績の活用、自動登録を実施し、近交回避と国内種雄牛の利用で牛群改良を図っている。「夢は平均乳量1万㌔、年商は1億円」、無駄や無理のない酪農経営を実践している。
河川敷で粗飼料作り
大井牧場は幸男さんと妻の理恵さん(44)、ゆり菜さん(高2)、みゆ梨さん(中3)、樹里さん(中1)、両親の薫さん(71)、禮子さん(71)の7人家族だ。飼養牛は経産牛66頭、育成34頭でほとんどが自家産だ。
大井牧場は、戦前に祖父が導入した2頭のホルスタインから始まった。しかし、幸男さんは子供の頃から酪農を継ぐ気がなかったため、高校も普通科を卒業し、名古屋の商社に就職した。しかし、24歳で結婚が決まり、「生活のためには」と祖父との酪農を決意した。
平成15年春、牛舎をフリーバーンに改築した。新しい牛舎は屋根が高いため、夏は涼しく牛には快適だ。飼料基盤は牛舎前に広がる長良川の南北約2㌔、32ヘクタールに及ぶ河川敷だ。そこを借りてイタリアンライグラスを年3回収穫する。安価で良質な自給飼料を自由採食させている。
繁殖は優等生 万歩計で効果
9年前から牛群検定をスタートし、現在、経産牛1頭当たり年間乳量8927㌔、乳脂率3・75%、乳蛋白質率3・23%、平均産次2・4産はほぼ都府県平均並みだ。しかし、繁殖関係では分娩間隔389日(都府県平均440日)、平均空胎日数107日(同165日)、受胎までに要した平均授精回数1・7回(同2・3回)と際立った成績を示している。
3年前からは、経産牛に万歩計を付けて発情を携帯電話に送信、さらにこれらのデータをパソコンで管理し利用している。これによって以前よりもさらに発情発見が的確になり、繁殖成績も改善されたと言う。
また、県畜産協会担当者が牛群検定成績を活用するための牛群管理プログラムで作成した表やグラフにコメントを入れてくれるので、それらも大いに利用している。
2年前から自動登録開始
大井牧場の登録の原点も9年前に遡る。
やはり、畜産協会担当者から「経営改善と改良の基礎は血統登録から」と勧められ、未経産も含めて68頭全頭を登録した。市役所の獣医師も手伝って3人がかりでの申込書作りは大変だったと笑う。その頃からの登録証はすべてファイリングしている。
2年前からは牛群検定の繁殖情報を利用して自動登録を実施し、経費の節約と手間の節減を図っている。
近交を注意し国内種雄牛利用
繁殖が順調な大井牧場だが、交配で注意していることは、第一に近交係数の高い種雄牛を付けないこと。そのためには、体型調査の際に配られる近交回避リストや日ホHPの近交回避情報を頻繁に利用している。ここでもパソコンを活用して繁殖の向上に努力を惜しまない。
第二に、種雄牛は国内トップ40以内で、牛群内でアウトクロスになる種雄牛を使って近交係数の低減を図ること。以前は輸入精液を多く使った時期もあったが、現在は価格も安く、日本の風土に合った検定済種雄牛を交配して、効率的に牛群を底上げし、しかもコストのかからない交配を心がけている。めざすタイプは「肋の張り出した力強い牛」と幸男さんは言う。
第三には、和牛は種付けしない。これをすると後継牛がいなくなり、導入せざるを得なくなるからだ。人工授精師の免許を取得し、自ら選定した種雄牛を交配している。
人生は常にポジティブに
幸男さんは無駄な経費を抑えることが経営のコツだと言う。常に色々なことを考えるのが好きで、10年前には堆肥の商品化を手がけたり、最近では稲ワラの収集販売も行うなど、常に気持ちはポジティブだ。
また現在、牛群検定の組合長を勤める傍ら、全国酪農青年女性会議の副委員長として、先に開かれた酪農発表全国大会では司会の大役を務めた。
「夢は平均乳量1万㌔。酪農に係わることで年商は1億円」と、楽しく語っていただいた。
幸男さん(左)と父親の薫さん 万歩計とパソコンで発情管理は万全

