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2021年01月20日号「日本ホル協特集号」

4面

ホ種登録事業110年(その1)
明治から5つの時代経て今日へ 戦時中も途切れることなく連綿と

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     わが国のホルスタイン種登録事業は明治44年の日本蘭牛協会創設によって始まり、本年8月で110年を迎える。今回から3回にわたって、登録事業創始からの主な歴史を振り返ってみたい。

    オランダからの輸入牛を登録

     令和3年丑年、わが国のホルスタイン種登録事業が開始されてから110年を迎える。
     ホルスタインの登録は、明治44年の日本蘭牛協会創設に始まった。登録規程を制定し、血統、能力、体格、補助の4種類の登録を開始した。同年10月にはオランダから輸入された雄・雌牛を血統登録第1号としてそれぞれ登録した。
     登録事業はその後、大正4年に設立された中央畜産会に引き継がれ、昭和に入ると北海道の登録を統合した。第二次世界大戦の夥しい戦火の中でも登録業務は一度も中断されることなく、今日まで連綿と継承されてきた。

    日本蘭牛協会の血統登録証明書

    日ホ協創設と第1回全共

     昭和23年3月に農林省の指導のもと、乳用牛登録事業に関する全国大会が開催され、全国のホルスタイン生産者・所有者による民主的な登録団体として「日本ホルスタイン協会」を設立することが決議された。同年5月に社団法人として創設し、7月には「社団法人日本ホルスタイン登録協会」に名称変更し、8月からホルスタイン登録事業を開始した。翌24年には北海道支局を設置し、全国を一円とする日本ホルスタイン登録協会が発足することになった。
     戦後の産業復興政策として有畜農業が奨励され、酪農家戸数は5年間で13万戸から25万戸に、乳牛頭数も20万頭から35万頭に増大し、酪農は順調な発展を遂げた。
     こうした中で、日ホ協は26年3月に神奈川県平塚市で30道県から157頭の出品を得て第1回全日本ホルスタイン共進会(全共)を開催した。昭和天皇の行幸もあり、この時期の酪農発展に与えた影響は極めて大きかった。

    純粋種の毛色と種系登録の整備

     乳牛頭数が急増する中で、当時はホルスタインと在来種牛との交雑による新乳牛生産が頻繁であったことから、日ホ協では登録規程の改正を行い、血統登録の毛色条件に厳格な拒否事項を制定した。これは純粋種の登録から回避するためであったが、その一方で29年には全国乳牛頭数の80%近くが無登録のまま放置されている状況を打開するために、ホ種系登録制度を導入し、その登録業務を地方関係団体に委託することになった。これが支部・承認団体設置の始まりである。

    高度経済成長と改良増殖目標

     昭和30年代は高度経済成長期にふさわしく、酪農業界並びに登録事業においても明るい展望を見せ始めた時期だった。
     登録頭数でも31年の2万8千頭が35年には5万3千頭に倍増し、東京オリンピックが開かれた39年には初めて年間10万頭を突破した。この年、日ホ協は中野区の現在地に自社ビルを完成し移転した。
     また、31年には静岡市で第2回全共が開催され、そして、36年に長野県松本市で開催した第3回全共には上皇陛下(当時、皇太子殿下)ご夫妻がご台覧された。
     審査関係では、33年に体型審査標準の大幅な改正を行った。先進国アメリカに倣って、一般外貌、乳用牛の特質、体積、乳器の4大区分とし、体格の充実と乳用性を重視した内容に変更した。また、ホルスタイン種雌牛簡易体重推定尺を発売した。胸囲から体重を簡単に推定できることでその利用性は高いものであった。37年に国は、第1次家畜改良増殖目標を公表した。10年後の目標値は305日乳量5400㌔、乳脂率3.4%、SNF8.5%、体高135センチ、体重580㌔とし、泌乳能力の向上と体格の大型化を目指すうえで乳牛改良の重要性が公に示された時期であった。

    第3回全共開会式には皇太子殿下(当時)ご夫妻がご台覧された(昭36、長野県松本市)

