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機関誌内容一覧

2021年09月20日号「日本ホル協特集号」

4面

Web開催 令和3年度登録委員研修会 日本ホル協

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     令和3年8月26日と31日に日本ホルスタイン登録協会(前田勉会長)では、登録委員研修会をWebで開催した。この研修会は、日頃酪農現場の第一線で活躍している登録委員を対象として毎年夏期に開催しており、例年は東北地区、関東地区(県別に開催)、中部・北陸地区、近畿地区、中国・四国地区、九州地区の5ブロックで開催していたが、今年は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からWebでの開催となった。初めての全国規模のWeb研修会であったが、前回の5ブロックでの開催よりも多い173名の参加があった。今年は後述する事務研修のみの内容で審査研修会は中止、登録事務担当者会議は別日の開催となった。
     研修会の開催にあたり、主催者である日本ホル協の栗田専務理事から、まず日頃より登録推進にご協力いただいている登録委員に対して感謝の意を述べた。さらに、コロナに関連して、緊急事態宣言延長の中で、日本ホル恊でも国等の指導に基づいて在宅勤務、リモートワークにより出勤日数を縮減している関係で、特に申込書類により受付、調査を行う個別登録において、血統登録証明書の発行・送付が遅延しており、大変ご迷惑とご心配をおかけしていることを陳謝した。
      次に登録事業でもコロナの影響を大きく受け、昨年の都府県における血統登録申込頭数は4万4千頭で、前年度対比93%に留まった。また、体型審査では、特に前期日程において半数以上の都府県が審査を中止したことで、年間の実績でも前年度対比64%と大幅な減少となった。さらに、第15回全共九州・沖縄大会の中止決定等も含め、日本ホル恊では行事開催や登録推進活動が思うように実施できず、大変悔いの残る1年であったことを報告した。
      本年度もなお、コロナ禍の不自由な環境の中ではあるが、日本ホル恊では前年度に引き続き、申込書不要で料金割安、登録書の早期発行、登録漏れ解消等メリットが大きい自動登録を推進し、牛群審査、検定成績証明の奨励は勿論のこと、後代検定娘牛の体型調査、ロボット適合性指数の開発、疾病データとゲノミック評価値を利用した耐病性指数の開発、さらには総合指数や長命連産効果の見直し等を行うことを述べ、開催の挨拶が行われた。

    初めてのWeb開催

     従来、本研修会は都府県を5ブロックに分け、7月下旬から8月上旬にかけて各ブロック担当県で開催しているが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から昨年度は中止とし、本年度は初めてのWebでの開催となった。2度開催し、都合の良い日時に参加してもらうことと、日本ホル恊支部・承認団体単位でなく、農協や事業所単位で広く分散して参加してもらったことが功を奏し、前回の5ブロック開催の合計を上回る2日間計173名の参加があり、好評を博した。両日ともに40回線を超える多くの接続があったが、関係者のご協力があり滞りなく開催ができた。この紙面をお借りしてお礼を申し上げたい。

    動画配信など新しい取り組みも

     血統登録をはじめとする審査・検定成績証明等の推進にあたっては、酪農家と常に接し指導や相談に預かっている登録委員に負うところが極めて大きく、登録委員の方が今後さらに一層濃密な指導を行えるよう研修と意見交換を行い、日本ホル恊の事業の推進を図ることを本研修会の目的としている。そこで今回はWeb開催の利点を生かして研修内容を録画し、研修会後に参加者限定で動画配信を行うことで、研修内容の一層の理解と当日やむを得ず参加できなかった方に向けてのフォローを行うなど新しい情報提供を試みた。
     最後になるがコロナ禍の影響で今回の研修会のような非対面でのやり取りの技術が目覚ましく発展した。日本ホル恊でも技術革新の流れに遅れずに積極的にWeb会議や研修会を開催したいので、要望があればご連絡願いたい。

    初めてのWeb開催だったが滞りなく終了した

正しい血統登録を行うために

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     登録委員研修会は2年振りの開催のため、新たに登録委員になられた方が多くおられることを想定して、まずは血統登録の目的と登録委員としての心構え、そして血統登録など必要書類や申込書の書き方など、基本的な内容について研修を行いました。今回は研修内容の一部を報告します。

