2017年09月20日号
4面
審査頭数4,870頭・EX153頭
-平成29年度前期(4~7月)・都府県-
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都府県の牛群審査・体型調査は4月~7月で前期の日程を終えた。ホルスタイン種の牛群審査は4,592頭、牛群奨励・個体審査は278頭、合計4,870頭を実施し、前年同期比で766頭増加した。昨年度は自然災害等で減少したが、27年度前期の実績近くまでV字回復をした。他品種では、ジャージー種62頭(1頭増加)、ブラウンスイス種1頭(同数)も審査を実施した。また、本年度の後代検定材料娘牛とその同期牛の体型調査については、658戸で4,006頭の体型データを収集した。なお、153頭(ホルス151頭・ジャージー2頭)がエクセレント(審査得点90点以上)と評価された。また、日本でも4月からE表記が始まり、2E35頭、3E7頭が誕生した。
審査頭数はV字回復
29年度前期の都府県における牛群審査並びに体型調査が終了した。
ホルスタイン種の牛群審査と奨励・個体審査では、前年同期比で45戸・766頭増加し、4,870頭が実施された。昨年度は、4月に発生した熊本地震と西日本地区の記録的大雨の影響で大幅に審査頭数が減少したが、27年度の同期実績近くまでV字回復をした。一方、ジャージー種では、牛群審査5戸59頭、個体審査3頭、ブラウンスイス種については個体審査1頭であった。
また、後代検定材料娘牛と同期牛の体型調査については、毎年10%以上削減されていた予算が、今年度は前年度と同額の予算が確保でき、各県に計画頭数を割り当て、4,006頭の体型データが収集された。岩手県が審査頭数1位
都府県別の審査頭数では、三連覇を果たした岩手県の603頭が最も多かった。次いで昨年度は地震で前期中止となった熊本県が返り咲き446頭。3位には昨年度より1つ上げた栃木県の390頭、次いで群馬県、千葉県、愛知県が追随し、上位6位までが200頭以上を受検し、都府県全体の48%を占めた。
一方、後代検定事業の体型調査では、例年突出している熊本県が609頭を実施。次いで岩手県の340頭、群馬県、鹿児島県、栃木県と続いた。
牛群審査と体型調査の合計では、熊本県が唯一1千頭超えの1,055頭、次いで岩手県の943頭、栃木県655頭、群馬県620頭、愛知県426、千葉県422頭の実施頭数となった。EX牛は153頭
都府県で審査得点90点以上(エクセレント=EX)に評価された雌牛を表に示した。県別では、岩手県が19頭で最も多く、次いで千葉県・熊本県13頭、福岡県10頭、群馬県9頭、栃木県8頭、長野県が6頭と続き、35都府県でホルスタイン種151頭、ジャージー種2頭がEXと評価された。
種雄牛別では分散化の傾向で、79種の種雄牛からEXが誕生している。トップにはサンチエスとゴールドウインが7頭、オールブラツクス6頭、その他5頭には、アイオーン、アドベントRED、アシユラー、ウインドブルツク、タレント、マセラテイ、ボルトンから誕生している。日本でもE表記始まる
諸外国で既に実施されているが、日本でも今年4月からホルスタイン種で始まった。
これは、EXに評価された牛が、分娩更新等の条件を満たして、再度90点以上に評価されたときには、長い期間にわたって優れた体型を維持している証として、審査得点に「2E」「3E」などEXの回数を表記して、EXの付加価値を高めるとともに、体型審査の推進を図るもの。
前期EX牛151頭のうち、2Eが35頭(同点15頭・減点1頭)、3Eは7頭(同点3頭・減点2頭)誕生した。
長命連産で、長きにわたり素晴らしい体型を維持するのは、まさに改良の極みである。改良成果と管理技術向上
今回の審査では、35都府県の酪農家、97牧場、3農業高校・1県畜産総合センターからEX牛が誕生した。特に岩手県の小岩井農場5頭、群馬県の萩原牧場、福岡県の中嶋牧場、佐賀県の古川牧場がそれぞれ4頭など、複数頭輩出した農場が35戸を数え、永年の絶え間ない改良努力の成果が開花している。
高得点では、岩手県の佐野牧場「ラツキー・ダーハム」が92点から93点(2E)に更新、岡山県の㈱ミルクファクトリーキシモト「ローリン・リツキー」も91点から93点(2E)に更新、愛知県の戸田牧場の「メリージエーン・ジヨーダン」は同点の93点(3E)を獲得している。
また、秋田県・富樫眞悦氏、埼玉県・鈴木篤氏、神奈川県・㈲相沢牧場、石川県・柴野立太氏、高知県・増田泰男氏、福岡県・森光力氏、宮崎県・都城農業高校、沖縄県・比嘉光雄氏の8牧場で初のEXが誕生している。追随するEX牛を待ち望むところである。
審査日程 -都府県 平成29年度後期-
