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平成25年03月20日


平成25年03月20日「早期に出生届出を」 〜正確性確保のため〜
牛トレーサビリティ法では、「牛の管理者は、牛が出生したとき、遅滞なく、出生の年月日を農林水産大臣に届け出なければならないとするとともに、牛の両耳に国から通知を受けた個体識別番号を表示した耳標を装着しなければならない」としている。
具体的には、子牛が生まれたら、1週間以内に事前に配布されている耳標をの両耳に装着し、出生報告カードに所定の事項を記入し、FAX、電話又はパソコンを用いて家畜改良センターに届け出ることになっている。言い換えるならば、個体識別情報の正確性の確保と情報の活用のためにも、できる限り速やかに届出を行う必要がある。
ところで、当協会の血統登録業務のうち、申込用紙に記入する個別登録では申込内容と家畜改良センターへの届出内容を照合するほか、申込用紙の記入不要な自動登録では家畜改良センターに出生届けがあったものだけを登録できるかどうかチェックをする。
特に、後者の自動登録では、前月分の出生届出データを一括して受け取り、この中から乳用種雌牛分を抽出し、所定のチェックを行い、血統登録証明書の発行につなげている。従って、通常であれば酪農家は子牛が生まれたならば耳標を付け、届出を行い、一方、子牛の出生に係わる授精データは別途に蓄積されているので、それらを突き合わせてチェックをすれば、概ね1カ月以内で血統登録証明書が発行され、酪農家の手元に届く仕組みとなっている。このような中、しばしば見られるのが出生届の遅れである。
当協会の登録規程では、血統登録料の月齢区分に「10カ月以内」と「10カ月超過」を設け、そこには2倍程度の料金の格差を付けている。これは個別登録でも自動登録でも同様の措置で、きちんと出生届が出されておれば「10カ月超過」は考えられない。
さあ、牛舎の中の子牛には耳標がついていますか?届出は済ませましたか?今一度ご確認願いたい。
自動登録現況
都府県の平成24年度(平成24年4月から25年2月末日現在)の血統登録雌牛頭数は、3万7,765頭となり、対前年同期比99.6%となっている。前年が東日本大震災や原発事故に伴う災害に端を発して88.1%と落ち込み、それが回復できないことを意味している。これには諸般の理由が考えられるが、猛暑による受胎の遅れや配合飼料の高騰による酪農意欲減退が最も大きい。
さて、下表には県別の登録頭数並びに登録農家戸数を全体と自動登録に分けて示した。
徐々にではあるが自動登録の比率が増えてきているものの、北海道での90数%には及ばない。これは授精データの取り込みが北海道のように電子データで確実に行えないことが最大の要因で、今後ともこの推進については、各県支部・承認団体と協議しながら詰めていきたいと考えている。


