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平成31年01月20日


平成31年01月20日平成年間の登録を振り返って登録制度改正、自動登録が大きな成果

-(一社)日本ホルスタイン登録協会会長前田勉-
新年明けましておめでとうございます。
平成最後の年を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
昨年は多くの自然災害に見舞われた年でした。6月の大阪北部地震に始まり、西日本豪雨や数多くの大型台風の襲来、9月には北海道胆振東部地震の発生等、これらの災害によって多くの人命や生活が奪われ、酪農関係でも施設損壊や生乳廃棄、生乳集送等で大きな被害が出ました。被災された皆様には心よりお見舞いを申し上げます。

会長前田勉
30年間で70万頭減少
さて、平成年間を振り返ってみますと、平成元年(89年)に約6万7千戸あった酪農家戸数はこの30年間に約5万戸が廃業し、平成30年2月現在では1万5700戸まで減少しています。また、乳用牛飼養頭数でも平成元年の203万頭が平成30年には132万8千頭で、約70万頭減少しています。
このような酪農状勢の中で、ホルスタインの血統登録頭数は平成元年度の21万7千頭に対して、平成29年度は20万6千頭であり、年々、乳用牛頭数が漸減する中にあって改良に必要な血統登録雌牛頭数を何とか確保してきました。
登録で改良集団確保
この間、血統登録事業の主な出来事を挙げると、平成元年の乳用種雄牛遺伝的能力評価成績の公表に始まり、その後は会員コードの整備、登録申請時に条件付で授精証明書の省略、総合指数(NTP)の開発、斑紋の片面表示、インターネットによる血統・近交回避情報の提供開始、登録制度の大幅改正(血統・種系登録の一本化、血統濃度表示、登録番号10桁化)、自動登録の本格実施、家畜個体識別データの利用、登録書に血統4代表示、SNP検査の開始等がありました。
これらの登録推進対策と、会員各位の登録に対するご理解ご協力によって、今日の血統登録集団が確保・拡充され、これらの血縁と牛群検定、体型審査、SNP等の情報から得られたより高い精度の雄牛並びに雌牛遺伝評価値が還元・活用されているわけです。
SNP検査の奨励強化
前述しましたように、平成30年間の登録の歴史の中で、登録制度の大幅改正と自動登録の実施は、血統登録頭数の減少に歯止めをかけ、頭数拡大の大きな牽引力になっています。本年も、登録申込書類不要、安価で登録書の早期発行といった自動登録のメリットをさらにPRしていきたいと考えます。
また、育成期の早期選抜と交配種雄牛選定により有効なゲノミック遺伝評価値の利用推進にあたっては、登録料金が半額還元される「自動登録同時SNP検査申込」や受精卵移植で生産された登録娘牛のSNP検査が無料で受けられる奨励策を実施しています。
近交検索、登録情報のWeb化
ホルスタイン雌牛集団における平均近交係数の上昇は、世界主要国で問われていますが、遺伝的能力を高めるためには近交係数がある程度上昇することもやむを得ないとし、昨年10月から、おじめい交配等の極度の近縁交配を避けることを前提として、近交係数の上限値を7.2%に引き上げることにしました。併せて、スマートフォンで申込不要で、簡単に近交係数を検索できるシステムを開始しました。
また、本年4月から、検定成績証明の自動継続農家向けに、個体ごとの血統や審査、検定、遺伝情報をパソコン又はスマートフォンで簡単に検索できる「登録情報活用システム(RIUS)」を開始する等、新しい時代に向けて、情報提供の強化を図ります。
第15回全共まで650日
初のブロック開催となる第15回全日本ホルスタイン共進会九州・沖縄ブロック大会は、来年の10月31日から3日間、宮崎県の都城地域家畜市場で開催することで、現在、全共実行委員会を主体に準備を進めています。昨年11月には都道府県別出品割当頭数を決定しました。第15回全共まであと650日、既に多くの都道府県で全共出品への対策が進められ、徐々に関心度が高まってきています。
また、実行委員会Webサイトが開設され、本大会に関する情報提供や協賛金募集等を開始しています。初のブロック開催になる第15回九州・沖縄ブロック全共に対しまして、どうぞ特段のご支援ご協力を賜りますようお願いを申し上げます。
しっかりと足元固めて
最後に、2019年の干支は「己亥(つちのとい)」。「己」は草木の成長を表し、「亥」は地面下で根が強くしっかりと張った様を表しています。すなわち、本年は成熟した自己や組織が足元を固めて、次の段階を目指して準備を行う年であり、当協会として、さらに新しい時代に向けて、ホルスタイン改良の基盤となる血統登録集団の確保・拡充を図る1年になるよう推進を図って参りますので、登録事業に対する一層のご理解とご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
亥は動物のイノシシ。猪肉は万病予防になることから「無病息災」の意味もあり、皆様方には益々のご健勝とご発展を祈念申し上げ、年頭のご挨拶といたします。