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5面
牛コレステロール代謝異常症 -今年度から検査開始-
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今年の3月3日に開催された乳用牛遺伝的不良形質専門委員会において、新たに牛コレステロール代謝異常症(CD)が「指定遺伝的不良形質」に指定されました。また、3月31日付けで国はCDを「指定遺伝的不良形質」として公表しました。
CDは、2015年7月に開催された牛の遺伝的能力評価に関する国際会議においてドイツの研究グループにより報告されました。その名称のとおりコレステロールの代謝が正常に機能せず、血中コレステロール値が低下し死亡する遺伝性疾患です。遺伝様式は、BLADやCVMと同じく両親が保因牛だった場合、後代は25%の確率で発症します。症状としては、慢性の下痢が見られること、また二次疾患として肺炎や浮腫が見られます。CD発症牛は、生後数ヵ月生存する場合が多く、治療可能な感染症などと区別がつきにくいことから長期の治療を行う場合もあり、生産者への経済的損失が大きいと言われています。現在、CD発症牛の治療による完治は不可能です。ストームに起因
研究者が保因牛の血統を遡り分析したところ、その全てがカナダの種雄牛「モーリン ストーム ET」(1991年生)に辿り着くことを発見しました。高能力・好体型を誇ったストームは多くの娘牛を残しています。また、ストームの息牛である「パーシユート セプテンバー ストーム ET」、「ハートライン タイタニツク ET」等も保因牛であることが判明しています。この他、国内種雄牛の中にも保因牛がいることが判明しており、登録娘牛頭数の多い順にCD保因種雄牛を表に示しました。
表わが国のCDキャリア種雄牛とその登録娘牛頭数 登録番号 名号 娘牛頭数 53999 ジレツトテイ-ウエ-ブ スパ-クリング ET 31,232 53959 ヘンカシ-ン ゴ-ルド ドリ-ム 23,218 54800 レデイスマナ- プレジヤ- ET 12,310 54828 グリ-ンハイツ レガリア ET 10,592 53507 スト-クランド DD シユ- マツハ- 9,080 53995 WHG ゴスポ-ト スリ-ト ET 6,566 54836 ラ プレゼンテ-シヨン バルスト RED ET 5,456 54111 KDC ブリツシユ ラツク ET 4,263 55080 エンデバ- ジユデイ ヴオイス 3,806 54002 フオレストフエアリ- ブリツツ ゴ-ルデン ET 3,450 54030 オムラ スイ-テイ- アシツクス ET 2,993 53747 ハイブリツジ レオ フアンタジスタ ET 2,221 54233 ノリツタ エアロスタ- リ-ドマン ET 1,720 54970 ベイリツチランド エグザイル ET 1,402 55145 NLBC ユグドラシル カ-ライル 1,214 53437 スノ-ライト TKE レジスタンス 858 54977 テイ-ウエ-ブ GIB トツプ スピ-ド RED ET 821 55409 レツドスタ- アレキサンダ- クラリネツト ET 566 53580 OK タイタニツク ア-ミ- ET 535 55103 J リ-ド コスモ フラツト テレサ 201 56202 コムスタ-ライジングウエ-ブ ET 101 56380 レデイスマナ- フオレスタ- 99 56262 メ-プルウ-ド ベサニ- ウイングマン ET 97 56121 ノ-スドリ-ム バ-ビ- マ-チン ET 93 56606 ク-ムブ-ナ スノ-マン ラ-バ- ET 93 56614 NLBC ロ-トン フロイト ET 88 57024 ユ-エム フラワ- バロテツリ ET 85 55340 ウチ ロミオ バ-ム ロンリ- 83 56265 ウチ プロフイツト ブリ-ド マ-クイス 83 56221 シツク MR ブロ-ズ ET 82 56284 ヘンカシ-ン ヒラリオ ホイツトニ- ET 82 57214 HMU ジユリ- プレ マナ- フタゴ 82 56154 ミツドフイ-ルド CCM エルシツク ET 81 56462 WHG ロ-トン ウエルボ-ン OC ET 77 56628 WHG アイザツクス ブラツドリ- ET 77 56707 サンバレ- ヘルシ- ボブ ET 77 56742 NLBC スリツト ペリオン ET 77 56135 ジレツトMT アイオタ ジヤステイス ET 76 56419 NLBC ロ-トン キヤピトル ET 75 