平成14年7月20日
平成14年7月20日 「日本ホル協第52回通常総会開く 」 | |
厳しい現況下、登録は堅調~役員改選、高島会長は再選~ | |
(社)日本ホルスタイン登録協会(高島照治会長)は6月20日、東京都千代田区の全国都市会館において、第52回通常総会を開催し、平成13年度事業報告・同収支決算報告、平成14年度事業計画・同収支予算計画の各議案を審議し、すべて原案どおり可決承認された。また、任期満了に伴う役員改選が行われ、理事19名、監事3名が選出され、総会後の理事会において、正副会長は再選、専務理事には川村良平氏に代わって稲継新太郎氏が就任した。 | |
新登録制度移行に全力 | |
冒頭、高島会長から、前年はBSEの発生と食肉の偽装事件の多発、これに伴う牛肉価格の低迷や肉用経産牛の出荷停滞など酪農・畜産業界にとって大変厳しい年であった。その中で本会登録事業は、関係各位の日頃からの特段の理解と協力のお陰で、何とか現状維持あるいは若干の増加を見ることができた。また、国のBSE緊急対策として全牛への耳標装着による個体識別事業が実施されたが、本会としても個体識別番号を活用した新しい登録制度への改正を行い、乳牛改良がより円滑に進よう努力邁進する所存であるので、今後とも皆様方の協力をお願いする旨の挨拶が行われた。 続いて、農林水産省の須賀田菊仁生産局長(下平首席畜産専門官代読)、家畜改良事業団の浅野九郎治理事長、全国酪農協会の神原則夫会長(今関輝章常務理事代読)からそれぞれ来賓挨拶があった。 | |
血統、審査頭数は若干増加 | |
第1号議案の平成13年度事業報告のうち重点事項として、家畜個体識別システム研究開発事業(モデル事業)は平成9年度にスタートし、北海道、秋田、愛知、愛媛、熊本、沖縄の1道5県に地方協議会が設置され、最終の13年度末までに約33万頭への耳標装着が行われた。日本ホル協は中央協議会事務局として、事業の円滑な推進を図り、その成果や今後の課題などのとりまとめを行った。 本事業で個体識別された雌牛の登録については血統・基礎登録合わせて4万3630頭の実績を上げることができた。 乳用牛生涯生産性向上技術研究開発事業は事業の締め括りとして、体型データの収集を行うとともに、専門部会を開催して、これら体型各形質の遺伝的関係や多形質アニマルモデルの研究を行った。また、昨今の牛乳需給動向を踏まえて総合指数の見直しを行った。 なお、これまで5年間の事業の成果は、(独)家畜改良センターが行う乳用牛の遺伝評価に用いられ、わが国ホルスタイン牛の遺伝的改良に大きく寄与している。また、体型データ収集の対象農家は年間延べ4千戸に及び、無償で登録証明するとともに、現場での情報提供や活用法の説明などを通じて、牛群検定や後代検定事業の側面的推進に貢献してきた。 このほか、インターネットによる情報の提供や14年度の登録規程等の改正に向けて準備を行った。 次に、登録関係業務では、会員数は2万1165名で前年同期に比べて1・1%減少したものの、血統登録申込件数は16万件余で2・2%増、審査成績証明(牛群・個体審査分)も2万1926頭で6・2%増加した。 しかし、検定成績証明は7万8781頭で0・8%減、移動証明では2万4103件で32・6%減少した。これは個体識別事業モデル地区間の移動証明が省略されたことに原因している。 このほかの一般業務では、家畜改良事業団の委託を受け、13年後検の候補種雄牛生産用雌牛選定資料の作成と08及び09後検材料娘牛・同期牛の体型調査とデータ集計分析、登録牛の血液型調査などを行った。