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機関誌

機関誌内容一覧

平成22年01月20日


平成22年01月20日
「二年連続減に歯止め」

~都府県血統登録~
昨年4月から12月末までの都府県におけるホルスタイン種血統登録申込頭数は、前年対比でみると16%増加しているが、計画頭数では65.5%と伸び悩んでいる。牛群審査・奨励審査頭数では微増となっているが、後代検定調査牛がやや減少となっている。世界的に危惧されている近交係数上昇を鈍化させ、弊害となる近交退化を避けるためにも、雌牛生まれたら即登録を心がけて欲しい。
登録頭数やや増加
昨年4月から12月末までの都府県におけるホルスタイン種血統登録申込頭数は、昨年、一昨年と漸減傾向で推移していたが、昨年3月の飲用乳価の期中改定で未曾有の危機を回避した影響もあり、3万124頭で前年同期に比べ16%、頭数で4275頭増加した。
このほか、会員申込は6295件で前年より295名の増加、移動証明申込みも5105件で566件増加した。また、牛群審査・奨励審査頭数も165頭増加した。しかし、後継牛確保が厳しい酪農状況の中で体型調査頭数については減少傾向で推移している。
改良の土台である血統登録は、やや増加傾向にあるものの、本年度計画頭数では、65.5%と低調であることから、年度末にかけて酪農家の皆様には後継牛の登録漏れを防止していただくよう、また、自動登録の普及定着にいて、登録委員はじめ関係各位にはより一層の推進にご協力をいただきたい。
親子判定忘れずに
受精卵移植(ET)による生産子牛を血統登録する場合には、毛根による遺伝子型検査で親子判定に矛盾がないことを確認している。またその際には、供卵牛(受精卵を採取する雌牛=ドナー牛)についても遺伝子型検査によって親子の確認を行うことが義務づけられている。
しかしながら、採卵を計画しても、供卵牛の遺伝子型検査を行わないまま死亡したために、ET産子を登録できない例が近年増えている。
これを未然に防ぐため、申込牛の母牛などが遺伝子型検査済みか否か、当協会のホームページで確認できる。また、採卵から登録までの手順を(図)を搭載したので参考にして欲しい。
即!登録しよう~近親交配が危ない~
近年、わが国のホルスタイン集団は、近交係数が非常な勢いで上昇している。
ホルスタインの場合は、品種内で純粋繁殖していることに加え、凍結精液や凍結受精卵によって、特定の遺伝子が広範囲に利用されていることから近親交配を完全に回避することはできない。
1999年生まれの雌牛の平均近交係数は3.98%であったものが、2008年には平均5.33%と高まっている。このまま推移すると数年後には危険域といわれる6%台になることが危惧される。特に近交退化に注意が必要な値である近交係数6.25以上の血統登録集団に占める割合は、1990年生まれでは、3.5%であった。2000年生まれでは10.9%となり、2005年生まれでは12.4%と8頭に1頭までになり、多くの牛において近交退化による弊害が心配される状況になっている。
血統登録は、構築された血縁情報により数代以上の血縁を辿ることにより、①近親交配を極力回避ができる、②遺伝病を未然に防ぐ、③正確な遺伝評価ができる、④優れた血統を選抜する等、乳牛改良に欠かせないツールであることから大切な娘牛の早期登録をお願いしたい。

平成22年01月20日
「データバンクの系統譜を使って子や孫、
ひ孫を検索してみよう!」

系統譜の入り方
協会のトップページ(http://hcaj.lin.gr.jp/)下方からデータバンクのトップ(右図)に入り、系統譜の入力画面(画面2)が表示されます。
系統譜とは、本牛の子孫を検索、表示するものです。本牛の登録番号を入力すると、その子、孫、ひ孫の系図が表示されます。
入力画面
系統譜の入力画面では、調べたい雌牛の登録番号を入力し、品種、外国略符号を選ぶことが出来ます。これは、血統情報(血統3代を調べる)と同じ形式です。ホルスタイン種の他に、ジャージー種、ブラウンスイス種でも検索できます。しかし、検索できるのは雌牛だけです。
結果画面
検索ボタンを押すと、結果画面(右図)上段に調べたい雌牛の情報が出力されます。名号、生年月日、血統濃度、品種、性別などが表示されます。
次の段はその牛の子が、生まれた順に並びます。雌牛は登録番号がピンク色、雄牛はブルーで塗り潰されています。
子、孫、ひ孫は、名号と生年月日が表示されます。これらの登録番号をクリックするとその牛を本牛として、系統譜の検索をすることができます。なお、雄の子孫は表示しません。
是非、血統情報(血統3代)とともに、ご利用ください。