平成25年03月20日「7月より稼動」 〜補足情報報告システム〜
日ホル協は、(独)家畜改良センター個体識別部(以下、家畜改良センター)と共同開発した補足情報報告システム(以下、システム)を、本年7月を目処に開始することになりました。このシステムは、インターネットで牛トレーサビリティ法に基づく出生届出を行っている自動登録実施農家を対象とし、現行では「自動登録実施農家連絡書」に必要事項を記入したのち、FAXで行っていた希望名号等の報告を出生届出と同時に行えるよう改善したサービスであり、会員各位の負担軽減が期待され、効率的な報告が可能になります。
ここで、本システムの概要を説明致しますが、これらは開発段階であり、本実施では一部変更される可能性があることを予めご承知願います。
出生届出の後ホル協画面へ
  1. 家畜改良センターHPで出生届出を完了。
  2. その中にホルスタイン種、ジャージー種の雌牛が存在した場合、「報告対象牛一覧」ボタンを押すと、ホル協報告対象牛一覧が表示されます。
  3. 「日本ホル協自動登録補足情報入力」ボタンを押すと、日本ホル協のHPに接続され、希望名号等申請画面へ移動。
  4. 「入力する」ボタンを押すと、左図の希望名号等の入力画面に移動。
  5. 画面で希望名号、毛色、品種、産子数や死亡・虚弱体質などの登録破棄・延期の申請が出来ます。なお、母牛が登録牛の場合は名号が表示されます。そして、確認ボタンを押す「報告内容確認画面」が表示されます。
  6. 報告内容に誤りがあった場合は表示されません。そこで報告ボタンを押すと報告が完了。
  7. 画面は「報告対象牛一覧」に戻り、次の牛の報告が可能になります。
なお、本システムに関するお問い合わせは家畜改良センターではなく、都府県内の方は当協会登録部、北海道内の方は同北海道支局登録部までお願いします。
Q&A
  • Q1:出生届出と同時でないと希望名号は報告できないの?
    A1:出生届出を行った当日6時から23時の間ならば、家畜改良センターの「本日の報告済出生データ一覧」のページから報告が可能です。同様に希望名号を修正したい場合も同様。ただし、翌日になると希望名号等の報告は出来ません。
  • Q2:携帯電話やスマートフォンで使えるの?
    A2:当面の間は、パソコン限定のサービスとなっております。携帯から出生届出をされている方は、出生届出後、改めてパソコンからの入力をお願いします。
  • Q3:自動登録を実施していない会員は利用できないの?また、利用にあたり申込は必要なの?
    A3:申込は不要ですが、自動登録を実施されている方のみが利用できます。
  • Q4:一日に最大何頭まで報告できるの?
    A4:家畜改良センターと同じ50頭となります。
  • Q5:当日中の報告漏れや51頭以上は希望名号を付けられないの?
    A5:自動登録実施農家連絡書にて報告をお願いします。
  • Q6:農協等で代行報告している場合は、希望名号を付けられないの?
    A6:インターネットで代行報告をしている場合のみ可能です。


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平成25年03月20日「アイオーンが2連覇」 〜24年次雄別登録娘牛頭数〜
血統登録された雌牛の父牛として、どのような種雄牛が多く利用されているかを調べた。
【表1】全国で血統登録された雌牛は、20万3,389頭で、その父牛頭数は1,719頭を数える。地域別では、北海道が種雄牛1,199頭で登録娘牛15万6,450頭、都府県では1,458頭の種雄牛から4万6,939頭の娘牛が登録された。
また、種雄牛1頭当たりの登録娘牛頭数は、全国で118頭。北海道の130頭に対して、都府県は僅か32頭に留まった。
国内海外の繋留別では、国内種雄牛1,033頭による登録娘牛11万4,134頭で56%、輸入精液などの海外繋留種雄牛は686頭による登録娘牛8万9,071頭で44%を占め、その割合は昨年より1%、10年前に比べると24%増加している。
24年次に全国で5,000頭以上の登録娘牛をもつ種雄牛は3頭、3,000〜4,999頭が9頭、1,000〜2,999頭が29頭、100〜999頭が201頭、99頭未満が1,447頭であり、その上位37頭の種雄牛で登録娘牛全体の50%を占める一方で、936頭もの種雄牛が娘牛9頭以下という結果であった。


全国で1位アイオーン
【表2】北海道ではアイオーンが、前年に引き続き登録娘牛7,857頭でトップになった。続いて、2013−2月国内種雄牛評価においてトップに復活したジアンビが、前年の2,762頭から大幅に登録娘牛頭数を増やし6,627頭で2位、3位は、6,466頭でドリームであった。都府県ではトレジャーが1,559頭で1位、2位ランカスター、3位アイオーンであった。
北海道と都府県で共通する種雄牛は、908頭であり、反対に北海道だけの供用種雄牛は253頭、都府県だけが514頭であった。
因みに、全国集計では北海道の順位と同じく1位アイオーン、2位ジアンビ、3位ドリームの順であった。
国内種雄牛の供用割合高まる
【図1】海外種雄牛の割合を見ると、北海道が43%と全国平均の44%より僅かに低く、都府県平均は46%。東北地区が宮城県の54%を除き全国平均を大きく下回る。特に岩手県30%、秋田県36%と3割程の利用率。
逆に関東地区では、神奈川県の71%を筆頭に栃木県、東京都、千葉県が5割を超えている。
続いて中部・北陸地区では石川県59%、新潟県51%と高く、富山県32%、福井県25%と非常に低く興味深い傾向を見せている。また、山梨県、静岡県、三重県が平均を大きく上回っている。
近畿地区では京都府が71%と高く、滋賀県10%、大阪府7%と非常に低い。
中国・四国地区では高知県、徳島県、鳥取県の割合が大きく、広島県が25%と低い。
九州地区では大分県67%、長崎県51%と高いが他の県はほぼ平均並みであった。


