PAGE TOP

機関誌

機関誌内容一覧

平成17年12月20日


平成17年12月20日
「第12回全共の出品牛たちは」
第12回全日本ホルスタイン共進会と第4回全日本ジャージー共進会は11月3~6日、栃木県で開催され、ホルスタインは12部に303頭、ジャージーは4部に60頭が出品され、体型の栄を競った。今回のホルスタイン全共では、北海道が圧倒的な強さを見せた。出品牛の父牛では今回出品牛を見ると、輸入精液または輸入受精卵による生産牛が前回の岡山全共よりも大幅に増加した。また、出品牛の体格では、体高が伸びる一方で、胸囲や後躯の伸びは低調であった。
国内種雄牛の娘は40頭
表には出品牛303頭の父牛別頭数と優・一等賞入賞割合を示している。出品牛の父牛として登場した種雄牛は全部で94頭を数え、このうち国内繋留種雄牛は28頭(種雄牛全体の約30%)で出品娘牛頭数は40頭(出品牛全体の13%)、海外繋留種雄牛は66頭で、出品娘牛頭数は263頭であった。
この数数字を前回全共時と比べると、国内種雄牛が15頭減少し、娘牛も44頭減少した一方、海外繋留種雄牛は3頭増加、出品娘牛は54頭増加した。このことは、これまで国内の後代検定済種雄牛の利用拡大を推進してきたにもかかわらず、体型レベルでは海外繋留種雄牛が競って利用されているという皮肉な結果となった。
今回、出品牛頭数が最も多かった種雄牛はダーハムで娘牛68頭は実に全体の約22%を占める。すなわち、出品牛5頭に1頭はダーハムの娘牛ということになる。さらに、その7割近くが優等・一等賞入賞を果たしたのだから驚きである。
次いで、出品娘牛頭数が多かった種雄牛はチャンピオンとラデュックの26頭、ロイレーン・ジョーダン14頭など。国内種雄牛ではミックスとアディダスの各4頭が最多であった。
表第12回全日本ホルスタイン共進会の父牛別出品頭数と入賞割合
父牛名号出品頭数優・1等賞
入賞頭数
優・1等賞
入賞割合
レ-ガンクレストエルトンダ-ハムET684667.6
カルブレツトアイHHチヤンピオンET261557.7
リステルラデユツクET261142.3
ロイレ-ンジヨ-ダンET14642.9
コムスタ-アウトサイドET6350.0
スタ-トモアルドルフET5480.0
モ-リンスト-ムET5360.0
インウツドテラソン5240.0
セントボビテツクル-ベンスET500.0
ルツツメド-スビ-スタ-ミツクスET44100.0
フオ-オブアカインドエランドET44100.0
コムスタ-エルヒ-ロ-ズET4375.0
スト-ダ-モ-テイ-ET4125.0
ダンカンプログレスET4125.0
マラト-ンマスコツトアデイダスET4125.0
そのほかの種雄牛79頭1195142.9
注)種雄牛名号の前の*は国内繋留種雄牛
胸囲のみ標準発育値に収まる
全共では毎回、出品牛の体各部測定を行っている。
図1には第1回(昭和26年、神奈川県)から今回までの各回全共出品牛について、体各部測定値の推移を示している。
今回の未経産(22月齢以上)及び経産(48月齢以上)の各測定値の平均はそれぞれ体高が150・5㌢と154・7㌢、尻長54・9㌢と59・1㌢、腰角幅53・5㌢と61・3㌢、胸囲197・3㌢と211・8㌢であった。
体高では未経産、経産ともに全共の回次ごとに徐々に大きくなっており、今回はついに未経産22月齢以上で150㌢を上回る結果となった。しかし、そのほかの部位では、経産は回次ごとに徐々ながら伸びているものの、未経産牛は第5回(昭和45年、愛知県)以降、各測定値ともほとんど伸び悩み傾向にある。
図2には今回出品牛の月齢別平均値を、前回全共およびホルスタイン種雌牛の標準発育値(平成7年発表)の「平均値+1標準偏差」(以下、発育上限値という)と比較した。
今回出品牛の体高では、各月齢で発育上限値を大きく上回っている。また、各部位でも前回より平均値は伸びているが、発育上限値を比較すると尻長、腰角幅は発育上限値とほぼ同様の発育である。さらに、胸囲では未経産は発育上限値とほぼ同様の発育であるが、経産になると発育上限値を大幅に下回り、発育平均値周辺に落ち着くようである。
図1全共出品牛の体測定値の推移
図2第12回全共出品牛の月齢別体測定値
次回年北海道全共に向けて
このことは、育成牛では体高や胸囲と相関が高い体重について十分な発育を求めている一方で、経産牛では体高が大型化するものの、共進会では特に乳房と乳用特質がより重視されていることから、泌乳ステージ前半の力強い乳房とよりデーリィな牛が好んで出品されていることなども原因しているものと推察される。
とかく全共では体高が大きすぎることを指摘されてきたが、体型形質の中で遺伝率が比較的高い体高は種雄牛に由来する部分も少なくない。したがって、共進会に出てくる雌牛だけを厳しく制限しても問題の解決にはならない。
