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機関誌

機関誌内容一覧

平成21年3月20日


平成21年3月20日
都府県登録伸び悩む」

~日本ホル協社員会議~
自動登録普及拡大が急務
日本ホル協(北良治会長)は本年1月、東日本と西日本の2地区で平成20年度社員会議を開催し、20年度の中間事業概況と21年度重点事業などを報告・承認を得た。昨年12月末までの都府県血統登録申込みは前年対比94%で2年連続の減少となった。21年度重点事業では、自動登録への積極的な参加を呼びかけるとともに、引き続き血統登録や体型審査の推進を図ることとした。全日本ホルスタイン共進会関係では、来年10月に北海道で開かれる第13回全共の出品頭数の追加希望を募るとともに、その後の全共開催について意見を聞いた。また、日本大学教授の小林信一氏を講師に迎えて、「酪農経営の持続的発展のために」と題した講演が行われた。
北海道全共は準備着々
日本ホル協の20年度社員会議は、東日本地区が1月29日に東京都中野区の中野サンプラザで、西日本地区は1月22日に福岡市博多区のTKP博多シテイセンターに役員や社員、各県支部・承認団体関係者など約70名を集めて開催された。
東日本地区の会議では、北会長から「昨年の総会で山﨑前会長の後任として会長を務めることになったのでよろしくお願いしたい。金融危機などによる経済不況は酪農業にも大きな影響を与えている。厳しい情勢下ではあるが、酪農経営の基盤となる登録や体型審査の実施は経営改善の一助として重要な役割を果たすものである。登録事業への一層の理解と推進をお願いしたい。また、来年秋には北海道安平町で第13回全共を開催することで、北海道では準備を着々と進めているところだ。しかしながら、次の第14回全共の開催地がまだ決まっていない点が心配だ。従来のように多くの経費をかけての開催は難しくなっているため、BWショウ的な運営方法や新たな知恵と工夫によって、乳牛改良を競い合うような共進会を目指していかなければならないと考えている。全共を継続して開催できるよう、是非とも皆様の力を貸してほしい」旨の挨拶があった。
20年度中間事業概況では、昨年12月末までの登録申込状況が報告された。血統登録は、北海道が11万7397頭で前年同期比108%と増加したが、都府県は2万5849頭で前年の94%に留まった。北海道では自動登録が登録全体の95%以上を占め、登録頭数の増頭につながっている一方、都府県での普及割合はまだ20%程度で、北会長からも、今後の登録の方向であり是非とも多くの酪農家が自動登録に参加してほしい旨をお願いした。会員は6200名で前年対比97%。
このほかの事業では、地区別登録委員研修会や中央審査研究会、登録審議会の開催、世界ホルスタインフリージアン連盟の評議委員会やアイルランドで開かれた第12回世界ホルスタインフリージアン会議への出席など概要を報告した。
21年度重点事業では、自動登録への積極的勧誘と引き続き登録や審査の普及拡大に努めるほか、インターネット等を利用した情報提供の改善充実を図る。また、来年10月に北海道で開催する第13回全共の出品頭数案を示し、計画頭数に向けて増頭の希望を募った。
全共開催に対して「過去の全共は、共進会と合わせて消費者に対して酪農の理解醸成と牛乳乳製品の消費宣伝の大きな場となった。今後の全共でも共進会だけに留まらず消費PR面も充実してほしい」等の要望があった。
将来に希望を持てる酪農を~小林日大教授が社員会議で講演~
全国酪農協会が主催する酪農研究会の専門部会が昨年3月から10数回にわたる部会と現地調査、関係団体等との意見交換を基に、「酪農経営の持続的発展のための提言」として中間答申をまとめ、10月の本委員会に提出、了承された。本講演では「提言」の概要を説明していただいた。
中間答申は、①酪農経営の持続的発展のための取組み、②消費者からの信頼を得るための取組み、③取組みを実現するための生産者団体の組織力強化(生産・処理の一本化)の3項目を柱にし、本年3月には最終答申としてまとめる予定だ。
趣旨は、酪農が食、環境、教育などに果たす役割の重要性を強調し、酪農の存在意義を改めて確認している。その上に立って、酪農の衰退は農業・農村や国土保全などに支障をもたらし、都市環境や消費者にも影響を与えるものである。そのためには、現在の苦境を打開し、将来に希望を持てる酪農にするための中長期な視野に立った方策の検討が喫緊の課題であり、そのための骨子を提言している。
「酪農経営の持続的発展のための取組み」では、中長期的な経営安定制度の必要性や、水田や遊休農地利用による自給飼料生産の促進、後継者・ヘルパー員など担い手の確保育成、酪農経営改善への支援体制整備などの取組みを述べている。
「消費者からの信頼を得るための取組み」では、子供や消費者への「食といのちを学ぶ」教育活動(酪農教育ファームなど)の強化や地域交流・意見交換の必要性を提示している。また、これらの取組みを実現するためには、生産者団体が取引交渉力を高めるための組織力の強化(全国段階を含めた生産者団体の統合、生産者系プラントの統合と生産・処理の一本化)が必要だと結んだ。
聴講した社員からは「平均乳量がかつての2倍以上に増加したのは、酪農家や関係者は長年にわたる堅実な努力を重ねてきた成果だ。しかし、今日ではその甲斐なく農業や畜産従業者は年々高齢化が進んで、後継者のいない農家は廃業に追い込まれる事態だ。今後、酪農が維持発展する1つの方向づけとして、この提言の意義は大きい」として絶賛の評価と早期実現へ期待が寄せられた。

