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平成14年6月20日


平成14年6月20日
「NTP活用で体型も」

~今後も生涯生産性の向上を乳用牛評価報告2002-Ⅰから~
本年5月に家畜改良センターでは「乳用牛評価報告第20号」を刊行した。これは、本年2月24日に発表された乳用種雄牛と雌牛の評価成績2002-Ⅰをとりまとめたもので、我が国のホルスタイン種の遺伝的改良量やその傾向などが示されている。ここでは、雌牛を中心にその概要を紹介する。
688万件のデータ
まず、最近の我が国ホルスタイン種一頭当たりの乳生産量を紹介すると、牛群検定牛においては、毎年着実に増加しており、平成6年(1994年)に8,000㌔を超え、平成12年(2000年)には8,500㌔に達している。また、非検定牛においても、着実に増加しており、平成10年(1998年)には6,500㌔に達している。
さて、ここで紹介知る遺伝能力の評価対象は、泌乳形質においては牛群検定加入牛であり、体型形質においては初産時の審査や後代検定などによる体型調査を受検した牛である。
因みに、雌牛における遺伝評価に使われたデータ数は表1に示したが、乳量については約688万件データが使われている。また、体型形質におけるデータ数は約46万4,000件で、泌乳形質の約7%である。データ水準についても表1に示した。
表1雌牛評価に用いた各形質毎のデータ数とその水準
形質データ数 平均
±標準偏差
泌乳形質乳量kg6,884,2957,503
±1,834
乳脂量kg6,884,295283
±74
無脂固形分量kg6,200,548665
±156
乳蛋白質量kg4,934,374251
±56
決定得点464,34279.25
±1.62
体型形質外 貌271,29079.46
±1.92
肢 蹄271,29078.47
±2.03
乳用牛の特質464,43279.76
±1.70
体 積464,43279.88
±2.15
乳 器464,43279.17
±1.86
遺伝的改良の現状
雌牛における泌乳形質の遺伝的な改良傾向を示すと図1図2のようになる。
グラフは縦軸がEBV(推定育種価)、横軸が検定牛の生年を示し、1995年生まれの平均値を0として示している。過去10年間の年当たりの改良量は、乳量でプラス122㌔、乳脂量でプラス5.1㌔となっており、着実に改良が進んでいることが窺える。
乳成分率については、乳量と乳成分量の育種価から間接的に計算しているが、図2で成分率について見てみると、乳脂率のグラフが右上がりで推移しているが、これは、乳量の改良のペース以上に乳脂量の改良が進んでいることを示している。
また、乳無脂固形分率や乳蛋白質率のように横這いの場合は、乳量の改良のペースと同じようなペースで成分量の改良が進んでいることを意味している。
図1でも説明したが、現在、乳量の遺伝的改良は順調に進んでいることから、成分量の改良も順調に進んでいると考えられる。
次に、体型形質について図3に示した。乳用牛の特質で最も改良が進んでいるが、最近の五年間では乳器の改良が進んでいるといえる。
乳器や決定得点の改良が進んだ背景には、決定得点や乳器を考慮した総合指数の作出があると考えられる。
総合指数は、生涯生産性を高め、機能的体型に優れた乳牛を作出するため、泌乳形質をまず改良し、次いで改良した泌乳能力を維持できるだけの体型形質の改良を意図する指数として作出されたものである。
種雄牛における総合指数上位40位の利用の推奨など、総合指数を改良に利用することで、泌乳形質だけではなく、体型形質の両方を改良することが可能であるとして、現在の我が国の改良の指標となっている。図4に総合指数の改良量を示した。総合指数も右肩上がりで推移しており、バランスのとれた改良が進んでいると考えられる。
因みに、線形形質については、高さ、鋭角性、後乳房の高さ等の形質で顕著に評点が高くなる方向に進んでいる。ただし、線形形質の場合は、後肢側望や蹄の角度のように評点が高い(評点9)ことが必ずしも望ましい訳ではない形質があることに注意する必要がある。
改良情報の利用
牛群検定に加入していると、年二回遺伝的能力評価成績が牛群改良情報として還元されるが、それぞれの形質の数値が全国で全国ではどの程度の水準にあるかを表2に示したので、手元にある牛群改良情報と見比べてほしい。それぞれの形質が全国のどの程度の位置にいるかを把握することができる。
牛群改良情報は産乳成分の高い順に表示されているが、若い牛が上位にいるであろうか。これは牛群の推定育種価のグラフからも見ることができる。乳代効果と産乳成分についてグラフが示されているが、除籍牛を除いたグラフが右上がりであれば改良が進んでいることを示している。また、産乳成分についてパーセント順位がついているが、農家内のパーセントと全国のパーセントからその農家の全国におけるレベルを把握することも可能である。
表2主な形質の評価値のパーセンタイル(2002-Ⅰ評価)(現検定牛、現審査牛)
上位からのパーセンタイル総合指数乳代効果(円)乳量(㎏)産乳成分決定得点肢蹄得率乳器得率
1%1,02895,2551,3242941.120.800.99
5%81772,1639902230.770.580.73
10%70060,3878231860.570.460.55
20%53846,1166221420.340.310.34
30%41135,5734741090.170.190.20
40%30526,480347810.040.090.07
50%19417,86822954-0.10-0.01-0.05
注)パーセンタイルは上位からの位置と評価値との関係を示したものであり、その雌牛の全国でのレベルを
把握することが出きる。(例)総合指数が700の雌牛は全国で上位10%レベルにあるといえる。
今後の改良方向
今後の改良方向は、泌乳形質とともに泌乳能力を維持できる体型形質を改良し、生産期間を延ばし、生涯生産性の向上を図ることであると考えられ、その指針は先に述べたとおり総合指数である。
しかし、総合指数を持つ雌牛は、遺伝的能力評価成績が出ている現検定牛の約32%と少ない。牛群内の選抜の指標とするには半分程度は総合指数を持つ必要がある。
種雄牛については、後代検定を受けた種雄牛(精液供給可能牛)は全て総合指数の評価値を持っている。交配する種雄牛を選ぶ際に、総合指数が高い種雄牛を選定することが基本であるが、総合指数が同じであれば、各形質の能力も同じではないことに留意してほしい(表3)。
個々の雌牛の遺伝的能力における特徴を把握し、交配種雄牛を選定することが効率的な改良を進める上で重要である。効率的に改良を進めるため、利用できる情報の有効利用を心がけたいものである。
(独)家畜改良センター改良部情報分析課長吉ざわ努
表3NTPとNTPを構成する形質の評価値の比較
NTPEBV・MEBV・FEBV・P乳代効果FS(得点)FL(肢蹄)
+1,061+1,354+56
(+0.03%)
+53
(+0.11%)
+113,229+0.19+0.45
+1,053+1,183+61
(+0.18%)
+44
(+0.06%)
+97,711+1.25+0.59
+1,037+1,735+56
(-0.13%)
+56
(0.00%)
+136,066+0.47-0.23
+1,035+1,362+37
(-0.18%)
+50
(+0.07%)
+103,822+0.89+0.53
+995+860+48
(+0.18%)
+42
(+0.18%)
+81,142+1.22-0.69
+991+1,977+34
(-0.47%)
+54
(-0.10%)
+132,764+0.46+0.12
注①:()は成分率の評価値を示す。②:同じくらいのNTPでも種雄牛により特徴がある。
平成14年6月20日
「’02北海道B&Wショウ開く」