    牛群改良のための血統登録

     日本ホルスタイン登録協会が実施している登録事業の目的は、牛群の遺伝的改良です。牛群の能力向上と飼いやすい体型に改良することが、酪農経営ひいては国内における畜産物供給の安定につながると考えています。
     日本ホル協では、近交係数や遺伝情報の提供を行っています。これらの情報は、血統登録情報から算出されています。そのためには、すべての血統登録は正しくなければなりません。間違った血統登録から算出された情報を元に、次の交配繁殖を行っても遺伝的改良には結びつきません。
     正しい血統登録を行うために必要なことは、まずは農家さんが正しい繁殖記録を整備することです。そして、その繁殖記録を元に、登録委員さんは正しい血統登録申込書を作成します。登録申込書は、各都府県支部・承認団体で受付した後、私たち日本ホル協に送付されます。私たちは申込書類の内容を確認し、正しい事実に基づいて血統登録を行い、血統登録証明書を発行します。
     牛群改良のために、農家さんや登録委員さん、私たち日本ホル協で正しい内容をつないでいき、正しい血統登録を行っていきましょう。

    血統登録申込みの手順

     まず、血統登録申込みに必要な書類は、「申込書」と「授精証明書(原本)」の2つです。
     次に、申込みの手順は以下のとおりです。
    ①授精証明書を確認する
     授精証明書のすべての項目に記載漏れがないか、記載内容と精液ラベルに不一致はないかなどを確認します。
    ②出生報告を確認する
     申込牛が家畜改良センターへ出生報告されているか、またその内容が正しいかを確認します。
    ③母牛所有者を確認する
     申込牛の母牛の血統登録証明書を見て、導入牛であれば導入元の所有者名義のままになっていないかを確認します。また、申込農家が家族で経営されている場合は、家族のうち誰の名義になっているかを確認します。確認して母牛の名義変更が必要であれば、母牛の移動証明の申込みを同時に行います。
    ④申込書を書く
     授精証明書を見ながら、申込書の必要項目をすべて記入します。この時に、授精証明書や出生報告の内容と不一致が起こらないように気を付けましょう。 登録委員研修会で伝えきれない内容はたくさんありますので、血統登録やその他の申込手続きで分からないことがあれば、今年8月に登録委員向けに配布している「ホルスタイン登録の手引き」を確認してください。
     今回の研修はコロナ感染防止のためにリモートでの開催となりましたが、来年こそは各地区での登録委員研修会が開催され、直接お会いできますことを願っております。
    (事業部・門間)

ハプロタイプ情報 ネットで閲覧可能に

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     全酪新報8月20日号にて、2021-8月評価からハプロタイプの情報提供が開始されたと紹介したが、ここでは実際にどのような形でこの情報が手元に届くのかをご紹介する。
     図は雌牛遺伝評価・遺伝子保因情報の例である。この表は牛群遺伝情報Webシステムに載っている牛の個体識別番号をクリックすると表示される。遺伝子保因状況の欄に、従来から記載されていた遺伝子型情報の上に新たにSNP型(ハプロタイプ)が追加された。それぞれの形質の欄に、保因していない場合はフリーのF、保因している場合はキャリアーのCが記載されている。今回は雌牛の例を挙げているが、若雄牛でも同様の情報が掲載されている。

    5種類の遺伝的不良形質を記載

     今回の情報により分かるのは、妊娠期間中に胚死滅を引き起こす5種類の遺伝的不良形質である。これらの遺伝的不良形質を保因していることが分かったとしても、いずれも劣性遺伝様式の不良形質であり、父牛と母牛が両方保因していた場合に25%の確率で発症するものなので、ただ保因しているだけでは繁殖能力や泌乳能力に悪影響はない。そのため、すぐさま牛群から排除するのではなく、交配計画を立てる材料として扱うことが望ましいと考えられる。

    対象はSNP検査済の若雄牛か雌牛

     ハプロタイプの情報提供の対象になるのは、SNP検査を実施した若雄牛もしくは雌牛である。また、ハプロタイプに基づく本情報の推測精度はある程度高いものではあるが、不良形質の原因遺伝子の保因、非保因を100%保証するものではない。そのため、保因状況を確定するためには遺伝子型検査が必須である点に注意する必要がある。ハプロタイプの詳しい情報については8月20日号に掲載されているので、そちらも合わせてご確認いただきたい。