平成22年01月20日
「新年ご挨拶」

~日本ホルスタイン登録協会会長北良治~
新年あけましておめでとうございます。
平成22年の輝かしい新年を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
昨年を振り返れば、1月にアメリカ・オバマ大統領が就任し景気対策を強調、8月にはわが国においても衆院選により政権の「チェンジ」が起こるなど、政権が大きく動いた1年でした。
酪農界では30年ぶりの乳価値上げによって、酪農家は一息ついた一方で、牛乳小売価格の値上げや、低脂肪人気を背景に、消費者のニーズが成分無調整から成分調整牛乳に移行したために、飲用牛乳の消費が急減したことなどで、乳製品在庫は過剰基調に転じております。このまま推移すれば今後は、また生乳の減産を強いられることも予測され、酪農経営の影響が危惧されるところです。
さて、当協会の事業として、今年も会員の経営に密接に結びついた改良を目指し、その基礎となる血統登録、特に個体識別情報を活用した自動登録を推進いたします。北海道では既に95%に達していますが、都府県は現在34%が自動登録を実施しています。自動登録農家からは、1頭ごとの申込書の作成がなくなり、証明書が早く発行されると喜ばれています。また、自動登録では全牛登録による登録漏れの防止や導入などの移動手数料の無料化も含めて、登録料も安くなり、農家の経費節減にも役立っています。より多くの農家が自動登録に参加されることをお願い申し上げます。
新NTPの積極的活用を
今年2月には当協会で開発しているNTPの式が7年ぶりに変更となります。新たに疾病繁殖成分が追加され、産乳成分、耐久性成分(旧体型成分)とともに3つの成分から構築されております。これにより、生産寿命の改良量の向上がより期待できるものとなりますので、交配において大いに利用し、より生産性の高い効率的な牛群を作っていただきたいと思います。
今年は全共開催の年
また、大きなイベントとして、今年10月には第13回全日本ホルスタイン共進会を北海道で開催いたします。本共進会では世界的にも高い能力水準にあるわが国の後代検定種雄牛の利用促進を目的に「後代検定娘牛の部」を設けるとともに、次世代の酪農を担う後継者育成奨励の一環として出品特別枠などを新たに設けたほか、ジャージー出品部門も併設し、全共の歴史をみても最大規模になります。
一方、施設においては改築なった家畜市場を利用するなど、経費を抑え、これからの方向性を示す共進会であると確信をしております。初の北海道全共の成功を期して、北海道の実行団体では全国の出品者・関係者を歓迎する準備を進めていただいているところです。
どうぞ、会員ならびに関係各位におかれましては、牛群の整備と遺伝的改良によって厳しい環境を乗り越えていただくとともに、登録事業に対して一層のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
最後に、皆様ならびにご家族のご健勝とご発展をお祈り申し上げて、年頭のご挨拶といたします。
平成22年1月20日
「検定成績優秀記録牛F偏差値上位牛」