    乳牛頭数が急増府県も導入盛んに

     昭和40年代前半は日本経済が好況で酪農界も好景気を迎えた時期である。40~46年の7年間で、酪農家戸数は38万戸から28万戸に激減したが、乳牛飼養頭数は138万頭から180万頭まで急激に増加した。登録頭数も46年にはこの年代のピークとなる年間17万頭を突破する等大きく伸びた。42年9月には明治44年の血統登録雌牛第1号から数えて100万頭目が誕生。「登録番号1000000」は兵庫県の牛だった。
     また都府県では乳牛の需要が増大し、乳牛の流通にも活気が出てきた。特に体型や泌乳能力の格付けとなる「高等登録」が急増した時期でもある。「何代連続高等登録」が乳牛の販売価格に大きく影響し、主産地である北海道や千葉県、静岡県、兵庫県などには他県からの購買者が頻繁に往来する状況が続いた。

    後代検定と血液型検査の義務付け

     昭和40年代後半は登録頭数の安定期を迎えた。家畜改良事業団の設立と広域種雄牛センターが設置され、凍結精液の普及率もその10年間で3%から95%へと飛躍的な普及を遂げた。また、国や家畜改良事業団による乳用種雄牛の後代検定事業が開始され、より精度の高い後代検定成績によって種雄牛を選抜する時代に入った。
     日ホ協では39年に血液型検査をスタートし、改良上で大きな影響力を持つ雄牛について血統登録の際に血液型検査を義務付けた。血液型検査業務は53年に検査体制の拡充等を機に、家畜改良事業団に移管された。
     普及事業では、46年にアメリカ・カナダホルスタイン改良研修をスタートし、平成12年までの29年間の長きにわたって、先進国の改良の動向や酪農家訪問、アメリカ・カナダの2大共進会の視察等の研修の機会を提供した。また、48年には全国酪農協会が発行する全酪新報を通じて、年4回の日ホ協特集号を会員や登録委員ほか関係者に直送し、登録の普及や改良情報を今日まで提供している。
    (3月20日号に続く)

コロナ禍の蔓延する中で 登録・審査への協力に感謝 重大ニュースもコロナ禍が独占
(一社)日本ホルスタイン登録協会会長 前田勉

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     明けましておめでとうございます。会員酪農家の皆様をはじめ、登録委員並びに関係団体各位におかれましては、健やかに令和3年の新春を迎えられたこととお慶び申し上げます。
     昨年は、新型コロナウイルス感染症に翻弄された1年でした。昨年末に発表された2020年国内重大ニュースでもトップは「新型コロナ感染拡大で緊急事態宣言発令」で、2位以下もその関連で「東京五輪・パラリンピック延期」、「新型コロナで政府が全国小中高の休校要請」、「志村けん氏死去」、「高校野球が春夏中止、プロスポーツ界でも延期や中止相次ぐ」等が入っており、コロナ禍の脅威を物語っています。
     酪農業界でもコロナ禍で需給は大混乱しましたが、それでも「生乳廃棄はゼロ」、「学乳異例の3か月休止も官民挙げて支援広がる」が1、2位を占め、この窮地で酪農関係者の底力を見せた感がありました。

    登録や審査にも大きく影響

     コロナ禍は、当協会事業にも大きな打撃を与えました。
     昨年10月末に九州で開催予定であった第15回全日本ホルスタイン共進会も開催中止の苦渋の決断を致しました。また、通常総会も1か月延期したうえで書面決議に変更したほか、夏期の研修会も中止、役員会等も書面又はウェブ開催を余儀なくされる等、当協会の設立以来、例を見ない苦難の1年となりました。
     その中で血統登録では、登録委員が現場に出向いて申込書を作成し、各都府県支部・承認団体を経由して行う個別登録の減少は顕著でしたが、会員酪農家自らが牛群検定繁殖報告や当協会ウェブサイト等で授精報告を入力送信していただく自動登録では、概ね前年どおりの件数が得られました。
     一方、都府県の前期体型審査では、4月の緊急事態宣言が全都道府県を対象として発出されたこともあって、半数以上の都府県で審査が中止され、前年度対比30%に満たない大幅な減少となりました。後期については、コロナ禍の影響がなお続く状況下で、各都府県では防疫強化と受検酪農家のご協力に支えられながら実施し、審査頭数もやや回復の兆しが見えたところです。この状況下にあって、登録や審査等の推進にご協力いただいた皆様に感謝申し上げる次第です。
     年明け早々に1都3県に対して緊急事態宣言が発出されました。年度末の登録証明書交付や審査等実施面にも影響があるかと思われますので予めご了承願います。