全国ジャージー酪農振興協議会

職員募集

5面

生涯乳量1位岩手県・川村竜太さん 都府県令和3年7〜8月

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     令和3年7月から8月に都府県で検定成績証明されたものの中から、別表には生涯乳量5万キロ以上を示した。今回は2頭が総乳量(M)10万キロを突破した。

    1位川村竜太さん(岩手県)

     今回の1位は川村竜太さん(岩手県)の「アマリアビシヤモンウインチエスター」の検定回数13回で検定日数4688日、M14万9719キロ、総乳脂量(F)4868キロ、平均乳脂率(F%)3.3%、総乳蛋白質量(P)4196キロであった。これは岩手県内で歴代2位、また乳脂量においては県内歴代6位の記録となる。この牛は代々アマリアという愛称で同牧場において生産を続けてきた血統の牛で、母牛も生涯乳量10万9982キロ、決定得点84点という素晴らしい記録を残している。また、本牛は14歳で13産と、乳量だけでなく繁殖面でも優れており、本年6月に14産目の分娩があったことから、岩手県歴代1位の中六角保広氏が所有した「アウトサイドマスター」の記録更新が期待される。現在、8頭の娘牛、7頭の孫牛、2頭のひ孫牛がおり、今後も同牧場を支えていくことがうかがえる。

    2位吉原直樹さん(岡山県)

     2位は吉原直樹さん(岡山県)の「グランデイールスーパーピノチヤントET」の検定回数6回で検定日数2774日、M13万2664キロ、F5325キロ、F%4.0%、P4174キロであり、岡山県内で乳量、乳脂量ともに歴代1位の成績を記録した。9世代前から同牧場を支え続けてきた本牛は、母牛と共にEXを獲得しており、体型面でも優れている。その優れた遺伝子は供卵牛として多くの産子を残している。

    3位遠坂和仁さん(群馬県)

     3位は遠坂和仁さん(群馬県)の「フアインリコダツチ」の検定回数7回で検定日数2609日、M9万805キロ、F5132キロ、F%5.7%、P3260キロであった。この牛は7月20日号でも取り上げたとおり、日本最高記録タイである95−6Eを獲得している、体型面でも非常に優れた牛である。血統をさかのぼってみると、5世代前に北海道中川郡の福井牧場から導入されている。
     4位は新海益二郎さん(長野県)の「ラツキーマーシユダーハムルビ」の検定回数6回で検定日数2105日、M8万3982キロ、F3286キロ、F%3.9%、P2860キロ。3世代前に北海道河東郡の渡部牧場から導入されており、母牛は第12回全共において優等賞を獲得している。
     5位は川田佳男さん(栃木県)の「リバーフアームマーシヤルボリヴアーバツカイ」の検定回数6回で検定日数2088日、M8万1260キロ、F2591キロ、F%3.2%、P2481キロで、7世代前に同県同市の小林牧場から導入されて以降、脈々とその血統を受け継いできている。
     また2位の吉原さん、3位遠坂さんをはじめ、佐藤範之さん(茨城県)、新海益二郎さん(長野県)、菊地武士さん(宮城県)、藤岡俊策さん(岩手県)、小林正春さん(長野県)、高橋洋一さん(新潟県)は90点以上を獲得しており、体型においても優れた成績を残している。
     写真はデーリィマン社より提供。

    グランデイールスーパーピノチヤントET 2010.11.24生(父:スーパーステイシヨン)
    岡山県吉原直樹さん所有(2014年12月撮影)

    フアインリコダツチ 2010.03.31生(父:ラテイチユード)
    群馬県・遠坂牧場所有(2021年4月撮影)

初登場「アルタゴープロ」首位 2021ー8月海外種雄牛評価

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     (独)家畜改良センターから8月10日に海外種雄牛2021-8月評価が公表された。

    1位アルタゴープロ

     今回の1位は初登場の「アルタゴープロ」(ヒーリクス×モントロス)が獲得した。今回の評価で産乳成分、乳量、乳蛋白質量で1位を記録し、疾病繁殖成分も高い優秀な種雄牛であり、ヒーリクスの息子牛である。

    2位ヒーリクス

     2位は前回同様「ヒーリクス」(シルバー×スーパーサイアー)。1位アルタゴープロの父牛であり、2020-12月評価まで4期連続首位牛だった。今回の評価の中で乳脂肪量が最も高く、産乳成分は息牛に次いで高い種雄牛である。