~都府県、平成21年度12月証明分~

平成22年01月20日
「評価方法等が変更」

~2010-Ⅰ公表から実施~
本年2月に公表予定である乳用の牛遺伝的能力評価(以下、2010-Ⅰ評価と呼ぶ)では、評価方法の変更や総合指数の変更など大きな変更が予定されているので、それに先立ち新しい評価方法の概略とメリット、そして、新しいNTPを紹介をする。
乳期モデルから検定日モデルへ
乳量などの泌乳形質に対して、従来は乳期モデルといい、牛群検定で月に1度個体毎に記録したものから305日間の乳量を計算し、利用していた。2010-Ⅰ評価からは検定日モデルを採用する。これは、検定日毎の記録を直接推定に利用するモデルであり、モデルの複雑化から計算量が10倍程度になるが、準備が整い、次回評価から移行が可能となった。このモデルは、次に紹介するようなメリットがあり、カナダやヨーロッパ等の諸外国も採用している遺伝評価モデルである。
検定日モデルのメリット
検定日モデルのメリットとして、①評価精度の向上②評価対象頭数の増加③新しい種雄牛の早期公表④遺伝的能力の視覚化などがある。①評価精度の向上 従来のモデルである乳期モデルでは、雌牛は、1乳期あたり、計算された305日乳量1記録だけであったが、検定日を直接利用する検定日モデルは初産のみの個体に対しても複数の検定日記録から推定されるため信頼度の向上が期待される。
種雄牛についても評価対象となる雌牛の増加により信頼度の向上が期待できる。②評価対象頭数の増加 乳期モデルでは305日量を推定するために少なくとも3回以上(種雄牛評価に用いる場合は5回以上)の検定日記録が必要であったが、検定日記録を直接利用する検定日モデルではこのような厳しい条件は必要なくなり、評価対象となる雌牛が20%増加する。③新種雄牛の早期公表前記によって、より多くの雌牛が採用されることとなり、新しい種雄牛の早期公表が可能となる。④遺伝的能力の視覚化 乳期モデルでは305日の遺伝的な能力を数値として表しており、検定日モデルも同様に表すことになるが、毎日の遺伝的な能力も計算することが出来るので、これをグラフとして示すことが可能である。
これを毎日の乳量をグラフ化した泌乳曲線と区別するために「遺伝能力曲線」と呼ぶこととする。2008年11月から開始した泌乳持続性も目で見ることが可能となり、図のように同程度の遺伝的能力であっても持続性の良し悪しの比較が可能となる(図1)。
ただし、モデル移行に伴い個体によっては評価値が変動する。しかし、これは評価精度向上等の取り組みの中で生じる一時的な変動である。
評価基準年の変更(2000年から2005年へ)
これまでの評価では2000年生まれの雌牛の平均値がゼロになるようにして個体の遺伝的能力を示したが、2010-Ⅰ評価からは205年に生まれた雌牛の平均値がゼロになるように示される。したがって、評価値は2000年から20005年にかけて改良が進んだ分だけ見かけ上の数値が変わる(表1)。しかし、見かけ上の数値が変わるだけなので、種雄牛のランキングには影響はない。しかし、今まで遺伝評価値がプラスだったものがマイナスの値に変化することがあるが、その牛の遺伝的能力が変化した結果ではないことに注意が必要である。
総合指数(NTP)の変更
2010-Ⅰ評価から採用される新NTPは、2003年以来の7年ぶりの変更である。
主な改良点は、乳房炎の予防や乳質改善等の側面から乳生産性を向上させ、生産寿命を延長する方向へ改良するために疾病繁殖成分として体細胞スコアを組み込んだことである。また、国際的な傾向に従い体型成分を耐久性成分と改め、さらに効率良く生産寿命を改良するために前乳頭の長さと後乳頭の配置を追加し、強化を行った(表2)。
これらの改善の結果、泌乳能力および体型は同程度の改良量を維持しながら、生産寿命の改良量の向上が期待できる新しい総合指数となった(表3)。また、新NTPの採用によって、標準偏差が大きくなり、種雄牛間および雌牛間の序列の差を明瞭に示すことが可能となった。
詳しくは(独)家畜改良センターHP又は日本ホルスタイン協会HPおよび乳用牛評価成績を参照されたい。


