PAGE TOP

機関誌

機関誌内容一覧

平成13年8月20日


平成13年8月20日
「1万2千頭の情報を収集」

13年度前期都府県審査・調査終了
審査は2年連続で増加-体型調査農家の同時受検増える-
このほど、日本ホル協の平成13年度前期都府県における牛群審査並びに生涯生産性体型調査が終了した。審査は37都府県で実施され、牛群審査および個体審査が3,141頭、生涯生産性調査8,876頭で、審査受検牛の合計は1万2,017頭を数えた。平均審査得点は80.6点であり、93点2頭を含む49頭がエクセレント(EX、審査得点90点以上)に評価された。
岩手県、頭数伸ばす
表1には13年度前期都府県における牛群審査・生涯生産性体型調査の実施状況を示している。
牛群審査は321農家で3,065頭が受検し、一戸当たり審査受検頭数は9.5頭であった。また、個体審査は雌牛69頭、種雄牛7頭で、牛群と個体審査の合計頭数は3,141頭、前年同期に対して150頭増で、2年連続の増加となった。
表から都府県別に牛群・個体審査の実施状況をみると、岩手県が44戸400頭で他県を圧倒している。次いで、栃木県、熊本県、福島県、長野県、群馬県、茨城県の順となっている。前年同期比では、長野県が55頭増加でトップ、次いで石川県、宮城県、愛知県、茨城県の順であった。増加県の多くは、体型調査農家において調査対象以外の牛に対して牛群審査の受検奨励を積極的に行っている点が挙げられる。
表1平成13年度前期牛群審査・生涯生産性調査実施状況
県 名牛群審査個体審査審 査合 計生 涯 生 産 性 調 査調 査合 計審査調査合計前年度対比平 均得点
戸 数頭 数雌牛雄牛戸 数初 産2 産審査頭調査頭
青 森350507493483133-30-4879.9
岩 手4438713400766312568871,2872317981.0
宮 城14116116141102913925548-1580.6
秋 田4521531713869207260223879.8
山 形331334157753130164-453980.8
福 島191941943021514636155520-280.8
茨 城12151151242059429945030-880.6
栃 木22266266736733481,0211,287-17-11780.6
群 馬20154515944303159462621-6-22080.4
埼 玉1121131075481231360580.5
千 葉1514511463120573278424-114681.3
東 京223131629312-1780.2
神奈川96767117330103170-21-3281.2
新 潟868573158346129202-28-10181.1
富 山177221930373-4179.1
石 川648250185136349-2582.2
福 井000
山 梨6626297645121183253981.1
長 野1718511861716544209395553280.9
岐 阜2191201181381191398-7380.6
静 岡151392141221658224738826682.0
愛 知7801393292496731640942-8680.7
三 重000
滋 賀1997437505995079.8
京 都4363663920599527-11080.9
大 阪000
兵 庫1292922310652158250-50-16080.6
奈 良000
和歌山000
鳥 取5354392319183274313-16780.1
島 根0127339112112-8-4179.8
岡 山11102310521162612233281-2680.5
広 島2262612782310112712-10079.5
山 口000
徳 島87676437124912518-1580.9
香 川112941314-7-1181.1
愛 媛56060191336820126129580.0
高 知021710272702778.6
福 岡53023263358216574606-16-10879.6
佐 賀08553388880-1979.5
長 崎000
熊 本18198111210775223148361,046-19-23680.6