平成31年01月20日第15回全日本ホルスタイン共進会都道府県別出品割当頭数決まる
第15回全日本ホルスタイン共進会は、2020年10月31日から11月2日の3日間、宮崎県の都城地域家畜市場で開催される。日本ホル協では昨年11月開催の理事会において、第15回全共の都道府県別出品割当頭数を決定した。また、同実行委員会では大会Webサイトを開設するとともに、全共協賛金の募集を開始した。
42都道府県が参加予定
第15回全共の出品規模は、ホルスタイン12部250頭とジャージー2部20頭の合計14部270頭で、これを直近3年間の都道府県別乳牛飼養頭数、血統登録頭数、審査・検定成績証明件数等から試算した事務局案をもって、各都道府県に照会し、出品希望頭数の報告を受けて理事会で決定したもの。
本大会の参加都道府県数は42で、5府県から既に欠場の報告を受けている。出品割当頭数の多い都道府県は北海道40頭、熊本県22頭、岩手県16頭、開催地元の宮崎県が14頭、栃木県12頭、群馬県11頭、岡山県10頭等となっている。また、今回は九州・沖縄ブロック大会ということで、開催ブロックへの特別措置等によって九州地区には全体の4分の1強にあたる70頭を配分し、沖縄県にも4頭の出品が割当てられた。
Webサイト開設
本大会実行委員会(事務局は宮崎県経済連内)では、昨年10月末から大会Webサイトを開設し、今後は全共関係の各種案内や必要な情報提供を行うことにしている。サイトアドレスは次の通り。
https://www.15th-holstein.jp/
全共協賛金の募集開始
日本ホル協並びに実行委員会では、厳しい酪農状勢の中で、第15回全共の開催が「酪農の祭典」として、わが国酪農業発展の一翼を担う大会になるよう、関係団体・会社並びに関係者からの支援協力をいただくため、昨年11月から第15回全共協賛金の募集を開始した。
協賛金額は1口5万円とし、全共開催年の2020年5月末日まで受付けている。なお、協賛金口数に応じて、大会パンフレットや記録誌への社名掲載、会場内での社名表示、出展ブースの提供、出品目録への広告掲載等の特典を準備している。協賛金募集要領並びに協賛申込、問合せ先については大会実行委員会Webサイトを参照されたい。

表第15回全日本ホルスタイン共進会出品割当頭数

平成31年01月20日「ボンドガール」2期連続1位

〜2018−12月国内雌牛評価〜
平成30年12月20日に2018‐12月国内雌牛遺伝評価成績が公表された。そのうち、全国15位までと都府県で飼養されている上位牛の一覧を示した。
トップを飾ったのは、「ロツクウKBボンドガール」(北海道・上野牧場飼養)であった。2期連続の1位で現在3歳である。特に産乳成分に優れている。
2位は「デイベロツプバリストリーデイア7376ET」(北海道・稲川牧場飼養)で今回初登場。
都府県では、静岡県・石川和博さん飼養の「オークフイールドスタンリーエレガンス」が5位、「プラスフジシルバーメイビーET」が7位、6位「シヤングリラドアマンアニーET」(群馬県・神澤勤さん飼養)、8位「ホーリービーロータミーキングボーイET」(兵庫県・堀部浩二さん飼養)、13位「グランデイールウインドチヤリデアニーET」(岡山県・吉原直樹さん所有)とトップ15の中に5頭が入る優秀な成績を収めた。