56086 カトム サンダ- ピアレス ET 74 56150 カトム フオレスト ピア 74 57018 RCA クツキ- クリ-ム ET 73 57051 ロツクフイ-ルド キングス ケルヒヤ- RED ET 72 56975 NLBC ゴドリ- フロレンテイン 71 56345 ユ-エム フラワ- スパ-クリング ゴ-ルド 70 56423 WHG アイザツクス プラハ ET 70 56274 シ-レ-クヒラリ- スペツク セブン 69 56172 シ-レ-クJ ステフアン ダウンタウン ET 68 56354 オムラ シアラム 68 56477 SEA-LAKE スタンリ- ジヤベリン ET 68 56595 エンブレムK アリロツク ET 68 56662 コイブチベンジヤミン ET 68 56922 エンブレムK アンドリユ- ET 68 57358 NLBC デイプロマ シヤマシユ 68 56132 ベイリツチランド Bウイン ウインド ジエネシス ET 67 56526 RCA ラルマ クライアント ET 67 56773 オムラ アサイン 67 56072 エンドリツチ ブラツク CP ロジヤ- 66 56402 プログレス アイランド カウズ アステリア ET 66 56777 MD ミスタ- マツカチエン 66 57174 テイ-ユ-SR ブロンクス ET 66 56463 WHG ウインブル バ-ビング ET 65 56624 NLBC ウインブル エドモントン 65 56057 クレスタ マウイ ミロツチ 64 56818 カ-レル ブラウラ- D ペルソナ 64 57048 RCA ラルマ ク-ル 64 57398 NLBC オブザ-ブ グリエル ET 64 56098 ハツピ-グロ-リ- フイルド ジヤニオリ 63 56912 ホクレン イシリ- バハマ チヨツパ- ET 63 56934 TLM ミラクル イグアス 62 56455 TLM ミラクル スリ-ト ギムレツト 61 56871 シヤインヒル モ-ニング トラ ET 61 57145 MR サンビユ- サツシ- 1295 ET 61 57211 NLBC ナイトリ- インペル 61 56869 シルビユ- SW バハマス ET 60 56516 エルムレ-ン スパイラル サフアリ 59 56105 サリツクスウイツク ET 58 57104 クレセントム-ン ブラデイス エンデバ- ET 58 56092 テイ-ユ-WB スペシヤルテイ ET 57 57273 クロケツトエ-カ-ス RE マジツク 57 57345 NLBC ジヤイプ-ル エルウイン ET 57 56905 シヤインヒル バハマス ジエラ-ト ET 56 57365 MD ロ-ドスタ- マイク 56 57391 NLBC ジヤイプ-ル アスク 56 56405 テイ-ウエ-ブ ライン アツプ ET 55 57241 プラスフジ キヤツシユバツク ET 55 57361 リバ-サイド ミスタ- ガンズ 55 56277 MS ビキニ アツプダンサ- 54 56752 NLBC スパ-クリ- オニチヤ ET 54 56944 NLBC スパ-クリ- ラフイツト ET 54 56453 HMU ジユリ- アド-シヤ 53 56830 ウチ プロフイツト アメリオ マ-クイス 53 56437 TLM トツプ ジヨイ 52 57260 HMU ジユリ- スプロ ET 50 57578 NLBC ブツドレア ハ-モニクス ET 48 56498 オムラ アキユ-ト ET 44 57278 スパ-クエツヂ ムラサメ RED ET 44 56542 サニ-ウエイ マグナム ブレイク ET 43 56403 テイ-ウエ-ブ ス-パ-ソニツク 38 57487 HMU ジユリ- ストラテジ- 6 57364 ウチ プロフイツト メロデイ- ラテ RED 3 総計 127,779 カナダでは減少傾向
カナダのホルスタイン集団での保因頻度は2012年生まれの17%をピークに減少しており2016年生まれでは12%を下回っています。また、日本国内においても2013年をピークに保因頻度は減少しています。
今年度から検査開始
日本ホル協では、4月よりCDの遺伝子型検査の受付を開始し、検査結果を血統登録証明書や家畜改良データバンクに表示しています(図1、2)。表示は、他の遺伝病と同じように3桁表示で、CDF(正常)、CDC(保因)となります。ただし、CDS(発症)と表示される場合もありますのでご注意ください。また、雄牛については血統登録申込にCD検査を義務づけることとしました。この他、家畜人工授精事業体協議会(JAAB)では4月より、一般供用中の種雄牛の中から保因牛の精液販売を中止する、保因牛は後代検定候補種雄牛から除外するといった対策を行っています。そのため、今後、CD発症牛が生まれる可能性は極めて低くなります。