    3位アルコーブ

     3位は初登場「アルコーブ」(デユーク×MVP)。高い産乳成分を持ち、耐久性成分や肢蹄、決定得点等の体型面にも優秀。なお、16位デユークの息子牛である。

    4位ボナム

     4位はボナム。珍しいデンマークの種雄牛で耐久性成分に秀でている。新規牛は1位アルタゴープロ、3位アルコーブの他に、5位ローリー、13位ルースター、31位ボジテイブ、33位レネゲードとトップ40中6頭という結果となった。
     トップ40の中で、父牛別ではバリストとシルバー、スーパーショット及びデユークがそれぞれ3頭、母方祖父牛としてはスーパーサイアーが10頭、ソクラ5頭、ルビコン3頭であった。

令和3年度後期審査日程

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事務所移転のお知らせ

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6面

EX199頭 審査・調査頭数回復 令和3年度前期4−8月都府県

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     令和3年度前期都府県の体型審査は、8月上旬をもって全ての日程が終了した。2年目を迎えたコロナ禍の状況下、会員並びに支部・承認団体ほか、関係各位の多大なる理解・協力により、前期の体型審査頭数は大幅に回復することができた。まずは本紙面を通して皆様方に心より感謝を申し上げたい。
     都府県における前期の体型審査は、コロナ禍の影響により8県の中止が余儀なくされたことで、予定通り実施したのは38都府県となった。全審査頭数の合計は9356頭となり、コロナ禍に大打撃を受けた前年同期との比較では6100頭増(287%)の実績を確保することができた。審査頭数の内訳では、ホルスタイン種の牛群・奨励審査は4321頭(261戸・2906頭増)、体型調査は4389頭(326戸・2850頭増)、搾乳ロボット適合性調査は582頭(27戸・295頭増)となった。
     一方、ジャージー種の審査頭数は62頭(5戸・47頭増)で、ブラウンスイス種は2頭(1戸・2頭増)となり、今期の全審査頭数とコロナ前の令和元年度、いわゆる平時との比較では95%まで回復することができた。

    審査頭数1位岩手県

     都府県別の状況をみると、審査頭数では岩手県が694頭で最も多く、以下熊本県412頭、千葉県381頭、群馬県344頭、宮崎県218頭、栃木県213頭と続き、この上位6県の審査頭数は都府県全体の約半数の52%を占める。このうち千葉県と宮崎県はコロナ禍の影響により前年度の審査が前・後期ともに実施できなかったこともあり、ようやくの体型審査再開に農家の受検意欲は高まり、今期審査頭数の増加に繋がったと推測される。
     また、後代検定体型調査は、各県計画頭数に基づき496戸を巡回し、材料娘牛981頭、同期牛3408頭、計4389頭の体型データを収集。前年同期との比較では326戸・2850頭の増加となった。調査頭数では岩手県が639頭で最も多く、以下熊本県632頭、群馬県482頭、千葉県286頭、鹿児島県256頭、福岡県232頭の順となった。
     一方、将来の搾乳ロボット適合指数開発に向けたロボット調査は、各県計画頭数に基づき52戸を巡回し、582頭の体型データを収集した。前年同期との比較では27戸・295頭の増加となり、調査頭数では岩手県84頭が最も多く、以下熊本県62頭、岡山県38頭、静岡県37頭、千葉県・岐阜県・佐賀県がそれぞれ34頭の順となった。
     牛群審査・体型調査・ロボット調査の合計では、岩手県が1417頭で最も多く、2位の熊本県1106頭に311頭の差をつける結果となった。次いで3位群馬県826頭、4位千葉県701頭、5位福岡県447頭の順となった。
     このように、コロナ禍の厳しい状況下にも拘わらず順調に体型審査を実施することができたが、前期審査日程の最盛期とコロナ感染者数が一時的に減少した波の谷間、すなわち第4波と第5波の中間期に大型県を中心とした都府県審査日程を実施できたことが一番の理由と考えられる。