平成22年01月20日
「生涯乳量」

~都府県21年9月~12月~
昨年9~12月に都府県で検定成績証明されたものの中から、生涯乳量の上位牛をとりまとめた。
今回は上位3頭が総乳量10万㌔以上を突破し、これで都府県では生涯乳量10万㌔達成牛が計88頭になった。
今回の生涯乳量トップは栃木県・眞嶋大輔さん所有の「スノーライトフローリーマーシヤル」(平7・3・29生)で、8回の検定・3973日、総乳量12万78466㌔、乳脂量5224㌔、平均乳脂率4.1%、乳蛋白質量4064㌔を記録し、都府県歴代では乳量で7位、乳脂量では6位と快挙を遂げた。また、本牛は現在9回目の乳期を泌乳中であり、どこまで記録を伸ばすか楽しみである。
2位は京都府・谷口学さん所有の「ラーンデールジヤステインアンナ」(平7・9・11生)で、10回の検定・3482日、総乳量10万5625㌔、乳脂量4424㌔、平均乳脂率4.2%、乳蛋白質量3574㌔を記録した。本牛は9歳1月齢、7産時の体型審査で90点を獲得し、3産を経た13歳0月齢、10産時に再び90点を獲得した優れた泌乳能力と長命連産に耐え得る好体型の名牛である。「アンナ」は、自身が抜きん出た乳牛であると同時に母としても偉大である。長女の「ジユラー」は、6回の検定・2112日、総乳量7万3041㌔で母牛が1度目の90点を獲得した日に7歳1月齢、5産時に同じく90点を獲得し、次女「セカンド」は、総乳量5万㌔以上で88点、他の娘・孫牛と優れた牛を多く輩出したファミリーを構築している。
3位は長野県・小林正春さん所有の「エムケーブルースボード」(平10・4・11生)で、8回の検定で総乳量10万3842㌔を達成した。
また、5位の埼玉県・青木雄治さん、7位の群馬県・星野和司さん、35位の栃木県・駒場靖史さん、43位の長野県・金井真一さん、44位の熊本県・松島喜一さん、45位の岩手県・川下一幸さん、48位の茨城県・佐藤信彦さん、52位の栃木県・小林幸雄さん、53位の長野県・新海益二郎さん所有牛は審査得点90点以上である。
なお、当協会HPでは、生涯乳量5万㌔位以上の高記録牛を紹介している。

平成22年01月20日
「審査日程」
~都府県1月~3月~
牛群審査では、泌乳生産に最も重要な乳房と長持ちに関連深い肢蹄などの良否を明示して、飼養管理や選抜淘汰、交配種雄牛の選定のための資料を提供します。体型特徴をきちんと把握するためには牛群審査を受けることをお勧めします。茨城県:2月8~19日
東京都:1月25~26日
長野県:2月1~10日
大阪府:2月22日
兵庫県:2月9~17日
広島県:1月25~28日
福岡県:2月15~24日
佐賀県:2月1~2日
長崎県:2月3~5日
熊本県:2月1~6日
今後の行事~日本ホル協~
◇21年度社員会議並びに支部・承認団体登録事務担当者会議
[東日本地区]
1月22日(金)東京都中野区、中野サンプラザホテル
[西日本地区]
2月9日(火)福岡市、県中小企業センター
◇全国ホルスタイン改良協議会第31回通常総会
2月18日(木)本会
◇第251回理事会
3月19日(金)本会
◇第252回理事会・第60回通常総会
6月18日(金)東京都中野区、中野サンプラザホテル