また、あなたのボンベに古い種雄牛のストローがあれば、CD保因を当協会Web等を確認して交配することをお勧めします。図1 CDの保因情報を記載した血統登録証明書
図2 CDの保因情報を記載した家畜改良データバンク
生涯乳量 -都府県 29年8月-
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29年8月に都府県で検定成績証明されたものの中から、下表には生涯乳量5万㌔以上の高記録牛31頭を示した。今回は上位6頭が総乳量(M)10万㌔を突破した。
1位 太田 博士さん(長野県)
生涯乳量トップは、太田博士さん所有「ジヨーネン アパツチ カーネーシヨン」(平10.2.25生)の検定回数12回で検定日数5,368日、M16万634㌔、総乳脂量(F)5,710㌔、平均乳脂率(F%)3.6%、総乳蛋白質量(P)4,885㌔であった。今回の記録は、12産目の記録を更新したことによるもので、これによりM16万㌔を突破し都府県歴代4位、全国歴代16位となる素晴らしい記録となった。
2位 長恒 充さん(岡山県)
2位は、長恒充さん所有「ダウンヒル ブリツツ プリテイー」(平18.7.30生)の検定回数6回で検定日数2,906日、M12万6490㌔、F3,832㌔、F%3.0%、P3,484㌔であった。今回の記録は、6産目の検定成績証明を申請したことによるもので、同県内歴代1位となる素晴らしい記録となった。この記録により、同県内でM12万㌔突破牛は3頭目となった。
3位 池松 厚博さん(福岡県)
3位は、池松厚博さん所有「ビツグフイールド リートン ドリームフユーチヤー」(平13.2.10生)の検定回数11回で検定日数4,514日、M11万4933㌔、F5,605㌔、F%4.9%、P4173㌔であった。今回の記録は、全産次の検定成績証明を一括申請したことによるもので同県内歴代4位となった。
この他、21位・岩泉篤さん(岩手県)、30位・折元金喜千さん(岩手県)所有牛は、審査得点EX(90点以上)を獲得しており、体型においても優れた成績を残している。
NTPトップはジョージア 新規13頭登場
-2017-8月 国内種雄牛評価-
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(独)家畜改良センターは8月22日、乳用種雄牛評価成績2017-8月を公表した。表には精液供給可能な国内種雄牛71頭のうち、総合指数(NTP)トップ40の種雄牛を示している。
今回トップ40には、新規選抜牛が13頭登場、特にベスト10には5頭入り、多くの新規牛が上位に選抜された。1位「ジヨージア」 JP4H55951
今回トップを飾ったのは「ジヨージア」で、前々回初登場3位、前回の1位に続きトップを保持した。父牛「ビーコン」と母方祖父「アーニット」の交配で誕生。泌乳形質の改良に優れており、乳蛋白質量1位、無脂固形分量6位、乳脂量7位、乳量9位のほか、体型でも肢蹄が3位に入っている。
2位「SW ナイアグラ」 JP3H55926
2位は、「SW ナイアグラ」で、前々回初登場1位、前回2位を保持した。「ナイアグラ」と「プラネット」との交配で誕生。乳代効果と乳量、無脂固形分量、乳蛋白質量が1位、乳脂量2位、長命連産効果8位と産乳能力の改良に期待が持てる。
3位「サンダーバード」 JP3H56191
3位は「サンダーバード」で、初登場で3位。「スーダン」と「アレキサンダー」の交配から誕生。乳脂量6位、乳蛋白質量8位のほか、体型形質の改良に優れており、体貌と骨格4位、肢蹄7位、決定得点8位に入っている。
6面
正しい血統登録を行うために -平成29年度地区別登録委員研修会-
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日本ホル協(前田勉会長)では、都府県を6地区に分け、登録委員を対象にして毎年夏期に研修会を行っています。この研修会では、昨年に引き続き登録の原点である「正しい血統登録を行うために」と題し、なぜ登録が必要なのか、登録することのメリット、そして血統を間違えないための注意すべき点を、基本に立ち返り実例とともに解説しました。
登録は改良の基本
酪農経営の安定を図るためには「生産性の向上による生産コストの低減」が求められます。これには乳用牛の飼養管理の改善と同時に、牛群の遺伝的な能力水準と斉一性を高めていくことが重要です。