平成21年7月20日
「単子なのにフリーマーチン?」

~熊本県酪連指導部 獣医 梶山清久~
フリーマーチンという言葉は誰もが聞いたことがあり、知っている言葉だと思います。オスとメスの組み合わせで双子が生まれた場合、90%以上の確率でメスは繁殖できない体になってしまいます。その繁殖ができないメス牛をフリーマーチンといいます。
なぜフリーマーチンになるかというとまだよく分かっていませんが、妊娠初期(受胎して40日ぐらい)に、お互いの胎盤が交り合い、オス胎仔の血液成分がメス胎仔の方に行ってしまうために、メスの生殖器ができないといわれています。繁殖に用いられず肥育にしかならないので、酪農家さんにとって大きな痛手となります。
では、オスとメスという異性双子でなければフリーマーチンにならないのでしょうか?というとそうでもありません。なぜなら妊娠初期には双子だったのに、途中でオスだけがおなかの中で死んでしまい、メスだけが生まれてきた場合もフリーマーチンになる可能性があるからです。
片割れは無形 無心体の例も
写真を見てください。これは、以前ある農場で見かけたので写真を撮らせていただきました。分娩して3日目の牛ですが、後産がかかっているため呼ばれました。よく見ると後産の先に毛玉のようなものがついていました。それをアップで撮ったのがこの写真です。この毛玉みたいなものにも名前がついていて、「無形無心体」といいます。
これが何かといえば、子宮の中で双子だった片割れが死んでしまい、一部吸収されずにこのような形で残ったものです。すなわち、この母親は最初双子を妊娠していたけれど、途中で片方が死んでしまい、一頭だけ生んだということになります。
今回生まれた子牛はオスだったので特に問題はありませんでした。しかし、途中で死んで無形無心体になった片割れがオスだったかメスだったかが毛玉を見るだけでは分かりません。生まれた子牛がメスだった場合には、死んでしまって毛玉になった片方がオスだった可能性があるため、そのメス牛はフリーマーチンになる可能性があります。したがって、生まれてきたメスを検査する必要があります。
皆さんはお産が済んで、さらにメスが生まれて「よかった、よかった」とホッとしていて後産にはあまり気にも留めないと思いますが、もしかしたら後産に無形無心体がついていて、後々生まれたメスがいくら待っても発情が来ないということがあるかもしれません。たまには後産が出たかどうかだけではなく、毛玉がついてないかを確認してみてはどうでしょうか。

平成21年7月20日
「使える種雄牛表示」

~新様式の近交回避リスト~
日本ホル協は本年1月から牛群審査などの際に新様式の近交回避リストを酪農家に配付している。
このリストは、農家の経産牛に対して近交係数5%未満の種雄牛を表示しており、近交の面では安心して交配する種雄牛を選ぶことができる。
掲載種雄牛は、直近に発表された国内種雄牛と候補種雄牛、海外のNTPトップ40種雄牛で、国内種雄牛は肢蹄と乳器の改良が期待できるものにF又はU表示している。

平成21年7月20日
「7月からgoがgrに」

~HPアドレス変更~
7月からLINのアドレス変更に伴い、ホル協HPアドレスも、下記のようにgoをgrに変更しました。来年3月末までは従来のgoでもアクセス可能ですが、4月1日以降はgrのみの利用となるので早めにアドレスの変更をお願いします。