大 分750508392160110-6-1381.3
宮 崎96016138214139353414-32-1079.8
鹿児島6583613822316939245325-22179.6
沖 縄000
合 計3213,0656973,1418245,9142,9628,87612,017150-1,23280.6
調査は9千頭弱
次に、生涯生産性体型調査では、824農家において初産牛5,914頭と2産目2,962頭の合計8,876頭について体型記録を収集した。一戸当たり調査頭数は10.8頭であった。この調査は、後代検定材料娘牛を保留している牛群検定農家を対象に、初産及び2産牛の体型審査を行うもの。この調査で得られた全体のデータを用いて体型と生涯生産能力の遺伝的関係の分析を行っている。また、初産体型データは種雄牛や雌牛の遺伝評価にも利用している。
今期は調査対象牛の産次数の範囲を制限したために、特に頭数では前年同期に比べて約1,200頭減少したが、このまま推移すれば年間計画頭数はほぼ達成できるものと思われる。都府県別では、栃木県、岩手県、熊本県がいずれも70戸以上の検定農家で調査を実施し、頭数では栃木県が1千頭以上を数え、前年に引き続いて最多となった。体型調査の農家戸数が多い県は、即ち牛群検定が十分に普及し、かつ後代検定への協力率も高いところと言える。
以上の結果、牛群審査と体型調査の合計頭数は1万2,017頭で前年より1,082頭減少した。
都府県別では、岩手県と栃木県がともに1,287頭で最多であり、次いで熊本県、福岡県、群馬県、福島県、鹿児島県の順であった。
平均は80.6点
審査・調査を合わせた都府県全体の平均審査得点は80.6点(標準偏差2.72点)で、前年同期を0.1点下回った。平均得点が下がった理由は、特に体型調査牛の平均産次数が若くなったためと考えられる。
受検牛の得点分布では、審査得点90点以上(EX)に格付けされた雌牛は49頭(全体の0.4%)で、前年より14頭多い。また、85~89点は全体の9.2%で前年よりも1.3ポイント高くなっているが、80~84点が52.1%で前年よりも5.2ポイント下がっており、したがって80点以上の割合では前年より約4ポイント減少したことになる。
EXは49頭
表2には13年度前期にEXに評価された雌牛49頭を得点順に示している。
今期は14県でEX雌牛が作出されており、県別では岩手県の13頭が最も多く、次いで静岡県9頭、栃木県5頭、福島県と熊本県4頭などとなっている。なお、埼玉県と茨城県で初のEX誕生となった。また、EX牛の産地では自家産が33頭と圧倒的に多く、北海道産10頭、自県産6頭で、輸入牛はなかった。
今回の最高得点は93点で、千葉県・作田知志さんの自家生産牛パラゴンウォーデンチーフ(父バーマ)と、長野県・小林正春さんが所有するチルダクリエーションマックス(父ミスティ・マックス)の2頭。以下、92点が3頭、91点が8頭となっている。
表2平成13年度前期都府県エクセレント雌牛(90点以上)
名 号( 父牛名号 )(産地)得点県 名所有者
年齢
パラゴン ウオ-デン チ-フ(プラシエンスキ- バ-マ ET)自家93千葉県
07-08作田知志
チルダ クリエーシヨン マツクス(ジーメトカーフ バリアント ミステイ マツクス ET)北海道93長野県
11-10小林正春
フオーカスト マダム アパツチ ミニイ(ブラウンデール アパツチ ET)北海道92岩手県
04-06佐野栄
キクイチ ジユラー フアースト ジヤベラー(ケーイーデイー ジユラー ET)自家92栃木県
04-10菊池一郎
クリーン レーモンデール グランド ゴールド(ローマンデール エラ ゴールドバツク ET)北海道92岡山県
07-06岡田研吾
アストロ リンデイ パンジー(エー タウンソン リンデイー ET)県内91岩手県
04-08佐野茂樹
ミラクル ドウボーイ インスピレーシヨン(ハイサイツ ドウ ボーイ)自家91山形県
06-04新野良孝
インローン プレリユード エコー ET(エ- ロニ-ブルツク プレリユ-ド ET)自家91福島県
08-06郡山市畜産公社
グリーンスター マーセル ブローカー(エ- コナントエ-カ-スジエ-ワイ ブロ-カ- ET)自家91栃木県
05-09臼井勉