平成21年3月20日
「改良センター、品川牧場が登録最多」

~都府県登録現状~
5,353戸で1戸当7.8頭
都府県で昨年1年間に血統登録された雌牛は4万1727頭で、前年より5798頭減少した。また、登録を行った酪農家(研究機関、学校、団体含む)は5353戸で前年より453戸減って1戸あたり血統登録頭数も7・8頭で前年より0・4頭少なかつた。
表1は最近6年間の都府県登録頭数と登録実施農家戸数の推移を、表2は昨年1年間に血統登録を多く実施した会員酪農家を示した。集計では、親子などは1つにまとめて登録頭数の多い所有者名で表示した。
登録頭数が最も多かったのは家畜改良センター(福島、岩手、宮崎牧場の合計)と品川牧場(群馬)の252頭だった。品川牧場は前年3位から37頭増やしての躍進ぶりだ。3位は小岩井農場(岩手)の193頭、4位野村栄一さん178頭、5位PIONEERFARM167頭はともに茨城県。以下、吉野藤彦さん(群馬)、つだ牧場(熊本)、ツバヌキ牧場(鳥取)、伊藤謙三さん(栃木)が100頭以上を登録した。年間100頭以上の登録農家は9戸で前年より1戸減少、50頭以上では9戸減少するなど昨年の酪農不況の煽りが出ている。
今回のトップ60以内には自動登録農家(表中、*を表示)が18戸あり、前年より3戸増えており、多頭数飼養農家では申込書不要、料金割引、登録洩れの防止、移動料無料など自動登録のメリットが大きい。






平成21年3月20日
「ジャージー雄登録資格改正など答申」

~登録審議会~
日本ホル協と日本ジャージー登録協会は3月10日、合同で登録審議会(委員長は矢野秀雄・家畜改良センター理事長)を開催し、ブラウンスイス種登録における毛色制限の緩和とジャージー種登録制度の改正を妥当とする答申を行った。
近年、国内でも飼養頭数が増えつつあるブラウンスイス種の登録資格に「腹部より上側に白斑又は尾房に白毛の交雑した牛は登録しない」として毛色を制限してきた。しかし、精液の主な輸入元であるアメリカやカナダではすでに毛色制限を緩和して、名号末尾に「OCS(オフカラー・スポット)」を付けて血統登録している。
審議会は、毛色や斑紋が乳用牛の生産性と直接的な関係がないことや、品種の純粋性を血統濃度の表示で確保できることから、これらの異毛色斑の牛も名号末尾にOCSを付けて登録できる旨を答申した。
また、ジャージー種登録制度では、現在利用している精液の約7割を海外に依存しており、国内雄牛の高等登録(AR)がほとんど機能していないことから、ARを廃止して、雄牛の血統登録資格から「父がAR」などの条件を削除し、海外種雄牛と整合性を図ることが妥当とした。すなわち、父母は登録牛(輸入牛、輸入精液や輸入受精卵による生産牛でもよい)で血統濃度93%以上とする。なお、海外繋留の父母牛は外国承認登録団体の血統登録牛。
ブラウンスイス種の登録取扱手続きは今月19日開催の理事会で承認を得て、来月1日から施行。ジャージー種登録規程の改正は5月開催の日ジャ理事会で承認を得て、農林水産大臣あてに認可申請する。
今後の行事~日本ホル協~
◇監査会
5月15日(金)東京都中野区、当協会会議室
◇第248回理事会
6月12日(金)東京都中野区、中野サンプラザ
◇第59回通常総会
6月12日(金)東京都中野区、中野サンプラザ
審査日程