平成25年03月20日「前年比10%増4万7千頭」 ~24年都府県登録状況~
都府県で昨年1年間に血統登録された雌牛は4万6,939頭で前年より3,474頭と大幅に増加した。この10%近い増加は一昨年の3月11日に発生した東日本大震災の影響で東北および関東地区の登録が減少した影響からの回復が大きい。しかし、血統登録を行った酪農家数は、4,756戸で前年より14戸減り酪農家1戸あたりの血統登録数は9.9頭で前年よりも0.8頭増加した。
表1には最近6年間の都府県登録頭数と登録農家戸数の推移を示した。
登録件数の推移を見ると平成20年の4万1,000千頭で底打ちになり、ここ2年増加していたが23年次は大きく減少し、24年次は例年並に回復した。登録戸数は、歯止めがかからず減少の一途を辿っている。前年減少した1戸当たりの血統登録頭数は、ここ6年では最多の9.9頭となった。
登録頭数1位は3年連続品川文隆さん(群馬県)
表2に昨年1年間に50頭以上の血統登録を実施した会員を示した。集計では親子などは1会員にまとめて登録頭数の多い会員名で表示した。
登録頭数の最も多かった会員は3年連続で品川文隆さん(群馬県)で287頭であった。品川牧場は前年より登録頭数を8頭増加し、過去5年間では1,000頭を優に超えている。2位は朝倉修一さん(茨城県)の233頭で前年比10頭の増加であった。3位は(農)小岩井農場(岩手県)が227頭、4位は(独)家畜改良センター(岩手、福島、宮崎県の合計)が177頭、5位は古川牧場(群馬県)の169頭。以下、(有)ロマンチックデーリィファーム(群馬県)、山中誠さん(岡山県)、野村栄一さん(茨城県)、(有)KC牧場(群馬県)、(有)首藤牧場(大分県)、(有)ツバヌキ牧場(鳥取県)、外之内博行さん(茨城県)、鈴木基夫さん(愛知県)、(農)霧島第一牧場が100頭以上を登録した。
年間100頭以上の登録農家は14戸で前年より2戸増加、50頭以上では16戸増加した。
今回とりまとめた50頭以上の登録を行った55会員には自動登録農家(表中、*を表示)が39戸あり、多頭数飼養農家では申込書不要、料金割引、登録洩れの防止、移動料無料など自動登録のメリットが大きい。