また、牛群改良を効率的に進めるには、血統情報、牛群検定、体型審査といった情報を統合し活用することが大切です。登録のメリット
ここで、登録することによってどのようなメリットがあるのかを挙げます。
1.登録証明書によって父母、祖父母など血統が明確になるとともに、登録協会の登録簿に記載され、永久的に保管される。
2.遺伝的に優れた血統をより確実に残すことができる。
3.血統濃度(47~100%)によって血統の純粋性の度合いが明示される。
4.強度の近親交配を回避できる。
5.BLADやCVMなど遺伝的不良形質の発現を未然に防ぐことができる。
6.能力、体型等の付加情報によって個体販売が有利になる、などが挙げられます。
登録は酪農経営にとって即効性のある改善向上手段ではありません。しかしながら、産乳能力の優れた血統を選別し、その系統を牛乳生産の主力として、将来の酪農経営の発展に繋げてゆく、そういった長期視点の根本となるのが登録といえます。したがって本牛の登録を行うだけではなく、後代の交配計画にも有効に活用することが大切なのです。正しい血統登録のために
血統登録を行っても、記録が正確でなければ改良の効果は上がりません。いかに優れた交配や選抜淘汰を行ったつもりでも、その恩恵を得ることはできません。
当協会では、登録情報に矛盾がないか、登録申請時に抜き取り検査による親子判定を行ったり、SNP検査の際に検査牛の血縁関係についても調査しています。血縁矛盾が起こらないようにすることを理想として、できる限りゼロに近づける努力を日々行っています。血縁矛盾が起こる事例
過去の事例から、いつ、どのようなタイミングで血縁矛盾が起こるのかが分かってきました。登録関係者の方々には、血縁矛盾につながりやすい具体的な事例を挙げるので、登録申込みの際には、その内容が正しいものなのかを今一度確認していただくよう、ご協力をお願いします。
血縁矛盾が起こらないようにするには、繁殖台帳への記録を正しく行うことが大切です。
図1は、同じ時期に複数頭の人工授精を行った際に、それぞれの雌牛に授精した種雄牛を入れ違ってしまった例です。図1
図2は、授精した種雄牛を愛称で記録していたら、同じような名号の種雄牛がいたために間違った種雄牛を報告してしまった例です。種雄牛は、愛称の他に登録番号や略号も合わせて記録する習慣をつけるようにお願いします。
図2
図3は、個体識別番号の拡大4桁のみで記録をしていたところ、飼養牛の中に同じ拡大4桁が2頭いたために、記録が入れ違ってしまった例です。耳標は農家ごとに連番で配布されていますが、導入牛などは拡大4桁が重複することがあります。記録の際には個体識別番号10桁で記録をするようにお願いします。
図3
図4は、同じ時期に分娩が重なったため、母・子を相互に入れ違えて出生報告してしまったという例です。
図4
図5は、耳標を装着しないまま授精を行ったため、どの牛に対する授精記録なのかが分らなくなってしまった例です。生まれた子牛には速やかに耳標を装着し、出生届は、個体識別番号など正しい情報を確認した上で行いましょう。また飼養中に耳標が脱落したときは、新たな番号の耳標は装着せず、耳標の再交付手続きを行うよう徹底していただきたい。
図5
図6は、夜間など人が立ち会っていない間に複数の牛が分娩したため、親子関係が分からなくなってしまった例です。このような場合は、遺伝子型による親子判定を行うことが必要になります。分娩には必ず立ち会い、早産や生時体重が軽いなど、特別な分娩状況があった場合はメモをする習慣をつけるように注意をしてください。
図6
「乳用牛DNAによる長命連産性向上事業」
-歩様形質データを収集し長命連産性の調査研究-
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日本ホル協では、今年度から公益財団法人全国競馬・畜産振興会(JRL)の3年間の助成事業「乳用牛DNA情報による長命連産性向上事業」を実施することになりました。
事業の目的
近年の酪農家戸数や乳用牛飼養頭数の減少に加え、地震や台風等自然災害の影響により生乳生産量の回復が遅れています。さらには自由貿易交渉の行方や指定団体制度改革など不安要素が多く、わが国の酪農生産基盤の弱体化が危惧されています。これまでにも関係機関の指導の下、酪農家は飼養管理や繁殖技術の改善に努力を傾注してきました。しかしながら、乳用牛の生産寿命の低迷や繁殖性の低下傾向は未だに継続し、さらなる改善の努力が必要と考えられます。