平成22年01月20日
「新規選抜無く順位微動」

~2009-Ⅲ乳用雌雄牛評価成績~
昨年11月20日、家畜改良センターから2009年Ⅲ乳用種雄牛評価成績が公表された。前回(8月4日)新規選抜された「スミックランドフリートレジャー」がトップを守り、次いで4回連続トップの後、前回2位となった「NLBCマーシャルユースET」が引き続き2位、3位には「ミッドフィールドCCMカーティスET」が前回6位から成績を伸ばした。今回のトップ40には新規選抜牛は入らなかった。このほか、乳用雌牛評価では前回2位からトップに帰り咲いた「ヘンカシーンヒラリーオリーブET」(北海道加藤牧場)がトップを守り、2位以降5位まで前回と同じ順位となった。一方都府県では、唯一ベスト10に入った「レディスマナーセクシーパラダイスET」(兵庫県小谷牧場)をはじめ、17位に「パラダイス」(静岡県大美伊豆牧場)、20位に「スイーティー」(愛知県杉浦牧場)等100位までに計18頭が選ばれた。
トレジャー~群を抜く好乳房 バランス良い能力~
第1位に輝いた「スミックランドフリートレジャー」は、前回の09年Ⅱ(8月)で堂々の1位デビューを飾り、今回で2連覇となった。
「トレジャー」は北海道の角倉牧場が所有する「BWマーシャル」の娘牛「マーシャルトレジャー」に、当時カナダのLPI第2位で人気の高い「フリーランス」を交配し誕生した、国内初の種雄牛。父はジプシーグランド(曾祖父チーフマーク)直系の息子牛で、乳用強健性に優れ、前乳房の付着が強く、後乳房も高く、形状の良い乳房への改良が期待できる。
母は「タイタニック」(JP3H51676)や世界的に有名な「ジェフリーウェイルークトリポリ」等を生み出した「マスコットチーナ」のファミリー。受精卵で導入した「ティナ」の2代目に当る母「マーシャルトレジャー」は、2才で83点(乳器85点)並びに305日1万㌔を超える乳量を生産するなど、能力、体型を兼ね備えた優秀な雌牛でした。
「トレジャー」の能力は、乳代効果+16万5265円(NTP5位)、乳量で+2,200㌔(9位)と経済性に大変に優れ、乳脂量2位、乳脂率8位、SNF量7位、乳蛋白質量4位と乳成分全般に優れて、体細胞スコア10位、産乳成分1位と上位に入っている。
体型面では、前駆、中躯において深さ、強さに富み、鋭角的で乳用強健性に優れている。さらに乳器は前乳房の付着の強さ(SBV+2.62)、後乳房の高さ(+5.40)幅(+2.83)、懸垂の強さにおいても優れており、乳房底面も高いという特徴を持っている。決定得点6位、乳器3位、体型成分2位と体型面においても素晴しい成績を示している。
群を抜く乳房の改良力、バランスのとれた能力と体型の改良に大きく期待ができる種雄牛。
ユース~懸垂の強い乳器 蹄の良い肢蹄~
