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平成30年01月20日


平成30年01月20日自動登録一層の普及を

~血統登録の精度向上も強化~

-(一社)日本ホルスタイン登録協会会長前田勉-
新年明けましておめでとうございます。
酪農家の皆様、登録委員並びに関係団体各位におかれましては、健やかな新春を迎えられたこととお慶び申し上げます。
昨年は、7月に九州北部で記録的な豪雨が発生し、酪農関係でも飼料流出や道路寸断、停電によるバルク乳の廃棄等大きな被害がありました。被災された皆様には心よりお見舞いを申し上げます。
皆様にとって昨年はどのような年だったでしょうか?都府県における生乳生産量はやや減少したものの、子牛販売価格の引き続き高騰や飼料価格も比較的安定し、酪農経営の上では順調な1年であったかと推察いたします。さらに、国の畜産クラスター事業や楽酪事業等の支援もあり、充実した1年でした。
しかしながら、本年4月から改正畜産経営安定法による新たな加工原料乳生産者補給金制度が施行されますが、この新制度が酪農生産基盤の安定と酪農家の所得向上につながるものなのか等、不安感はなお大きいものがあります。また、米国を除く環太平洋11か国TPP交渉の大筋合意や日EU・EPA協定妥結等、今後のわが国酪農・乳業にとって大きな影響を与えることも想定されます。
加えて、国内の酪農家戸数や乳牛飼養頭数の減少、生乳生産量の減少が続いており、国は乳用牛の遺伝的能力向上や雌雄判別精液利用による後継牛確保等の生産基盤対策を強化していますが、当協会としても引き続き、遺伝的改良の面から生産性向上とコスト低減、優良な後継牛確保に係る有効な事業の実施と情報提供等に努めていく所存です。
都府県自動登録60%台に
具体的な方策として、先ずは当協会の基幹事業である血統登録の推進です。登録有資格牛の全頭登録を目指して、平成16年から本格スタートした自動登録も14年が経過し、北海道では年間登録頭数の96%以上、都府県でも60%以上が自動登録されています。登録申込書類不要、安価で登録証の早期発行といった自動登録のメリットをさらに浸透させていきたいと考えます。
また、自動登録農家を対象としている「自動登録同時SNP検査申込」では、SNP検査の早期実施を奨励するため、該当牛の血統登録料を半額返付しています。SNP検査結果と従来からの遺伝評価値から得られるゲノミック評価値は、育成牛の早期選抜や交配種雄牛選定に有効です。
血統登録を推進する一方で、登録の精度をさらに高めていくことも登録協会の使命です。血統登録申請の際には、無作為抽出による親子判定抜取調査をこれまで以上に強化するとともに、SNP検査の際に行う血縁チェック等で血縁疑義が判明したときには、速やかに従来の親子判定検査を実施して血統疑義の解消に努めます。
長命連産性向上事業の実施
乳牛の長命連産性や生涯生産性向上は酪農経営にとって有益であり、当協会では本体事業である牛群審査のほかに、国の補助事業による初産牛体型調査を実施して、後代検定種雄牛及び雌牛の遺伝評価値計算に用いる体型データ収集を行っています。
また、本年度からは全国競馬・畜産振興会の畜産振興補助事業として「乳用牛DNA情報による長命連産性向上事業」を実施し、育成牛の標準発育値と、長命連産性向上のための体のサイズ、肢蹄に関する指数の開発に着手しています。これらの体型審査では、当協会審査委員が直接、審査受検農家を訪問し、審査終了後にはその場で審査結果を印刷・還元しており、個々の雌牛の飼養管理や種雄牛交配に利用できます。
第15回九州全共に向けて
最後に、2020年10月31日から11月2日、宮崎県都城市の都城地域家畜市場において第15回全日本ホルスタイン共進会九州・沖縄ブロック大会を開催するにあたって、昨年10月には実行委員会が設立され、全共開催に向けて本格的な準備が始まっています。
ホルスタイン12部、ジャージー2部の計14部、出品総頭数270頭について、各都府県の日ホ支部・承認団体と協議を行いながら、本年11月には参加都道府県別出品割当頭数を決定する予定です。前回の北海道全共と同様に、後代検定娘牛出品クラスの設置や高等学校の出品奨励も行います。
本年も当協会事業に対して、特段のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げ、皆様方にとって益々のご健勝とご発展を祈念して年頭のご挨拶といたします。