    後期審査に向けて

     本紙面を通してこれまで何度もご案内しているとおり、審査の実施に際しては審査委員の在宅勤務や混雑時を避けた移動、滞在先での夜間外出・外食の自粛など、感染防止対策の徹底に努める取り組みを継続している。これらの対策に加え、後期審査からは全ての審査委員がワクチン接種完了(2回)を必須条件とし、更には移動前に抗原検査を実施し陰性を確認する対応を追加した。
     感染力の強い変異株の影響により長引くコロナ禍、ブレイクスルー感染への予防対策にも出来る限りの対応を徹底することにしている。引き続き、体型審査の実施に会員並びに支部・承認団体ほか、関係各位のご理解・ご協力をお願いしたい。

    前期EX頭数199頭最高得点は「リコダツチ」

     都府県で審査得点90点以上に評価された牛を表に示した。県別では岩手県が26頭で1位。次いで群馬県・千葉県20頭、栃木県18頭、大分県11頭と続き、30都府県で199頭、ジャージー種4頭がEX牛として評価された。このうち2E35頭、3E18頭、4E4頭、5E1頭、6E1頭が分娩更新するとともに、その評価を更新した。
    最高得点では、群馬県太田市の遠坂和仁氏所有の「フアインリコダツチ」が3度目となる都府県最高得点を更新し、EX95−6Eとなった。
     そのほかに、ホルスタイン種で青森県・斗米晃二氏、佐藤義明氏、栃木県・鈴木積氏、群馬県・森田浩章氏、長崎県・(株)S.T.M.HOLSTEIN、熊本県・(有)つだ牧場、宮崎県・八木弘美氏、後藤和実氏の8牧場で初EX牛が誕生した。長きにわたり続けてきた改良努力の成果と優れた管理技術に敬意を表したい。

7面

令和2年度 乳用牛群能力検定成績速報より

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     乳用牛群検定全国協議会はこのほど、令和2年度乳用牛群能力検定成績速報(集計分析・一般社団法人家畜改良事業団)を発行した。
     表1には、牛群検定農家戸数・頭数の推移を示した。令和2年度末現在、全国では検定組合数236組合、牛群検定農家戸数7265戸となり、前年より192戸減少した。内訳を見ると、北海道では84戸減、都府県では108戸の減少となった。
     全国の検定牛頭数は52万8591頭でこの1年間に6521頭増加し、北海道は4985頭増、都府県は1536頭増となった。1戸当たりの検定牛頭数は昨年より2.8頭増加して72.8頭で、北海道は90.4頭で昨年より3.2頭増、都府県は52.4頭で2.1頭増となった。また、全国で見ると、この10年で15.6頭増え検定農家の大型化が進んでいる。

    鳥取21年連続ダントツで検定牛比率1位

     次に検定普及率を見ると、畜産統計(令和2年2月1日現在)の成畜飼養農家戸数に対する都道府県別の検定農家比率は、北海道68.7%、都府県40.2%、全国平均51.9%と全国で1.4ポイント減少したが、全国の酪農家の半分以上が牛群検定を農家でしている。なお、北海道は1.5ポイント、都府県で1.3ポイントそれぞれ減少した。
     畜産統計の経産牛頭数に対する検定牛頭数の比率(検定牛比率)を見ると、北海道が76.6%と昨年より1.1ポイント上げ、都府県では46.5%と0.4ポイント上がり、全国では63%で0.8ポイント上がった。
     表2には、検定牛比率が50%以上の18都県を示した。県別では、鳥取県が1.2ポイント減の101.4%で21年連続1位となった。前年と同じく2位には福岡県が0.2ポイント減の85.7%、3位には1.8ポイント増の81.8%で鹿児島県が入った。4位の滋賀県は6.6ポイント増の79.4%。5位熊本県78.3%、6位の宮崎県76.9%までが、北海道の検定牛比率76.6%を上回った。

    3県で検定戸数が増加

     この1年で牛群検定戸数を増やした県は3県であった(表3)。今年は佐賀県で2戸の増加となり、島根県、長崎県で1戸の増加となった。また、3県共に検定牛頭数も増加し、特に佐賀県は175頭も増加した。
     また、検定牛頭数を見ると、頭数が増加した県は22県で、特に多かったのは熊本県の812頭である。次に岩手県の321頭で、以下佐賀県、広島県、宮崎県と続く。戸数、頭数を増加させた県では、関係団体が連携して普及推進した努力が結果につながった。酪農家も経営に直結する牛群検定を理解したことがその背景にあるのだろう。