    自動登録とゲノミック推進

     近年は、酪農家戸数が減少する一方で乳用雌牛頭数は増加傾向に転じ、特に後継牛確保のための性選別精液の利用拡大によって、雌子牛頭数が子牛生産の半数以上を占めるようになりました。血統登録においても性選別精液による生産雌子牛の登録割合が全体の3割以上を占め、登録頭数の増加につながっています。
     当協会では本年度も、より多くの後継牛を登録に結びつけるため、安価で申込書不要の自動登録を推進し、強い近親交配の回避や遺伝病の発現防止、遺伝的能力評価計算の基礎となる正しい血縁の構築と情報提供を行ってまいります。
     また、育成牛の早期選抜や交配種雄牛選定に有効なゲノミック評価値の普及を図るため、自動登録農家を対象に「自動登録同時SNP検査申込」を行い、本申込では当該牛の血統登録料の半額還元のメリットを付加して、一層の推進に努めます。

    丑年は「我慢、発展の前触れ」の年

     令和3年の干支は「辛丑(かのとうし)」で、この干支の動物「牛」は、古くから酪農や農業に使われ、人間を助けてくれた大切な生きものであり、特に私たち酪農家にとってはまさに生活の糧です。牛は粘り強さと誠実の象徴であり、丑年は「我慢(耐える)」、「これから発展する前触れ(芽が出る)」の年になると言われています。
     本年も、年明け早々に1都2府8県に緊急事態宣言が発出されました。皆様方には引き続き、マスク着用と手洗い厳守、「三密」を避ける等の最善の防御対策を心がけていただき、ご健勝でお仕事に精励されますよう、心よりご祈念申し上げます。

ニューノーマルな時代へ 自動登録の普及推進を

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    未曽有の一年

     昨年、私たちは新たな見えない敵に振り回された年を経験しました。新型コロナウイルス感染症。感染拡大を防止するために我が国で初めて緊急事態宣言が発出され、人の移動制限や学校の休校など、今まで当たり前にできた行動が、この見えない敵により自由を奪われてしまいました。日ホ協の関係で言えば、昨年秋に開催する予定であった第15回全日本ホルスタイン共進会が中止になったことが大きな出来事でした。
     また、体型審査については、県から県への移動自粛等に伴い、緊急事態宣言中には審査を中止するという事態になりました。酪農家の皆様の関係では、検定員や登録委員が農家に出向けないといったところもあったと思います。

    改良は止められない

     今回の新型コロナウイルス感染症により、人の行動は制限され経済は停滞してしまいました。しかし、牛の繁殖は止められません。繁殖を止めてしまえば空胎日数ばかりが増えてしまい、生乳生産や後継牛確保に影響が出ることは言うまでもありません。
     子牛が生まれ新たな泌乳が始まりますが、子牛を産むためには繁殖が必要になります。繁殖はただ牛を作るだけはなく、より良い牛を作出するため、言わば「改良」することが目的だと思います。その改良に必要なのは血統情報と泌乳能力、体型だと思いますが、血統が分からない雌牛に能力の高い種雄牛を交配したとき、偶然にも似かよった血統を交配してしまい、近交係数の上昇により、かえって能力を下げてしまうことも考えられます。

    血統登録を止めるな

     コロナ禍の中、令和2年12月現在、個別申込みによる血統登録は前年度対比84.6%と落ち込んでいますが、自動登録については前年度対比98.9%で推移しています。個別申込みは登録委員が農家に出向いて申込書を作成することから、今回の人の行動制限が多少でも影響が出ているのではと思います。しかしながら、自動登録については出生報告と同時に血統登録されることから、今回は影響が少ないと思われます。