平成30年01月20日血統登録で改良の道筋を

-登録部より-
酪農経営の安定には後継牛確保が重要
この全酪新報を始め各種新聞や雑誌等で報じられているとおり、最近の乳用種初妊牛価格は高騰したまま一向に下がる気配がありません。本紙連載の「乳牛産地情報」でも、初妊牛は85~95万円で横這いが続いており、育成牛ですら60万円弱となっています。これは、北海道を主として素牛を供給してきた酪農家の廃業やF1生産の増加によって、乳牛素牛の絶対数が足りなくなってきたこと、さらに、メガファームなど大型牧場の導入意欲が依然として強いことが要因と考えられますが、すでに一般酪農家が気軽に手を出せないほどの価格で推移しております。
とはいえ、経営体として考えた場合、一定の生乳生産量を確保すること並びに一定の乳質を保つためには乳牛の更新は不可欠であり、後継牛を確保することは極めて重要な案件となります。
一方、経営の安定を図ることを考えた場合、生産性の向上による生産コストの低減が求められています。一時的には増頭やエサの多給によって生乳生産量を上げることで乗り切れますが、長い目で見れば、遺伝的能力を向上させ、これを効率的に発揮させ、牛群の能力水準と斉一性を高めていくということが重要と考えられます。
一般的には乳量や乳成分率、体型等の形質において、親から子へ遺伝する割合は、乳量で30%、乳成分率で50%、体型形質では10~30%程度と推定されます。現在では種雄牛の後代検定や牛群検定の実施によって、種雄牛や雌牛の遺伝評価値が発表され、そのレベルは年々向上しています。
酪農家は、総合指数(NTP)や各形質の遺伝評価値を活用して、より優れた後継牛が期待できるような交配と選抜淘汰を行って、生産性の向上を図ることができるようになります。
牛群改良の第一歩は登録から
牛群改良の第一歩は正確な記録をとることから始まります。記録が正確でなければ、いかに優れた交配や選抜淘汰を行ったつもりでも、改良の効果は上がりません。
個体記録の根幹をなすのが血統登録です。いつ、どこで、どういう父母から生まれたかという血統情報があって始めて、近親交配や遺伝的不良形質の発現を防ぐことができます。また、血統の特徴は泌乳能力や体型面によく現れます。血統の記録を牛群検定や体型審査成績と結び付けることによって、血統の特徴を生かした改良を的確に行うことが可能になります。
すなわち、登録は、酪農家の交配計画に有効に活用されていることは言うまでもありません。
登録のメリット
酪農家にとって登録することのメリットは、①登録証明書によって父母、祖父母など血統が明確になるとともに、登録協会の登録簿に記載され、永久に保管される、②遺伝的に優れた血統をより確実に残すことができる、③血統濃度(47~100%)によって血統の純粋性の度合いが明示される、④強度の近親交配を回避できる、⑤BLADやCD(牛コレステロール代謝異常症)、さらにハプロタイプなど遺伝的不良形質の発現を未然に防ぐことができる、⑥能力、体型等の付加情報によって個体販売が有利になるとともに、改良の指針となる、などが挙げられます。さらに、⑦国並びに関係機関が行う種雄牛や雌牛の遺伝評価に際しても当協会の血縁情報が利用されており、その意味合いは益々重要になってきております。
言い換えるならば、乳牛の腹をF1生産や和牛ETのためだけに使うことは資源の無駄使いといっても過言ではありません。貴重な乳牛の後継牛を残し、それを再生産のために使うということで発想の転換を行ってほしいものです。
最後になりますが、牛舎の中のもう1頭、登録に結びつけていただくようお願いします。

平成30年01月20日繁殖台帳を印刷できます!

-家畜改良DBリニューアル-
日本ホル協が運用している家畜改良データバンクのウェブサイトをご存知でしょうか。このサイトでは、血統情報や近交回避情報などを閲覧することができますので是非一度ご覧ください。
そしてこの度、一部をリニューアルし、当協会会員限定で飼養牛1頭毎の繁殖台帳(図1)を印刷できるサービスを開始しました。
当サイトのメインメニュー(図2)「会員情報」からログインすると、「農家別登録牛情報」ページを閲覧できます。このページでは、その農家で現在飼養中の乳用種牛が、血統登録の有無に関わらず一覧で表示されます。繁殖台帳を作成したい牛を選んで、ご家庭のプリンターで印刷して利用してください。
無登録牛でも利用可能ですが血統登録牛の場合、当協会が所有するその牛の情報(名号、生年月日、血統濃度、血統3代、遺伝病検査結果)が繁殖台帳に記載され充実します。
正しい内容の血統登録を行うには、日々の繁殖状況を正しく記録することが大切です。是非ともご活用ください。
図1

