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機関誌

機関誌内容一覧

2022年08月20日号

ハプロタイプ「無角因子」情報提供開始

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     国内におけるハプロタイプによる遺伝子型情報については、2021年8月から胚致死因子(HH1―5)に限定して情報提供を開始している。
     日本ホル恊では、さらに多くの情報を提供するため、新たに「無角」について情報提供が可能か調査を行い、関係団体等と協議をした結果、2022年8月から、SNP検査を実施した若雄牛及び雌牛を対象に情報提供を開始することになった。

    無角因子について

     無角は優性(顕性)遺伝で、無角因子をヘテロの状態で保因したとしても、その個体の表現型は無角となる。したがって、無角因子をホモで有する種雄牛を交配すれば、授精した雌牛の遺伝子型を問わず産子は必ず無角となる。図には、各遺伝子型の組み合わせ別に交配した時の無角の出現確率を示した。
     雌雄ともに無角因子を有する個体が近年増加傾向にあり、2021年の遺伝子頻度は、雄で4.6%、雌で1.7%と生産現場において無角に対する関心が高まっていると推察される。この理由は、除角作業が不要になるので労働コストの削減ができる点、さらに個体にかかるストレスを減らすこと(アニマルウェルフェアの向上)ができる点にあると考えられる。したがって、SNP検査によって無角因子を持つ個体を識別できれば、生産者にとって有益な情報になると期待される。

    ハプロタイプ情報利用の注意点

     ハプロタイプに基づく情報は高い推測精度ではあるが、ごく稀に偽判定の可能性があり、遺伝子の保因/非保因を100%保証するものではない。確定には遺伝子型検査をする必要がある。
     なお、無角の遺伝子型検査については、(一社)家畜改良事業団(家畜改良技術研究所遺伝検査部)と検査開始等について現在協議中である。

乳房の傾斜 評価値公表 2022年8月公式評価より

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    (独)家畜改良センターは、2022年8月公式評価から乳器に関する主要な線形評価形質である「乳房の傾斜」の評価値を公表することを決定した。

    搾乳ロボットへの適合性を上げるために

     近年、酪農の現場では作業の負担軽減を目的として、自動で搾乳を行うことが可能な搾乳ロボットの普及が進んでいる。それに伴って、搾乳ロボットに適した乳房の形状への改良が求められてきている。搾乳ロボットの不適合になる基準の一つとして、乳房の底面の傾斜がある。左図は乳房の傾斜の線形スコアを表しており、線形スコア1は後乳区へ、線形スコア9は前乳区へ極めて傾斜している。このように極端な傾斜がある場合は好ましくないと判断される。現在、乳房の傾斜の線形スコアの平均値は5程度であり、度数分布をみても線形スコア5と6の割合が70%を超えることから、多くの個体の乳房は水平に近い状況だと推察される。
     乳房の傾斜は、中程度(線形スコア5)が好ましい形質であり、「乳用種雄牛評価成績(通称:赤本)」の横向きの棒グラフには、線形スコア5に相当する標準化育種価(SBV)の位置を星印で示している。SBVとは2015年(ベース年)生まれの雌牛の平均値を0として、標準偏差単位で表したもので、標準偏差単位で表すことにより異なる尺度の形質を同じ尺度で表すことができる。

    改良に生かすためには

     横向きの棒グラフでは、ベース年生まれの雌牛の平均値から当該牛がどの程度離れているかを視覚的に判断できるように工夫されている。乳房の傾斜では、SBVが小さくなる(グラフでは左側)ほど「後傾斜」、大きくなる(グラフでは右側)ほど「前傾斜」という表現になる。星印の位置が真ん中(SBVが0)とならないのは、ベース年生まれの雌牛の平均値が必ずしも線形スコア5とはならないからである。従って星印の位置に相当するSBV(マイナス0.8)に近い種雄牛を選択することで、乳房の極端な傾斜を防ぐことが期待できる。
     詳細は家畜改良センターのWebサイトを確認していただきたい。

1位「コンシエルジユ」 2022-8月 国内乳用種雄牛評価成績

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    (独)家畜改良センターは8月2日、乳用種雄牛評価成績2022-8月評価を公表した。今回の評価成績では精液供給可能種雄牛は72頭、うち新規牛は5頭であった。

    1位「コンシエルジユ」

     今回の総合指数(NTP)1位はワイケーランド フアリス コンシエルジユ ET(コブラ×ミツドナイト)が獲得した。一年前に12位で初登場し前回4位だった本牛は長命連産効果が極めて高く、乳代効果も期待が持てる。更に耐久性成分は表中1位、疾病繁殖成分は表中2位、乳量にも優れた経済効果の高い種雄牛と言えよう。
     2位は前回1位のフアインデール ホツト ブーテイー ET(アルタホツトロツド×バリスト)。産乳成分、体型形質共に優れたバランス牛である。
     3位は前回同様、グリーンエンジエル ラークレスト JC スター ET(ジエイシー×フエイスブツク)。産乳成分は表中1位、疾病繁殖成分にも優れている。

    新規牛は5頭

     今回の公表で新たに選抜された種雄牛は12位フオアマン、15位バンコ、22位アレクシア、30位グランクラス、31位センターバツクの5頭であった。
     トップ40の父牛を見てみると、アルタホツトロツド、シルバー、パワーボールの息子牛が各3頭。母方祖父牛別ではブツケムが5頭、スーダンとマツセイが4頭となっている。
     なお、今回の評価より新たな形質として乳房の傾斜が追加されている。詳細は該当記事を参照されたい。

社員補欠選挙 当選者

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     社員辞任に伴う補欠選挙が岩手県で7月19日に実施され、無投票で当選者が決定したので公示します。【敬称略】
    ◇第4区(岩手県1)
     須崎 智博

第16回全共開催決定 令和7年10月北海道ホルスタイン共進会場

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     日本ホル恊は令和7年10月中・下旬に北海道勇払郡安平町の北海道ホルスタイン共進会場において第16回全日本ホルスタイン共進会の開催を決定した。なお、開催期日の詳細並びに共進会規則等については8月中に決定し、9月20日の日本ホル恊特集号で報告したい。

検定成績優秀牛 -都府県 令和4年07月証明分F偏差値-