平成14年10月20日
平成14年10月20日 「動き始めた新しい登録制度 」 耳標番号の活用、料金値下げも ~「正確で、安く、簡便に」主眼にPR~ | |
わが国のホルスタイン登録制度の「歴史的な大改正」は、登録システム開発等の関係で予定よりも約3か月遅れてのスタートとなった。この間、新しい血統登録証明書の発行ができずに、酪農家ならびに関係者の皆様方には、大変ご迷惑をおかけしたことを、心からお詫び申し上げる。「正確で、安く、簡便に」を主眼に、今後一層の普及拡大を図っていきたい。 | |
血統・種系の一本化 | |
今回の歴史的な大改正のおもなポイントは、①血統登録と種系登録の一本化、②血統濃度の表示、③斑紋に代えて10ケタの耳標番号を採用、④申込料金の値下げ、⑤月齢料金区分を6月齢→10月齢に延長、等。 この中で最も重要なのは血統・種系登録の一本化であった。 種系登録制度は本来、純粋種への繰入れが主目的であったが、①遺伝評価分析へのデータ利用、②すべての牛に耳標が装着され、登録上でも耳標番号の積極的利用を進めている、③血統繰入れまでの手続きが煩雑、④純粋と種系登録の一本化は世界的な趨勢、などの理由から、わが国でもようやく血統登録と種系登録の一本化が実現した。 したがって、今後は本牛(雌)が無登録でも、①父が血統登録牛、②母がホルスタイン種の毛色・特徴を備えている、③本牛の生年月日判明、であれば「血統登録牛」になる。 | |
血統濃度の表示 | |
新制度では、「何代も続く純粋血統」も「母親が無登録」でも、同じ緑色枠の血統登録証を受け取るわけであるが、血統の純粋性の度合いは大きく違うはずである。 登録本来の目的は、個体の確認、正確な血統記録を整備・保存することである。 登録する際には父母の血統、毛色・斑紋、遺伝的不良形質などの条件を設けて、ホルスタイン種としての純粋性や遺伝的に優れた血統の継承という役割を持つ。 そこで、血統の純粋性の度合いを示す数字として、登録証に新たに「血統濃度」を表示している。 血統濃度は、何代まで「血統」を遡れるかをパーセントで示している。 例えば、関係種雄牛の血統濃度がすべて100%である場合に、雌牛側の登録を7代以上(本牛を1代として数える)遡ることができれば、本牛の血統濃度は100%、6代までならば99%である(別図参照)。母の登録しかない場合は75%、母が無登録ならば本牛の血統濃度は50%となる。 | |
耳標番号で登録 | |
現在、耳標装着が義務づけられている。したがって、登録申込みの際には、斑紋記入の代わりに10ケタの耳標番号を記入してもらうようお願いしている。 これまで、斑紋スケッチは記入者にとって最も大きな労力負担となっていたが、耳標番号の記入によってこの作業が省略できる。 さらに、耳標番号が即、登録番号となり、登録証には耳標番号の大文字4ケタが耳標イメージで印刷されるので、より簡便に個体確認ができる。 | |
申込料金の低廉化 | |
制度改正の一つの目玉は登録料金の値下げである。通常の血統登録申込料金は以前に比べて500円値下げし、月齢による申込料金区分でも、従来の生後6月齢までの料金区分を、生後10月齢に期間延長した。 | |
登録の拡大推進を | |
近年の酪農不況の中、このところ登録頭数の低迷が目立つ。 個体識別耳標の装着義務や、インターブル参加など乳牛改良もシステムも国際化の時代に入りつつあるが、遺伝的改良の基本にあるのは正確な血統と血縁であり、その手段として血統登録は欠かせない手段である。 時代の要請に応じて登録制度を改善し「正確で、できるだけ安価で、早く、簡便に」を主眼に、今後とも登録頭数の拡大を図ることが登録協会の最重要課題である。 登録制度改正の移行期で、関係各位には大変ご迷惑と不自由をおかけしているが、新しい登録システムが軌道に乗るまで、いましばらくご理解とご協力をお願いしたい。 | |
平成14年10月20日 「出品申込は210頭」 ~全日本BWショウまであと1か月~ | |
11月13、14日の2日間、静岡県の袋井家畜市場(静岡県経済農協連)で開催される第6回全日本ブラックアンドホワイトショウの開催まであと1か月を切った。 このショウは、全国35都道府県の乳牛改良同志会などで構成されている全国ホルスタイン改良協議会(森田一文会長)が主催するもので、昭和56年に第1回が開かれ、以後概ね5年ごとに開催されている。 このほど出品申込みが締め切られ、1道1府28県から210頭が出揃った。ブロック別の出品申込頭数は、北海道10頭、東北10頭、関東57頭、北陸4頭、中部66頭、近畿22頭、中国20頭、四国6頭、九州15頭となっている。 出品牛は11月13日までに搬入され、翌14日は午前8時から開会式と全12部門の審査、グランドチャンピオン決定などが行なわれる。 審査員はジェネティクス北海道の荒木敏彦氏、アシスタント審査員は熊本県ホルスタイン同志会会長の松島喜一氏。 | |
平成14年10月20日 「登録委員研修会に250名」 ~乳牛改良講演も好評~ | |