図2
PDF版

平成30年01月20日日ホル協・日ジャ協「会員申込書」新しく

-総務部より-
乳牛の改良並び酪農経営改善の第一歩は血統登録であり、そのメリットは同紙上で紹介しています。
血統登録を申込むには、当協会の会員になることが必要となります。会員は各個人対応で、たとえ親子でも個々に会員になる必要がありますが、法人や団体等の場合は団体が会員となります。
この度、会員申込書が新しくなりましたので、紹介いたします。
申込書は当協会Webページからダウンロードできます。
新しい会員申込書では、会員入会とその家族の退会申込みが、一枚で可能になりました。
たとえば、後継者に贈与する場合、まずは後継者の会員申込書を記入してください。そして「家族会員がいる・・・・」の欄に現牧場主の会員番号・氏名をご記入いただき、「退会」を○で囲むことで、新規入会と退会が同時に行なえます。
次に、自動登録を実施している農家のための「登録牛の同一家族への所有者変更届」の提出が省略できる項目を新たに追加しました。
「家族会員が既に自動登録を実施している場合、今回の入会者に所有者変更を行いますか」の「はい」を○で囲むと、登録牛の所有者名義を申込者へ変更できます。
新「会員申込書」を活用して、スムーズは会員・退会・所有者変更を行ってください。
平成30年01月20日人事異動

-日本ホル協-
◇西村 多恵子登録部登録課書類係
◇稲沢かがり総務部総務課庶務係

平成30年01月20日トップは㈲川名デーリィ牧場

-都府県別生涯検定-
日本ホル協ではこのほど、2017年末までに都府県で検定成績証明された生涯検定記録牛を取りまとめた。
トップは川名デーリィ牧場
生涯乳量のトップは、24年振りに都府県記録を更新した千葉県館山市・(有)川名デーリィ牧場所有のネザーランドニツクマンフエイアーク(得点86点)である(表1)。12乳期で検定日数4214日、生涯乳量(M)18万2068kg、乳脂量(F)6401kg、平均乳脂率(F%)3・5%、検定1日当たり平均乳量も43kgを超える高能力ぶりを発揮し、生涯乳脂量でも都府県3位を誇る。残念ながら昨年4月に死亡している。
2位の鳥取県鳥取市・田中泰彦さん所有のロイブルツクハイアーエレン(85点)は昨年まで24年間トップを守り続けた。M16万6278kg、F8978kg、平均F%5・4%で、生涯乳脂量は未だに全国1位である。
3位の鳥取県南部町・板持翔磨さん所有のヘリオムスタングリートンはM16万3190kg、F4893kg、平均F%3・0%であった。
10万kg以上岩手県が26頭
都府県で生涯乳量10万kgを突破した牛は203頭で、一番若い牛で08年生まれであった。都府県別の頭数でみると表2のとおり、岩手県が2年前より2頭増頭し26頭でトップであった。2位には群馬県がプラス5頭の20頭となった。3位には栃木県が18頭(プラス4頭)であった。また、6位に推進を行った岡山県が17頭増頭との13頭で著しい増加をみせた。
亀田康好さんが9頭
10万kg以上を牧場別(表3)でみると、埼玉県坂戸市・亀田康好さんが9頭であった。続いて福岡県福岡市の槇芳行さんが8頭、3位は宮城県岩沼市・(株)布田牧場の7頭であった。
種雄牛別ではスターダム
表4は種雄牛別で見たものである。1位はハノーバーヒルスターダムで娘牛7頭が10万kgを突破した。2位にはバーウードプリンスバリアント他2頭が娘牛5頭であった。
7都府県でトップ更新
表5は検定回数3回以上、総乳量3万kg以上で都府県別1位の一覧である。
そのうち、過去1年でトップが更新した都府県は7県あった。北から紹介すると、岩手県・中六角保広さん所有のリバテイーフアームプレステージアウトサイドマスター(88点)が県内5年振りに更新した。13万8767kgは都府県生涯乳量13位である。
宮城県では14年振りに渡辺博さん所有牛を抜き、(株)布田牧場のマナツルブラスジユリアフタゴ(89点)が11万7216kgで県のトップとなった。
群馬県では星野和司さん所有のキヤプテンオプシヨンロジツク2393(86点)が自身の記録を更新して16万244kgとなり都府県6位となった。
千葉県では、前述の都府県1位になった(有)川名デーリィ牧場所有フエイアーク号が4年振りに県内記録を更新した。
長野県では安曇野市の太田博士さん所有ジヨーネンアパツチカーネーシヨン(86点)が16万634kgとなり都府県5位となった。
岡山県では、長恒充さん所有のダウンヒルブリツツプリテイー(89点)、M12万6490kgが宮野晃好さん所有牛を40日後にわずか140kgの差でかわし記録を更新した。
徳島県は、徳川恵一さん所有のレツドフアームズマテイツクグレア(89点)は自身の記録を更新して10万808kgとなり県内初の10万kg突破牛となった。
この表から特に静岡県・石川和博さん所有のプーリーブリツジスカイチーフエレガンス5ETが審査得点91点、神奈川県・中村浩建さん所有のジヤーランチエマツクスマツトが90点、京都府・谷口学さん所有のラーンデールジヤステインアンナも90点であり、能力・体型ともに優れている。