平成31年01月20日フエイアークが首位キープ 都府県生涯検定とりまとめより

日本ホル協ではこのほど、2018年末までに都府県で検定成績証明された生涯検定記録牛を取りまとめた。
川名デーリィ牧場他
トップ3は変化なし
生涯乳量のトップは、一昨年24年振りに都府県記録を更新した千葉県館山市・(有)川名デーリィ牧場所有のネザーランドニツクマンフエイアーク(審査得点86点)である(表1)。12乳期で検定日数4214日、生涯乳量(M)18万2068㌔、乳脂量(F)6401㌔、平均乳脂率(F%)3.5%で、生涯乳脂量でも県内1位、都府県3位と変わらない。
2位は鳥取県鳥取市・田中泰彦さん所有のロイブルツクハイアーエレン(85点)でM16万6278㎏、F8978㌔、F%5.4%で、生涯乳脂量は未だに全国1位である。
3位は鳥取県南部町・板持翔磨さん所有のヘリオムスタングリートン(80点)でM16万3190㎏、F4893㌔、F%3.0%であった。
トップ3は昨年と同様だが、4位の群馬県中之条町・星野和司さん所有のキヤプテンオプシヨンロジツク2393(86点)が16万2514㌔で、昨年6位から順位を上げている。また12位以下には生存牛も控えているため、近い将来トップ10の入れ替えも期待される。
10万㌔以上
岩手県が27頭
都府県で生涯乳量10万㌔を突破した牛は昨年より14頭増えて、217頭であった。一番若い牛で2008年生まれである。都府県別の頭数でみると表2のとおり、岩手県が昨年より1頭増頭し27頭でトップであった。2位には群馬県が1頭増頭の21頭で、3位は栃木県が19頭(1頭増頭)と順位は変わらない。また、9位に入った茨城県が11頭で5頭増頭と著しい増加をみた。
亀田康好さんが9頭
10万㌔以上を牧場別(表3)でみると、埼玉県坂戸市・亀田康好さんが9頭であった。続いて宮城県岩沼市・(株)布田牧場,布田達夫さん、福岡県福岡市の槇芳行さんが8頭、4位は岩手県岩手郡・川又紀元さんの5頭であった。また5位の茨城県水戸市・長田重信さんは、この1年間で4頭もの10万㌔突破牛の成績を証明している。
種雄牛別ではスターダム
表4は種雄牛別で見たものである。1位はハノーバーヒルスターダムで娘牛7頭が10万㌔を突破した。2位にはケーイーデイージユラーET、スタートモアルドルフETが娘牛6頭であった。
4県でトップ更新
表5は検定回数3回以上、総乳量3万㌔以上で都府県別1位の一覧である。そのうち、過去1年でトップが更新された都府県は4県あった。
北から紹介すると、宮城県では佐藤俊さん所有のデイフエンドジヤステイスイゼベル(90点)が昨年トップを更新した(株)布田牧場所有牛の記録を13万1813㌔で抜き返した。
茨城県では長田重信さんのシズナミアウトサイド(87点)が、同年県内記録を更新した佐藤範之さん所有牛の記録を抜いて、12万5739㌔で県のトップとなった。また県内2位の牛も長田さんが所有している。
群馬県では星野和司さん所有のキヤプテンオプシヨンロジツク2393(86点)が自身の記録を更に更新して16万2514㌔となった。本牛はすでに死亡しているため、これが最終更新であるが、都府県4位と有終の美を飾った。
岐阜県では宮垣俊介さん所有のエバーオンワードクリスエリカロツトー(89点)が16年振りに県内記録を更新した。本牛はまた、県内初の10万㌔突破牛でもある。
表5都府県別生涯検定乳量記録牛(検定回数3回・3万kg以上)

