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平成17年1月1日


平成17年1月1日
「栃木全共出品へ意欲」

~栃木県那須塩原市和田(泰)牧場~
昨年11月に開催された栃木県ホルスタイン共進会で見事、経産牛グランドチャンピオンに輝いた栃木県那須塩原市の和田牧場。同月に実施された牛群審査でも当牧場初の審査得点90点を獲得するなど、良いことずくめの一年であった。今年11月の栃木全共を前に、和田牧場3代目の若き酪農家、和田泰さん(28)に抱負を語っていただいた。
初の県共最高位とEX獲得もゴールでなく通過点
「共進会でのトップは素直に嬉しい!」と快活に話す泰さん。今回、トップを獲ったことで「和田んとこのキム、どうしてる?」と周りに聞かれるなど、自分の牛が有名になったことが嬉しさを倍増させているようだ。
見事グランドチャンピオンに輝いたリージェントリーダーキム(父リーダー)。その8日後の牛群審査では4歳7月、3産目で90点を獲得した。前産では305日で乳量9881㌔を記録し、今産次では軽く1万㌔を超える記録が期待できそうだ。
和田牧場の家族構成は泰さんと妻の美保さん(27)、長女で1歳の栞ちゃん、ご両親の優さん(55)と綾子さん(53)、祖母の貞子さん(84)の6人。ヘルパーを一人雇って作業人数は5人。
現在の飼養頭数は経産牛が102頭、育成牛70頭(うち自家育成50頭)で経産牛1頭当たりの平均日乳量は28・3㌔、平均乳脂率3・89%。
親子だから本音でケンカも
和田牧場の歴史は、戦後まもなく、泰さんの祖父がこの地に入植して始まった。当時は牛以外に自家消費用として豚や鶏を飼っていたが、父の優さんが18歳の頃に経営を引き継ぐようになって酪農専業に切り替えた。
泰さんは地元の県立農業大学校を卒業後、酪農実習のため単身でアメリカへ渡った。その2年後、平成12年に就農した。現在の規模での経営は平成8年からである。
アメリカで大規模経営を学んだ泰さんは、その中で自分の牧場に生かせるアイデアを模索した。
時にその新しいやり方が、30年間酪農をやってきた父親とぶつかることにもなる。「社長と部下という関係ではあるが、でも親子だから本音で言うようにしている。ケンカしながらだけど、それが良いコミュニケーションの一つになっていると思う」と泰さん。
父の優さんも「親子が一緒に経営に従事することは難しいが、それはあとわずか数年のこと。またとないこの時期に息子に対してできるだけのことをしてやりたい」と親心をのぞかせた。
良き仲間達と励まし合って
「経営面を勉強するのはまだこれから。今の時期だからこそ、自由に牛のことだけを考え、できることがあると思う」。
泰さんの趣味はDJ。無類の音楽好きだ。アメリカ滞在中もその活動を続けていた。なぜ酪農とは全く異なるジャンルのDJに熱中しているのかを尋ねると、「元々自分は凝り性。牛もDJも同じで、自分の興味が沸くことには何にでもとことん追求したい」と目を輝かせる。
最近もアメリカに行く機会があったが、そこで自分の好きな牛に出会うと、すぐにその牛の3代血統を調べて自分なりに分析している。その中で見つけた交配パターンを自分の牧場でどう実践していくか。ここにも「とことん」の追求心が顔を出す。
泰さんが酪農家として頑張ることができるのは、周りの酪農家の結束が強いことが大きい。県共でトップを獲った時にも仲間たちから「それに甘んじるな。2位以下の牛は次への課題が残るが、トップになると目標を見失いがちになるからな!」と檄を入れられた。
「グランドチャンピオンやエクセレントを獲りたいという夢をこんなに早く実現できるとは思わなかった。これまで良い成績が取れなくても気力が衰えなかったのは、周りの励ましがあったから」。良き先輩や後輩、励まし合える同級生が揃っている最高の環境に恵まれた。
妻の美保さんは、酪農とは関係のない家庭に生まれ育ったが、今は地元酪農家の奥様団体「カウベル」に誘われ、牧場視察や料理教室などの活動に参加している。
検定や血統情報活用し
和田牧場は、登録や牛群検定にも熱心である。血統や泌乳の情報を活用して経営を充実させていく。だから「登録していない方が不思議だ」という。この精神が良い牛群を作るのに必要不可欠なのだろう。
育成牛舎には哺乳ロボットが設置されている。「作業の省力化ではなく、牛にとって良いものを導入するということ。子牛の発育はとても順調」と語る父親。
泰さんも「今後は規模拡大の予定はないが、現状で牛群レベルを上げていきたい。体型面でもエクセレントを獲ったことがゴールではなく、それを通過点にして今後の経営を改善していきたい」と喜ぶ一方で、慎重な姿勢を見せていた。
みんなで全共盛り上げたい
最後に泰さんに来る11月の栃木全共に向けての抱負を語ってもらった。「是非とも全共に出品したい。そして、栃木県の皆が力を合わせて、この全共を盛り上げたい。現在飼っている牛でとにかく出品すること。出品が叶ったならば、誰が見ても良い牛だと思えるベストの状態で臨みたい。悔いが残らないよう、精一杯努力していきたいと意欲満々である。
「共進会にはどの牛も自分の牧場で一番の牛を連れてきている。そこで付けられる序列には、各牧場の普段からの管理の差があるだろう」と、共進会の結果から日頃の飼養管理を点検し、そこから能力も高めていく。趣味だけに終わらない共進会への参加の仕方だ。
全共には全国から選りすぐりの牛たちがやってくる。若い酪農家たちの熱心な目がそこに向けられる。その全共に和田牧場の出品が叶うとともに、牧場の益々の発展を祈念したい。
平成17年1月1日
「岡山で92点」

~ジャージー国内最高得点~
岡山県八束村の美甘泰治さん所有のオカエッチサターンブラース(平10・10・10生)が先月の牛群審査を受検し、6歳2月、5産目で92点を獲得し、国内ジャージー雌牛の最高得点となった。
本牛は一昨年秋に岡山県初の90点牛になった後、昨年12月に国内最高得点に並ぶ91点を得ている。検定では3歳9月、3産の305日乳量6452㌔、F5・4%。父はバンホームインペリアルズサターン。
また、川上村・筒井大悟さんのルイスサターングレンが91点を獲得したほか、美甘、筒井両牧場でそれぞれ1頭ずつ新しいエクセレント牛(90点)が誕生した。