    平均乳量は過去最高9819㌔

     表4には、牛群検定成績(ホルスタイン種立会、305日、2回搾乳)の最近3年間と5年ごとの推移の実績を示した。
     令和2年の全国平均乳量は59キロ増の9819キロと、過去最高の乳量を示した。内訳をみると、北海道の80キロ増加に対して、都府県では14キロの増加に留まった。
     過去5年間では北海道434キロ、都府県236キロの増加と北海道の増加が顕著であった。
     濃厚飼料給与量は、全国で8キロ増加して3449キロであった。内訳を見ると、北海道では9キロ増の3285キロ、都府県は4キロ増の3779キロであった。過去5年間では北海道38キロ、都府県16キロの減少であった。

    高い海外の検定普及率

     表5には酪農先進諸国の牛群検定普及率を抜粋した。オランダが90.3%(経産牛頭数が約147万頭)と連続1位であった。続いてドイツ87.6%(同約410万頭)、ニュージーランド72.4%(同約499万頭)と高い数値を示している。なお、国によってはとりまとめ時期が異なる場合がある。
     牛群検定事業は泌乳能力の向上や飼養管理面、経営面、改良において非常に重要な役割を果たしている。特に近年では検定牛はもとより、雄牛の遺伝評価やゲノミック評価にも重要なデータとして活用されている。

    牛群検定 試行事業の勧め

     酪農先進国といわれている国々では7割以上の酪農家が牛群検定に参加している。日本はおおむね半数の酪農家が参加している状況にある。家畜改良事業団では今年も牛群検定の試行農家を募集している。この事業は、牛群検定にかかる費用を最大6カ月助成し、無料で牛群検定を体験できるものである。まだ参加されていない方はこの「お試し検定」に是非参加し、牛群検定の良さを体験してほしい。なお、試行農家の大部分が継続して牛群検定に参加しており、満足度の高い事業と言える。

2021-8月国内雌牛評価 北海道稲川牧場「リデイア」 2期連続首位

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     (独)家畜改良センターから8月31日に2021‐8月国内雌牛遺伝評価成績が公表された。そのうち、全国15位以内及び都府県で飼養されている上位牛の一覧を表に示した。
     都府県からは群馬県・神沢勤さんの「シヤングリラドアマンアニーET」が6位で都府県トップ牛となった。産乳成分が高く体型面も優れている。また本牛は都府県において8期連続で1位となっている。

    1、2位北海道・稲川牧場

     1位は2期連続で北海道・(株)稲川牧場の「デイベロツプデユークリデイア8460ET」が獲得し、次点に同牧場の「デイベロツプバトルクライボヤンカ8405ET」が続いた。どちらも高い産乳成分を持ち、更に「リデイア」は耐久性成分、「ボヤンカ」は乳量に特に優れている。この2頭をはじめ、稲川牧場は更に他の上位牛も多く輩出している。
     3位は北海道・(株)山口牧場の「サミツトリーアンジエラSデユーク」が前回5位からランクアップした。

    群馬県・神沢勤さん8期連続都府県1位

     なお都府県の飼養牛については他にも、静岡県・石川和博さんの20位「エレガンス」、同45位「メイビー」、岩手県・小岩井農場の42位「パリス」、福島県・(独)家畜改良センターの44位「ロートラスト」、同48位「パワーボール」、岡山県・吉原直樹さんの49位「アニー」がおり、トップ50の中に7頭が含まれる優秀な結果となった。

検定成績優秀牛 -都府県令和3年8月証明分F偏差値-

今後の行事 日本ホル協

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    ◇令和3年度夏期登録事務担当者会議
    令和3年10月6日、Web開催
    ◇令和3年度支部承認団体登録事務取扱者研修会
    令和3年11月11日、Web開催
    ◇令和3年度中間監査会
    令和3年10月22日、Web開催
    ◇第308回理事会
    令和3年11月19日、中野サンプラザ
    ◇令和3年度社員会議
    (東日本地区)令和4年2月10日、中野サンプラザ
    (西日本地区)令和4年2月4日、福岡朝日ビル
    ◇令和3年度冬期登録事務担当者会議
    (東日本地区)令和4年2月9日、中野サンプラザ
    (西日本地区)令和4年2月3日、福岡朝日ビル

人事異動 日本ホル協

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    (9月5日付)
    ◇池田泰男参与(全共対策室長兼事業部審議役)