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機関誌

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平成15年4月20日


平成15年4月20日
「能力、体型を偏差値で表示」

~成牛換算諸係数を改正~
日本ホル協では、このほど能力や体型記録の標準化に用いる諸係数を改正・新設した。また、これまで表示してきた乳量指数、乳脂量指数、体型指数を廃止し、新たに乳量偏差値、乳脂量偏差値、無脂固形分量偏差値、乳蛋白質量偏差値、体型偏差値を表示することとした。4月以降発行の検定・審査成績証明書には新しい偏差値を採用し、祖先牛の成績も偏差値に置き換えることにしている。
分娩月や地域差を考慮
日本ホル協ではこれまで、泌乳能力については昭和26年に制定した能力標準化諸係数を用いて305日、3回搾乳、成年型乳量・乳脂量を換算し、合わせて乳量(M)指数と乳脂量(F)指数の表示を行ってきた。
しかしながら、諸係数の制定から半世紀を過ぎて、乳牛の遺伝的改良や飼養管理技術の向上はめざましく、個体の泌乳能力は著しく増加してきた。このため、これらの諸係数では現在の高能力牛の泌乳記録を正確に補正できないことが明らかになった。
すなわち、①能力に対する分娩月や地域差を無視できないこと、②検定農家では2回搾乳が主流になっていること、③乳成分測定機器の発達によって、無脂固形分量や乳蛋白質量などの測定値が得られるようになり、乳成分量の補正が必要になったこと、などの理由から補正係数の見直しが求められてきた。
一方、体型指数は、昭和59年度からスタートした牛群審査の実施に伴って、年型別体型基準得点を作り、受検牛の審査得点をその比率で示したものであるが、数値のバラツキが少なく、現場での利用や普及が不十分であった。
そこで、能力については昨年、家畜改良センターと家畜改良事業団、日本ホル協による作業部会を開催して、産乳量に影響を及ぼす要因等について基礎分析を行い、補正諸係数を策定した。
また、体型については平成9年度から日本中央競馬会特別資金助成を受けて実施してきた「乳用牛生涯生産性向上技術研究開発事業」の中で、体型形質に対する審査月齢や泌乳ステージの効果を補正するための検討が行われ、より高い精度の補正方法が確立された。
今回開発した成牛換算補正係数は、能力では乳量、乳脂量、無脂固形分量、乳蛋白質量の4形質に関して、それぞれ「年齢・分娩月」と「搾乳回数」の2種類。また、体型では成牛(72月齢)時の決定得点を換算するための「審査時月齢補正係数」が示されている。
これらの諸係数を用いて、能力や体型記録を成牛換算補正し標準化したものが従来の指数に代わる能力偏差値、体型偏差値である。
能力偏差値には「乳量偏差値」、「乳脂量偏差値」、「無脂固形分量偏差値」、「乳蛋白質量偏差値」の4つで、それぞれM偏差値、F偏差値、S偏差値、P偏差値と略すことができる。体型偏差値は決定得点に対する偏差値で略称はT偏差値。
それぞれの偏差値は平均100で下限値は10。計算の結果、10以下になる場合はすべて10とし、上限は定めていない。
なお、これらの偏差値は、平成7年に分娩または審査した成牛の値を100とし、すべての形質でバラツキを統一したため、乳牛の検定記録や体型得点について、個体間のみならず個体内でも比較することができる。
新しい偏差値の採用に伴って、日本ホル協が発行する審査・検定の各種証明書には、当面は「乳量偏差値」と「乳脂量偏差値」のみを掲載する。
その際には、新たな偏差値と従来の指数が混在することを避けるため、過去に証明したすべての記録を再計算して偏差値を表示する。そのほかの各偏差値の表示は各種証明書の様式変更を待って掲載する予定。
平成15年4月20日