シルクランド ミステイ ララ シー イー オー(ホルテツクス シー イー オー ET)自家91栃木県
06-11小林幸雄
シーダーデール エレベーター スター ルンド(ハノ-バ-ヒル スタ-ダム)北海道91群馬県
04-03長坂仁司
ピーエフ ダイデイー ピアス(フイデリテイー RTH タイソン)自家91石川県
05-07松原龍治
パイニ-ヒル スタ-ダム ロ-レ-(ハノ-バ-ヒル スタ-ダム)県内91熊本県
06-11永田浩徳
プロスペリー ヒンペル カウンテス ルル(ローマンデール クリスタル カウント)自家90岩手県
04-00佐野栄
ノースランド スワロー クリント(シテイエツジ サウスウインド クリント ET)自家90岩手県
04-03外谷吉郎
4 ジエーンブライド BS キヤンデイ アサヒ(ボーレツト チヤールズ ET)自家90岩手県
04-04川又紀元
リバテイーフアーム リンカーン コロンバス(ハノーバーヒル リンカーン ET)自家90岩手県
05-10中六角保広
エス テイー ポーレツト チヤールズ(ボーレツト チヤールズ ET)自家90岩手県
05-10西舘茂
ドリ-ムランチ スター ハリエツト(マダワスカ エアロスター)自家90岩手県
05-11藤岡俊策
デンバー イブ ジエネシス ET(ジユニパー ローテート ジエツド ET)北海道90岩手県
06-01家畜改良センター岩手牧場
エス テイー マジエステイ マリア(ロツクリンマ エレベーシヨン マリナー)自家90岩手県
06-01西舘茂
テイーエムデイー インスピレーシヨン ポーテージ(ハノーバーヒル インスピレーシヨン)自家90岩手県
06-04川下一幸
ロジユ スターダム ピーブ(ハノ-バ-ヒル スタ-ダム)県内90岩手県
06-05伊藤崇
カラーナ スターダム バリアント(ハノ-バ-ヒル スタ-ダム)自家90岩手県
06-07牧原喜三雄
サニーヒル フリーダ ジユラー(ケーイーデイー ジユラー ET)自家90福島県
04-09岩谷金良
サニーヒル スターダム リードマン(ハノ-バ-ヒル スタ-ダム)自家90福島県
06-02岩谷金良
フルカワ インスピレーシヨン リリツク ET(ハノ-バ-ヒル インスピレ-シヨン)自家90福島県
06-07古川一郎
スターダスト チエリー アポロ エルビナ(セルローバー アポロ スウイート プリンス ET)自家90茨城県
07-11弓家善一
パインツリー ネリー ジユラー ミステイ(ケーイーデイー ジユラー ET)自家90栃木県
04-08中山真介
パインツリー ネリー レイダー サウス(ハノ-バ-ヒル レイダ- ET)自家90栃木県
06-03中山真介
ラブリーフアーム スレツト レイダー ミルアールモア(ハノーバーヒル レイダー ET)自家90群馬県
06-02長坂仁司
エム ビー ビー マリーン バロアー(プライセスLTD ローテーテス マリーン ET)自家90群馬県
08-09細井幸夫
ブルーバンブー アイデアル リード(ブロツクブロス リード レーザー ET)自家90埼玉県
07-04青木雄治
マザー ブルマ ポテンシヤル(ペンコール ポテンシヤル L)自家90千葉県
06-11マザーデイリーセンター
ミストレス サモン ジエツド(マークウエル ジエツド リズム ET)北海道90静岡県
04-03大美伊豆牧場
CF マウンテイン ダムセル チヤールズ(ボーレツト チヤールズ ET)自家90静岡県
04-04植松亨
ドリームベイスン コンビネーシヨン マーク ET(コンビネーシヨン スーパーサイアー)自家90静岡県
04-07神尾至
チエリーランド エムビービー スターダスト(ブラウンデール スターダスト)自家90静岡県
04-07鈴木正則
エクシード インテグリテイ アツプル(ロブトム インテグリテイ ET)自家90静岡県
04-08野秋勝裕
ハイブリツジ ウイルヘルム エモリー(MJR ブラツクスター エモリー ET)自家90静岡県
04-11大美伊豆牧場
グリーンベール キユアリアス ブラツクスター ET(インペリアルシー NB キユアリアス ET)県内90静岡県
05-05神尾至
ヒンペル ウオーデン プリンセス(ロイブルツク ウオーデン マストロ ET)自家90静岡県
08-03丸山満幸