平成21年3月20日
「審査頭数は回復の兆し」

〜20年牛群審査実施状況(都府県)〜
平成20年度の都府県牛群審査と後代検定体型調査は44都府県で実施され、審査頭数は7635頭で8年ぶりの減少となった昨年度実績を若干上回った。一方、体型調査は1万3819頭と概ね計画頭数を実施した。牛群審査の最多受検は(株)小岩井農場で436頭。次いで家畜改良センター岩手牧場の170頭。20年度の審査・調査牛の平均審査得点は80.61点だった。また、審査得点90点以上(EX)に評価された雌牛は合計129頭で前年度より31頭増加。栃木県・中山真介さん所有牛が後期に、日本最高得点と同じ95点を獲得した。
20年度都府県の体型審査実施状況は、牛群審査が670戸で6981頭、牛群奨励審査が207戸で646頭、個体審査が雌2頭、雄6頭で審査合計頭数は7635頭を数え、前年を上回った。
都府県別では岩手県が昨年を385頭と大幅に上回り、1080頭で一位となり、次いで群馬県の641頭。3位には熊本県533頭。以下、栃木県492、茨城県429、千葉県383、愛知県309、宮城県296、兵庫県288、福島県263がトップ10となった。この他に前年度対比で増頭したのは鳥取県(+73)、愛媛県(+63)、山梨県(+59)で、反対に減少したのは岡山県(△88)、埼玉県(△80頭)、青森県(△63)となった。
一方、酪農生産基盤改善支援対策事業で実施している体型調査は、2112戸を巡回し、後代検定材料牛と同期初産牛1万3819頭の体型データを収集した。これは前年度を115頭下回ったものの、計画頭数は実施できた。
体型調査では、唯一1千頭を越えた熊本県が9年連続トップとなった。次いで岩手県、群馬県、鹿児島県、福岡県、栃木県の順。
なお、牛群審査と体型調査の合計では、熊本県2159頭のほか、岩手県2030頭、群馬県、栃木県、茨城県で1000頭を超えた。都府県合計2万1454頭の平均審査得点は80.61点で前年に比べて0.24点上回った。
表2には20年度の牛群審査受検農家のうち、年間審査総頭数が多かった農家を示した。
審査頭数が最も多かったのは(株)小岩井農場で436頭、2位は家畜改良センター岩手牧場の170頭、3位は半澤牧場(宮城県)の89頭、以下、バイオトラスト軽井沢牧場(群馬県)、仲田祐輝さん(山梨県)、小林幸雄さん(栃木県)、森富士樹さん(愛知県)、三浦幹雄さん(鳥取県)、萩原牧場(群馬県)、西山敏夫さん(鳥取県)が上位10件で60頭以上を受検している。
20年度都府県で審査得点90点以上(EX)を獲得した雌牛は129頭で前年よりも31頭増加した。都府県別では岩手県が17頭で最も多く、次いで栃木県が15頭、熊本県が13頭、福島県と群馬県が10頭、静岡県と大分県が7頭。後期には青森県で初のEX雌牛(木村明さん所有のスコーキーアデイダスアンナ)が誕生した。
今年度の最高得点牛は、栃木県・中山真介さん所有のエスペランサレブロンレイジーファーストダーハムETが8歳2月齢、6産で獲得した95点。以下、92点が8頭、91点12頭、90点が108頭。
表3には20年度後期のEX雌牛を掲載した。後期の最高得点は95点の中山真介さん(栃木県)のダーハム、次いで外谷辰也さん(岩手県)のルーベンス、中六角保広さん(岩手県)のデリア、郡山市観光公社さん(福島県)のクールクール、長坂仁司さん(群馬県)のビースター、新海益二郎さん(長野県)のダーハム、島原農高さん(長崎県)のレガシーの6頭が92点を獲得した。