「改良の成果と消費拡大PR」
第12回ホル全共開催骨子まとまる
3月13日に開催された日本ホル協の第223回理事会において、第12回全日本ホルスタイン共進会(栃木県で開催)の開催骨子が承認された。
全共の基本目的は、各都道府県を代表するホルスタインを一堂に集め、その改良の成果を展示比較するとともに、一般消費者に対して、酪農への理解と乳牛・乳製品の消費拡大をPRするものである。
開催時期は、、栃木県から平成17年秋頃の希望が出ているが、一般消費者も参加しやすいような時期とし、会期は前回の岡山全共と同様の4日間。地元では共進会に併せて、牛乳・乳製品や農産物を消費拡大するための各種イベントを開催する。
会場は未定であるが、交通や宿泊、出品関係者や参観者の利便性を配慮した上で、地元では早急に選定したい旨の報告があった。
出品頭数は前回と同様に実頭数で300頭とする。
出品区分も前回同様で未経産5部門、経産7部門の合計12部門とし、年齢の範囲は、未経産の第1部12~13月齢、第2部14~15月齢、第3部16~17月齢、第4部18~20月齢、第5部21~23月齢。経産は第6部2歳ジュニア、第7部2歳シニア、第8部3歳ジュニア、第9部3歳シニア、第10部4歳級、第11部5歳級、第12部6歳以上とする。
なお、未経産各部と経産の3歳級までは自県産で会期前日まで6月以上所有管理すること、4歳以上は国内産で会期前1年以上所有管理するとしている。また、各部に検定成績証明を受けていることを条件とする。
審査は審査員1名とアシスタント審査員1名で実施する。そのほか、後継者育成のための企画や後検娘牛の展示なども検討することとなった。
また、前回ホルスタイン全共と並行開催したジャージー全共について、特に岡山県から開催を希望する意見があった。
第12回全共栃木県実行委員会は本年6月に総会を開き、全共開催の基本構想と会場を決定する予定である。日本ホル協では、これを受けて開催要領の作成、各都道府県の出品頭数割当や負担金などを決める。
平成15年4月20日
「会員1名あたり登録頭数は」
~平成14年都府県~
3戸が年間100頭以上~多頭数登録農家層が増加~
平成14年1~12月に都府県で血統登録された雌牛について、日本ホル協の会員別に登録頭数をとりまとめた。
表1には、最近5年間の都府県における年間血統登録頭数とその会員数、会員1名あたり登録頭数を示している。
昨年の都府県における登録頭数は4万6127頭で、前年に比べて約3400頭ほど増えている。これは関係各位の登録推進に対する努力の成果と、4月以降の登録制度改正で種系登録が廃止され、すべて血統登録として申し込まれたためと考えられる。
一方、昨年に血統登録を行った会員数は6911名で、前年より900名近く減少した。したがって、会員1名あたり登録頭数は6・7頭で、前年を1・2頭上回った。
近年、酪農家戸数の減少とともに日ホ会員数も徐々に減少しているが、酪農家戸数に占める日ホ会員の割合は平成10年に48・7%だったものが、13年度は51・9%と高くなっている。
表に示していないが、登録頭数階層別では、年間登録頭数10頭以内の会員は全体の81%を占め、前年より6ポイント減少した。言い換えれば、11頭以上登録した会員割合が前年よりも高くなっており、乳牛飼養規模の多頭化と酪農家自らの「登録する」、「しない」という意識がより明確になってきたように思われる。
表2には、平成14年に都府県で登録頭数の多かった会員上位50名を掲載している。
親子がともに会員で、それぞれの名義で登録している場合は、登録頭数の最も多い会員名でまとめて表示している。
昨年の登録頭数第1位は小岩井農場(岩手県)の164頭。当場は毎年トップに位置するが、前年よりも32頭ほど登録が増えている。