平成31年01月20日高得点牛 94点岩手県佐野茂樹さん 93点岡山県吉原直樹さん

平成30年度後期審査の前半戦が終了し、高得点94点と93点に評価された牛が誕生したので紹介したい。
佐野さん
ラツキーダーハム
1頭目の高得点牛は12月の審査で岩手県遠野市の佐野茂樹牧場の「プロスペリーアドベントラツキーダーハム」(父:アドベントRED)が岩手県の最高得点となる94点に評価された。
本牛は前回平成29年6月(6歳11月、4産)の審査で県内7頭目となる93点と評価されている。平成30年10月に8歳4月で5産目を分娩し、今回の体型審査を受検した。各部の配点は、体貌と骨格93点、肢蹄92点、乳用強健性93点、乳器95点(12月21日確認審査実施)。
前回の評価から1年半を経過したが、胸幅が広く充実している前躯、尻は長く坐骨の幅がある後躯は、産を重ねても崩れることはなく維持しており、乳器についても前乳房は強く付着し後乳房は付着点が高く幅広い。また、体型だけでなく泌乳能力も4乳期1390日で乳量57947㎏、乳脂量2283㎏、乳脂率3.9%と非凡なものを見せており、産を重ねるたびに向上し続けている。今後も同県出身であるメジャーリーガー大谷翔平選手のように、体型・能力の二刀流を期待したい。
なお、岩手県の高得点(90点以上)獲得の歴史は、昭和47年11月小岩井農牧株式会社小岩井農場の「3フレツド」号が第1号で、今日まで402頭の牛が高得点と評価されている(平成30年12月末現在)。

「プロスペリーアドベントラツキーダーハム」
(父:アドベントRED)平22.7.22生
岩手県佐野茂樹さん所有(平31.1月撮影)
吉原さん
ピノチヤント
2頭目も同じく12月の審査で岡山県津山市の吉原直樹牧場の「グランデイールスーパーピノチヤントET」(父:スーパーステイシヨン)が93点に評価された。
ピノチヤント号は、第6回おからくスプリングショウ(平成26年3月開催)において第8部(3歳以上4歳未満)に出品されリザーブインターミディエイトチャンピオンに輝き、その年の11月に3歳11月齢の若さで91点に評価され、その翌々年には92点となった。
そして、平成30年8月に5産目を分娩し、今回の体型審査を受検した。各部の配点は、体貌と骨格92点、肢蹄91点、乳用強健性95点、乳器93点(12月27日確認審査実施)。審査当日はベストコンディションで特に乳用強健性に優れ肋骨の間隔は広く、後方に良く開張していた。乳器において後乳房の付着の幅と高さに優れ、乳房靭帯が強く乳頭の配置は理想的であった。
吉原牧場では、都府県最高得点95点と評価されたPTギンに次ぐ高得点牛であり、他にもエクセレント牛を輩出している。そのうち1頭はピノチヤントの初産時の娘(ピノニシチヤント)で平成30年5月に90点と評価された。また、本牛の検定成績証明をみると、4産(5歳11月齢)、305日2万459㎏、乳脂量821㎏、乳脂率4.0%で、生涯成績においても8万6960㎏を記録している。
写真はデーリィマン社提供。

「グランデイールスーパーピノチヤントET」
(父:スーパーステイシヨン)平22.11.24生
岡山県吉原直樹さん所有(平26.12月撮影)