平成30年01月20日群馬県・高得点2頭誕生

都府県4頭目の95点誕生
平成29年度後期審査において、都府県4頭目、全国でも9頭目となる高得点95点(4E)と評価された牛が誕生した。
群馬県太田市・遠坂和仁牧場の「フアインリコダツチ」7歳8ヶ月、29年9月7日に6産目を分娩。父牛は「ゴツドフレイラテイチユードET」。
リコダツチは、26年12月3産目で90点と評価され、産を重ねるたび得点を確実に伸ばしてきた。26年第14回北海道全日本共進会に出品経験があり、28年・29年の群馬県共進会に2年連続で経産名誉賞を受賞している。
分娩後3カ月の牛群審査で、コンデションは良く、前躯から中躯・後躯への移行に優れ、肋骨の間隔は広く、後方に良く開張した伸びのある体貌と骨格を持っている。乳器において、前乳房は長く強く付着し、後乳房の付着は高く幅広い。6産した乳房の底面は飛節より高く理想に近い状態である。
各部の得率をみると、体貌と骨格94点、肢蹄92点、乳用強健性96点、乳器96点であった。

「フアインリコダツチ」(父:ラテイチユード)平22.03.31生
群馬県遠坂和仁さん所有(平29.12月撮影)
高得点93点誕生
同じく群馬県で93点(3E)の高得点牛も誕生している。高崎市・長坂仁司牧場の「ラブリーフアームイグニターアイオン」6歳4カ月、29年9月29日に5産分娩。父牛は国内種雄牛の「ミツドフイールドCCMアイオーン」。
アイオンは、体高・体長に優れバランスが良い。き甲部は良く締まり、肋骨の間隔が広く開張し、皮膚被毛が良く、乳用強健性に優れた牛である。5産した乳器の前付着は強く、後乳房の付着は高く幅広い。乳房底面も飛節より高く、パワーのある乳器である。
4部位の得率は、体貌と骨格91点、肢蹄91点、乳用強健性93点、乳器94点。
写真はデーリィマン社より提供

「ラブリーフアームイグニターアイオン」(父:アイオーン)平23.8.22生
群馬県長坂仁司さん所有(平28.3月撮影)

平成30年01月20日新人紹介

登録部登録課西村多恵子
この度1月1日付で当協会の正職員になりました西村多恵子です。東京生まれ東京育ちで23歳と25歳になる息子がおります。2人とも小さい頃から水代わりに牛乳を飲んでいたおかげで健康と大きな体格に恵まれ、怪我することなく次男は大学まで体育会サッカー部で活躍をしてきました。どれだけ牛たちに育ててもらったことでしょう。感謝しつつもまさかその牛たちに偏差値や賞があるなんて知りませんでした。
私は2009年9月にパート職員、その後契約職員となり登録部登録課で個別登録に係わる業務をしてまいりました。その内容は紙での申込書を整備し画像を貼付、入力する、矛盾がなければ登録し証明書を発行するというものです。また毎週火曜日には証明書の発送を担当しております。
こうした事務処理のなかで酪農家の皆さま、支部承認団体の方々にはたくさんのご協力をいただき、当協会の職員には血統登録の大切さを習いながら登録事務に係われたことは私にとってかけがえのないものとなっております。
正しい血統で多くの登録を繋げることで酪農家の皆さまの発展・安定に結びつけるお手伝いができればと思います。そのためにはこれらからも協会の一員として自覚と責任を持って尽力する所存です。今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。
総務部総務課稲沢かがり
この度、1月1日で当協会に正職員として採用され、総務部配属となりました稲沢かがりと申します。名前には「篝火」の意味がこめられています。幼少より首都圏内を転々としていたため出身と呼べる地を持ちませんが、現在は東京都府中市在住・歴20年になるところです。府中市と言えば東京競馬場がある事をご存知でしょうか。普段は緑豊かで閑静な公園ですが、レースの開催期間中は友人家族連れからツアー客、眼光鋭い勝負師風の方々まで、多様な人々で賑わいます。
学生時代は情報工学を学び、前職まではエンジニアとして情報系の仕事に携わる事が多くありました。当協会へのご縁も、協会で扱っている経理用データベースを扱える人材として派遣会社からご紹介頂いたのが最初です。経理職は初でしたが、請求関連の事務に携わりつつ、経理システムの改良を進めて参りました。「楽するために苦労する」を座右の銘に、自動化できる処理はどんどん自動化・効率化を目指しています。
前職までの業務では顧客の要望に応える成果物の納品を以て利益を上げる事を目的としていましたが、当協会の目的は血統登録とその記録を利用した牛群改良、ひいては酪農の発展です。今までの人生で酪農業に関わった事は一度もありませんが、一次産業に従事する方々への敬意は常にありました。登録業務を通じて酪農業へ貢献ができる、とまで言ってはおこがましいのですが、そうあるように努めたいと思っています。どうぞ宜しくお願い致します。