第2位に輝いた「NLBCマーシャルリーズユースET」は、07年Ⅱ(8月)第2位でデビューを飾った後、07年Ⅲ2位、08年Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、09年Ⅰと4期連続でトップに君臨し、09年Ⅱ、Ⅲで2位と長期上位安定成績を収めている。
「ユース」は家畜改良センターの受精卵を活用したMOET事業によって生産された種雄牛で、父は能力と体型にバランスのとれた「BWマーシャル」、母は輸入受精卵で作出された「セシリアコンビンサー」、曾祖母は多くの種雄牛を輩出した「サウスウインドスポット」で、血統全体に「アイバンホーベル」の影響が濃い種雄牛。
「ユース」の能力は、乳量で+2,187㌔を超え、乳代効果+15万1803円と経済性に大変に優れ、乳蛋白質量は+56㌔でNTP3位、SNF量6位、産乳成分5位と乳成分量に優れている。
体型面では、乳房の懸垂が非常に強く(SBV+4.47)、乳用強健性(+2.13)、乳器(+2.12)に優れ、特に肢蹄の蹄角度が大きく(+3.08)、後肢後望が並行(+2.76)で、肢蹄(+2.14)で8位にランクインされている。
懸垂の強い乳器、乳用強健性に富む体躯の改良に期待できる種雄牛。
なお、「ユース」は雄雌産み分け用選別精液Sort90(ソート90)を生産しているので、後継牛確保の一手段としても活用できる。
カーティス~雄大なフレーム 尻の構造が魅力的~
第3位に輝いた「ミッドフィールドCCMカーティスET」は、08年Ⅲ6位で選抜され、09年Ⅰで同じく6位、そして今回ジャンプアップして3位に食い込んだ。
「カーティス」は父に「モーティー」、母に「コムスターメモリー」で泌乳能力と体型改良力に優れた遺伝子を持った種雄牛。
母の「メモリー」はカナダで著名な「ローリーシーク」ファミリーから輩出された有名なエリートカウで、3代前の「ローラブラック」は「エルヒーローズ」等の著名な種雄牛や、「リヴェレスト」(JP5H52930)の母「ルドルフリリー」を生産するなど、世界的に繁栄した基幹雌牛として君臨した。「メモリー」はカナダにおいて初産分娩後、01年にはTPIの第1位に輝くなど、素晴しい記録を持ち、北海道の中田牧場に導入された。その後、中田牧場でも多くの娘牛や種雄牛が生産され活躍した。
「カーティス」の能力は、乳代効果+17万1594円(NTP4位)、乳量で+2,500㌔(4位)、乳脂量5位、SNF量4位、乳蛋白質量においては+59㌔で堂々の1位、産乳成分は2位と乳量と乳性分量の改良力に優れている。
体型面では、胸の幅(SBV+4.44)、体の深さ(+3.89)、鋭角性(+4.99)に優れた上に、尻の角度において坐骨を低くする(+2.42)傾向にある。後乳房の幅が広く形状も整っている。NTPでも体貌と骨格1位、乳用強健性1位と雄大なフレームと尻の構造が魅力的な種雄牛である。
「カーティス」も雄雌産み分け用選別精液ソート90を生産しているので、尻を改良した後継牛生産に期待がもてる。