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平成25年03月20日「生涯乳量」 ~都府県25年1~2月~
平成25年1~2月に都府県で検定成績証明されたものの中から、別表に生涯乳量5万㌔以上で上位30位までの高記録牛を示した。今回は5頭が総乳量10万㌔を突破した。
1位・糟谷英文さん(千葉県)所有「カスヤファームダブリューエルフレーランド」
今回の生涯乳量トップは、糟谷英文さん(千葉県)所有の「カスヤファームダブリューエルフレーランド」(平8.2.13生)の検定回数13回で検定日数4,780日、総乳量15万7,960㌔、乳脂量5,692㌔、平均乳脂率3.6%、乳蛋白質量5,204㌔であった。この記録は、全国では歴代9位、都府県では2位の高記録であり自身の持つ県内の歴代記録をさらに伸ばした。本牛は、平均乳量が1万㌔を超えている(最高乳量1万6,768㌔)高泌乳牛であり、13産目の記録を追加し今回の記録達成となった。
審査得点も87点と体型においても優れた成績を残している。
2位・槇芳行さん(福岡県)所有「マタドーアRICE」
2位は、槇芳行さん(福岡県)所有の「マタドーアRICE」(平10.11.6生)の検定回数9回で検定日数3,773日、総乳量10万6,789㌔、乳脂量4,184㌔、平均乳脂率3.9%、乳蛋白質量3,376㌔であった。本牛は、平均乳量1万㌔を超えており(最高乳量1万6,585㌔)、今回の検定証明により県内の歴代記録6位を獲得している。
3位・鈴木洋一さん(千葉県)所有「ベルセイムストームバリアントローラ」
3位は、鈴木洋一さん(千葉県)所有の「ベルセイムストームバリアントローラ」(平12.12.19生)の検定回数8回で検定日数2,841日、総乳量10万1,533㌔、乳脂量3,822㌔、平均乳脂率3.8%乳蛋白質量3,042であった。このたび全産次の検定証明を一括申請したことで記録達成となり、県内の歴代記録4位を獲得している。今回の記録により、千葉県内で10万㌔超え達成牛は5頭となった。
4位・前田勉さん(長野県)所有「マエダファームソルアーチェル」
4位は、前田勉さん(長野県)所有の「マエダファームソルアーチェル」(平13.8.27生)の検定回数8回で検定日数3,082日、総乳量10万1,366㌔、乳脂量3,800㌔、平均乳脂率3.7%、乳蛋白質量3,391㌔であった。本牛も全産次の検定証明を一括申請したことで記録達成となった。また、本牛は審査得点88点と泌乳能力だけでなく体型においても好成績を残している。
5位・山ノ内浩一さん(新潟県)所有「エムエスローマンデールミックス」
5位は、山之内浩一さん(新潟県)所有の「エムエスローマンデールミックス」(平11.2.7生)の検定回数9回で3,031日、総乳量10万693㌔、乳脂量4,572㌔、平均乳脂率4.5%、乳蛋白質量3,407㌔であった。この記録は、県内の歴代5位である。
9位の駒場靖史さん(栃木県)、23位の福井邦仁さん(愛知県)、26位の徳川恵一さん(徳島県)所有牛は、審査得点EX(90点以上)を獲得し、体型においても優れた成績を残している。


平成25年03月20日「3.5年型で記録更新」 ~24年高能力牛まとめから~
平成24年1~12月末までに日ホル協で検定成績証明された中から、各年型別に乳量・乳脂量(2回搾乳)の全国トップ牛を下表にまとめた。
鈴木進さん(北海道)所有「スミーデール ロータミー タイタニック ET」が記録更新
表中、全年型を通じて最高乳量は、鈴木進さん(北海道芽室町)所有の「スミーデールロータミータイタニックET」で、365日で乳量2万8,772㌔、乳脂肪量1,032㌔、乳脂肪率3.6%。今回の乳量は全国歴代2位の高記録であり、3.5年型歴代記録を更新した。また、同年型の305日でも乳量2万4,625㌔で記録を塗り替えた。
鈴木牧場は計6部門でトップを占めている。
今回は残念ながら都府県牛で部門トップは出なかったが、優秀な成績を残している。
乳量では2年型で、(独)家畜改良センター(福島県)の「ロックイーグルドーリタフリーTバクスターET」が、305日乳量1万5,632㌔で3位。3年型では、同所有牛の「ミソノロニィセルタスバクスターET」が、305日乳量1万6,770㌔で4位であった。
乳脂量では2年型でル・メイユールシンジケート(兵庫県)所有牛「ミッドフィールドCCMゴールドウィンフィーニアET」が、305日で588㌔の4位。365日でも684㌔の3位と好成績であった。3年型では、山之内浩一さん(新潟県)の「レディスターデニバートラディション」が305日で694㌔の4位であった。この他にも数多くの好成績を残している。