日本ホル協主催の地区別登録委員研修会は、7月中~下旬に、関東地区を除く5ブロックで開催され、合計約250名の登録委員や酪農関係者が出席した。この研修会は、日頃酪農現場で活躍している登録委員を対象に、改良情報の提供や登録事務連絡、審査実習など伝達講習するもので、毎年夏季に開催している。 今回は、これらの伝達講習に加えて「わが国の乳牛改良」と題した時局講演が行われた。 講師は家畜改良センター改良部長の酒井豊氏(東北、近畿地区)、家畜改良事業団乳牛改良部長の守部公博氏(九州地区)、同電子計算センター部長の風間辰也氏(中部・北陸、中国・四国地区)の3氏。 講演では、①最近は酪農家戸数・頭数の減少に伴って、生乳生産量が年々減少している中、経産牛平均乳量は平成年間で約千㌔増加している。これは牛群検定を基盤とした、後代検定事業の推進の成果といえること、②今や乳量の年あたり遺伝的改良量は、アメリカと同水準にあり、来年からは種雄牛の国際間評価値を得るためにインターブルに参加することが決定した、③一方、国内では家畜個体識別システムの普及定着に向けて、諸事業を展開している、などの要旨であった。 各講師とも、図やグラフなどをふんだんに使って、噛み砕いた内容であったため、受講者から「分かりやすい解説」と好評であった。 | |
平成14年10月20日 「審査眼の統一めざす」 ~新冠牧場で中央審査研究会~ | |
9月4日から3日間、北海道静内町の独立法人家畜改良センター新冠牧場(石原哲雄場長)において、日本ホル協主催の平成14年度中央審査研究会が開催された。 この研究会は、酪農関係技術者を対象に、乳牛の審査技術の習得と審査眼の統一を図ることを目的として毎年度開催されている。今回は17道府県から31名が出席した。 3日間の研修では、審査標準や線形評価法の解説についてOHPによる講習と、22頭の教材牛を用いて、実際に線形スコアや得点評価を行う実技研修と答案提出、初産牛による序列づけやディスカッションが行われた。 特に、会場となった新冠牧場では石原場長をはじめ職員による万全の設営と、審査得点77点台から90点以上のエクセレント牛が教材牛として展示されるなど、この研究会の主目的である審査技術の習得という点で各出席者は熱心に研鑽を重ねることができた。 今回の中央審査研究会で修了証の交付を受けた方は次のとおり=敬称略 民部田勝則(岩手県)、結城克則(山形県)、阿部正彦、遠藤強(福島県)、高橋貞光(栃木県)、篠原晃、椛沢洋二(群馬県)、村田宏之、山下秀幸、成山敬治(千葉県)、蓮沼俊哉(富山県)、神藤学(山梨県)、柳沢光治(長野県)、豊田喜彦(岐阜県)、上居紀博(兵庫県)、寺道弘生(広島県)、佐伯拡三、大塚政彦(愛媛県)、竹本智公(熊本県)、佐藤哲也(大分県)、新川豊巳(鹿児島県)、田中健一、林田光(家畜改良事業団)、花牟禮武史、吉田潤嗣、石田誠、小林英聡、氏平健太郎、人見智亮(ジェネティクス北海道)、荒川清(十勝家畜人工授精所)、國行将敏(家畜改良センター)。 | |
平成14年10月20日 「インターブル評価」 ~来年春、本番スタートへ~ | |
種雄牛精液が国際流通する中、国内の遺伝評価だけではなく、インターブルが行う国際間評価が重視されてきている。 わが国でも昨年、専門家による「乳用牛改良体制検討会」で、インターブル参加の方向が出され、家畜改良センターを中心に準備が進められており、いよいよ来年第1回目(2003-Ⅰ)の種雄牛評価からインターブル評価値が得られる予定である。 現在、ICAR(乳用動物の能力検定に関する国際委員会)加盟40数か国のうち、25か国がインターブルに参加している。 インターブルでは、MACEと呼ばれる評価法を用いて、各国間の環境の差を考慮し、利用する国の評価値として種雄牛評価値を計算する。したがって、得られた評価値も国によって異なり、種雄牛ランキングも国ごとに少しずつ違ってくる。 インターブル参加により、 ①後代検定事業において国産・外国産候補種雄牛の両親が同じ物差しで比較できるので、より望ましい両親の選定と候補種雄牛の生産が可能 ②輸入精液について、日本で利用した場合の能力が把握できるので、現状より適切な利用が可能 ③海外の雌牛についても、日本で利用した場合の能力を換算・推定が可能 など利点が挙げられる。 一方、インターブル評価値の利用における留意点は、①育種規模の大きな諸外国と比較するため、例えば、A国の種雄牛が成績ランキング上位に多く入ったからといって、その国の改良レベルが必ずしも高いと言えない、②遺伝率や検定娘牛頭数、血縁情報等によって決まる信頼度は、種雄牛の遺伝能力の高低とは直接関係ない。また、他国の信頼度がそのまま日本で通用するものではない、等。 インターブル評価値は同参加国の後代検定で得られた情報から推定しているため、先ずは国内の後代検定事業をより充実させることが、より正確なインターブル評価値につながるものである。 インターブル参加後の国内評価回数と、国内とインターブルで2つの評価成績を持つ後検種雄牛の評価値の取扱いなどについては年内に方針が決定される予定。 |