平成30年01月20日ジャージーでカナダ視察

-ローヤル、国を挙げて盛大な家畜教育イベント-
日本ジャージー登録協会(高村祝次会長)並びに全国ジャージー酪農振興協議会(加藤賢一委員長)は昨年11月7日から13日までの7日間、カナダ・トロント市内で開催されたローヤル・ウインター・フェアをメインに視察研修を行ったので紹介する。
全国組織のジャージー関係団体で海外へ行くことは、今回初めての試みであった。北海道から11名、岡山県4名、熊本県3名、事務局1名、総勢19名の酪農家並びに関係者が参加し、、初日は牧場の視察、残り4日間はショウの視察、正味5日間の日程であった。
牧場視察はホルスタイン、ジャージーの長い歴史のあるトロント郊外のブリーダーで、泌乳能力・体型成績の優れた、クオリティ牧場、プレザント・ヌック牧場、ブレンビー牧場、ブライドン牧場、スプルース・アベニュー牧場の5農場の視察を行った。
また、ローヤル・ウインター・フェアはトロント市内の大規模パビリオンにおいて、様々な家畜品種の生体とチーズや皮製品など畜産物の展示や共進会が行われているイベントで、1922年にイギリス国王・ジョージ5世の時代に始まり、今回が95回目と、とても長い歴史である。
フェアは約10日間の日程で行われ、平日は数十台のスクールバスが連なり、小・中学生が押し寄せる。また、休日は多くの家族連れが来場するなど、カナダの国策、農業のなかでも畜産業を教育する絶好の機会と捉えているからだと考えられる。
平成30年01月20日歴史と先取りの精神