平成21年7月20日
「前年より3千頭増加」

~都府県自動登録~
20年度に全国で自動登録された雌牛は15万9361頭で、血統登録全体の79・8%になる。北海道では92・8%と高いが、都府県でも前年よりも9県増えて計33都府県が自動登録に加入し、自動登録による頭数は1万1819頭で前年に比べて3020頭増えた。都府県の自動登録普及率は登録頭数全体の29・1%、登録実施農家の21・9%を占め、前年対比でそれぞれ11ポイント、4ポイント上昇した。本年度は7月現在、34都府県で1337戸が自動登録を実施中。
34都府県1,337農家が参加
自動登録は、家畜個体識別センターに報告された出生報告と、予めデータベースに報告された人工授精情報を利用して、ホルスタイン(およびジャージー)種の雌子牛全頭を自動的に登録するものである。
20年度は全国で19万9631頭の雌牛が血統登録されたが、そのうち自動登録によるものは15万9361頭で登録全体の79・8%を占める。このうち、北海道が14万7542頭で登録全体の92・8%、都府県は1万1819頭で登録全体の29・1%、登録実施農家の21・9%を占め、前年度よりそれぞれ11ポイントと4ポイント上昇している。
昨年度、都府県で自動登録頭数が多かった県は愛知県の1612頭でこのほか鳥取、茨城、熊本、鹿児島の各県が1千頭を超えた。登録全体に占める割合では秋田県が95%で最も高く、鳥取、京都、愛知、福井、宮城、鹿児島、茨城の各県が50%以上。また、秋田や鳥取、京都では登録実施農家の80%以上が自動登録に加入している。
自動登録を実施している農家戸数は本年度も徐々に増えており、6月末現在、都府県では1337戸で前年同期より175戸多くなっている。
自動登録を行う際には出生報告と授精報告が必要であるが、授精報告の方法として3つの方法がある。牛群検定繁殖報告を利用する方法が全体の54%で最も多く、農協などが整備している授精データを利用する方法が34%、農家等がインターネットを利用して授精報告する方法が12%だった。
自動登録のメリットは、
①1頭毎の血統登録申込書や人工授精証明書が不要
②母牛の移動証明手続きが不要(親子間の移動も不要)
③血統登録証明書の発行が早い
④血統登録料金の割引(1頭につき525円安い)
⑤登録漏れがない、など。
特に、申込みの手間や割安の料金に加えて、導入牛や親子間の移動手続が不要であるのは大きなメリットで、大規模農家では年間登録申込頭数や導入牛が多いので、登録料の負担が大幅に軽減されることで自動登録はかなり有効である。

平成21年7月20日
「がんばったひと&牛 2008」

~小岩井農場436頭で83.2点~
日本ホル協は、このほど平成20年度の都府県における審査成績優秀牛群30戸、検定成績優秀牛群10戸、検定成績優秀牛のべ36頭を発表・表彰した。
審査成績優秀牛群(表1)は、20年度から表彰区分を審査頭数10~29頭、30~49頭、50頭以上とし、多頭数受検を奨励するよう要領を改定した。
審査受検10~29頭クラスでは、兵庫県立播磨農業高校が17頭受検で審査受検率70・8%、平均86・4点、平均体型偏差値155・9でこのクラスのトップになった。2位は、前年まで「20~29頭クラス」で2年連続トップの日本農業実践学園(茨城)が18頭受検で平均85・8点、3位は栃木県立那須拓陽高校が16頭受検で平均85・6点だった。6位には、本年2月の牛群審査で学校所有での最高審査得点に並ぶ92点牛を獲得した長崎県立島原農業高校が入った。
審査50頭以上クラスを新設
審査受検30~49頭クラスでは、松島喜一さん(熊本)が34頭受検して平均85・4点、平均体型偏差値149・9で、前年までの「30頭以上クラス」に引き続き7年連続トップの成績だ。2位は佐藤修さん(鳥取)で44頭受検して平均83・4点、3位の中六角保広さん(岩手)も毎年上位の成績を収めている。以下、4位渡辺修一郎さん(岐阜)、5位に川又紀元さん(岩手)が入った。
審査受検50頭以上クラスでは、衛藤彰一さん(熊本)が50頭受検して平均84・1点、平均体型偏差値130・7でトップ、2位の岡嶋建一郎さん(大分)も57頭受検で84・1点を獲得している。3位は小林幸雄さん(栃木)、4位三浦幹雄さん(鳥取)、5位井上義朗さん(熊本)と続いている。なお、8位の小岩井農場(岩手)は歴代最多の審査頭数となる436頭受検し、平均83・2点を獲得している。なお、前記の2クラスは従来と同様に飼養経産牛頭数に占める審査受検率70%以上の条件だが、50頭以上クラスでは受検率を既定していない。
新海牧場で検定成績証明214件
検定成績優秀牛群(表2)のトップは、佐野茂樹さん(岩手)で、飼養経産牛頭数13頭のうち10件証明で平均F偏差値は192・2。少数精鋭での高い泌乳能力がうかがえる。2位は高田茂さん(埼玉)の57件証明で偏差値169・4、3位は松村文継さん(岩手)の27件証明で偏差値167.0だった。
また、4位の新海益二郎さん(長野)は、飼養経産牛57頭に対して1年間の検定成績証明件数が214件と極めて多いのは全頭について305日と365日検定、さらには生涯検定申込みを多くしたためだ。以下、植木靖さん(栃木)、山之内浩一さん(新潟)、鈴木進さん(埼玉)などはいずれも検定成績証明の自動継続申込みを実施している。
日本記録2つと都府県記録2つ
表3は、20年度検定成績優秀牛として305日、365日検定の乳量および乳脂量トップ牛一覧である。昨年度は日本記録2つと都府県記録2つが更新された。
日本記録は、石川和博さん(静岡)所有のプーリーブリッジスカイチーフエレガンス5ETで、3・5年型クラスの305日乳脂量1016㌔、365日乳脂量でも1171㌔を記録し、2部門で乳脂量日本記録を塗り替えた。
また、都府県記録は、2・5年型305日乳脂量で佐藤浩通さん(福島)所有のクリークファームダーハムツルマツが、また3・5年型365日乳量では前述の石川牧場のエレガンス号がそれぞれ都府県記録を更新した。