ストレートマン デイアー ロクイシー(エー ミルアールモア ツルー バリユー ET)県内90静岡県
10-09神尾至
ホワイトビユー コピア エース リンカーン(ハノーバーヒル リンカーン ET)北海道90愛知県
07-03榊原徳雄
ハツピーリバー パイアー スター ET(ブラウンデール スターダスト)北海道90岡山県
05-09羽出木総合農場
エンドリツチ アストロ アスター(デユリーガル アスター スターバツク ET)北海道90岡山県
06-05辻 隆義
グローリツチ マンデル チーフ ミミー ET(ルツツメドウス イー マンデル ET)自家90熊本県
04-08梁池久芳
ハツコー ボンドヘイブン レイダー バリアント(ハノ-バ-ヒル レイダー ET)北海道90熊本県
05-10坂本篤幸
アールチエ リンカーン マーカス(ハノ-バ-ヒル リンカーン ET)県内90熊本県
07-01永田浩徳
平成13年8月20日
「全国の普及率(牛)47%に」

乳 量 は 大 幅 に ア ッ プ~平成12年度牛群検定成績速報から~
戸数の減少やや緩和か
家畜改良事業団から公表された「平成12年度乳用牛群能力検定成績速報」については、前号で概略を紹介したが、今月は更に詳しく紹介したい。
表1には牛群検定農家戸数、検定牛頭数の推移を示している。これによると、平成12年度の検定状況は、323検定組合で検定農家1万5,599戸、検定牛52万2,947頭が参加しており、前年度と比べるとそれぞれ10組合、329戸、4,871頭減少している。
近年、酪農家戸数の減少が続く中で、平成2年まで1万7千戸台を堅持してきた検定農家戸数であるが、その後は年間500~900戸というこれまでにない急速な割合で減少傾向を示している。
国は平成11年度から「牛群改良推進体制再編整備支援事業」いわゆる「牛群検定お試し事業」を実施し、牛群検定参加農家の拡大推進を行っており、12年度末までに全国で276農家が新たに牛群検定に参加している。これらの対策の効果もあって、12年度における検定農家の減少割合はやや緩和されている。
一方、検定牛頭数はこの4~3年間、52万頭台を確保しており、したがって、検定農家一戸あたり検定牛頭数では12年度全国で45.1頭となっており、前年を若干ながら上回っている。
また、近年の酪農家戸数の構造的減少とここ数年に見られる乳牛頭数の減少の影響で、酪農家戸数に占める検定農家比率や経産牛に占める検定牛比率は少しずつ伸びている。12年度の検定農家比率、検定牛比率は全国でそれぞれ37.1%、46.5%であった。
表1牛群検定農家戸数、検定牛頭数の推移
年 度検 定
組 合 数
(組合)
検定農家
戸 数
(戸)
検 定 牛
頭 数
(頭)
一戸あたり
検定頭数
(頭)
検定農家
比率
(%)
検 定 牛
比 率
(%)
昭和501077,63196,95312.94.88.7
5520513,833293,40921.214.422.5
6034517,578461,22426.224.235.1
平成234917,287543,17631.429.242.3
34613,755528,43438.434.143.6
34413,246534,04540.334.944.4
34212,720528,51241.535.244.4
1033512,221524,93243.035.644.8
1133311,928527,81844.335.545.9
1232311,599522,94745.137.146.5
(北海道)1415,691321,36356.561.065.8
(都府県)1825,908201,58434.127.031.7
鳥取で検定牛率7割超
表2には牛群検定普及率の上位20都道府県の状況を示している。12年度に検定牛比率が最も高かったのは鳥取県で、これまで最高の71.8%を記録している。鳥取県は前年に比べて、検定牛頭数が約170頭増えており、検定牛比率でも3.4ポイント上がっている。
次いで、宮崎県、北海道、福岡県が60%台を堅持している。このほか、50%台が2県、40%台が9県、30%台が5県となっている。また、前記の鳥取県と同様、熊本県と秋田県で検定牛頭数が前年よりも増えている。一方、検定牛比率が20%を下回るところが15府県あることも現実であり、これらの地域での検定の普及啓蒙が期待される。