また、機関紙「全酪新報日ホ特集号」の発行、ホルスタイン手帳、定款・登録関係規程集の印刷・配布、中央審査研究会(家畜改良センター新冠牧場、36名)、登録委員研修会(6地区、274名)、地区別連絡協議会(7地区、155名)の開催、世界ホルスタインフリージアン連盟評議員会への出席、各種表彰、ジャージー種牛の登録などを行った。 第2号議案の平成13年度収支決算報告および第3号議案の平成14年度事業計画案(○ページに概要を掲載)、第4号議案の平成14年度収支予算案についても原案どおり承認された。 | |
専務理事に稲継新太郎氏 | |
第5号議案の任期満了に伴う役員改選では、各地区から推薦された理事19名、監事3名について、満場一致で可決承認され、総会後に開かれた第221回理事会において、高島照治会長、北良治、山崎博文副会長が再選された。 また、川村良平専務理事が退任し、稲継新太郎氏が新たに専務理事に就任した。なお、監事のうち2名は宮城県、千葉県選出とし、後日公示される予定。 | |
平成14年7月20日 「庭先での登録推進に尽力 」 ~都府県登録委員104名を表彰~ | |
日本ホル協では、平成13年度に血統・基礎登録などの推進に貢献のあった28県103名の登録委員の方々に対して感謝状と記念品を贈呈した。 登録委員は、日本ホル協が委嘱し、酪農家の庭先などで登録のための斑紋取りや申込書作成などの事務をお願いしている方々で、都府県には現在、約3150名の登録委員が活動している。 ◇ 13年度表彰登録委員の方々(敬称略) (青森県)月館健一、平山武美、久保勇吉、森川三善、成田理 (宮城県)長田康、佐々木好博、今野忠雄、荒川大、落安勝 (山形県)樋口二郎 (福島県)古川福久、羽入孝也、岩淵真祐、佐藤東 (茨城県)永井悦子、大久保雄一、香取知男、小笠原資子、鹿内光 (栃木県)百目鬼学、小森谷享、後藤時夫、岡信也、荒川敬也 (群馬県)笠原民夫、岡田浩一、関口博忠、岩崎謙介、黒岩大志 (千葉県)黒川孝、石井正夫、栗沢春雄、船津義和、水野好幸 (富山県)中島麻希子、川瀬辰貞、平野浩、寺崎康俊、宮田実 (福井県)松浦正実 (山梨県)韮沢靖 (長野県)赤羽秋平、市岡英昭、山下秋広、坂田俊之、矢沢琢磨 (岐阜県)小林孝弘、大下貴士、深谷圭祐、太田保雄、吉田真 (静岡県)明石和博、向山洋、田地川順二、勝又裕之、桜井大輔 (愛知県)加藤雅宣、下村敏広、片山浩幸、菅谷克吉、宇佐美進 (兵庫県)碇佳宏、山本忠己、藤野幸一、清水学、長谷敏和 (奈良県)真野真樹子 (鳥取県)高松忠夫、藤井隆介 (島根県)古志野富男、和田賀成 (岡山県)畑哲次、藤井芳博、奥山康恵、秋田直子 (広島県)富井政樹、桜木茂夫、蔵崎哲治、住田達也、隅屋寒三 (愛媛県)村上清人、有友文昭 (福岡県)楢﨑道生、山下好、重冨龍明、梶原隆幹、山下登 (佐賀県)梶山要、山城正和、菅原弘喜 (長崎県)野田武雄 (熊本県)右田幸孝、平嶋秀範、水上和孝、渡邊静、中村泰博 (宮崎県)黒木秀一、宮本聡 (鹿児島県)内山裕二、中目忠雄、溝口剛、有村洋平、牧瀬勝利 =以上104名 | |
平成14年7月20日 「8団体に感謝状 」 ~地域の登録振興に貢献~ | |