平成31年01月20日カナダ酪農視察報告記(一社)日本ホルスタイン登録協会 岡太郎
2017年11月5日~11日までの7日間、デーリィマン社と北海道ホルスタイン農協が企画した、「カナダ・ホルスタイン酪農とロイヤル・ウィンターフェア視察」に参加しましたので、印象に残ったことや思い出を紹介します。
このツアーの参加者は北海道在住の関係者を中心に24名、都府県からの参加者は家畜改良事業団の職員3名と私の4名だけでした。
羽田空港を18時に飛び立ち日付変更線を跨ぎ10数時間後、カナダの最大の都市であり、ロイヤルの会場でもあるトロントに到着しました。数時間、空港で乗り継ぎ便を待ち、今度は国内線で約1時間移動しケベック空港へ。空港からはチャーターバスで移動しホテルにチェックインしたのは24時を回っていました。
ケベック州は東海岸に位置し、世界遺産にも登録された旧市街の景観で知られています。カナダでは多くの州が英語を公用語とし一部の州が英語とフランス語を公用語としていますが、ケベック州はカナダ国内で唯一、フランス語のみを公用語に定めている珍しい州です。
酪農家3戸を視察
ケベック州で2戸、オンタリオ州で1戸のそれぞれ特色のある優れた酪農家を視察しました。
タイディ牧場
ケベック州で1軒目に訪れた牧場は7年前に牧場を買い取り開設された新しい牧場でした。牧場主とグアテマラ人、そして北海道美瑛町からの実習生の3名で管理。とりわけ日本からの実習生はよく働き、2人分働いてくれるそうです。現在の飼養頭数は220頭で搾乳牛は100頭、牛群の平均能力は乳量1万㌔、脂肪率4.6%、タンパク質率3.7%と高い乳成分が特徴です。高成分のおかげでカナダの平均乳価が72セント/Lであるのに対し、本牧場の販売乳価は80セントだそうです。交配は体型面ではバランスを重視し、高乳量より高成分の方がイージーな経営に繋がるという考えのもと一部の優れたファミリーのみに繁殖を行い、残りは全て受精卵移植を行っています。交配種雄牛はヤングサイヤーの利用は少なく検定済み種雄牛を多く利用し、中でもユニックスが多いとのことでした。また、個体販売にも力を入れており年間400頭を売却しているそうです。
ジェイコブス牧場
2軒目に訪問した牧場は1軒目の牧場と隣接するジェイコブス牧場です。本牧場の歴史は祖父がオランダから1965年に入植したことから始まり、3代続いています。現在は父と妹との共同経営で飼養頭数は700頭、搾乳牛は225頭です。牛群の平均能力は乳量1万1500㌔、脂肪率4.5%、タンパク質率3.3%。体型面でも優れておりEX50頭、VG130頭と圧巻です。飼料は購入ではなく、全て自家産で隣のタイディ牧場と共同で行っているそうです。交配はヤングサイヤーと検定済み種雄牛の割合が半々でユニックス、ロートラスを多く利用しています。これまでは体型重視でしたが、生産性に重きを置いた改良に変換したそうです。
後ほど紹介するロイヤルでも大活躍するジェイコブス牧場のエントランスでは歴代の名牛たちの写真や彼女たちが獲得したタイトルの盾や旗が温かいコーヒーと共に我々を迎えてくれました。
サミットホルム牧場
3軒目に訪れた牧場はオンタリオ州にあるサミットホルム牧場です。本牧場は20年前に建設されたカナダのモデル牧場で毎年訪問させてもらっているそうです。飼養頭数は1000頭、搾乳牛は490頭です。牛群の平均能力は乳量1万3400㌔、脂肪率3.8%、タンパク質率3.1%と高泌乳牛群で日乳量は平均42㌔。また、長命連産性にも優れており、平均産次は4.2産、牛群の54%以上の牛が5産以上で生涯乳量10万㌔突破牛は25頭も在籍しているそうです。繁殖は全て自家授精で行い、未経産牛には性判別精液を利用しています。23ヶ月齢での初産分娩を目指し、分娩後、60日で人工授精を始め、繁殖が悪い下位25%の個体には肉用種の精液を利用しています。性判別精液の利用が多いため、肉用種を授精しても後継牛の確保は容易とのことでした。多くの子牛はヌレ子で販売しており、売却価格はホルスタインの雌牛が100ドルでF1が200ドルと日本とは比べ物にならないくらい安価でした。日本の取引価格を伝えると大変驚いており、「これからは日本に売りたい!!」と興奮気味に話していたことが印象的でした。
カナダのモデルにもなっている牛舎はフリーストール牛舎で敷料に砂を利用しています。牛舎は少し傾斜していて糞尿が溝に流れる仕組みになっており、常にスクレーパーが可動することによって糞尿が少ない清潔な状態を保っています。また、牛舎には梁がなく、鳥が留まれない構造になっていました。大規模な土地を有しデントコーンと牧草を自給していますが、その作業は全て外部委託のカスタムワーカーに委託しているそうです。その理由としては畑に割く時間を省略することで牛舎作業に専念できるからとのことでした。農耕器具は一つも所有していないとのことでとても驚かされました。