また、繁殖性の改善によって後継牛不足を補い、生乳生産量を回復させるためには、乳用牛における長命連産性向上及び生涯乳量の増加が急務となっています。その対策として、体型の改良においては、育成期から初妊期間にかけて発育性に優れ、分娩後はあまり大型化せずに飼養管理しやすい中程度の体のサイズに選抜・改良するための手法を開発し、最新の育種技術であるDNA(SNP)情報も積極的に活用します。
さらに、肢蹄は体型部位の中で乳器に次いで重要とされ、特に肢蹄の中でも歩様(跛行)と繁殖性及び長命連産性との関連性を指摘した研究報告があり、世界ホルスタインフリージアン連盟(世界42か国のホルスタイン登録団体が加盟)でも、各国に対して歩様のデータ収集と遺伝的評価を実施することを奨励しています。しかしながら、歩様の審査(データ収集)は、放し飼い牛舎(フリーストール・フリーバーン農家)に限定されるため、歩様を含む審査データは全体の約2割程度となっています。
本事業では歩様を含む体型審査データの拡充に加え、DNA情報を活用して、繋ぎ飼い牛舎の雌牛でも間接的に歩様の遺伝評価ができる手法を開発し、併せて肢蹄を活用した長命連産性の向上に必要な改良手法の技術開発を調査研究します。標準発育値の開発
当協会審査委員等が3年間で毎年250頭の未経産牛を2~4回で体型測尺調査しデータ収集します。測定形質は体高、尻長、腰角幅、坐骨幅、胸囲等です。そして、国及び都道府県の畜産試験機関の協力を得て乳用雌牛の体型測尺データを収集し、最終年度(平成31年度)には「未経産牛標準発育値」を開発します。
体のサイズ指数の開発
未経産牛の「標準発育値」を踏まえ、体型審査データ及び最新技術であるDNA情報も活用し、体のサイズと長命連産性との関係を研究します。その結果に基づいて発育性が良く、中程度の体格を改良目標とした「体のサイズ指数」を開発します。
肢蹄指数の開発
フリーストールやフリーバーンの放し飼い牛舎で初産牛の歩様を含む体型審査データの収集を3年間で約2万1千頭行います。また、その中から、SNP検査(低密度チップ)をランダムに約2,700頭実施します。そして、これらのデータ収集状況を踏まえながら、歩様等の肢蹄形質と長命連産性との遺伝的関係を研究することで、歩様ゲノミック育種価を推定する手法等を研究開発します。
また、最終年度には、生産寿命及び長命連産性の改良を推進するための、「肢蹄指数」を新たに開発し、酪農現場で活用できるものを目指します。
新人紹介 -総務課長兼経理課長 北島 聖二-
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新たなステージ
この度、9月1日付けで当協会職員として正式採用され、総務部総務課長及び経理課長に拝命されました北島聖二(きたじませいじ)と申します。出身は、明治34年に官営製鉄所として操業開始した八幡製鉄所で有名な鉄鋼業の街、福岡県北九州市です。東京での生活は、かれこれ19年経過いたしました。
私は、平成7年4月に国家公務員として九州大学に採用となり、同大学医学部附属病院にて工事契約を始めとする経理業務を担当しました。平成10年4月に人事異動により上京し、文部科学省本省・専門学校運営を母体とする事業会社・私立大学・公益社団法人にて勤務し、総務・経理業務に携わってまいりました。
以前の職場では、総務・経理職の一プレイヤーとして経験を積んだ後、管理職としてマネジメント業務など様々な経験をしてまいりました。総務・経理業務は企業のバックボーンであり、サポート的な業務になりますが、営業・広報系などの事業部門の業務活動を支えていく大変重要なポジションでもあります。これから、新たなステージとなる当協会にて、核となる当協会職員の登録・審査等の業務活動を支えていけるよう、これまで以上に日々、業務に邁進していく所存です。支部承認団体の方々・当協会職員・関係業者等とコミュニケーションを図り、当協会の更なる円滑な組織運営にも誠心誠意努力していきたいと考えています。
当協会の血統登録事業は、乳用牛の遺伝的改良には必要不可欠な事業であり、これからの酪農経営の安定化にとって、その重要性は増すものと考えられます。今年度から長命連産に係る研究事業として、JRL助成事業もスタートいたします。当協会の業務活動は、ますます各方面から高く注目されるものと考えられます。これら当協会の業務活動に、総務・経理の立場として尽力していく所存です。
今後とも何卒宜しくお願い致します。
社員補欠選挙のお知らせ
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今般、社員の辞任に伴い、社員補欠選挙を10月20日(金)に実施いたします。なお、この選挙実施に伴う詳細につきましては、来る9月29日(金)に、当協会のホームページで公示するとともに、当該選挙区の選挙管理事務所において掲示します。
