平成16年1月20日
平成16年1月20日 新年ご挨拶 「登録の普及拡大と個体識別 データ利用へ環境整備を」 ~日本ホルスタイン登録協会会長高島照治~ |
酪農家並びに酪農関係者の皆様、新年あけましておめでとうございます。 昨年の畜産業界では、5月にカナダでBSEが発生、12月にはついにアメリカでもBSEの発生が確認され、わが国の食肉業界や一般家庭の食生活を震撼させています。 一方、国内でも昨年は4頭のBSE患畜が見つかり、中でも10~11月に確認された国内8~9頭目のホルスタイン雄肥育牛は、世界でもあまり例のない2歳未満の若い月齢での発症でした。 わが国では牛肉トレーサビリティ法が制定され、また、世界一厳しい食肉処理場での全頭検査、特定部位の除去・焼却処分等によって、牛肉流通面での安全性は十分確保されていますが、その原因究明が急がれるとともに、輸入牛肉の生産・流通システムの徹底した安全対策が講じられるよう強く願うところです。 また、昨年は世界中で異常気候に悩まされた年でもあり、日本でも10年ぶりの冷夏で特に東北や北海道の米畑作農家に大きな被害を及ぼしました。 酪農においても7月以降の飲用牛乳の消費が低迷し、15年度計でも前年度に比べて2%程度の減少が予測されており、脱脂粉乳の在庫量が増大していることや、本年11月からの家畜排せつ物の適正処理に関する法律の施行、国際的にはWTO、FTA交渉などが大きな課題であり、その対応が求められています。 これらの課題に対処するためには、安全・安心な食品を安定的に供給できる酪農家の経営の改善、生産基盤の強化に一層努める必要があります。 農林水産省畜産部の平成15年牛乳生産費調査からも明らかなように、乳量の増加が収益性に深く連動しており、これには登録と牛群検定、後代検定の効率的な実施・利用が益々重要になります。 昨年8月、乳牛改良界にとってビッグニュースがありました。 日本がインターブルによる乳用種雄牛の国際間評価に参加し、わが国の種雄牛が初めて国際的な土俵上で評価を受けました。その結果、日本の種雄牛の遺伝的水準が欧米の酪農主要国と並びトップクラスに位置することが判明しました。 このことは、これまで日本の乳牛改良の発展にご苦労されてきた農林水産省をはじめ改良関係団体、大学や試験研究機関の専門家、家畜人工授精団体、各都道府県関係団体等、当協会会員を主とする牛群検定農家の皆様方の、後代検定事業に対する全面的なご理解とご協力の賜であることを心に刻み、深い敬意と感謝の意を表する次第です。 当協会では昨年に引き続き、乳牛改良の根幹である血統登録をはじめ各種事業の普及拡大と円滑な運営のために、当協会役職員が一丸となって努力していく所存です。 登録の将来ビジョンとしては、家畜個体識別全国データベースの効率的利用と、さらにはデータベース化された人工授精記録と出生報告のドッキングによる自動登録化を推進し、血統登録の拡大を図ることを目標に掲げ、そのための環境整備を進めていく所存です。 この一環として、昨年末から各都道府県窓口団体を通じて、会員の皆様に「家畜個体識別全国データベース利用」のための同意書に同意捺印をいただいているところです。 また、来年秋の第12回全日本ホルスタイン共進会開催を控えて、栃木県全共実行委員会の絶大なるご協力の下に諸準備を進めています。 来たる栃木全共が、わが国乳牛改良の成果と将来方向を十二分にアピールし、会員各位の今後の改良意欲の更なる高揚と、特に次代を担う若い酪農家、後継者育成の一助になることを祈念致します。どうぞ会員並びに関係者各位におかれましても、一層のご支援ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 |
平成16年1月20日 「登録推進策を協議」 |
日本ホル協では、本年1月下旬から2月中旬にかけて都府県7ブロックで平成15年度地区別連絡協議会を開催する。本年度は血統登録、移動証明申込ともに前年同期比で120%以上の成果を上げているが、血統登録は本年度計画頭数に対しては67%に留まっている。年度末にかけて一層の登録推進が求められる。 |
1、2月に7地区で連絡協議会 |
この協議会では、日本ホル協の役員と会員酪農家から選出された社員、登録事務取扱団体の担当者などが出席して、当該年度の事業の進捗状況や次年度の事業方針などを協議している。 本年度の主な報告・協議事項は次のとおり。 ①平成15年度中間事業の概要 昨年12月末までの都府県の会員・登録申込件数は、会員が7048名(前年同期比86・9%)、血統登録は4万219件(125・4%)、移動証明1万775件(121・9%)など。 ②乳用牛体型能力向上事業に係る体型調査の実施 体型調査は後代検定協力農家を対象として、昨年12月末までに都府県で農家1477戸、初産牛1万528頭の体型データを収集した。 ③登録規程等の改正 牛の個体識別に関する法律施行に伴い、登録規程上に個体確認方法を盛り込むことと、以前に個体識別事業モデル実施で行ってきた登録方法を、今後は全国的に展開するために「自動登録」として規定するなど、登録規程の一部変更の準備を進めている。 また、乳用種雄子牛及び交雑種子牛出生確認書発行要領、能力・体型偏差値の採用に伴う優秀牛選奨規程、審査・検定成績優秀牛(群)表彰要領の改正等について報告。 ④第12回全日本ホルスタイン共進会 全共開催要領について報告する。また、都道府県別出品割当頭数案について調整を行う。 ⑤家畜改良体制整備事業 同事業では、昭和62年度から家畜改良関係団体における登録や能力検定などの一体的な運用を図ってきた。今般は本年度から5年間、家畜個体識別システム構築に伴い事業の見直しを行う。本会ではこの事業を活用して、個体識別データを利用した効率的な登録証明書発行システムを整備していく。 地区別連絡協議会の日程は次のとおり。 [東北] 1月19日 秋田県秋田市「イヤタカ」 [関東] 2月12日 千葉県九十九里町「国民宿舎サンライズ九十九里」 [中部北陸] 1月22日 石川県加賀市「翠湖」 [近畿] 1月19日 兵庫県神戸市「ペアーレ神戸」 [中国] 1月26日 島根県玉湯町「ホテル玉泉」 [四国] 2月17日 高知県高知市「高知パシフィックホテル」 [九州] 1月20日 佐賀県佐賀市「佐賀ワシントンホテルプラザ」 |
平成16年1月20日 「出品区分の月齢範囲 生年月日で明示」 ~第12回全共要領決まる~ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
4日間の日程で | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
第12回全日本ホルスタイン共進会の開催要領は、昨年11月の日本ホル協理事会で正式に承認された。これによって出品区分と生年月日の範囲がより具体的に示された。 また、同理事会では各都道府県の出品割当頭数案が協議され、本年3月までに最終決定する。 第12回全共は平成17年11月3~6日の4日間、栃木県壬生町で第4回全日本ジャージー共進会と併せて開催される。4日間の日程は、第1日が開会式、測定と写真撮影、第2~3日は各部の審査と講評、第4日は各部の審査・講評、最高位と名誉賞の決定、褒賞・閉会式を計画している。 ホルスタインの出品頭数は個体出品のみ300頭以内で、未経産5部、経産7部の合計12部。 未経産は、第1部生後12月以上14月未満、第2部14月以上16月未満、第3部16月以上18月未満、第4部18月以上21月未満、第5部21月以上24月未満。 経産は、第6部生後30月未満(2歳ジュニア)、第7部30月以上36月未満(2歳シニア)、第8部36月以上42月未満(3歳ジュニア)、第9部42月以上48月未満(3歳シニア)、第10部4歳以上5歳未満、第11部5歳以上6歳未満、第12部6歳以上。 別表には出品月齢区分、産地や飼養条件、検定条件を示しており、特に今回は「生年月日の範囲」(全共開催の前日から起算)を具体的に示したので参照されたい。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
出品は国内産の登録牛 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
第1~12部の各部への出品は1戸1頭以内とし、全体でも1戸2頭以内とする(各都道府県出品牛の過半数は経産牛)。 出品牛は国内産のホルスタイン種登録雌牛で、次の①から④の条件を備えたものとする。なお、受精卵移植による生産牛は、その牛の登録時所有者が住む都道府県を産地とする(輸入受精卵による生産牛は出品可能)。 ①第1~9部の出品牛は自県産で、出品者が平成17年11月2日(全共開催の前日)まで引き続き6か月以上所有・飼養しているもの、②第10~12部の出品牛は、引き続き1年以上所有・飼養しているもの(都道府県や市町村、または加入団体等の所有牛で、出品者がそれぞれ前記①、②の期間、管理しているものは出品可能)、③未経産牛で生後21か月以上のものは妊娠確実であること、④出品牛は、家畜個体識別事業に係る耳標を装着していること、等。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
本牛や母牛に検定条件 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
出品牛は、本牛または母牛が日本ホル協の検定成績証明(本登録を含む)を所有していること(母牛が海外にあるものは外国登録団体が発行する血統能力証明書で判定する)。 ①第1~5部の出品牛は、その母牛が検定成績証明済か同申込中、②第6部の出品牛は、本牛が検定成績証明申込中、③第7~9部の出品牛は、本牛が検定成績証明済か同申込中、④第10~12部の出品牛は、本牛が検定成績証明済のもの。 出品が決まったならば、検定条件を確認して、早めに検定成績証明を取っていただきたい。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