ナイアガラの滝をバックに集合写真
酪農家視察とロイヤルの合間にて
ジェイコブス牧場
サミットホルム牧場
壁はなく気温によってカーテンが自動的に開閉

平成31年01月20日圧巻の迫力 ロイヤルウインターフェア
日程の後半はメインイベントであるロイヤルの視察です。ロイヤルの会場はトロント市の中心街から車で20分程度離れたオンタリオ湖の湖畔にあります。東京ドーム10個以上の大きさを誇る会場ではホルスタインのショウ以外にも豚や鳥など数え切れないくらいの家畜や家禽の審査、様々な畜産物や農作物の物販ブースがあり、見て回るだけでも数日掛かってしまうような規模でした。
ホルスタインショウの会場はカナダの国技であるアイスホッケー場、場内で一番の設備・規模を誇るリングです。前年までは日本のリコーがスポンサーでしたが、今年からはコカ・コーラ社となりコカ・コーラスタジアムと呼ばれ、至る所でコークが販売されていました。前日までのスタジアムの主役は馬でウインター・フェアの1番人気だそうです。乗馬や馬車の競技など全国に生放送で配信され、大いに盛り上がっていました。
一方のホルスタインでは未経産7部、経産9部で360頭を超えるエントリーがありました。審査員はニューヨーク州で酪農を営むジェイミーブラック氏でした。
出品された牛たちは素晴らしいコンディションで未経産クラスでは未経産とは思えないサイズでありながらバランスの取れた体型、経産クラスでは体型のバランスがよく、肋の開張や乳房の形状・付着に優れた牛が多く出品されていました。
GCはAIMOGC
グランドチャンピオンには視察牧場の1つであったジェイコブス牧場出品のJACOBSWINDBROOKAIMO(父:ウインドブルツク)が輝きました。並み居る強豪を退け、先月開催された全米最大の共進会ワールドディリーエキスポの4歳クラスチャンピオンから躍進しました。リザーブGCはそのエキスポでGCを獲得したJACOBSLAUTHORITYLOANA(父:ローソリテイ)でジェイコブス牧場の出品牛がワンツーに輝きました。前日の繋留所で見た2頭は乳房こそ調整されていませんでしたが、私でも注目するほどの体型でした。しかも、当日のリング内の彼女たちのコンディションは更に磨かれた最高の状態で他を圧巻していました。出品者の技量の高さに驚かされました。また、出品牛たちのレベル高さもさることながら、ショウの演出にも驚かされました。最終審査では会場のライトが消され、AIMOにスポットライトが照らされた際の割れんばかりの拍手は会場が一体となる盛り上がりを見せました。
最後になりましが、今回の視察に参加する機会をいただき会員の皆様にお礼を申し上げます。このカナダでの経験を業務に活かし会員の皆様に少しでも還元していきたいと思います。

GCのAIMOとジェイコブスさん父娘
RAWFのFacebookより
インターミディエイトチャンピオン
(著者:向かって左から5番目)