第2位朝倉修一さんは120頭、第3位野村実さんは105頭で、ともに茨城県。前年は年間100頭以上の登録は小岩井農場のみだったが、14年は上位3戸が100以上を登録している。
以下、第3位鈴木基夫さん(愛知)、船方総合農場(山口県)、眞島大輔さん(栃木県)など。
なお、都府県別では、愛知県が11戸で最も多く、続いて群馬県、茨城県の順。
表1 会員当り登録頭数の推移(都府県)
年次登録頭数
(頭)
登録を実施した会員数
(名)
会員1名あたりの登録頭数
(頭)
平成10年42,6338,6095.0
11年39,5168,0674.9
12年40,6127,7805.2
13年42,7777,7985.5
14年46,1276,9116.7
表2年間登録頭数の多かった会員(14年度都府県)
順位会員名県 名登録頭数
(頭)
1小岩井農場岩手県164
2朝倉 修一茨城県120
3野村 実茨城県105
4鈴木 基夫愛知県84
(農)船方総合農場山口県84
6眞嶋 大輔栃木県83
7㈲安曇野牧場長野県81
8㈲鈴木牧場愛知県76
9後藤 房喜大分県73
10福井県福井県71
11柴田 平茨城県68
12新海 文明愛知県66
13品川 文隆群馬県61
14小笠原正秀愛知県60
15㈲ツバヌキ牧場鳥取県58
16半沢 善幸宮城県56
飯田 勝茨城県56
18北爪 初男群馬県55
小原 誠治岡山県55
20富沢 明男群馬県54
渡辺 博文愛媛県54
22岡部 雄一青森県51
野田 幸信熊本県51
24川村 正志岩手県50
大江 洋一栃木県50
26石坂 和昭熊本県49
㈲本川牧場大分県49
28米山 淳史茨城県47
29月田多久夫群馬県46
神谷 秀昭愛知県46
31吉野 藤彦群馬県45
渡辺 俊則愛知県45
大久保俊和熊本県45
34須藤 晃群馬県44
佐々木裕康静岡県44
36野口 隆司愛知県43
37西舘 守岩手県42
藤原 俊友秋田県42
39若月 一成千葉県41
渡辺 栄作愛知県41
41二ッ山牧場長野県40
42菊池 善也栃木県39
宮越 勝市長野県39
㈲ 宝 牧 場滋賀県39
45鎌塚 勉群馬県38
小林 一也山梨県38
㈲小池牧場愛知県38
㈲アカツキ牧場愛知県38
鈴木 七郎愛知県38
武本 正道鳥取県38
注) 親子の場合は登録頭数の多い会員にまとめて集計した
平成15年4月20日
「二重移動料1件分に」

~最終所有者の負担軽減図る~
登録牛の二重移動証明申込料金について、本年4月1日受付のものから便宜、1件分で対応することにしました(三重以上の同時移動申込についても同様の取扱い)。
なお、申込みにあたっては、従来どおりそれぞれの申込ごとに申込書を作成して下さい。
二重移動とは、登録牛がA牧場からB牧場への移動証明が未了のまま、さらにC牧場に移動することで、2件分の移動証明申込を同時に行う必要があります。
登録牛の移動証明申込は本来、牛を販売した前所有者(譲渡人)が行うのが原則です。しかし、都府県では特に、定期的な北海道導入が多く、その中には北海道内で所有者が代わっているにもかかわらず、移動証明未了のまま、導入される場合があります。その結果、北海道内での移動証明申込についても最終所有者が料金負担せざるを得ないのが現状です。
このことが、間接的に登録推進の障害につながるとして、以前から日本ホル協支部・承認団体や登録委員など関係者からは、料金的な配慮を要望する声が多くありました。
一昨年以降のBSEの発生等によって、その対策の1つとして確実なトレーサビリティーの確保は不可欠であり、そのためにも正しい移動経路に基づいた申込みを簡易に行えるようにしました。
今回の取扱いはあくまでも便法であり、登録牛が移動した場合には、速やかに移動証明の手続きを取っていただくようお願いします。
◇日本ホル協・人事異動◇ 登録部次長
大西信雄(登録部調査役)