PAGE TOP

機関誌

機関誌内容一覧

平成22年01月01日


平成22年01月01日
「学校創設以来初の快挙」

~栃木県立真岡北陵高等学校~
昨年11月に神奈川県で開催された第15回関東地区ホルスタイン共進会で見事、未経産の部準名誉賞に輝いた栃木県立真岡北陵高等学校。創設102年目で初の快挙に、同校に新たな酪農の歴史が刻まれた。今回、その喜びとともに来たる10月に北海道勇払郡安平町で開催される第13回全日本ホルスタイン共進会に向けて抱負を語っていただいた。
生徒の努力が実を結ぶ~
昨年の第15回関東地区ホルスタイン共進会の未経産(生後15~17ヶ月齢)クラスに出品したホクリョウネリーチャンピオンリズリサ号(平20.6.3生・父チャンピオン)が、この部の優等賞1席に入賞し最終審査において未経産部門の準名誉賞を受賞。また、第1部出品牛も優等賞3席に入賞するなど優秀な成績を収めた。
ただ“驚愕”の一言です。まさか自分の学校の出品牛が準名誉賞を獲得できるとは。常日頃からお世話になっている地元の酪農家をはじめ、関係者の方々には本当に感謝しています」謙虚に語るのは、酪農担当の大島智典先生。「でも実際は、県予選から関東共進会前日までの約1ヶ月間は一日も休まず、生徒とともに毎日3~5時間の調教、牛洗いを欠かさず続けました」と並々ならぬ努力の成果でもあった。
生徒の多くは部活と掛け持ちで牛の調教を行っているが、共進会前ともなれば「部活よりも牛が優先」と言うほど牛と触れ合うのが楽しみなようだ。「生徒達の共進会にかける思いと、日々熱のこもった管理の結果が準名誉賞という形で実を結んだ。他の部活動に励む生徒と同様に、大好きな牛で生徒が県外の大会に出場できたこと。何より最高の結果に喜ぶ生徒の姿が本当に嬉しかったです」と優しい目で語った。
牛を通して人材育成
同校は、明治41年に芳賀郡立農林学校として開校し、同時に学校酪農の歴史は始まった。その後、平成7年に校名を現在の名称に改称し、開校102年目を迎えた歴史深い学校だ。真岡市は、栃木県南部に位置し、首都圏に近い有利な立地条件の中、水稲・施設園芸・酪農とバランスのとれた農業経営が行われており、イチゴ・メロンの栽培は全国でも有数である。
この地において同校では、農業・商業・家庭の3学科を設置し、学科の区分を超えた教育を行うことで、生徒全員に共通の知識・技術を習得させ、社会の変化に柔軟に対応できる幅広い産業の人材育成を志している。また、農業科では栽培・飼育など生産及び経営に関する専門知識と技術を教育することで、農業経営者及び農業従事者として必要な能力を育てることを目標としている。

生徒総数は575名。3年生から学科を専攻することができ、現在酪農を専攻している3年生は4名でうち3名が非農家の出身だ。生徒は明るく話す。「学校で常日頃から牛に携わることで、仲間と協力することの大切さ、何より仲間の大切さを学んだ。卒業後もこの経験を生かし、何事にも責任感のある社会人になりたい」学校の教育方針は学びやである牛舎の中でしっかりと生徒に伝わっているようだ。
改良への取組み
現在の飼養牛は経産牛17頭(うちブラウンスイス種2頭)、未経産牛20頭(全て自家育成)であり、飼料畑面積3・8㌶にイタリアン及びデントコーンを作付けし、粗飼料の約5割を自給している。
また、血統登録、牛群検定を継続的に実施しており、「登録を実施することで、血縁関係を明確にするとともに、交配時の近交回避の目安にも役立てている。更に牛群検定を実施することで牛群の状況を随時把握し、教材となる牛の状態を生徒に的確に指導するために有効活用している」と、改良への取組みとその必要性を語る。
牛群審査は定期的に実施しており、初産牛は必ず受検することにしている。両親の遺伝が一番出現しやすく、審査委員に専門的に評価してもらうことにより、種雄牛の選定結果の確認や新たな課題を把握することができると考えるからだ。また、牛群審査を授業に取り入れることでホルスタインの見方の勉強にも役立てている。
なお、多く利用している種雄牛は輸入精液で、主にボルトン、サンチェスであり、他に後代検定精液も利用している。「泌乳能力の改良は常に意識し、今後更に牛舎で長持ちする牛作りを目指すため、体型の改良効果の高い種雄牛を選定している。特に、乳器・肢蹄・尻の角度の改良を基本とし、合わせて高さや鋭角性、骨質も意識している」と、種雄牛選定にもこだわりを持っている。
栃木全共がきっかけに
共進会に参加するようになったのは、栃木全共の翌年となる平成18年から。栃木全共では県内の農業高校2校(那須拓陽高校・鹿沼農業高校)が出品していた。先生・生徒・牛が一体となって共進会に参加しているその姿は大島先生の目に焼きつき、「このすばらしい舞台に自分の高校の牛も出品したい。このすばらしさを生徒に伝えたい」と強い感銘を受けたと熱く語る。
翌年からは県内で開催される様々な共進会(50頭規模~100頭規模)への参加を欠かさず続けており、一昨年群馬県で開催された関東B&Wショウで初めての県外出品を果たし、この度の関東地区共進会での未経産準名誉賞獲得となった。「何よりも、共進会へ参加するようになった頃から生徒がその楽しさを知り、生徒自身の意識が変わり牛に対する情熱もしだいに変わって行った」と、先生は語る。また、そんな先輩の姿勢が着実に後輩へと受け継がれており、今後がますます楽しみだ。
いざ北海道全共へ
最後に10月に北海道で開催される第13回全日本ホルスタイン共進会に向けての抱負を語っていただいた。「乳牛のオリンピックと呼ばれる5年に一度の祭典、全日本ホルスタイン共進会の舞台のすばらしさを是非とも生徒に経験させてあげたい。栃木全共の勢いそのままに、今もなおレベルの高い牛が揃う栃木県の代表として全共に出品するのは本当に狭き門ではありますが、生徒と共に日々努力を続けたい」大島先生の熱い思いと、全共出品への意気込みがひしひしと伝わってきた。◇◇◇全共には全国の予選を勝ち抜いた各牧場自慢の愛牛たちが出品され、国内外を問わず関係者の熱心な眼がそこに向けられる。その全共の舞台への出品が叶うとともに、真岡北陵高校の益々の発展を祈念したい。
日ホ協高橋