平成31年01月20日審査目の調和を目指す-第13回世界審査委員ワークショップ開催-
このワークショップは、WHFF(世界ホルスタインフリージアン連盟)の体型審査部門における専門会議で、第1回を1990年イタリア・クレモナで開催して以来、2年に1度、各国を巡回し「国際的な遺伝評価統一のための体型審査手法の国際調整が必要」をテーマとして、その時々の審査全般に関する話題を協議している。各国の審査部長級担当者が一堂に集まり研修・協議した後、自国に持ち帰り、国内の審査委員にその結果について伝達徹底を図ることが目的。
イギリスに26ヵ国集合
平成30年9月10~12日イギリスのシフナルに世界26ヵ国46名が集まり、研究発表並びに農場での審査実務研修が開催された。日本からは日ホ協の池田泰男事業部長が参加した。
主な研究発表
①線形形質の進捗
前回の第12回アルゼンチン(2016年)において、各国の相関が低い6形質を重点取組形質とした。「鋭角性」については肋の開張を60%、方向を40%に重みづけることが決定された。
②各国の相関関係
前述のとおり、前回6形質を重点取組としたが、「胸幅」「蹄の角度」「後肢後望」「鋭角性」「乳房の懸垂」の5形質は現在も相関が低く、改善が必要。
③新しい調査項目の提案
前肢の爪先(蹄尖)が外向し、膝が接近している牛が意外と多い事から「前肢の蹄の向き」(Ⅹ脚)の状況について調査を始める国が出てきた(カナダ・ドイツ・オランダ・スイス等)。
④スイスの審査委員
2団体で19名の審査委員が所属しているが、全員が週2~4日のパートタイマー。どの時間帯でも審査結果(評価)を同じにする為、朝8時と午後に同じ牛を審査し、ズレが無い様に目合わせを実施。実際受検農家には、訪問日だけで時間を伝えていない。
主な研究発表
2農場で各国相関の低い線形形質を中心に、32頭の牛を使い、目合わせを実施。
次回開催
次回開催は2020年3月23~25日スイスのモントルーで開催予定。

世界各国の審査委員で集合写真
イギリス・シフナルにて
各国からの研究発表
供試牛を用いた目合わせ


平成31年01月20日平成31年4月 登録情報活用システム 「RIUS(ライアス)」始動

検定成績を簡便に
日本ホル協は、平成31年4月から血統能力証明書をWeb上で閲覧・管理ができるシステムを開設します。この「登録情報活用システム(以下、ライアス・RIUS:Registry Information Utility System for Dairy Cattle)」は、スマートフォンやパソコンでWeb上にある個々の血統能力証明書を閲覧するだけでなく、証明書に表示しきれなかった血統情報や歴代の審査成績、最新の評価情報といった関連情報も参照することができます。さらには牛群内で過去に証明された検定成績を基に、乳量順や乳成分量等の歴代成績のランキングを表示することもできます。
血統能力証明書は、本牛を含め4代の血統情報や審査情報、遺伝評価値などが記載されており、この1枚で様々なことが分かるようになっています。スマートフォンやパソコンで閲覧可能にすることで利便性の向上を図るとともに、証明書を閲覧したい時に探せない、枚数が多すぎて管理できないということを解消して、もっと手軽に活用できるようにします。
自動継続農家が対象
ライアスを活用するには、検定成績証明の自動継続農家であることが必要です。検定成績証明の自動継続農家とは、牛群検定に加入している農家で、毎年継続して検定終了牛の検定成績証明を発行している農家のことです。初回のみ申込書の提出が必要で、申込書に記載された年度(または月)以降に分娩した登録牛全頭の検定終了の都度、証明書を発行します。
既に自動継続農家になっている場合には、4月からライアスを使用することができます。一方、検定成績証明の申込を書類で行っており、まだ自動継続農家になっていない場合は、検定成績証明自動継続発行申込書に必要事項を記入の上、申込んでいただく必要があります。申込みの詳細については、各都府県の支部・承認団体へお問い合わせください。
証明書のペーパーレス化
ライアスの運用開始後は、血統能力証明書の印刷・送付は原則として省略します。ライアスには、血統能力証明書の閲覧だけでなく、PDFデータをダウンロードすることができますので、必要に応じて印刷が可能です。ただし、充分なインターネット環境が整備されていない農家がまだ多いことから、申込農家の希望により当分の間は印刷発行にも対応します。また、血統能力証明書の印刷省略に伴い、毎回、証明した検定成績を一覧にした「血統能力証明書」を新たに発行します。
金額は据え置き
ライアスの運用開始に伴いサービスの向上を図りますが、検定成績の証明料金については現状と同額です。血統能力証明書の印刷省略や発行希望に関わらず、牛群料金は年間10800円(税込)、検定成績証明1件当たりの料金1080円(税込)です。ただし、血統能力証明書の印刷を省略した農家が後日改めて証明書の発行を希望する場合は、初回に限り540円(税込)で発行します。
※図は開発中の画面につき、変更する場合があります。