EX92点を獲得〜長崎県島原農高教諭斉藤孝〜
平成21年2月長崎県島原農業高校のコピアクレイタスレガシー(11歳4月齢)が92点を獲得しました。
長崎県下には、現在約1万3千頭の乳牛が飼育されています。
この乳牛は平成18年に90点を獲得し、乳牛改良を行う者の勲章をいただいています。その後も、長崎県でのEX牛はこのレガシー号だけで、さらに産次を重ねて点数を伸ばすことができました。このレガシー号は、これまでに11歳で9産していますが、体型や乳房が崩れずに、長年にわたって多くの牛乳を生産してきました。
今回審査をした日本ホル協の栗田純審査委員から「この学校は素晴しい牛群が揃っている。飼料高騰の中にこれほどまでに乳牛を維持しているのは素晴しい。」とコメントをいただきました。
レガシー号は、島原農高の生徒達が手塩に育てた自家生産牛であり、今まで数々のコンテストで優秀な成績を残してきました。この高得点を獲得できたのも、生徒はもちろんのこと、卒業生や本校OBの酪農家の方々のご協力がなければ成し遂げることが出来ませんでした。
全国の農業高校の中でも、92点の乳牛を所有しているは、本校と栃木県・那須拓陽高校の2校のみと聞いています。また、九州の農業高校でEX牛を飼育しているのは本校のみであります。
なお本校には他にも89点1頭、86点1頭、85点2頭、他80点台8頭の高得点牛が飼育されています。

コピアクレイタスレガシー(92点11-04)
を囲む長崎県島原農業高校の生徒と関係者の皆さん

平成21年3月20日
「都府県はバッカイ」

〜20年種雄牛別登録頭数〜
血統登録された雌牛の父牛として、どの種雄牛が多く利用されているか調査した。
平成20年1月〜12月までに全国で登録された雌牛は19万6641頭で、父牛頭数は1615頭。地域別では、北海道が登録雌牛15万4914頭で種雄牛1130、都府県は登録雌牛が4万1727頭で種雄牛1368頭が登録された。
このうち、北海道と都府県に共通する種雄牛は883頭であり、反対に北海道だけの供用種雄牛は247頭、都府県だけが485頭であった。
また、種雄牛1頭当りの登録娘牛頭数は全国で122頭であるが、北海道の137頭に対し都府県は僅か31頭。
国内海外の繋留別では、国内種雄牛1066頭による登録娘牛が11万7911頭で登録全体の60%、輸入精液など海外繋留種雄牛は549頭で登録娘牛は7万8730頭全体の40%を占めその割合は昨年とほぼ同じ。
20年度に全国で5000頭以上の登録娘牛をもつ種雄牛は4頭、3000〜4999頭が10頭、1000〜2999頭が35頭、ここまでの種雄牛49頭で登録雌牛の65%を占めている。
表には20年度の登録娘牛を多く持つ種雄牛を北海道と都府県で分けて示したが、全国集計では1位ヒルトン、2位トイストーリー、3位ブラッド、4位ダンデイ、5位バッカイとなった。因みに、10位内の6頭がBWマーシャルの息子牛。