平成22年01月20日
「確認しよう!出品の条件」

〜第13回全共まであと261日〜
第13回全日本ホルスタイン共進会が北海道で開催される2010年となった。新しい年を迎え、この北海道全共に向けて、出品の夢を抱き、着々と準備を進めている酪農家即ち登録協会会員も多いことと思う。出品申込み(第2期)の締切り期日、9月6日まで残すところ7月半となってしまった。ここで今一度、「第13回全共規則」から出品の条件などをプロットしてみたい。
起算は平成22年9月30日で
今回の全共では、出品牛の月齢経産、飼養期間の計算などは、平成22年9月30日で行うことになっている。
まず、ご注意を。
国内産の血統登録牛が対象
出品牛は国内産ホルタイン又はジャージーの血統登録雌牛としている。
また、輸入受精卵により国内で生産・血統登録されたものも出品可能。
出品は1戸2頭までの制限
ホルスタインの部には1戸2頭まで出品できる。ただし、第1、7、8部(後代検定娘牛の部)と第16〜19部(ジャージーの部)出品牛はこの限りではない。
従って、1戸でホル一般枠2頭+後代検定娘牛+ジャージーの出品は可能である。
なお、シンジケート所有牛を出品する場合は、シンジケート所有牛を含めて、1戸2頭までの出品となる。ただし、出品者はこの牛のシンジケートの構成員で、かつ定められた飼養期間を管理していることが条件となる。
高校等特別枠は1校1頭まで
高校特別枠は、一般枠や後代検定娘牛の枠で出品しない高校や専門学校、大学等に割当てられ、1校1頭となっている。現在予定枠20頭を越えているが、柔軟に対応することとなっている。
この特別枠の牛は、ホルスタイン種牛の部の該当する月(年)齢の部、即ち2〜6部(未経産)及び第9〜15部(経産)の何れかに出品できる。
一般枠の過半数は経産牛
ホルスタイン、ジャージーともに各都道府県の一般枠割当の過半数は経産牛でなければならない。(高校等特別枠や後代検定娘牛の部への出品は含めない)
ホル3歳シニアまでは自県産
ホルスタインの後代検定娘牛の部を含む第1〜12部(3歳シニア)に出品できるのは自県産のみとなっている。
高校等特別枠による出品牛も同様である。
第13部以降(ホルスタイン4歳以上とジャージーの部)には産地の条件はない。
部によって異なる飼養期間
前記の産地制限に加えて、飼養期間にも条件がある。ホルスタインの第1〜12部(3歳シニア)は、出品者が本年9月30日まで引き続き6か月以上所有し、飼養していること、第13〜15部(4歳以上)は、同じく1年以上所有し、飼養していることとなっている。
また、ジャージーは未経産、経産ともに6か月以上所有し、飼養していることが必要となっている。ただし、後代検定娘牛の部(第1、7、8部)の出品牛には飼養期間の条件は特に設けていない。
本牛又は母牛に検定条件
ホルスタインとジャージーの各部には、出品牛または母牛が登録上の検定成績証明を取得済み、又は申込中という条件がある。
即ち、検定成績証明を、22月未満の未経産牛では出品牛の母牛が取得済み又は申込中のもの、30月未満の経産牛は本牛が取得済み又は申込中のもの、30月以上48月未満の経産牛は本牛が取得済み又は証明済のもの、48月以上の経産牛は本牛が取得済みという条件である。
牛群検定実施だけでは条件を満したことにならないのでご注意を。
出品申込みの際に、検定の条件が不備にならないよう早めに当該牛の検定成績証明書を取得、または申込んでおいていただきたい。
なお、牛群検定農家(立会)であれば、過去の検定成績でも申込みによって検定成績証明を取得することができる。
後代検定娘牛は緩めの飼養条件
今回初めて、後代検定娘牛の部として、第1部(生後12月齢以上15月齢未満)、第7部(3歳未満)、第8部(3歳級)の未経産1クラスと経産2クラスを新設した。
後代検定済または同候補種雄牛、過去の参加種雄牛の娘牛が対象となる。
自県産であれば、出品者が飼養する期間に制限は設けていない。ただし、前記のとおり検定の条件はある。
自県の公共育成牧場預託は出品可能
3歳未満(自県産)の出品牛については、出品者が居住する都道府県の公共育成牧場への預託に限って、預託期間を前記にいう飼養期間に含めることができる。ただし、初産分娩前には所有者が飼い戻すことが条件となっている。出品申込みの際には、所有者と受託者の間に交わされた預託に関する契約書の写しと預託期間を証明する書類を添付していただく。
予防注射等は所定期日までに
「第13回全共衛生対策要領」に定めた出品牛の衛生要件の確認とともに、全共会場では搬入時および開催中の衛生対策を実施する。
出品牛の衛生要件では、結核病、ブルセラ病、ヨーネ病の検査で陰性であることや、炭疽、牛流行熱、イバラキ病、アカバネ病、牛呼吸器病の予防接種の実施し、管轄の家畜保健衛生所長が証明した「出品牛検査・予防注射証明書」の提出と報告を提出いただくことにしている。また、真菌症等の皮膚病やイボの確認なども行っていただく。詳細は、都道府県登録窓口団体に問い合わせるか、または日本ホル協ホームページのご参照を。
出品者は上下とも白色の服装で
規則第12条には「出品作法の遵守」として、守るべき出品マナーが記述されている。
牛体の不自然な整形・調整や体毛操作、異物挿入、過度の給水などの行為は禁止となっている。
また、出品者の服装は上下とも白色のもので、牧場名等の文字の入っていないものを着用いただくことにしている。