さて、次回の全共は5年後の2010年、酪農の生産基地である北海道で開催される。この5年という間隔は乳牛の更新期間と遺伝的改良、飼養技術向上の度合いを明確に例示できる適度の間隔である。より機能的で長持ちして生産効率のよい乳牛の体型はどうであるべきか、今回までの全共出品牛、上位入賞牛の体型バランスを基本に置いて、ここで示された尻や胸囲の充実を期待しつつ、次回全共に向けて最大限の努力を傾けたい。
平成17年12月20日
「ホルスタイン審査報告」
(詳細はこちら)
ホルスタイン審査報告
ジャージー審査報告
全日本ホルスタイン共進会は、第1回が戦後間もない昭和26年、神奈川県平塚市で開催されてから半世紀が過ぎ、ここに第12回を数え、誠に意義深いものと考えております。
近年の乳牛改良については、インターブルの活動等により、国際的な調和を図りながら進められております。ホルスタイン種の審査標準についても、世界ホルスタイン会議や世界審査委員会議の勧告に従い、平成6年に乳器と肢蹄の改良を最重要課題とした審査標準に改定しております。
改定後、10年が経過し、改良の成果を見るに大変重要な共進会でありました。全国44都道府県から出品された303頭はその改良の成果を存分に示してくれました。
審査について、前回と変更した.点を申し上げますと、出品牛全頭について序列付けを行いました。
又、出品作法の遵守については、特に守るべき出品牛・出品者マナーを設け、出品マナーの厳守が徹底され出品マナーが向上しておりました。
以下、審査結果についてその概要を報告申し上げます。 未経産 未経産牛は、生後12カ月以上24カ月未満の牛114頭を5部に分けて審査しました。
前回より、第1部から第3部までの最も発育が顕著な時期の牛を2カ月間の区分とし、第4部から第5部までを3カ月間の区分としたことから、各部とも月齢による発育差が緩和されておりました。
この部門は総体的に極めて発育がよく、品位と資質に優れ、生き生きとして活力に富むものが多く見られました。また、体各部のバランスがよく、移行が滑らかで、肋張りが良く、中躯は十分な伸びと強さを示し、乳用牛の特質に富むものが多く出品されるとともに、尻の形状も概ね好ましいものでした。
しかしながら、肢蹄の弱いもの、胸底が狭いもの、肩後の充実に欠けるものが散見させたことが惜しまれました。 経産牛 経産牛は、2歳から6歳以上までの189頭を7部に分けて審査いたしました。前回から2歳及び3歳クラスをジュニアとシニアのクラス分けにしたことから、改良の成果を最も早くに見たい2歳クラスの牛が57頭出品されておりました。又、未経産牛と経産牛の出品比率が経産牛62%となり乳器の改良の成果を見るに相応しい部門でありました。
この部門は、総じて体格が大型化しておりますが、品位と資質に優れ、輪郭鮮明で、乳用牛の特質に富んだものが多く出品されておりました。
特に、乳器については、前乳房の付着が強く、後乳房も高く幅広く付着し、乳房の懸垂も明瞭であり、質においても満足出来るものが多く出品されておりました。
しかしながら、乳房の底面が低めのもの、傾斜するもの、また乳頭の配置と形状、方向に改良の余地があるものが散見されました。
今後、飼養環境に適した体型の斉一性を図るとともに、生涯生産性向上のために、より一層の乳器並びに肢蹄の改良を図っていただきますようお願い申し上げます。 以上、審査結果の概要をご報告申し上げましたが、我が国の酪農の安定的な発展を図るためには、泌乳能力を向上させるとともに、良質な生乳の確保が重要であります。
今回、この共進会に寄せられました関係各位の熱意が、今後の我が国乳牛改良の一層の進展に注がれることを祈念してやみません。
最後に、円滑な審査にご協力いただきました出品者、出品委員を始め、関係各位、並びに栃木県実行委員会に対し、心から厚くお礼申し上げます。 平成17年11月6日
審査委員長独行政法人家畜改良センター理事長木下良智
(各部の講評については、来年1月20日特集号に掲載予定)
平成17年12月20日
「全共記念物品申込受付中」
日ホ協では、全共記念物品の申込を受付中。 ◇記念アルバム◇
ホルスタイン、ジャージーとも全出場牛掲載、都道府県別出品者、会場のさまざまな風景も収録。A4判・全カラー。
価格:1万4千円(税・送料込) ◇記念DVD◇
ホルスタイン、ジャージーとも全出場牛を収録し、共進会風景を中心に編集。
価格:1万円(税・送料込) 申込は、FAXにて受付中。希望物品と数量、氏名、郵便番号、住所、電話番号をお書き添えの上、東京都中央区京橋1-19-8大野ビル、日本ホルスタイン登録協会(FAX03-3564-3683)まで。