平成21年3月20日
「静岡県で3.5年型乳脂量日本記録」

~平成20年高能力牛とりまとめから~
平成20年の全国年型別乳量で、静岡県函南町・石川和博さん所有のプーリーブリツジスカイチーフエレガンス5ETが3・5型の305日及び365日乳脂量で日本記録を更新した。本牛は、20年次の全年型を通じて365日乳脂量でもトップであった。また、全年型を通じて最高乳量は5年型乳量トップの北海道豊頃町・マイスター所有牛のソリッドゴールドLLリッチETで、305日で唯一2万kgを突破した。
日本ホル協では、平成20年1~12月末までに検定成績証明された中から、各年型別乳量・乳脂量(2回搾乳)高記録牛をとりまとめた。
表には、平成20年の年型別乳量・乳脂量の全国第1位を示した。昨年、日本記録を達成した牛(名号の前の*印は日本記録更新牛)は1頭のみで、静岡県函南町・石川和博さん所有のプーリーブリッジスカイチーフエレガンス5ET(平15・9・7生、体型得点90点、父スカイチーフ)が、3・5年型305日検定で乳量(M)1万6431kg、乳脂量(F)1016kg、平均乳脂率6・2%、M偏差値242、F偏差値416、また、365日検定でもM1万9042kg、F1171kg、F6.1%を記録し、この年型の305日および365日乳脂量日本記録を更新した。なお、本牛の365日乳脂量は、全年型を通じて20年次の最高乳脂量でもある。
マイスター所有牛が年間最高乳量
表中、全年型を通じて最高乳量を記録した牛は、5年型乳量トップの北海道豊頃町・(農)マイスター所有のソリッドゴールドLLリッチET(平14・2・1生、84点、父マーシャル)で、365日検定でM2万3349kg、F817kg、F3.5%、M偏差値291、F偏差値255を、また、305日検定でもM2万92kgで唯一、乳量2万kgを突破した。本牛は、2年型305日および365日乳量の日本記録牛でもある。
同じ年型で305日、365日、乳量、乳脂量の4部門ともにトップ記録となった牛は、2・5年型の北海道富良野市・礒江真徳さん所有のサリックスビューティーダーハム(88点、父ダーハム)、3年型の豊頃町・(農)マイスター所有のアイリッチテレサチャンピオンET(85点、父チャンピオン)、4・5年型の紋別市・永峰勝利さん所有のビクトリアワーデルラプチャーET(89点、父コンビンサー)の3頭。2部門でのトップ記録牛も7頭いた。
牧場別では、前年に引き続き、前記の永峰牧場が最多の8部門でトップ成績を挙げている。次いで、(農)マイスターの6部門となっている。
乳量2万kg突破牛は30頭
前記のLLリッチ号が年間最高乳量牛となったが、因みに、昨年は30頭の乳量2万kg以上、所謂「スーパーカウ」が誕生した。乳量2位は成年型乳量1位の清水町・高橋徳男さん所有のセジスビューティーカウンテスエルトンET(86点、父コンビンサー)の365日乳量2万2684kg、3位が前記の3年型トップ牛、アイリッチテレサチャンピオンETのM2万2479kgで、4~5位も(農)マイスター所有牛が入っている。


平成21年3月20日
「全国から21名集合」

~認定ジャジマン研修会開催~
全国ホルスタイン改良協議会(森田一文会長)は、3月6日、静岡県函南町「酪農王国オラッチェ」において、地元改良同志会等の協力により「第38回丹那B&Wショウ」(審査員はAJBSの高橋忠司氏)に併せて認定ジャジマン研修会を開催した。
当日はあいにくの雨模様ではあったが、昭和63年から昨年度までに認定されたジャジマン73名のうち北は北海道から南は九州熊本までの熱心なジャジマン21名が集まり、序列の付け方並びに審査講評の技術を研修した。この研修会は平成7年岩手県で開催されて以来の2回目となる。今後は時期を空けずに開催し、共進会の審査が出来る実務者を数多く輩出する計画となっている。
参加者は瀬能剛・佐藤孝一・天野洋一・岩田政彦・山田博和・半澤善幸・青木裕治・真下豊・青木雄治・佐々木良一・高橋直人・山室稔・影山羊二・松崎範之・井上哲雄・松島喜一・梁池勝憲・米野浩二・岸上裕司・細野淳・岩城浩(敬称略)
JA函南東部青年部提供