-牧場視察-
市街化の波
クオリティ牧場は、ホルスタイン種のショウカウをメインとする歴史のある牧場で、83年と95年、09年の3度、ホルスタイン・マスター・ブリーダーの栄誉に浴している。「BCフランチスコ」、「ギブソンフィンスコ」、「ゴールドウィンフランスコ」の3世代が95点以上という成績はカナダ初である。
牛舎はかなり前に建てられたニューヨークタイストールであるが、牛は良く手入れされ、高得点の牛ばかりなのが印象的。ローヤルにも数頭出品しているので、初産の分娩直後の牛が多かったが、前躯から後躯にかけての移行や、高さに見合った長さと幅のある牛が多く見受けられた。乳房は当然のこと良く揃っていた。現在は周辺を大規模な工業団地に囲まれている状況。種子でかなり手広く商売をしており、ローヤルショウにも協賛している。
実家で牧場継続
2戸目のプレザント・ヌック牧場は、元はジャージー種のブリーダーであったが、エビイホルムから婿を迎えた事を機会に、ホルスタイン種も10頭ほど搾乳している。開拓時代を思わせる石造りの旧牛舎に、天井の高いフリーバーン牛舎を増築し、約60頭を搾乳している。ローヤルにもジャージー13頭を出品。
当主のジュリー・エビイさんは06年に結婚したが、実家のプレザント・ヌック牧場を08年に廃業すると決めたとき、両親が牧場の継続を希望していたことから、クオータ(権利)を買い取り、牛も選り抜き、提供してもらった。
ちなみに、泌乳能力の平均は、ホルスタイン10頭、乳量1,2963㌔、乳脂肪545㌔、蛋白406㌔。ジャージー40頭、乳量7,212㌔、乳脂肪387㌔、蛋白277㌔。審査成績は、ホルスタイン、2歳級VG(85~89点)4頭、他VG2頭、EX(90点以上)5頭。ジャージー、2歳級VG10頭、2歳級GP(80~84点)3頭、他VG10頭、EX19頭
なお、当場婿さんは日本の機械メーカーKubotaの関連会社に勤務している。
連綿と続く歴史
3戸目のブレンビー牧場は、ジャージーで17年にマスター・ブリーダーに選ばれている。案内をしてくれたジェイソン・ブッチャーの曽祖父ハロルド・ブッチャーが37年にベル・シティ牧場を興し、ジャージー飼育と牛乳加工をオンタリオ州ブラントフォードで始めた。その息子、祖父であるグラント・ブッチャーは兄のキース・ブッチャーと供に牧場を手伝ったが、その後、独立し、グランクレア・ジャージー牧場を始めた。
グラントとクラリアン夫妻は7頭のジャージーから始めたが、40年間に250頭まで増頭。彼は同時に世界ジャージー協議会の終身会員として活躍し、オールアメリカンに25年以上出品。若い後継者達にも良い影響を与え、ローヤルにも継続して出品をしている。89年にはローヤルのジャージー出品ショウマンに対して、「グランクレア賞」を創設するに至っている。
グラントの3人息子の一人、ブレント・ブッチャーはジェイソンの父に当たるが、79年にホルスタインのモナーク牧場で育ったベティと結婚。85年にオンタリオ州エアシャーに自分達の牧場を購入し、ブレンビー牧場と名付けた。その後、ローヤルにも継続して出品しており、03年と07年には「積極的なブリーダー」として賞を受けている。09年には「ブレンビーギラーザンブカ」EX95点―4Eで3歳級の第1位に選ばれ、オール・カナディアンに選奨された。2年後にはアメリカのデーリーエキスポで5歳級の上位に入賞している。
ジェイソンは10年に85エーカーの敷地に牛舎施設一式を新築したが、オンタリオ州の農場でも最も高価な地域にある。乾草とコーンは購入、ヘイレージとコーンサイレージのみを自給している。繋ぎ牛舎で搾乳牛は75頭。泌乳成績は乳量7,905㌔、乳脂量431㌔、蛋白312㌔。審査成績はEX15頭、VG44頭、GP20頭。
ロボット搾乳へ切り替え
4戸目はブライドン牧場で、当主ブライアン・セイルスは、3年前の北海道全共のジャージー交流会で講演を行ってくいただいた方だが、後述のスプルース・アベニュー牧場の長男で、64年に21歳で独立して牧場を開設した。ホルスタインでは「ブライドンアストロジェット」が一世を風靡した種雄牛であり、ジャージーでは「ブライドンリメイクコメリカ」や「ブライドンジャマイカ」の精液が日本に輸入され、娘が数多く登録されている。
86年と11年の2度、ジャージーでマスター・ブリーダーに、10年にはホルスタインでマスター・ブリーダーに選ばれている。約30年前に筆者が訪れたときは繋ぎ牛舎にホルスタインとジャージーがほぼ同数飼われていたが、3年前に牛舎改造し、フリーバーンとロボットパーラーを新設したのをきっかけに、ジャージー種のみに切り替えた。
現在約100頭を搾乳しており、平均乳量は28㌔、乳脂肪率5.44%、蛋白率3.85%、牛群構成比は初産が32%で、3産以上が50%。ロボットパーラーでは平均で3.1回搾乳。繁殖成績は全体の受胎率が57%、初回受胎率が54%と良く、これは(※)コンポストバーンにしたことで発情発見が高まったことによる。 (※)休息エリアに堆肥を1m近く積み上げ一日数回撹拌するたフリーバーン牛舎の一種
真新しい牛舎
最後に訪問したスプルース・アベニュー牧場は、32年にジャージーを飼い始めた歴史ある牧場。説明してくれたディーン・セイルス・ジュニアは5代目だが、ブライドン牧場のブライアンが叔父にあたる。
耕地面積は750エーカー(303万㎡)で、17年6月に牛舎を新築したばかり。30㍍×100㍍の真新しい牛舎は内側全面が白いペンキで塗られ、天井が高いのが印象的。フリーストールと独房で仕切られ、パーラーは10頭ダブル。ホルスタインとジャージー合わせて250頭飼育し、搾乳は90頭前後。他に25,000千羽のブロイラーも飼育。いずれもそれなりの収支があるという。