平成25年03月20日「検定成績優秀牛」 ~都府県、平成25年2月証明分F偏差値~


平成25年03月20日「審査人生を振り返って 22年間・8万頭の軌跡」 ~日本ホルスタイン登録協会審査委員小島裕~
今年3月をもって(社)日本ホルスタイン登録協会を退職します。昭和42年に入会して以来46年もの長きにわたりお世話になり、今日まで無事に仕事を全うできましたのは、日ホ協と言う組織と職員、支部承認団体、そして関係団体関係者、並びに大勢の生産者の方々の温かいご指導、ご協力と叱咤激励があったればこそと改めて感謝とお礼を申し上げます。
審査実績
さて、表題について記させてもらいますが、平成2年12月に審査委員の辞令を受けてから22年間、好きでやりたかった審査業務を全うさせていただきました。
この間に生産者の財産である乳牛約8万頭もの審査をする機会に恵まれ、その中から約330頭のEX牛(体格得点90点以上)評価をさせていただきました。
最も多くのEX牛評価をした県は岩手県で57頭、次いで栃木県39頭、静岡県29頭、群馬県・熊本県が夫々24頭、千葉県が18頭と言う結果になりました。また、自分として残念であり、心残りは、14県においてEX牛とめぐり会うことが出来なかったことです。
また、初産85点の評価牛は約40頭でEX牛と比較してかなり少ない頭数でした。なお、初産85点に評価した牛の中からEX牛に評価されたのはわずか2割に過ぎませんでした。改めて牛乳を長期にわたって生産する乳牛の飼養管理の難しさを感じた次第です。
初めてEX牛を評価したのは鳥取県田中泰彦牧場の「フレッシニアデビークリッシー」号です(父牛はクリスタン)。この時は、笑い話になりますが一人歩きの始めということで、当時の審査部長が気を使い、EX牛に評価できる牛はおそらく居ないだろうとの判断で日程が決まったようです(鳥取県に対しては大変失礼な話ですが)。
しかも、日程初日の最初の牧場が田中牧場でしたから自分もビックリで、EXをつけて良いものか悩んだ記憶があります。
共進会等に携わって
全日本ホルスタイン共進会は、愛知県豊橋市で開催された第5回から栃木県で開催された第12回まで経験させていただきました。しかし、北海道で開催を予定していた第13回が宮崎県で発生した口蹄疫や東日本大震災等で中止となったことは止むを得ない事情ではありましたが、最後に協力できる全共と思っていましたので、とても残念でした。平成27年度開催を切に願うばかりであります。
岡山県で開催された第11回全共の未経産クラス(第1部~第5部)で審査員を担当させていただいたことは大変光栄で名誉なことであり、当時の会場の熱気等を思い出すと本当に良い経験をさせていただきました。
その時、自分が未経産クラスのチャンピオン牛として選んだのは地元岡山県から出品された「ロンゲストビューティーゴールドベルホープ」号(父はゴールドバック)でした。全共終了後の体型審査において4歳時に私が87点の評価をしていました。
全日本ブラック&ホワイトショウは、昭和56年に第1回が静岡県経済農協連・袋井家畜市場で開催されてから第8回が平成24年に静岡県の御殿場市馬術・スポーツセンターで開催されるまで、何れも事務局として参加させていただきました。全ブラは全共とは違った緊張感もありますが、始まりから終わりまでを生産者、同志会事務局とともに考え運営していくことで凄い親近感が持てました。
自分自身でのショウの審査は、連合共進会、県共、地区共進会、B&Wショウを含めると29都県75箇所での審査員を担当させていただきました。
共進会の審査は、そのときの状態が良い県や地区の代表牛が出品されるわけですから、楽しみと同時にプレッシャーも感じました。審査員は乳牛を審査するわけですが、「出品者や参観者等は審査員を審査しているから心してやれ」と言われたときは本当に緊張しました。
共進会では、自分の判断した序列について納得させられる説明ができるかに限りますが、これが結構難しく、共進会の審査はやるものではなく見るものだといわれる所以かもしれませんね。
全共、全ブラ、県共等に携わる機会を得て感じたことですが、夫々のショウを見せてもらうたびに出品牛が変化しているのがわかります。特に、体高が遺伝率の高さもあって飛躍的に伸びている点と質感といいますか、首の薄さ・長さ、き甲部のしまり、肋骨が平骨で方向が良く、皮膚・被毛も良くなっており、体全体が非常に鋭角的になり乳牛らしさが出てきました。乳器についても後乳房の高さと幅において変わってきていると感じられます。