平成21年3月20日
「岩泉牧場11万kgでトップ、新海牧場6万kg以上12頭」

~生涯乳量・都府県21年1~2月~
本年1~2月に都府県で検定成績証明された中から、生涯合計乳量の上位牛をとりまとめた。
今回の生涯乳量トップは岩手県・岩泉篤さん所有のデュークヘルメストニーチャリティー(平8・1・26生、父チャールズ)で、このほど過去4乳期の検定成績を追加して、通算8回の検定で検定日数3166日、総乳量(M)11万2862kg、総乳脂量(F)4585kg、平均乳脂率4.1%、平均蛋白質率3.4%で、生涯乳量を一気に11万kg台に伸ばした。都府県で生涯乳量10万kg突破牛は82頭になった。
本牛は、家畜改良センター岩手牧場で生産され、初産検定を終了後に岩泉牧場に移動した。初~2産とも305日乳量1万1000kg以上を記録するとともに、6歳3月齢、4産時の体型審査で90点を獲得している。
2位は埼玉県・青木雄治さん所有のブルーバンブーラグアップルベルマイナーが7~8産時の検定成績を加算して、8回の検定で、総乳量9万8895kgを達成した。
3位は埼玉県・高田茂さん所有牛で、9回の検定で総乳量9万8303kgを記録。
4位の岩手県・藤岡俊策さん、5位の群馬県畜産協会・都丸進さん、6位群馬県・細井幸夫さん所有牛はともに審査得点90点以上。
また、今回の生涯乳量6万kg以上の中に、長野県・新海益二郎さん所有牛が12頭入っている。そのうちの11頭が審査得点85点以上、1日あたり平均乳量40kg以上を記録しており、遺伝的改良に加えて、牛群としての優れた飼養管理がうかがえる。埼玉県・亀田牧場は都府県最多となる13頭目の生涯乳量9万kg突破牛を輩出した。
牛群検定成績を登録に生かそう
牛群検定は群として、また個体としての継続検定であり、すべての検定記録が累積される。しかし、乳量2万kgの高能力牛や生涯乳量10万kg突破牛だと言っても、公式なものとして成績証明しなければ、血統や体型記録と結びつかないし、永久的には保存されない。
検定成績優秀牛や生涯検定高記録牛は優良牛選奨や表彰制度もあり、全酪新報や酪農関係雑誌、ホル協ホームページなどで広く紹介される。
北海道では、牛群検定によって1年間に約20万頭の305日検定記録が得られるが、これらを利用して約8万7000件の検定成績証明が申込まれている。一方、都府県では年間11万頭の305日検定記録のうち、検定成績証明申込はわずかに2500件。誠に勿体ない話である。
牛群検定農家であれば、毎産次の検定成績を簡単に成績証明申込することができる。申込は次の4つの方法がある。
①個体ごとの申込み(申込書
検定開始前か検定中に申込む。検定開始前が1件4410円、検定終了後は5670円。
②牛群一括申込み(申込書
その年の1~12月までに検定終了または終了見込牛を一括申込む。個々の牛ごとに随時証明書が発行される。申込料金は基本料1万500円+証明件数×件数料1050円。
③自動継続申込み(申込書
毎年継続して検定終了牛の成績証明を希望する場合は「自動継続」を申し出る。料金は前記②に同じ。
④生涯検定申込み(申込書
過去に遡って複数の産次や検定期間別(10月・1年・1乳期)の成績証明を希望する場合は、最近産次の成績証明申込み(前記①の料金)+過去の検定成績を追記(1記録につき1050円)することで、1枚の証明書に過去の検定成績がまとめて掲載される。
生涯検定牛選奨の基準は次のとおりで、基準に到達した際には、該当する検定成績証明書に次の各賞位が表示される。
[金賞]総乳量が6万kg以上で、総乳脂量2040kg以上、総蛋白質量1800kg以上
[銀賞]総乳量が5万kg以上で、総乳脂量1700kg以上、総蛋白質量1500kg以上
[銅賞]総乳量が3万kg以上で、総乳脂量1020kg以上、総蛋白質量900kg以上

平成21年3月20日
「繁殖能力の改善に努力」

~第12回ホルスタイン・フリージアン会議の発表から~
健全な酪農経営にとって、雌牛の繁殖形質は泌乳形質に匹敵するほど重要な形質である。世界的に見ても、産乳能力の改良が進む一方で、繁殖能力は年々低下傾向にある(図)。繁殖能力の低下は、遺伝的に改良された高い産乳能力に飼養管理技術が追いつかないことが主な原因と言える。これまで繁殖能力の改善には遺伝的な面からの対策はあまり重視されていないが、遺伝的改良が不要というわけではなく、飼養管理や栄養、さらに遺伝などあらゆる方面から改善策を講じていく必要がある。ここでは、昨年10月にアイルランドで開催された第12回世界ホルスタイン・フリージアン会議の中で、乳牛の繁殖能力の改善に関するドイツとアメリカの発表があったので紹介する。(日本ホル協北海道支局・岡崎活宏