    これを機に自動登録へ

     自動登録は年々増えてきている一方、何らかの理由で自動登録ができず、登録委員が血統登録申込みを作成しなければいけない農家さんもいます。登録委員の仕事は血統登録の申込みを作成するだけではなく、農家さんへの指導やコミュニケーションをとる役割も重要であると思います。
     しかし、この制限された行動が何時まで続くか分からない現在、確実にかつ迅速に血統登録できるのが自動登録です。感染拡大防止のために行動制限が出たとしても、出生報告した時点で血統登録申込みができるのも自動登録の利点です。これを機に自動登録に関心を持っていただければと思います。

    自動登録を増やす

     私たちはこの見えない敵により、今までになかった新しい生活様式の変換時期を迎えています。メディア等では「ニューノーマル,新常態」と言うようですが、感染を防ぐためのソーシャルディスタンス、在宅リモートワークなど。当たり前にできていたことができない現在、それに合わせた行動が必要とされています。
     このような状況ではありますが、日ホ協では引き続き、自動登録の普及推進に努めてまいります。
     今後も血統登録の必要性に対する理解とその普及にご協力いただくよう、よろしくお願いします。
    (事業部長・國行)

訃報

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    日ホ協監事の安齋利勝氏は今月9日急逝された。安齋氏は福島県酪農業協同組合の理事、副組合長を歴任し、平成27年9月に日ホ協の理事に就任し、昨年7月から監事を務めていた。享年69歳。

5面

繁殖台帳を整備しましょう! ~繁殖台帳作成サービス~

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     会員の皆様は普段どのような形で繁殖情報を記録していますか。牛舎で取り急ぎの記録として、ノートやホワイトボード、繁殖カレンダーにメモをする方が多いのではないでしょうか。しかし、そのメモをそのままにしていませんか。大事な記録を繁殖台帳に整備していますか。

    正しい血統登録には正しい記録を残そう

     日ホ協では、正しく血統登録を行うために、「繁殖台帳の整備」を登録規程に定め、皆様にお願いしております。血統登録は皆様の繁殖記録の申告に基づいて行っていますので、これが正確なものでないと血統登録を行うことができません。
     よくある事例で、「在胎日数エラー」というものがあります。「在胎日数」は授精した日から分娩した日までの日数のことで、牛の場合は平均280日とされています。血統登録の申込があった時に、提出された授精証明書などの申込書類からこの日数を計算し、前後15日間は正常な分娩範囲として血統登録しています。
     しかしながら、この範囲外の場合は血統登録せずに確認のための照会を行い、場合によっては繁殖台帳の提出をお願いしています。例えば、異なる種雄牛を複数回に渡って授精した場合は、どの授精による産子なのか、早産など分娩状況も含めて判断する必要があります。そのためにも繁殖記録の整備をお願いします。

    繁殖台帳作成サービス

     日ホ協では、会員限定で牛1頭毎の繁殖台帳を印刷できるサービスを提供しています(図1)。
     印刷方法は、まず家畜改良データバンクのWebサイトのメインメニュー「会員情報」からログイン(※)します(図2の2)。すると、「農家別登録牛情報」ページが表示されます。このページには、その農家で現在飼養中の乳用種牛が、血統登録の有無に関わらず一覧で表示されます。右上の方にある「繁殖台帳印刷」(図2の3)のボタンを押して、繁殖台帳を作成したい牛を選んで、ご家庭のプリンターで印刷してください。血統登録されている牛の場合は、名号、生年月日、血統濃度、3代までの血統、遺伝病検査結果が繁殖台帳に記載されます。用紙の裏面には授精記録の記録欄を印刷して、両面でご利用ください。
     遺伝的な牛群改良を行うためには、正しい内容の血統登録を行う必要があります。その根本となる日々の繁殖情報を正しく記録しておくことが大切です。是非とも繁殖台帳作成サービスをご活用ください。(登録課長・門間) 家畜改良データバンクアドレス
    http://www.rg.liaj.jp/hol/
    (※)ログイン時の農場コードは家畜改良センター個体識別部への出生届出(報告)で使用する電話番号、パスワードは農場コードの下4桁になります。なお、パスワードは地域によって変更されていることがありますので、ご不明の場合は各都府県の日ホ協支部・承認団体へお問い合わせください。

