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平成18年12月20日


平成18年12月20日
「増える!近親交配」

~登録書で近交回避を~

日本ホルスタイン登録協会ではこのほど、血統登録データを用いて登録牛の近親交配の度合いを示す近交係数の現状を調べた。登録牛であっても近交係数は年々上昇しており、種雄牛では2006年11月の乳用種雄牛評価成績の総合指数(NTP)トップ40の平均近交係数は5・3%で、中には10%を超える種雄牛もいた。雌牛でも種雄牛の影響を受けて、近交係数は年々上昇し、今年生まれでは平均4・7%となっており、近親交配による弊害が現れる危険域(近交係数6・25%以上)に徐々に近づいていることが分かった。

近交係数は4.7%
強度の近親交配(近交)は泌乳能力の低下や体の矮小化、発育や繁殖性の低下、死亡率の増加をもたらす。雌牛の近交による退化量は別表のとおりで、乳量では近交係数が1%上昇すると1乳期あたり約31㌔減少すると言われている。したがって、近交係数6・25%の場合には約194㌔、12・5%では約388㌔減少する危険性がある。
また、受胎率の低下は世界的な問題であり、近親交配の影響も憂慮される。また、体型面でも決定得点や肢蹄、乳器得率などの低下が見られる。
ところで現在、登録牛の近交係数はどのくらいになのだろうか。
図1は、血統登録牛(血統濃度80%以上)について、生年別に近交係数の平均値を示している。
雄牛では、生年が1970年代後半から80年代前半まで近交係数は2%前後で推移していたが、90年以降で急激に上昇し、94年生まれでは4%を超え、06年生まれはついに5%台に突入した。
ちなみに、06年11月公表の乳用種雄牛評価でNTPトップ40頭の近交係数は平均5・3%であり、中には10%を超える種雄牛が3頭いた。これらの種雄牛の交配にあたっては、交配する雌牛との間に共通祖先がいないよう、細心の注意をしなければならない。
一方、登録雌牛の近交係数は80年代生まれまでは、平均1%台で微増してきたが、90年以降は雄牛を追随する形で急激に上昇している。
2006年生まれの平均近交係数は4・7%で、10年前より約1ポイント上昇していることから、10年先には危険域とされる近交係数6%台になることが懸念される。
登録牛1割が強度の近交に
図2には、6・25%以上の高い近交係数(危険域)をもつ登録雌牛の頭数割合を示した。
1989年以前に生まれた登録雌牛では、近交係数6・25%以上の割合は登録牛全体の2~3%であったが、90年以降、その割合は急激に上昇している。92年生まれが4%台、96年生まれは7・4%、さらに2005年に生まれた雌牛では全体の12%に及んでおり、今や、登録牛の1割以上が強度の近交による弊害を被っている状況である。
近交係数が高まってきた要因は、現在供用されている種雄牛の多くが、その祖先にアーリンダ・チーフやエレベーション、オスボンデール・アイバンホーなどの人気種雄牛に集中しているためである。種雄牛作りにおいては、どうしてもインデックスの高い父牛と母牛を選ぶため、特定の血統が利用される傾向はますます増大することが懸念される。
2005年生まれの登録雌牛について、近交係数6・25%以上の交配例を調査したところ、最も多かった交配の組み合わせは「おじ・めい交配」の1051頭(登録牛全体の0・52%)であった。次いで「おば・おい交配」154頭(0・08%)、「きょうだい交配」132頭(0・06%)などであり、登録牛にあっても、このような強度の近交がまれに行われている。恐らくは、人工授精師まかせで、交配種雄牛の血統を確認しなかったミスによるものと思われる。せっかく、改良が期待できる種雄牛を交配しても、近交によって、発育や泌乳能力、繁殖性が低下しては意味がない。
交配種雄牛の血統必ず確認
強度の近交を避けるためには、交配する種雄牛と雌牛について、少なくとも3代祖先までに共通する祖先牛がいないことを確認すべきである。
現在発行している血統登録証明書には、本牛を含めて4代の血統情報が記載されている。
一方、種雄牛の血統情報については、インターネットで近交回避情報が簡単に検索できるので、是非とも利用されたい。
今日、どの種雄牛を交配しても、同じ祖先牛が出てくるのが当たり前のような状況である。近交による弊害を抑えるためには、血統登録書や前記の「近交回避情報」などの利活用が最も効果的であるが、これらの血統情報を得るためには、雌子牛が生まれたら、すぐに登録して血統を明らかにすることが大切であることを改めてご理解願いたい。
家畜改良データバンクのホル協トップページのアドレスは次のとおり。
http://www.rg.liaj.jp/hol/index.do(渥美)
表 各形質に対する近交退化量
近 交 係 数
1%6.25%12.5%
乳量(kg)-31.1-194.38-388.75
乳 脂 量(kg)-1.1-6.88-13.75
乳蛋白質量(kg)-0.9-5.63-11.25
無脂固形分量(kg)-2.6-16.25-32.50
肢蹄(%)-0.040-0.25-0.50
乳器(%)-0.029-0.18-0.36
決定得点(点)-0.037-0.23-0.46
平成18年12月20日
「栃木県勢強し!」

~第14回関東地区ホルスタイン共進会千葉県で盛大に~
経産名誉賞は小針さん

第14回関東地区ホルスタイン共進会は11月15~16日、千葉市若葉区の千葉家畜市場で、秋晴れの中、賑やかに開催された。
今回の関東共進会は、栃木全共を挟んで3年ぶりの開催であり、関東1都6県から予選を勝ち抜いてきた100頭がエントリーした。審査員は家畜改良事業団十勝種雄牛センター場長の高橋茂さんが担当した。
未経産4部、経産4部の計8部の個体審査に引き続いて行われた名誉賞決定審査では、経産部門は栃木県・小針勤さん出品のコバリクラライブデリアが、未経産部門は栃木県・高塩久さん出品のハーネスファームレッドスタールルがそれぞれ栄ある名誉賞に選ばれた。
また、経産の準名誉賞には千葉県・高橋憲二さん、未経産の準名誉賞には栃木県・山本訓さんの出品牛が選ばれた。
今回は栃木県勢の活躍が顕著であり、2部門で名誉賞を独占したほか、半数が優等賞に入賞、また出品牛全頭が1等賞以上に入賞した。 未経産牛名誉賞(第1部:12~14月齢)
ハーネスフアームレツドスタールル17.9.16生(父レツドマン)栃木県・高塩久さん出品
未経産牛準名誉賞(第3部:18~20月齢)
マウンテンビユーマジツクエアロハム17.4.10生(父ドラマチツク)栃木県・山本訓さん出品
第2部(15~17月齢)優等賞1席
ウイスタリアハーゲンルビ17.7.13生(父ダンデイー)茨城県・佐藤信彦さん出品
第4部(21~23月齢)優等賞1席
ツクモランドダーハムポンチアクジヨハナ16.12.27生(父ダーハム)千葉県・作田知志さん出品
経産牛名誉賞(第8部:5歳以上)
コバリクラライブデリア13.5.5生(父ダーハム)栃木県・小針勤さん出品
経産牛準名誉賞(第6部:3歳級)
ホウツクホルムクイーンチヤツプリン15.8.8生(父ダーハム)千葉県・高橋憲二さん出品
第5部(2歳級)優等賞1席
グリーンサイドタイデイホープチヤンピオン15.12.5生(父チヤンピオン)千葉県・伊藤博さん出品
第7部(4歳級)優等賞1席
ウイスタリアデリアスレデル14.4.1生(父ダーハム)茨城県・佐藤信彦さん出品