自分なりに今後の改良の中で改善が必要と思われる点は、寛の位置が全体的にやや後方気味、肩後の充実度、肋の開張不足、蹄の質、乳頭の配置、乳房底面の逆傾斜等の思いがあります。また、体全体から見てのバランス、つまり体高比における尻長と腰角幅が従来と変わっていない点ではなかろうかと思います。従って、今後は尻長と尻幅を改善することを期待したい思いです。
生産者等との対話
審査委員は、生産者が日々努力して育成・管理している乳牛を見せてもらい評価していますが、生産者と自分の評価が同じ場合は良いのですが、合わないときの説明の大切さを感じました。日ごろから丹精こめて管理している牛ですから説得力のある説明が必要です。ですから生産者と対話をしながら審査を進めるということは、長く審査業務に携われたことに関係があると自分自身で納得しています。生産者の話には、教科書に書いて無いものも多く、現場での自身の体験談なので審査業務上で大変参考になった記憶があります。
この仕事を長期間全うできたことは、ある面で生産者、関係団体職員の方々に色々な体験談を聞かせていただいたことも大きな要因と、改めて感謝とお礼を申し上げたいと思います。
審査関係の流れ
体型審査は皆さん既にご承知の通り、体の各部位の機能性を評価することで、その牛がより長い期間牛群に留まり、かつ生涯にわたって高い泌乳能力を発揮できるか否かを判定するものです。
審査標準は理想体型を100点として、体の各部位について審査の基準を定めたもので、その歴史は、明治44年の登録事業創設当時に、オランダとアメリカの審査標準を併用したことが始まりで、オランダ標準は10区分、アメリカ標準は25区分でした。しかし、品種改良上で2カ国を併用することは不合理として、日本の審査標準を昭和17年に制定しました。
当会に入った当時は、体型審査は高等登録、保証血統登録、本登録申し込みにおいて実施。検定成績との絡みもあって現在実施されている牛群審査とは異なります。
例えば、高等登録は
  • ①乳器75%未満
  • ②体積74%未満
  • ③生後24ヶ月以上で胸囲180㎝未満
  • ④生後24ヶ月以上で体高128㎝未満のものは不合格
となっていましたが、牛群審査においては、基本的に不合格扱いはありません。審査上の大きな変革となったのは昭和57年に牛群審査の試験実施を開始し、59年から全国実施へ拡大、昭和60年から本実施に移行したことだと思います。
ちなみに、59年に全国実施したときの審査成績証明頭数は、5万頭強で、前年の1.7倍の伸びであったとあります。
先に記した高等登録審査では、1頭ずつ頭絡をつけて牛舎から外に引き出し、静止した状態で評価していましたが、牛群審査では審査委員が牛舎内に入り、牛房に繋いだままの状態で審査するので、当初は戸惑う受検者も多かったように思われます。
体型改良も、牛群検定事業同様「個体から牛群で改良する時代」と言われていますが、体型審査における現実は状態の良いもののみを受検する傾向にあるようです。
審査委員になった平成2年以降の審査に関する主な変遷は、平成2年から手書きをしていた審査野帳がハンディコンピューターに変わり、平成5年は審査間隔を9月から6月に短縮、平成6年には、審査標準の改正で生涯生産性の向上を図るため、肢蹄と乳器を重視した5大区分(外貌、肢蹄、乳用牛の特質、体積、乳器)に、更に13年後の19年からは長命性と遺伝的に相関の低い体積の区分を廃止し、長持ちとの関連から肢蹄を、繁殖の関連から尻の形状等を一層重視した内容の4大区分(体貌と骨格25点、肢蹄20点、乳用強権性15点、乳器40点)に改正されました。
また、審査標準とは別に体各部について長さや幅、角度などを1~9のスコアで評価する「線形評価法」を昭和61年から併用して実施しており、体型評価をするときに非常に役にたっています。
体型評価法と線形形質の評価については、種雄牛の遺伝評価に活用される関係から審査委員間の目合わせが重要となり、本・支局間で毎年2回の目合わせを実施しており大変勉強になります。ここでは、各審査委員が評価した牛を全員で意見交換しながら目を合わせていくということで、疑問点を解消し、新たな気持ちで審査業務を遂行できたのは大変意義がありました。この国内審査委員の目合わせとは別に、インターブルの関係からWHFF審査委員ワークショップが1年おきに開催されており日本もこれに参加しています。因みに、自分もスペインで開催されたこのワークショップに参加させていただき、世界各国の審査委員とホルスタイン種の目合わせができたことは良い思い出となりました。
最後に
乳牛改良には終わりが無いだけに、生産者は毎日大変なご苦労をしていることと思いますが、難しく考えず、現状よりも良いものをとの考えから改良を進めていただきたいと考えます。