サービス開始から2年半 登録情報のプラットフォームへ

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    登録情報活用システム・RIUS

     日ホ協は血統能力証明書をWeb上で閲覧・管理ができるシステム「登録情報活用システム(以下、ライアス・RIUS:Registry Information Utility System for Dairy Cattle)」を開設しています。このライアスはスマートフォンやパソコンでWeb上にある個々の血統能力証明書を閲覧するだけでなく、証明書に表示しきれなかった血統情報や歴代の審査成績、最新の評価情報といった関連情報も参照することができます。さらには牛群内で過去に証明された検定成績を基に、乳量順や乳成分量等の歴代成績のランキングを表示することもできます。

    証明書のペーパーレス化

     ライアスは、Web環境があるところであれば、血統能力証明書をPDFデータとして、いつでもどこでもダウンロードすることが可能であり、必要に応じて印刷することができます。血統能力証明書は、本牛を含め4代の血統情報や審査情報、遺伝評価値などが記載されており、この1枚で様々なことが分かるようになっています。スマートフォンやパソコンで閲覧可能にすることで利便性の向上を図るとともに、証明書を閲覧したい時に探せない、枚数が多すぎて管理できないということを解消して、もっと手軽に活用できるようにしています。

    RIUSの検定成績画面

    進化するライアス

     開始当初のライアスは歴代情報として検定成績しか閲覧できませんでしたが、令和2年2月からは審査成績と生涯成績の歴代情報を見ることができるようになりました。また、近交情報システムWebや牛群遺伝情報Webにも簡単にアクセスすることができます。育成牛の選別や今後の交配計画など、より利活用いただくため、今後も新機能の拡充を図り、利便性の向上を進めてまいります。

    自動継続農家が対象

     ライアスを活用するには、検定成績証明の自動継続農家であることが必要です。検定成績証明の自動継続農家とは、牛群検定に加入している農家で、毎年継続して検定終了牛の検定成績証明を発行希望している農家のことで、別途「検定成績証明自動継続発行申込書」の申し込みが必要です。現在、検定成績証明の申し込みを書類で行っており、まだ自動継続農家になっていない場合はライアスを使用することができません。ライアスでは、証明書に表示しきれなかった情報を表示するなど、サービスの向上を図っておりますが、使用料金は無料です。また検定成績の証明料金についても現状と同額です。検定成績証明の自動継続農家になるだけで、新しい機能のシステムを使用することができます。血統登録をはじめとした様々な改良情報をライアスで利活用し、高能力の牛を飼養するために、新しい年を迎えた今、ライアスのデビューをされてみてはいかがでしょうか。ライアスの申し込み(検定成績証明の自動継続農家になる手順)の詳細については、各都府県の日ホ協支部・承認団体へお問い合わせください。

ホルスタイン手帳発売中

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6面

アウトサイドマスター 15万㌔突破/都府県歴代9位 岩手県中六角保広さん
生涯乳量 令和2年9-12月

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     令和2年9月から12月に都府県で検定成績証明されたものの中から、別表には生涯乳量上位100頭を示した。今回は7頭が総乳量(M)10万㌔を突破し、内2頭が県内記録を更新する結果となった。

    1位 中六角保広さん(岩手県)

     今回の1位は中六角保広さん(岩手県)の「リバテイーフアーム プレステージ アウトサイド マスター」の検定回数16回で検定日数4999日、M15万2383㌔、総乳脂量(F)6213㌔、平均乳脂率(F%)4.1%、総乳蛋白質量(P)4666㌔であった。これは岩手県のみならず東北トップの記録であり、都府県においても歴代9位の快挙となった。本牛は昨年死亡しているが、享年20歳までに16産と、長命連産を体現した優秀牛であった(16産泌乳中の写真掲載)。
     また、同氏は7位の「リバテイーフアーム マセラテイ アンネル」も所有しており、この牛の記録は検定回数7回で検定日数2526日、M10万101㌔、F3883㌔、F%3.9%、P3152㌔であった。