~今後も生涯生産性の向上を~
G・Cにチャリティー号~212頭が14部門に分かれて~
全国各地の牛自慢の集いの最後を飾って、2002年北海道ブラック・アンド・ホワイトショウが去る5月26日、北海道勇払郡早来町にある北海道ホルスタイン共進会場において開催された。出品頭数は本州からの出品も含めて219頭を数え、14部門に分かれた審査には中標津町の酪農家久保剛氏があたった。
最高位であるグランドチャンピオンに輝いたのは、上川郡清水町の浅野典英さん出品のベルベツトバークチヤリテイーであった。リザーブ・グランドチャンピオンには、標津郡中標津町の株田宏さん出品のサンハイアイデアルチヤーリーシークが選ばれた。
また、未経産の最高位であるジュニアチャンピオンには、常呂郡訓子府町の平田卓一さん出品のデイパーチエアマンビースターコピアが選ばれた。
また、プレミア・ブリーダー及びにプレミア・エキジビターには恵庭市の福屋牧場が選ばれた。
各部のチャンピオンは以下の通り。
各部チャンピオン
★第1部=育成ジュニア(9月未満)★
OKテイアラインテグリテイET(平13・9・4生、父:インテグリテイ)、上川郡清水町大久保大輔さん出品
★第2部 =育成ミドル(9月以上12月未満)★
フレーランドラデユツクエリカ(平13・ 6・8生、父:ラデユツク)、郡本別町・複良貴征さん出品
★第3部=育成シニア(12月以上15月未満)★
TMフアームダーハムアンナエコー(平13・4・25生、父:ダーハム)、上川郡清水町・田中久美子さん出品
★第4部=未経産ジュニア(15月以上18月未満)★
ジュニア・チャンピオン(写真掲載)
★第5部=未経産ミドル(18月以上21月未満)★
コムスターカラミテイウオーインオアー(平12・9・6生、父:コムスター)、郡大樹町・金曽浩文さん出品=リザーブ・ジュニア・チャンピオン
★第6部=未経産シニア(21月以上24月未満)★
ビツグストーンエンコアフオーブフラワー(平12・7・8生、父:アンコール)、常呂郡佐呂間町・田中裕二さん出品
★第7部=2歳経産ジュニア(30月未満)★
OKインスピレーシヨンテイナーET(平12・2・10生、父:コムスター)、上川郡清水町・大久保大輔さん出品=リザーブ・インターミディエイト・チャンピオン
★第8部=2歳経産シニア(30月以上36月未満)★
インターミディエイト・チャンピオン(写真掲載)
★第9部=3歳ジュニア(36月以上42月未満)★
クオリテイスターダムローギル(平10・12・21生、父:スターダム)、足寄郡陸別町・菅野政美さん出品
★第10部=3歳シニア(42月以上48月未満)★
シテイビユーリンジエツトピーチエス(平10・9・1生、父:リンジエツト)、新冠郡新冠町・新冠町農業協同組合出品
★第11部=4歳クラス(4歳以上5歳未満)★
グランド・チャンピオン、シニア・チャンピオン(写真掲載)
★第12部=5歳・成牛(5歳以上)★
リザーブ・グランド・チャンピオン(写真掲載)
★第13部=ベストスリーフィメール(経産牛3頭1組)★
帯広市・㈲十勝ライブストックマネ-ジメント出品の組
★第14部 カウンティーハード(支庁対抗・未経産牛2頭以上)★
石狩支庁の組 (チャンピオン牛写真提供:ホルスタイン・マガジン社)