RIUSのトップ画面
検定成績の参考画面

平成31年01月20日生涯乳量

-都府県30年12月-

30年12月に都府県で検定成績証明されたものの中から、別表には生涯乳量5万㌔以上の高記録牛31頭を示した。
今回は上位2頭が総乳量(M)10万㌔を突破した。
1位 髙田茂さん(埼玉県)
生涯乳量トップは髙田茂さん(埼玉県)所有の「タカダフアームシルシアスデインジエスロ」(平18.12.27生)の検定回数8回で検定日数3091日、M10万7551㌔、総乳脂量(F)4715㌔、平均乳脂率(F%)4.4%、総乳蛋白質量(P)3554㌔であった。
今回の記録は、8産目の検定成績証明を申請したことによるもので、埼玉県内9位となる素晴らしい記録。同県2位も髙田さん所有であり、2頭目の10万㌔達成牛となった。
2位 星野和司さん(群馬県)
2位は、星野和司さん(群馬県)所有の「キヤプテンセプテンバーローヤル350」(平18.7.15生)の検定回数9回で検定日数2950日、M10万3916㌔、F4380㌔、F%4.2%、P3415㌔。今回の記録は、9産目の検定成績証明を申請したことによるもので、星野さん所有牛としては4頭目の達成牛となった。
3位は、鈴木篤さん(埼玉県)所有の「デイロン」で9回の検定で9万5639㌔。
5位五味英介さん(長野県)、6位小林正春さん(長野県)、17位松島太一さん(熊本県)、31位松村文継さん(岩手県)所有牛は、体型得点90点以上を獲得しており、優れた成績を残している。
生涯検定乳量記録牛(平成30年12月都府県)

平成30年01月20日スマートフォンで近交回避 近交情報システムWeb

2018年10月より全国で利用可能となった「近交情報システムWeb」は、スマートフォンやタブレットより、全国の雌牛と供用可能種雄牛との間に生まれる産子の近交係数を検索できるシステムである。利用申込み、使用料は共に不要で、ネット環境さえあればシステムは自由に利用可能。検索対象の種雄牛は国内種雄牛だけでなく、輸入精液や後検候補牛等を含め、約700頭と幅広い。ホルスタイン種の他に、ジャージー種とブラウンスイス種の検索も可能である。
操作方法は以下の通り。トップ画面の「農家選択」で農家コードを入力し、「種雄牛選択」で対象種雄牛を選択する。「雌牛選択」には農場の在籍雌牛一覧が表示されるので、対象の雌牛を選択すれば、先に選択した種雄牛との近交情報が表示される。一度登録した農家コードや種雄牛は保存されるので、2回目以降は「雌牛選択」だけで近交情報を得る事ができる。
近交情報の確認画面には近交係数だけでなく、種雄牛のNTPや乳代効果も表示される。牛舎で簡単に扱える牛群改良のツールとして、ご活用頂きたい。システムへのアクセスはURL(http://www.hhac.info/cgi-bin/kinkai_sp/kinkai_sp.cgi)またはQRコードより。

近交情報システムWebトップ画面

平成30年01月20日検定成績優秀牛-都府県、平成30年12月証明分F偏差値-