    リバテイーフアーム プレステージ アウトサイド マスター
    岩手県葛巻町中六角牧場にて

    2位 佐藤範之さん(茨城県)

     2位は佐藤範之さん(茨城県)の「GAクリスタルブリツツ」の検定回数9回で検定日数3793日、M13万9380㌔、F4794㌔、F%3.4%、P3948㌔であった。こちらも茨城県1位の記録を1万キロ以上も更新した。

    3位 (株)布田牧場(宮城県)

     3位は(株)布田牧場(宮城県)の「マナツルブラスジユリアフタゴ」の検定回数10回で検定日数4781日、M13万7057㌔、F6063㌔、F%4.4%、P4464㌔であった。これは宮城県内2位の記録である。
     4位は眞嶋大輔さん(栃木県)の「スノーライトアイスモニター」の検定回数9回で検定日数3554日、M11万8569㌔、F4374㌔、F%3.7%、P4026㌔であった。5位は亀田康好さん(埼玉県)の「シンボライズロメオクララ」の検定回数8回で検定日数3550日、M11万4512㌔、F4312㌔、F%3.8%、P3671㌔であった。6位は槇芳行さん(福岡県)の「ネバダフリーランスビクトリア」の検定回数8回で検定日数3318日、M10万2964㌔、F4072㌔、F%4.0%、P3130㌔であった。
     また中六角さんはじめ、(農)新林牧場(秋田県)、(有)加藤牧場(埼玉県)、山口貴士さん(兵庫県)、松島太一さん(熊本県)、植木靖さん(栃木県)、(株)荒木牧場(熊本県)、新海益二郎さん(長野県)、小針勤さん(栃木県)、藤原和弘さん(長野県)、八幡勝幸さん(岩手県)、石川和博さん(静岡県)は90点以上を獲得しており、体型においても優れた成績を残している。
     写真はホルスタイン・マガジン社より提供。

今後の行事 日本ホル協

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    ◇令和2年度社員会議、冬期支部・承認団体登録事務担当者会議
    2月5日、書面開催
    ◇第305回理事会
    3月19日、Web開催
    ◇令和2年度決算監査会
    5月21日、日ホ協
    ◇第306回理事会
    6月4日、日ホ協
    ◇第307回理事会
    6月25日、中野サンプラザ
    ◇第71回通常総会
    6月25日、中野サンプラザ
    ◇令和3年度地区別登録委員研修会
    7月~8月、Web開催予定(審査研修は中止)
    ◇令和3年度夏期支部・承認団体登録事務担当者会議
    7月~8月、Web開催予定

検定成績優秀牛 -都府県令和02年12月証明分F偏差値-

7面

牛群一括リスト作成可能に 近交情報システムWeb

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     令和2年9月に、近交情報システムWebに新しい機能が追加されたので、その機能についてご紹介します。
     そもそも近交情報システムWebとは、所有している雌牛(以後、在籍雌牛)と交配したい種雄牛(以後、供用種雄牛)を交配した時に生まれる牛の近交係数を表示するシステムです。どの種雄牛を交配すると近交係数が高くなってしまうのか、分かりやすく検索することを可能にしています。平成29年3月に運用が開始され、在籍雌牛と供用種雄牛との近交係数を1頭ずつ一覧表示するシステムとなっています。スマートフォンでも見やすいようなシンプルな設計となっているため、牛舎内で発情している雌牛を確認しながら交配したい種雄牛との近交係数を確認することができます。しかし、あくまで1頭ずつの表示であったため、今までは在籍雌牛全頭の情報が欲しい時などには1頭ずつ検索しなくてはなりませんでした。そこで、昨年9月に追加された新機能では、牛群内の在籍雌牛と供用種雄牛との近交係数を一括でリストアップすることが可能になりました。

    新機能・牛群一括リストとは

    この機能は近交情報システムWebの項目「牛群一括リスト」を選択すると利用することができます。
    リストアップしていくうえで、細かい条件を付けることも可能です。例えば、平成30年10月より日ホ協では近交係数の上限値の目安を7.20%に設定していますが、リストでは指定した種雄牛との近交係数の上限値(または下限値)を自身で設定することができます。仮に交配を行った時に生まれる産子の近交係数や予想される近交退化量(NTP)などの表示項目を選択することもできます。また、リストに表示される牛の並び順も変更が効き、雌牛は拡大4桁、登録番号、生年月日から、種雄牛は略符号、総合指数、乳代効果、産子の近交係数、長命連産効果から並び替える条件を選択できます。このように、自身の経営方法や交配計画などから欲しい情報をまとめたリストを自分で臨機応変に作成することができます。