今後の行事
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◇第15全共実行委員会設立総会
10月12日(木)宮崎観光ホテル
◇中間監査会
10月20日(金)日ホ会議室
◇第288回理事会
11月22日(水)日ホ会議室
◇29年度社員会議並びに支部・承認団体登録事務担当者会議
[東日本地区]
2月1日(木)事務担当者会議、2月2日(金)社員会議、東京都中野区、中野サンプラザホテル
[西日本地区]
1月25日(木)事務担当者会議、26日(金)社員会議、福岡市、福岡朝日ビル
◇第289回理事会
3月23日(金)日ホ会議室
人事異動
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(9月1日付)
◇渥美 正 総務部長兼調査部長[調査課長兼企画課長]
《総務部総務課長兼経理課長を解く》
◇北島聖二 総務部総務課長兼経理課長
7面
都府県の近交係数の現状
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都府県におけるホルスタイン種雌牛の近交係数(図1)は、1990年代には年あたりの平均近交係数の上昇量は0.26%と急激な上昇が見られました。そこで当協会では「おじ・めい交配」に代表される近縁間の強度の近親交配を避けるように「おじ・めい交配」の近交係数である6.25%を避けるべき危険域と定め注意・喚起を行ってきました。その結果、2000年代に入ると強度の近親交配は減少し、平均近交係数の上昇は鈍化傾向を示してきました。
一方、近年のアメリカやカナダの平均近交係数の上昇は日本の1990年代を彷彿とされる急激な上昇を示しています。世代間隔の短いヤングサイアーの利用により、次世代の更新が早くなっていることが急上昇の原因と分析されており、日本においてもヤングサイアーの利用増大に伴い、将来は北米と同様の上昇を示す可能性があり引き続き注意が必要です。2016年生まれは6.49%
途中経過の数字ではありますが、2016年生まれの都府県平均近交係数は、6.25%を大きく上回る6.49%と衝撃的な値になっています。近縁同士の強い近親交配を避け、実際に「おじ・めい交配」などは減少しているのにも関わらず、近交係数は上昇し続けています。その原因として近年は遺伝的能力の高い種雄牛の殆どが、同じ共通祖先を持っていることが挙げられます。血統登録証明書で確認出来るような近い世代に共通祖先が見つからなくても遠い世代では多くの共通祖先があり、小さい影響ながらも大量に蓄積されています。その結果、近交係数の上昇が続いています。これは遺伝的改良を進めていく上で避けられない課題です。
近交係数の急激な上昇を避け、ゆっくりと上昇させる
近交係数の急激な上昇は体型の矮小、繁殖能力の低下などの近交退化の問題、近年発見された牛コレステロール代謝異常症などの悪性劣性遺伝子のホモ化による遺伝病症状の増加など様々な弊害をもたらします。
しかし、闇雲に近交係数を下げれば良いと言うわけではありません。乳牛改良は泌乳形質や機能的な体型など、乳生産に有用な遺伝子を残して次世代に繋げていくことで達成されます。そのような有用な遺伝子を持つ、特定の優秀な血縁を利用して改良を続けていけば、近交係数の上昇は避けられないことです。問題なのは、近交係数の上昇ではなく、その速度です。先に述べた弊害も「急激な上昇」を前置きとしたものであり、近交係数が急激に上昇すると、近交退化や遺伝病の原因である遺伝子がホモ化して遺伝病などが発症しやすくなります。それを避けるためには、近交係数をゆっくり上昇させながら、悪性の遺伝子を排除することを心がける必要があります。改良速度を低下させないことが重要
従来から当協会では近交係数上昇を避けるために近交回避を勧めていましたが、遺伝的能力を高めるために近交係数が上昇することもやむを得ないと改めました。近交係数にとらわれるばかりに近交係数を下げるために能力の低い種雄牛を利用すると逆に改良速度を低下させてしまう可能性があります。これまでと反対のような説明ですが、具体例を上げて説明します。乳量に注目しますと近交係数が1%上昇すると近交退化の影響で305日の乳量あたり28.5㌔低下します(表)。
例えば、乳量の育種価が+500㌔の母牛に育種価+2,000㌔の種雄牛Aを交配した場合、その子牛の近交係数が6.25%となると仮定します。一方、同じ母牛に子牛の近交係数が3.13%と低くなる育種価+1,000㌔の種雄牛Bを交配した場合とを比較します。種雄牛Aは能力が高いが近交係数も高い、種雄牛Bは能力は劣るが近交回避に繋がります。子牛の期待される遺伝的能力は、次の式から計算できます。