表2牛群検定普及率の高い都道府県(平成12年度末)
都道府県名検定農家
戸数 (戸)
検 定 牛
頭 数 (頭)
検定牛
普及率 (%)
鳥 取 県1685,36471.8
宮 崎 県37711,31769.4
北 海 道5,691321,36365.8
福 岡 県2799,99361.3
鹿児島県2157,97658.6
岡 山 県30910,43953.8
福 井 県2685047.8
広 島 県1464,58747.6
滋 賀 県532,04347.6
栃 木 県47119,91645.2
岩 手 県59817,71044.9
熊 本 県40915,23444.9
佐 賀 県962,44944.9
山 口 県501,60443.9
愛 媛 県1063,02142.7
秋 田 県782,01436.6
群 馬 県32613,74435.3
東 京 都3392234.4
島 根 県1042,80734.3
兵 庫 県2186,93732.3
注)検定牛普及率:経産牛に対する検定牛の比率
都府県が乳量で北海道を
さて、表3には、牛群検定におけるホルスタイン種、二回搾乳、305日、立会検定の平均能力の推移を示している。11年度は北海道をはじめ夏の猛暑なども原因して、平均乳量(305日、二回搾乳)が伸び悩んだが、12年度は全国平均で前年より156㎏増え、8,794㎏を記録し、ほぼ回復基調にあると言えよう。
表3の12年度の欄には北海道と都府県別に内訳を示しているが、北海道の8,737㎏に対して都府県は8,888㎏を記録し、平成9年度以来3年ぶりに北海道を上回った。さらに年間増加量においても、都府県は前年に比べて260㎏増加しており、北海道の93㎏をはるかに上回ったことは興味深い。
このほか、乳成分に関する全国平均値では乳脂量341㎏、乳脂率3.87%は前年を若干上回っており、乳蛋白質率3.19%、無脂固形分率8.73%は前年と同様であった。
表3牛群検定成績の推移(ホルスタイン種、二回搾乳、305日、立会検定)
年 次頭 数
(頭)
乳 量平均
乳脂量
kg
平均
乳脂率
平均
蛋白質率
平均
SNF率
濃厚飼料
給 与 量
kg
平 均
kg
最 低 – 最 高
kg
昭和506,7215,8262,00412,1812083.601,889
5598,2666,3391,60615,9222323.702,029
60210,8407,0081,94018,8742563.658.602,478
平成2261,6707,7981,75620,5402883.693.098.622,807
276,8588,2821,37619,8873143.803.168.653,035
276,1068,4641,14119,5283233.823.188.683,091
277,1298,5342,06422,4593273.833.178.683,104
10275,9988,6071,32923,4423323.863.188.703,126
11279,3758,6381,33020,2053333.853.198.733,166
12283,2748,7941,71422,4843413.873.198.733,205
(北海道)176,2288,7371,71422,4843403.903.208.773,030
(都府県)107,0468,8881,74618,8833413.833.168.673,485
産次数、分娩間隔が危惧
近年の泌乳能力の向上は概ね順調に推移しており、特に平成2年以降は遺伝的改良に負うところが大きくなってきたことは大変望ましいことである。
しかし、その一方で、検定牛の平均産次数の低下や分娩間隔が急激に延びていることは、酪農経営上の重要な問題である。
現場からは「初産から搾りすぎ」との声も聞く。この頃よく見かけるのは第4胃変位などの手術痕、流産や乳房炎による盲乳牛である。これらは「牛への過度の負担」との因果関係が深いはず。
乳牛改良は繁殖、栄養、搾乳、環境管理の改善向上と相俟って、酪農経営にプラス効果を引き出すものである。牛群検定を実施することによって、泌乳能力のほかに繁殖や飼料給与、さらには乳質から健康状態を推察することも可能になる。能力追求だけに止まらず、検定が持つ多くの役割や効果について、いま一度考えたいものである。