平成22年01月20日
「全共審査の変遷」

〜複数による合議で決定〜
本年10月に北海道で開催される第13回全日本ホルスタイン共進会におけるホルスタイン部門の審査委員は日本ホルスタイン登録協会審査委員の中から任命することとし、その人選は3月の理事会において行うことが、昨年秋に開催された同協会の理事会において決定された。正副2名の審査委員によって全部門の序列付けを1部門数十分で終えてしまう方法は、全共においても前回の第12回栃木全共から実施されているが、ここに至るまでには様々な変遷を辿ってきている。今号と次回「日本ホル協特集(4月20日号)」の2回にわたり、過去12回の審査のやり方や出品区分などを整理してみることにする。(小島)
総掛かりで審査
過去には、審査委員長、副審査委員長、審査顧問、各部全般を総括する審査委員、主任審査委員、各部を担当する審査委員、副審査委員などを加えると総勢で20人を越す大審査団となったこともある。当然ながら、登録協会の審査員だけでは足りず、大学教授、農林水産省や(独)家畜改良センター等の技術者の協力を得て編成されていた。
我が国の改良成果を確認し、今後の方向を搾るという全共の目的からすれば、乳牛改良に携わっている機関総掛かりの審査も当然であったともいえよう。
各全共とも審査委員長と若干名の審査顧問、審査補助員を置いているが、本稿では、これらの方々を除いて話を進めることとしたい。
なお、審査補助委員は、体尺測定や審査の進行や記録などを担当した。
第1回
神奈川県平塚市で昭和26年3月に4日間の会期で開催され、未経産、経産、種系経産、雄の4部門に30都道府県から157頭が出品された。
審査団の編成は2班制で、主任2名を含む7名の審査委員7名で審査にあたった。ただし、審査は、各班が一斉に総体審査を実施し、その後に個体審査、体尺測定、比較審査(2回)の順に行ったと記録されているので、牛の引き出しは3〜4回は行われていたのではなかろうか。
写真は第1回の審査風景であるが、審査は牛を並べ、複数の審査委員(コート着用)が順に回って審査している。
また、出品牛の輸送は主に貨車で行われており、途中列車の編成替えで操車場に長時間留め置かれることもあり、相当の日数を要したに違いない。貨車輸送は第5回全共までは利用されていた。
第2回
昭和31年3月に静岡市で5日間の会期で開催された。未経産、経産2、種系未経産2、種系経産、雄、同父系統群の計8部門と乳器特別審査の部が設けられ、36都道府県から実頭数200頭が出品された。
審査は3班、3つの審査場で行われ、審査委員は班長3名を含む10名となっていることから、審査は少なくとも班長と審査委員2名の3人で行われた。
審査は、概ね第1回と同じようで、総体審査を班毎に全牛について一斉に行い、その後個体審査、体尺測定、比較審査(2回)の順に行っている。
第3回
昭和36年3月、長野県松本市で、5日間の会期で開催された。出品区分は未経産2、経産、高等登録、雄、種系未経産、種系経産、同父系統群、同母娘牛群の部の計9つの部が設けられ、42都道府県から実頭数で226頭が出品された。乳器特別審査も行われた。
審査は審査委員13名で、3班に分かれて、各部とも班主任審査員と審査委員2名の3人で、3つの審査場を使って行われた。総体審査が各班毎に一斉に行い、その後に個体審査、比較審査に順に行われた。系統群をもぞき、比較審査は2日間にわたって4回行われていた。
第4回
昭和41年3月、福島市において5日間の会期で開催された。未経産2、経産3、種系未経産、種系未経産、種系経産、雄、父系牛群、母系牛群の10の部門と乳器特別審査の部になどを含む10部門に42都道府県から実頭数で229頭が出品された。
審査団は、全般を統括する審査委員2名と担当審査委員13名で構成され、3班に分かれて3つの審査場で審査が行われた。このときは総体審査が省略され、個体審査と比較審査が行われた。ただし、比較審査は3回行われていた。
第5回
昭和45年11月、愛知県豊橋市で5日間の会期で開催された。
出品区分は第4回と同じ10部門と乳器特別審査の部となっており、44都道府県から246頭が出品された。
審査団は、統括する審査委員1名、班主任審査委員3名、部担当審査委員13計17名で構成され、審査は、3つの審査場で各部とも班主任審査委員と部担当審査委員2名で行われた。
個体審査、比較審査の順に行なわれ、各部とも序列は最下位まで決められた。また、乳器特別審査は一旦牛舎へ帰って完全に搾乳した後再び審査場でに戻り、最終審査が行われた。
第5回全共では、過去になかった試みも実行された。即ち、より多くの酪農家に「酪農民のための全共」という意識を持っていただくため、共進会の会期を1期と2期に分け、1期の県予選などに参加した牛にも賞状などが贈られた。
また、個体出品の部には種系未経産の部を除き本牛又は親に能力による条件をつけた。
観客対応としては、4回目となる最終比較審査は一つの審査場で行い、第1部から順に、リボン装着後入賞順にパレードを行い、観客に牛をよく見て貰うようにした。
ここまで見てくると、過去の全共における審査は出品番号順に並べて個体審査を行い、その後に出品牛を並び替えての比較審査を合議制で行っていたこともある。この方法では出品者は勿論、参観者にとっても分かりずらかったのではと考えられる。(以下、4月20日号「日本ホル協特集」に続く)