平成30年01月20日目を見張る正確なフレームと乳房

-ローヤル・ウインター・フェア-
乳牛のショウでもアメリカのワールド・デーリィ・エキスポと双璧をなすローヤル・ウインター・フェアの乳牛部門のショウは、ホルスタインを筆頭にエアシャー、ジャージー、赤白ホルスタインの4部門で審査が行われる。また、最終日にはこの4部門のチャンピオン牛が一堂に会し、シュープリーム・チャンピオンが選ばれる。
今回の視察研修ではエアシャーの除く3部門でショウを見る機会があった。
450頭をテキパキと
ホルスタインは出品頭数が約450頭と多いことから、未経産の3部は「リング・オブ・エクセレンス」と名付けられた平場の審査場で11月9日の午後に、残りの未経産4部と経産はパビリオンでも最も収容頭数が多い「リコー・コロシアム」で翌10日に早朝から行われた。
ジャッジはケベック州のピエール・ボーレット氏で、その姉メラニー・ボーレットさんがアソシエートを務めた。
個体出品の部は、未経産は夏生まれ子牛(3~5か月齢)を皮切りに子牛インターミディエイト級までの7部、経産は1歳級から始まり生涯乳量6万㌔超までの9部、加えて、未経産3頭1組の牛群クラスや経産牛3頭1組の牛群クラス、それに、ジュニアとインターミディエイト、シニアのチャンピオン決定と最後にグランドチャンピオン(GC)審査など、多種の仕事を非常にテキパキと指示し、序列を決めていく姿が印象的であった。50頭以上の出品頭数が多い部でも、平然とジャッジして回る姿や、限られた時間で終わらせるという使命が与えられており、この点は大いに参考になった。
また、審査の合間には長年にわたり酪農業界に貢献してきた関係者を称える賞、例えば「オーナー・アワード」や「ハーズマン・アワード」などで、その都度、複数の方々が会場内に集まり、賞品が授与されたり記念撮影が行われたりと、受賞されたOBの方々が印象的であった。
出品牛印象は、いずれも調教が良くされており大人しく、体型は骨格構造が正確で、特に乳用強健性に富む牛ばかりで歩様も確実であった。乳器については、分娩からの時期にもよるのか、当日の調整不足のものも散見されたが、前乳房の付着の強さと後乳房付着の高さ・幅、乳頭配置の正確さは特筆すべきであり、いずれの牛もベストアダーであり、チャンピオンにできると感じる牛が多数出品されていた。
最終的なGS戦は、各部1位牛が揃い、リードマンはお揃いのTシャツを着て行われた。場内の演出も工夫されており、会場の照明が落とされた後、1頭毎にスポットライトが当たり、ポップ調の音楽が流され、観衆の拍手を誘った。
ジャッジマンが幾度も牛の周囲を歩き回り、最後にGSを選んだあとは大歓声に包まれた。ホルスタインの部では4歳級3産目の「コーベイルデンプシーディーナ4270ET」(父デンプシー:アメリカ・ミルクソースジェネティクス他の出品)が選ばれた。スタイリッシュで抜群の乳房であった。この牛は9月のエキスポでもリザーブグランドチャンピオンを受賞している。
ジャージー260頭出品
ジャージーショウは、11日に「リング・オブ・エクセレンス」において早朝から午後3時過ぎまで行われた。
ジャッジはオンタリオ州ブオーカーブレイ牧場のブレント・ウオーカー氏、アソシエートは弟のスコット・ウオーカー氏。ホルスタインを担当したピエール・ボーレット氏とは対照的に、淡々と審査し、講評をするところが印象的であった。最終的なGS戦でも牛に近づくことなく、遠くから牛の名前を呼び、「文句なしにこの牛が良い」と講評するのが逆の意味で好評であったようだ。
出品は未経産6部、経産8部で、約260頭の個体出品があった。その他、ジュニア、インターミディエイト、シニアのチャンピオン戦があった。さらに牧場牛群に加えて、色々な関係者へ「ジャージーの振興のための賞」を設けており、目録に掲載されているだけでも30点以上。各部が終了する度に賞品授与セレモニーが行われていた。
最終的なGS戦は、ホルスタインと同様に各部の1位牛が、リードマンに揃いのTシャツを着せて行われた。演出も同様であり、これは一般観衆がショウ会場に大勢居ることから、消費者を意識した工夫だと考えられる。
最終的なGCは7歳5産目の「マスキーイアトーラマーサ」(父イアトーラ:アメリカ・ミルクソースジェネティクス出品)が選ばれた。大柄な牛ではないが、スタイリッシュで乳用性に極めて優れ、抜群の乳房であった。この牛は9月のエキスポでもGSを受賞している。
その後、同日の夕刻、エアシャーと赤白ホルスタイン、ホルスタイン、ジャージーの4品種のチャンピオンが一堂に集まり、シュープリーム・チャンピオン戦が行われた。審査はそれぞれのジャッジマンが集まり協議し、最終決定はホルスタイン担当のピエール氏。ジャージー種の「マーサ」が見事選ばれ、3年連続の快挙である。