日本ホル協では毎年度、登録の普及推進に協力をいただいた市町村や関係団体に対して、「市町村関係団体に対する登録振興の感謝状贈呈要領」に基づいて、感謝状を贈っている。平成13年度に各県の本会支部・承認団体から推薦のあった中から、次の8団体が選ばれた。 ◎秋田県・秋田しんせい農業協同組合 ◎福島県・しゃくなげ酪農業協同組合 ◎茨城県・ひので酪農業協同組合 ◎群馬県・あがつま農業協同組合 ◎長野県・南信酪農業協同組合 ◎愛知県・みどり牛乳農業協同組合 ◎兵庫県・洲本市酪農農業協同組合 ◎岡山県・ホクラク農業協同組合 ◎熊本県・西合志町酪農業協同組合 | |
審査頭数は熊本県酪連~13年度日ホ協支部・承認団体の表彰~ | |
各都府県の本会支部・承認団体のうち、13年度に会員、血統登録、審査の拡大に顕著な実績のあった団体を表彰した。 1.会員普及率 (優秀賞)山形県支部(優良賞)兵庫県酪連、熊本県酪連(努力賞)岩手県支部、福島県酪農協、茨城県酪連、福井県畜産協会、山梨県改良協会、愛知県酪農協、三重県酪連、おかやま酪農協、宮崎県経済連、鹿児島県酪連 2.血統登録 (殊勲賞)神奈川県酪連(敢闘賞)秋田県支部、熊本県酪連(努力賞)宮城県ホル協、山形県支部、茨城県酪連、新潟県酪連、鳥取県ホル協、福岡県酪連、鹿児島県酪連 3.審査増減率 (優秀賞)岩手県支部 (優良賞)茨城県酪連、福岡県酪連(努力賞)秋田県支部、山梨県改良協、静岡県ホル協、愛知県酪農協、鳥取県ホル協、山口県畜振協、愛媛県酪連 4.審査頭数 (優秀賞)熊本県酪連(優良賞)岩手県支部、栃木県酪連(努力賞)茨城県酪連、群馬県ホル協、全農長野県本部、愛知県酪農協、兵庫県酪連、福岡県酪連、鹿児島県酪連 | |
平成14年7月20日 就任後挨拶 「物事の原点忘れるべからず」 ~中国で得た教訓、肝に銘じて~~ | |
(社)日本ホルスタイン登録協会の第52回通常総会において、川村良平専務理事の辞任に伴う補欠選任により、専務理事に選任されました。 総会が第52回を迎えたということは、当協会がホルスタインの登録に戦後からいち早く従事してきたことを意味し、改めて歴史の重みを感じております。 1993年から3年間、中国の天津で政府派遣職員として酪農技術の指導、主に泌乳能力検定の実施、データの回収・フィードバック等について実施しておりましたが、その後の現地からの報告によりますと現在、5千頭程度の検定を実施するレベルに到達しており、中国でもトップレベルの技術水準に位置付けられているということです。 しかし、中国には日本のような全国的に確立された登録システムがなく、生産された乳牛場が独自に登録台帳に記載している状況です。したがって、後代検定を実施する場合には、正確な血縁関係に基づいているのかという点で根本的な問題となります。中国の酪農に携わる技術者に、日本の牛群検定の仕組み、登録制度について説明しますと、大変うらやましがられます。私自身も改良と登録について何の疑念もなくごく当たり前のことと思っておりましたので、日本における充足された、飽食状況にどっぷりと浸かりきっている自分に気がつくとともに大変貴重な経験をすることが出来ました。 昨年は、英国に端を発したBSEの日本での発生、その後の食肉偽装表示問題等が発生するなど食の安全の確保に対する国民の信頼を揺るがすような重大な出来事が相次ぎ、安全・安心で良質な農産物や食品に対する消費者ニーズはかつてないほどの高まりを見せておりますが、私なりに得た教訓は、物事の原点を忘れるべからずということです。 乳牛改良の原点は登録にあることを再認識して、登録事業の着実な推進に携わる所存でおりますので、何卒よろしくご指導ご支援を賜りますようお願い申し上げまして、着任のご挨拶とさせていただきます。 | |