締切は来年9月26日 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
都道府県は、予め割り当てられた第2期出品頭数の範囲内で出品牛を選定し、平成17年9月26日までに共進会事務所(日本ホル協)に申込む。 審査は審査委員1名が担当し、副審査委員が補佐する。褒賞は各部で優等、一等、二等賞の順で擬賞する(優等・一等賞で全体の約50%)。 第1~5部、6~9部、10~12部からそれぞれ名誉賞と準名誉賞を選び、名誉賞の中から最高位賞1点を選賞する。また、第6~12部の各部にベストアダー、第8~12部の各部一等賞以上の中からベストプロダクションを選賞する。 このほか、若い酪農後継者や農業高校などの出品に対して特別賞の贈呈を検討している。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
フェアな出品マナーで | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
各地で行われている各種共進会の際に、一部の心ない出品者によって、共進会にあってはならない出品牛への過剰な体型調整(医療的な整形や植毛、不当な薬剤投与や乳房の形状調整など)が行われる例が仄聞される。第12回全共の開催にあたっては、出品マナーの遵守について、このような不正行為が起きないよう、予め都道府県の窓口団体等を通じて周知徹底を図っていく。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
第 12 回 全 日 本 ホ ル ス タ イ ン 共 進 会 の 部 別 出 品 内 訳 と 条 件
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
平成16年1月20日 「長坂牧場で94点」 ~都府県最高得点に並ぶ~ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
昨年12月、群馬県高崎市・長坂仁司さん所有のシーダーデールエレベータースタールンド(平9・1・25生、父スターダム)が、6歳10月、5産時の審査で都府県6頭目となる体型得点94点を獲得した。 本牛は北海道で生産され、平成12年に長坂牧場に導入され、翌13年1月3産を分娩し、1年検定で乳量1万1624㌔、乳脂量485㌔、4・2%、また14年7月4産分娩の1年検定では乳量1万3004㌔、乳脂量564㌔、4・3%を記録している。 また、本牛は昨年11月の第13回関東地区ホルスタイン共進会で経産牛最高位賞に輝いている。 長坂牧場は全共にも数多く出品しているほか、今回の94点を筆頭に92点2頭ほかこれまで20頭のエクセレント雌牛を輩出している。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ジャージーは岡山で91点 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ジャージー種では岡山県真庭郡八束村・美甘泰治さん所有のオカエッチサターンブラースが5歳1月4産時の牛群審査で91点を獲得し、秋田県・土田牧場のサンバレーキングオブラッキーの持つジャージー雌牛国内最高得点に並んだ。父はバンホームインペリアルズサターン。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
審査日程 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
16年1~3月都府県 茨城県:2月中~下旬 東京都:2月上旬 長野県:2月上~中旬 大阪府:2月下旬 兵庫県:2月上~中旬 奈良県:2月上旬 広島県:2月上旬 香川県:1月下旬 高知県:1月下旬 福岡県:1月下旬 佐賀県:1月下旬 長崎県:1月下旬 熊本県:2月下旬 (日程等の詳細は各都府県の登録取扱団体にお尋ね下さい。) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
次回特集は3月20日号 現在、全酪新報「日本ホル協特集」は年4回、1月、4月、7月、10月の各20日号に掲載しています。 しかし、乳用種雄牛評価成績が昨年より年4回公表され、これを酪農家の会員各位によりタイムリーに紹介し、後代検定のPRと交配種雄牛の選定に利用してもらうため、今年から特集号の年4回掲載のうち、4月と10月号についてはそれぞれ1か月前倒しして3月と9月の各20日号に特集を組んで対応することになりました。 引き続き、全酪新報「日本ホル協特集」をご愛読いただくよう、よろしくお願いいたします。 |