平成21年7月20日
「事故をなくそう!!」

~4割が母牛移動未了~
ホル協登録部では、皆様からの登録申込書類について、血統や生年月日、母牛の授精や産歴、所有者などのチェックを行っていますが、申込書の内容に不具合がある場合は事故照会し、事実を確認させていただきます。
登録申込みの事故率は申込全体(自動登録を除く)のわずか5%弱ですが、事故になると登録証明書の発行が遅れてしまいます。登録申込みする際には事故にならないよう、次の点に注意して申込書や人工授精証明書の整備をお願いします。
①申込牛の(家畜個体識別センターへの)出生報告は済んでいますか?
②申込書の記入内容は、家畜個体識別センターへの報告内容(本牛と母牛の個体識別番号、本牛生年月日など)と合致していますか?
③申込者は、母牛の登録証明書に記載された所有者と合致していますか?申込事故の約40%は母牛の移動未了です。導入などで母牛の所有権が移った場合は、母牛の移動証明も合わせて申込んで下さい(自動登録を除く)。
④在胎日数が265日未満か296日以上の場合は、授精台帳等写しを添付して下さい(260日~264日、296日~300日の場合は、申込書欄外に早産、遅産に相違ない旨を記載すれば台帳写は省略可能)。
⑤精液証明書(ラベル)は、人工授精時に使用したものを貼付して下さい。精液の注入年月日が採取年月日以前であるなど係る授精とは違う精液ラベルが貼付されている場合があります。
⑥人工授精証明書には、母牛の個体識別番号(登録番号)と生年月日、名号、授精年月日、証明年月日が整備されていますか?申込書の内容と合致していますか?
⑦同性双子は同時に登録申込みして下さい。一子が虚弱等のやむを得ない理由で登録しない場合は申込書にその旨を記入して下さい。
⑧異性双子の雌牛を登録する場合は、受胎確認後またはフリーマーチン判定で不妊でないことを確認して下さい。
⑨登録委員による確認(登録委員番号、氏名の記入と押印)をお願いします。
”血液型”は来年3月まで
このほど、家畜改良事業団家畜改良技術研究所から、22年3月31日をもって牛の親子判定における血液型検査を中止する旨、通知がありました。
22年4月からは受精卵の父母にDNA型情報がないものは生産子牛との親子判定ができなくなります。したがって、酪農家等が保管している受精卵のうち、供卵牛のDNA型情報がないものは、早急に供卵牛のDNA型検査を申込むようお願いします。なお、フリーマーチン検査は、血液キメラの判定を行う関係上、引き続き血液試料の送付が必要です。