    近交情報システムWeb画面

    リスト表示条件一覧

    リストの出力方法

     自分の見やすいようにカスタマイズしたリストは「リストを表示する」ボタンを押すと現在選択している条件でのリストが表示されます。もしこのリストを印刷したい際は「印刷用リスト」ボタンを押すと、A4サイズで印刷が可能です。このリストはエクセルで利用できるCSVファイルとしてデータをダウンロードすることも可能なので、データをさらに使いやすいレイアウトに編集してから印刷することができます。CSVファイルを保存したいときは「CSVファイルをダウンロードする」ボタンを押します。
     ただ、作成した牛群一括リストは在籍雌牛の頭数によっては膨大な情報量になることもありますので、スマートフォンではなくタブレットやパソコンでの閲覧を推奨します。また、同じ理由で多量のデータ通信が発生する可能性があるので、有料のモバイル通信ではなく、無料のWi-fiまたは有線による通信環境の上でご利用ください。
     遺伝的改良を進めていく上での近交係数の上昇は止むを得ないとはいえ、その上昇を緩やかにするためにも、今回新機能が導入された近交情報システムWebをご活用頂ければと思います。何かご不明な点等がございましたら、日ホ協までご連絡ください。

    カスタマイズした牛群一括リストの例

    近交情報システムWeb

急激な増加は危険 近親交配と近交退化

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     近交情報システムWebでは近交係数というものを表示しています。この近交係数は、ある個体のある遺伝子座における2つの遺伝子が、同じ祖先の同じ遺伝子である確率を表したものです。簡単に言うと、生まれる牛の祖先に共通した個体がどれだけいるかを表しています。近交係数が高いほど、同じ祖先の同じ遺伝子である確率は高くなり、共通の祖先は多くなります。例えば、おじ・めい交配での近交係数は6.25%となります。

    近交退化が与える影響

     近交係数は年々上昇し続けています。1980年の都府県における平均近交係数は0.73%だったのに対し、2018年には6.78%までになりました(図1)。
     近交係数が上昇していくことは遺伝的改良を続けている以上避けることはできませんが、急激に上昇することは避けなければいけません。近交係数の急激な増加は体型の矮小化、繁殖能力の低下などの近交退化だけでなく、悪性劣性遺伝子のホモ化による牛コレステロール代謝異常症(CD)などの遺伝病発症率の増加などを引き起こします。
     このようなデメリットが数多く存在するため、近交係数には注意を払う必要があります。しかし、近交係数を下げるために能力の低い種雄牛を利用すると、改良速度が低下してしまう可能性があります。
     乳量を例として挙げますと、近交係数が1%上昇すると近交退化として305日乳量が27㌔減少してしまいます。例えば、乳量の育種価が+500㌔の母牛に育種価+2000㌔の種雄牛Aを交配した場合、その子牛の近交係数が7.20%となると仮定します。一方、同じ母牛に育種価+1000㌔の種雄牛Bを交配した場合は生まれる子牛の近交係数が3.60%と低くなる場合とを比較します(図2)。つまり、種雄牛Aは能力が高いが近交係数も高い牛であり、種雄牛Bは能力こそ劣りますが近交係数は低く、近交回避に繋がる牛となっています。子牛に期待される遺伝的能力は図の中に示されている計算式で表すことができ、種雄牛Aを交配した時は+556㌔、種雄牛Bを交配した時は+153㌔となり、Aと比較すると改良量がかなり低くなってしまいます。

    より効率的な改良を

     交配計画を立てるときには遺伝的改良量と種雄牛との交配に伴う近交退化量を比較し、より改良速度が増加する方を選択する必要があります。そのためにはまず、生まれてくる子牛の近交係数を把握することが必須となります。