プロジェステロン値で間接的改良~ドイツ~
ドイツにおける繁殖能力の遺伝評価には、未経産牛と経産牛の受胎率や経産牛の発情回帰(NR:ノンリターン)、空胎日数が含まれている。さらに、これらの育種価を組み合わせた総合的な指標として、繁殖能力指数(RZR)が利用されている(表1)。
繁殖能力の改良には、このような選抜指数が利用されているが、繁殖形質の遺伝率は極めて低いために選抜の効果が小さく、遺伝的改良に時間がかかることが問題として挙げられる。例えば、初回授精から最終授精までの日数の遺伝率は0.02、分娩から初回授精までの日数は0.04で、ともに低く推定されている。そこで、遺伝率が高くかつ繁殖形質と遺伝相関をもつ形質を利用した間接選抜法に基づいて、ボディコンディション・スコア(BCS)やプロジェステロン(繁殖に関わるホルモン)値によって繁殖能力を間接的に改良できないかという研究が進められている。
プロジェステロン値の変化は、発情サイクルと関係しており、遺伝率が0.09~0.29の範囲にあるため、選抜によって繁殖能力を間接的に改良することが期待できる。また、最近では繁殖能力の改良にゲノム情報を利用(ジェノミクス)することも注目されており、今後の研究を期待したい。
管理と遺伝の双方からのアプローチ~アメリカ~
アメリカ・ホルスタイン協会の研究者からも繁殖能力の改良に関する話題が出された。
繁殖能力の低下は、アメリカでも危機感が持たれている。実際に、TPIなどの指数を見た場合、生産能力と繁殖能力の重み付けの比率は、1982年に4.3対1であったものが2000年には1.3対1になっており、繁殖能力がかなり重視されるようになった。
受胎率の改善には、その基本として次の3点に注意すべきだ。
①何頭の雌牛を繁殖させるか?②どの雌牛を繁殖させるか?③授精を開始すべき時期はいつか?
これらのことを踏まえた上で、飼養管理と遺伝的改良の双方からアプローチすることが繁殖能力の改善に効果的だ。
アメリカでは分娩から初回授精までの日数が年々早くなる傾向にあり、初回授精が早いほど受胎率が低下するという研究結果が出ている。その一方、発情を同期化している牛群を対象とした調査では、定時授精の牛群では不定時授精の牛群と比べて、産次ごとの授精回数が少なく、妊娠率は高いことが報告されている(表2)。すなわち、管理面ではホルモン注射を行うなど繁殖管理をより簡単にするような方法が有効と言える。
繁殖能力に関する種雄牛の育種価を推定する場合に注意しなければならないことは、1つは娘牛の繁殖能力、2つ目は種雄牛自身の精子に関与する繁殖能力に関する育種価だ。アメリカでは、前者として娘牛の妊娠率(DPR)を用いており、遺伝的により受胎しやすい娘牛を多く生産する種雄牛を特定できる。後者は種雄牛が持つ受胎率で、これは雌牛を受胎させるための遺伝的能力が高い種雄牛を特定するために利用されている。

TPIは繁殖性に19%重み付け~アメリカ~
アメリカの総合指数TPIは、生産寿命(PL)やDPR、乳用強健性など繁殖能力に関係する形質に対して、合計で19%の重みづけを与えている。PLの育種価は早期に妊娠し、産次を重ねるほど高く評価される。また、DPRの育種価では、最も高い種雄牛と最も低い種雄牛の間に空胎日数換算で28日の差があったと報告されている。
さらに、最新の研究としてゲノム情報を利用した選抜は、特に繁殖形質のような遺伝率の低い形質に対して有効な手法として注目されている。
結論としては、繁殖能力の問題は世界中で危惧されているが、最近では飼養管理面や遺伝的な面から数多くの研究が行われるようになり、「なぜ繁殖能力が低下しているのか?」、「どうすれば繁殖能力を改善できるのか?」といった疑問が徐々に解明されつつあるところだ。