平成25年03月20日「第34回全国ホ改総会」 ~役員改選・松島会長退任(2期6年)~
事業報告、収支決算等を報告
全国ホルスタイン改良協議会は2月19日、日ホ協会議室において第34回通常総会を開き、前年度事業報告・収支決算報告と、平成25年度事業計画案・収支予算案並びに役員の改選について協議し、全て原案どおり可決承認された。事業報告では、第8回全日本ブラックアンドホワイトショウを、静岡県御殿場市馬術・スポーツセンターで11月に開催し、過去最多となる全国35都道府県から204頭が集まり大きな成果を挙げ盛会裡に終了したこと、ジャジング・スクールについては、東日本大震災における、東北復興の一助となるよう7月に岩手県で開催し、一般参加者、ジャッジ候補者、農業高等学校2校を含む総勢96名の参加があり、成績優秀者6名を平成24年度認定ジャジマンとして認定した。
新会長木田有氏(兵庫県)
本年度事業計画では、認定ジャジマン研修会を4月に北海道で開催、ジャジング・スクールについては、11月下旬に鳥取県で開催することが決定された。また、役員の任期満了に伴う改選が行われ、2期6年間に渡り会長を務めた松島喜一氏(熊本県)が退任し、木田 有氏(兵庫県)が新たに会長に就任した。木田新会長は「多くの諸先輩方の中、若輩者ではありますが会長としての責務を精一杯務めて参りたい。皆様方のより一層のご協力をお願いしたい。」と挨拶を述べた。