結果は図2のとおり、種雄牛Bを交配した場合、確かに近交係数を低くできますが、改良量は+161㌔と種雄牛Aを交配した場合の改良量+572㌔と比べてかなり低くなってしまいます。あまりにも近交係数ばかりに気を取られると改良に必要な種雄牛を見逃すことになりますので注意が必要です。まとめ
おじ・めい交配などの強い近親交配はこれまでと同様に避けるべきですが、もしも、交配によって生まれてくる子牛の近交係数が6%以上になるとしても、近交による退化量を上回るだけの遺伝的能力が期待できる種雄牛を交配することが重要です。
当協会では「インターネットでの近交係数検索」や審査受検時に配布する「近交回避リスト」、そしてパソコンにインストールして利用できる「乳用牛群改良交配システム」等のサービスに加え、現在スマートフォンでの利用に特化した検索システムの開発を進めています。
まずは血統登録を行い、血統情報を酪農経営に役立てて頂きたい。
タイトル
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8月22日に国内雌牛2017-8月遺伝評価値が公表され、今回は上位15位以内に新規が2頭入った。
1位「エレガンス」
前回の公表13位から一気にトップに上り詰めた「スタンリー エレガンス」(静岡県・石川和博牧場)が都府県から初の1位に躍り出た。父「スタンリーカツプ」母方祖父「ゴールドウイン」の交配で、祖母は生涯検定(乳脂量)歴代2位の成績を保持する、エレガンス一族である。また、この姉牛「デニセスゴールド」は検定成績優秀牛(乳量)表彰10月検定5年型で表彰を受けており、優秀なファミリーである。成績は、NTP+3,773、乳量+1,670。
2位「ミツチー」
今回の2位は、「ミツチー ボルトン」(北海道・平野洋巳牧場)で、僅差で2位となった。乳量では「スタンリー エレガンス」を上回っている。父「ボルトン」母方祖父「ゴールドウイン」の交配で、アメリカからの受精卵導入による。また、この一族には、3位に入った、「ミツチー ドーブ」(妹牛)や、11位に入った「ミツチー チヤンプ」(娘牛)もおり、優秀なファミリーである。
審査得点93点獲得 4代EX誕生
-岩手県・佐野茂樹さん-
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平成29年6月の岩手県前期牛群審査において、遠野市上郷町の佐野茂樹牧場の「プロスペリー アドベント ラツキー ダーハム」(№1263417765、平22.7.22生、4産、父:KHW カイト アドベント RED ET)が高得点の(自家産)93点に評価された。
本牛は前回の平成26年11月(5歳3月、3産)の体審で92点を獲得し、今回県内で7頭目の93点に格付けされるとともに、佐野牧場3頭目の93点の誕生となった。
各部の配点は、体貌と骨格92点、肢蹄91点、乳用強健性94点、乳器93点(7月21日確認審査実施)。
本牛は体高162㎝と大柄な牛であるが、前躯は充実し、また尻長と腰角幅は、審査標準における体高比0.410-0.415に合致し、長さと幅があり後躯の充実した骨格構造を持ち、乳用強健性に優れ、乳房は、前乳房の付着が極めて強く、後乳房の高さと幅もあり、乳頭配置も良好で、産次における乳房底面も高く、搾乳後の乳房バランスにも満足のいく容積形状に優れたものであった。
また、本牛は能力も非凡なものを見せ、3乳期1,025日の乳量はM4万1,370㎏、乳脂量1,629㎏、乳蛋白量1,532㎏で今期も順調に泌乳を継続しており、能力と体型のコンビネーション並びに長命連産性に優れた牛である。
なお、本牛は平成27年に開催された、第14回全日本ホルスタイン共進会北海道大会にも出場し、1等賞に入賞を果たしている。ちなみに3代の各生涯検定成績は次のとおり。
初代 ドリームランチ ラツキー アンナ 92点
7乳期合計(2,093日)M6万6,909㎏、F2,817㎏、P2,113㎏
2代 ドリームランチ ラツキー スター 93点
8乳期合計(2,578日)M9万8,819㎏、F4,195㎏、P3,360㎏
3代 プロスペリー エルトン ラツキー ダスト 93点
4乳期合計(1,309日)M5万2,156㎏、F2,128㎏、P1,779㎏「プロスペリー アドベント ラツキー ダーハム」(父:アドベント)平22.7.22生
岩手県 佐野 茂樹さん所有
写真はデーリィマン社提供(平27.9月撮影)
検定成績優秀牛 -都府県、平成29年8月証明分F偏差値-
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