平成21年3月20日
「ユースが4回連続トップ」

~2009-Ⅰ 乳用種雄牛評価成績から~
2月24日、家畜改良センターから2009-Ⅰ乳用種雄牛評価成績が公表された。精液供給可能牛77頭のうち、総合指数(NTP)トップはNLBCマーシャリーズユースETが4回連続。新規選抜牛ではトップ40に7頭入った。
NTP順位ではユースがNTP+2183で4回連続トップを守った。乳代効果+14万5123円、乳量+2141kg、乳蛋白質量+55kg(1位)など泌乳形質で高い評価を得ている。
2位はラウンドアップで前回4位から順位を2つ上げた。特に乳脂量+88kgは群を抜いている。3位は前回2位のマセラティで、決定得点は全種雄牛中トップと体型各形質でも上位に入っている。4位ベチー、5位ライト、6位ノマドは前回とほぼ同じ順位だ。前回より順位が大幅に上がった種雄牛はビッグ・ガイが前回34位から10位に、ミスター・サリーも23位から13位に上がった。
また、今回NTPトップ40には、7頭の新規選抜種雄牛が入っている。6位カーティス(JP5H53215)、18位パフォーマー(JP5H53256)、22位テンプター(JP5H53207)、29位フロステイン(JP5H52856)、31位ジャッキー(JP0H53056)、37位ボウラー(JP3H53394)、40位マジェスタ(JP4H53243)。
各形質別トップは、乳代効果、乳量、無脂固形分量でアデイ、乳脂率と乳器はオール・ブラックス、無脂固形分率と乳蛋白質率はデニス、体貌と骨格と乳用強健性は新規選抜のカーティス、肢蹄はディーランだった。


泌乳持続性高い種雄牛利用を
前回の遺伝評価から、新たに泌乳持続性の遺伝評価値が公表された。
泌乳持続性とは、泌乳ピーク時の乳量を維持する能力で、具体的には、泌乳開始240日目の乳量から60日目の乳量を引き、100を加えることによってすべてプラスの値で表現している。
泌乳持続性の評価値は97から103までのスコアで表示されている。スコアが103の泌乳曲線はピークから泌乳末期まで乳量の変化が小さく、泌乳持続性が高いことを意味する。反対に、スコアが97の泌乳曲線はピーク以降の乳量の落ち込みが大きく、泌乳持続性が低いことを意味する。スコアが97の場合、分娩後60日目と240日目の1日あたり乳量の差は10kg程度とされる。
泌乳持続性を考慮した牛群改良を考えるならば、総合指数の上位種雄牛の中からこのスコアの高い種雄牛を積極的に選択することを勧めたい。



平成21年3月20日
~ホントの父はどっち?~
「親子判定で正しい父子の確認を」

~登録課からのお願い~
ホルスタイン種の親子判定は、遺伝子型調査取扱要項によって検査を実施していますが、次のような事例は、本来の目的である親子判定としては認められません。[事例1]父牛が2頭以上考えられる?
同一発情期又は連続する2発情期に異なる種雄牛を種付けしたため、生まれた子牛の父牛を確定できず、一方の父牛と子牛だけで親子判定を行い父子が否定されたので、他方の父牛が正しいと判断して登録申請した。
正しい対応としては、考えられる父牛(3頭まで)をすべて「遺伝子型(親子判定)申込書」(以下、申込書)に記入して下さい。
[事例2]どちらの母牛から産まれたか分からない?
一方の母牛と子牛だけで親子判定を行い、母子が否定されたので、他方の母牛が正しいと判断して登録申請した。
正しい対応としては、考えられる母牛(2頭まで)をすべて申込書に記入して下さい。なお、母牛が過去に遺伝子型検査済みの場合は試料番号を必ず記入する。母牛が未検査の場合は、母牛と本牛の毛根を添付して親子判定を申込んで下さい。
[事例3]産まれた子牛がETか人工授精による生産牛か分からない?
供卵牛と子牛だけで親子判定を行い、母子が否定されたので、受卵牛を正しい母牛と判断して、人工授精による生産牛として登録申請した。
正しい対応としては、供卵牛と受卵牛の両方の雌牛を申込書に記入し、親子判定の種類は「受精卵移植の生産牛」として申込んで下さい。また、下段のメモ欄に「正しい母牛が分からないため受卵牛との検査も希望」と必ず記入して下さい。記入がない場合は受卵牛との検査は行われません。
親子判定に関するお問合せは日本ホル協登録課まで(電話03-3383-2501)。