最後になるが、今回の視察では勿論牛を中心に研修を行ったが、「牛は草食動物であり、粗飼料を十分に食べてこそ、その能力を発揮できる」ということを再認識させられた。牧場視察であってもショウの会場であっても、カナダの石灰岩土壌で育ったアルファルファの乾草が十分に与えられ、それを飽食している。当然のことながら、正確な骨格構造をしており、その下にある乳房は上から下まで幅がある。
斜め後ろから後肋を見ると、西洋梨型のような下腹部ではなく、上部から肋が張り出したリンゴ型の肋腹を呈している。オンタリオ州は乾燥地帯なので、アルファルファは刈り取ったら反転せず、畑で数日すれば乾草になり、ビッグベーラーで仕上げれば倉庫にうずたかく積んでおける。日本では真似のできないことだが、これこそが本来の牛の飼い方と感じた、5日間であった。
末筆ながら、今回の視察研修にあっては、通訳はもとより、牧場視察の事前交渉やホテルの手配など、北海道帯広市の株式会社十勝畜産貿易には大変お世話になり、スムーズな日程をこなすことが出来た。この場を借りて厚く御礼申し上げたい。


平成30年01月20日第9回全日本B&Wショウ並びに 2018セントラルジャパンホルスタインショウ

-審査日4月13~14日-
第9回全日本ブラックアンドホワイトショウ並びに208セントラルジャパンホルスタインショウの共同開催まで、残すところ3カ月と迫った。出品区分・各都道府県割当て頭数等について紹介する。
開催日・場所
審査日:平成30年4月13日(金)・14日(土)
場所:静岡県御殿場市「御殿場市馬術・スポーツセンター」
都道府県出品割当頭数
全国ホルスタイン改良協議会会員40都道府県のうち、今大会に残念ながら出品を断念したところが、秋田県、山口県、香川県の3県となったが、全国から211頭の出品希望があり、調整した結果、希望頭数をそのまま割当て頭数と決まった。前回が204頭なので若干多くなっている。
出品牛の搬入・搬出
搬入は4月11日13時から16時、12日8時から16時までとする。
搬出は4月14日の13時から17時まで。15日は牛舎の清掃・消毒の関係から、搬出は10時までに完了すること。
出品申込締切日
平成30年3月23日(金)までにショウの事務局へ申込書類の提出をすること。
出品牛の防疫対策
主催者の指示に対する衛生検査及び予防注射を行い、指定の様式による証明書を提出すること。
なお、証明書の写しを出品牛申込と共に提出し、原本は出品牛とともに会場に持参すること。
付帯事業等の概要
4月13日(金)開催予定
事業名時間
1リードマン講習会13時50分~14時20分
2学生リードマン・コンテスト14時30分~16時00分
3交歓パーティー17時30分~19時30分
4オークション18時30分~19時30分
関連資料
行事日程表
出品区分及び範囲
出品頭数割当て
平成30年01月20日生涯乳量

-都府県29年12月-
29年12月に都府県で検定成績証明されたものの中から、別表には生涯乳量5万㌔以上の高記録牛35頭を示した。今回は上位3頭が総乳量(M)10万㌔を突破した。
1位難波睦さん(岡山県)
生涯乳量トップは、難波睦さん所有「NH126イノチデユランゴヨツシー」(父デユランゴ、平17.5.30生)の検定回数8回で検定日数3,477日、M118,808㌔、総乳脂量4,237㌔、平均乳脂率3.6%、総乳蛋白質量3,878㌔、平均乳蛋白質率3.3%であった。今回の記録は、全産次の検定成績証明を一括申請したことによるもので同県内歴代4位、13頭目の10万㌔突破牛となった。
2位柴野立太さん(石川県)
2位は、当協会理事の柴野立太さん所有「サンデイバレーマジツクブルーリボン」(父ブルーリボン、平16.7.29生)で、9乳期でM103,379㌔を達成し同県内歴代2位となった。
3位成田博さん(愛知県)
3位は、成田博さん所有「アウトサイドメイプルパツチーオブナリタランド」(父アウトサイド、平17.1.20生)で、8乳期でM102,394㌔であった。
また6位の谷口学さん(京都府)、7位の植木靖さん(栃木県)、9位の星野和司さん(群馬県)、12位の五味英介さん(長野県)、18位の池松和幸さん(福岡県)所有牛をはじめ11頭が審査得点90点以上を獲得しており、体型においても優れた成績を残している。
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平成30年01月20日検定成績優秀牛

-都府県、平成29年12月証明分F偏差値-
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