平成25年03月20日「社員選挙のお知らせ」 ~会員各位~


平成25年03月20日「審査頭数1割増」 〜都府県平成24年度審査・調査実施状況〜
審査頭数967頭増、調査頭数711頭減
平成24年度の都府県におけるホルスタイン種の牛群審査は41都府県、後代検定体型調査は44都府県で実施された。審査頭数は9,225頭で前年より967頭の増加となった。一方、体型調査は1万2,408頭と昨年より711頭減少した。
ジャージー種の審査は83頭で、前年より18頭の増加であった。また、ブラウンスイス種においては2頭を審査、前年より5頭減少した。
24年度のホルスタイン種の審査・調査牛の平均得点は81.2点であり、昨年と同様であった。また、審査得点90点以上(EX)に評価された雌牛はホルスタイン種196頭、ジャージー種3頭、合計199頭で前年度より9頭減少。
牛群審査の最多受検は小岩井農場の240頭。次いで家畜改良センター岩手牧場の177頭となった。酪農家では、宮城県の半澤牧場が98頭を受検し第3位であった。
24年度後期では岩手県・佐野茂樹さんの「プロスベリーエルトンラッキーダスト」並びに神奈川県・薗克博さんの「ミークネスダンテマーシャビーナス」が93点を獲得し、今年度の最高得点となった。これで都府県では95点2頭、94点8頭、93点26頭が誕生した。なお、東日本大震災で大きな被害を受けた東北6県の審査、調査頭数は、前年度比114.8%の伸びであり、酪農家並びに関係者に敬意を表したい。
受検頭数1位岩手県、2位熊本県
都府県別の状況をみると、審査頭数では岩手県が1,097頭で最も多く、以下、熊本県823頭、群馬県812頭、栃木県634頭、愛知県513頭、千葉県481頭と続いている。
この上位6県の順位は岩手県、熊本県は昨年度と同じであったが、群馬県が栃木県を抜き第3位、愛知県が千葉県を抜き5位となった。審査頭数も上位6県で都府県の47.37%を占める。
一方、酪農生産基盤改善支援対策事業で実施している体型調査は、年度当初の各県計画頭数に基づき、1,849戸を巡回し、後代検定材料娘牛3,273頭、比較牛9,135頭、計1万2,408頭の体型データを収集した。これは前年度と比較して711頭の減少であった。調査頭数では熊本県が1,403頭を実施。他県を大きく引き離し、13年連続のトップとなった。次いで岩手県848頭、鹿児島県780頭、福岡県775頭、群馬県750頭、栃木県698頭の順。
牛群審査と体型調査の合計では、熊本県2,226頭のほか、岩手県、群馬県、栃木県、愛知県で1,000頭を超えた。
最多頭数・小岩井農場
審査頭数が最も多かったのは、冒頭に紹介した 小岩井農場の240頭、次いで家畜改良センター岩手牧場の177頭。
また酪農家での最多受検は宮城県・(有)半澤牧場の98頭、群馬県・高橋ミルクファーム(有)91頭、埼玉県・(有)加藤牧場91頭、愛知県・森富士樹さん89頭と続く。表には24年度の牛群審査受検農家のうち、年間審査総頭数が多かった農家を示した。
新たなEX牛13農家で誕生
平成24年度、次の方々で初EX牛が誕生した。
  • 青森県・佐藤輝美さん
    岩手県・丸山芳照さん
    岩手県・齋藤芳也さん
    岩手県・村上浩之さん
    栃木県・大野雅美さん
    群馬県・黒岩敏夫さん
    新潟県・広川寛さん
    長野県・前田勉さん(ジャージー)
    静岡県・内田利光さん
    岡山県・影山羊二さん
    徳島県・徳島県
    熊本県・(有)ナガシオ
    熊本県・益崎伸也さん

なお、平成24年度にEXを獲得した上位5県は、次のとおり。
岩手県32頭、次いで栃木県19頭、熊本県18頭、群馬県15頭、岡山県12頭。


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平成25年03月20日「今後の日程」 〜日本ホル協〜
  • 全国ホルスタイン改良協議会主催・認定ジャジマン研修会
    4月26日(金)〜27日(土)北海道夕張郡、長沼町農村広場
  • 日本ジャージー登録協会理事会・総会
    5月23日(木)東京都中野区、日ホ協会議室
  • 決算監査会
    5月24日(金)東京都中野区、日ホ協会議室
  • 第266回理事会・第65回通常総会
    6月21日(金)東京都中野区、中野サンプラザ
  • 地区別登録委員研修会【予定】
    • ◎東北地区=7月22〜23日=福島県
      ◎関東地区=8月上旬東京都中野区、日ホ協会議室(事務担当者会議のみ)
      ◎中部・北陸地区=7月29〜30日=岐阜県
      ◎近畿地区=8月5〜6日=奈良県
      ◎中国・四国地区=7月25〜26日=鳥取県
      ◎九州地区=8月1〜2日=大分県
  • 中央審査研究会
    9月25日(水)〜27日(金)北海道、新冠牧場

平成25年03月20日「審査日程」 〜平成25年4月〜8月〜