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機関誌

機関誌内容一覧

平成21年1月20日


平成21年1月20日
都道府県出品割当頭数 増頭希望受け入れる」

~第13回全日本ホルスタイン共進会~
第13回全日本ホルスタイン共進会は平成22年10月8日から4日間、北海道勇払郡安平町の北海道ホルスタイン共進会場で行われる。日本ホル協では、昨年11月開催の理事会で出品負担金の基準などを決定し、各都道府県と本会支部・承認団体に出品協力を依頼しているが、現在のところ各都道府県からの出品希望頭数は目標の420頭を30頭近く下回っており、計画頭数の達成に向けて増頭希望を呼びかけている。
第13回全共の出品割当頭数については、昨年夏の地区別登録事務担当者会議で、出品負担金案と合わせて各都府県登録窓口団体に提案し、後日提出のあった各都道府県別出品割当希望頭数を集計したところ、昨年11月25日までの出品割当希望頭数の合計は391頭で、計画頭数の420頭に29頭ほど満たなかった。
内訳では、新設の高校等特別枠20頭とジャージー枠40頭に対しては、計画頭数を若干上回る出品頭数の希望があったが、従来からの一般枠300頭と後代検定種雄牛の娘牛枠60頭に対してそれぞれ20頭、13頭少なかった。
昨年11月21日の日本ホル協理事会では、各都道府県への全共出品負担金を決定して出品規則に盛り込むとともに、計画頭数の達成に向けて、今後も増頭の希望を受け入れていくことを決め、各都道府県並びに当協会支部承認団体あてに依頼している。
高校特別枠や後検の部新設
第13回全共の特徴は、①従来の出品一般枠300頭に加えて、わが国の乳牛改良の大きな柱である後代検定済または候補種雄牛の娘牛を対象とした3部門(未経産1部と経産2部)60頭の出品枠を新設、②将来の酪農後継者育成奨励策として、高校など学校出品特別枠20頭(該当する月齢クラスに出品)を新設、③審査会場は既存の施設を有効活用し、開催経費の大幅な節減を図る、④北海道100年余の酪農と乳牛改良の歴史を展示紹介など。
このほか、牛乳乳製品の消費拡大PRや酪農資材、道内特産物の展示販売、酪農関連情報・技術の交流などの付帯事業を予定している。
ホル15部とジャージー4部
第13回全共の出品に関する概要は次のとおり(共進会規則の詳細は当協会ホームページの「トピックス」欄に掲示しているので参照されたい)。
全共の会期は、第1期を22年4月1日~9月6日、第2期を同年9月7日~10月11日とし、第2期の最終4日間を北海道ホルスタイン共進会場で集合審査を行う。
出品区分は別表のとおりで、出品頭数はホルスタイン種380頭(未経産6部、経産9部)、ジャージー種40頭(未経産2部、経産2部)。
ホルスタインは、各都道府県の一般割当頭数の過半数を経産牛とし、1戸あたり出品頭数は2頭以内とする(後代検定娘牛の部とジャージー出品牛はこの限りではない)。
出品牛は、国内産のホルスタインまたはジャージーの血統登録雌牛で、法律に定める個体識別耳標を装着し、次の条件を備えたものとする(受精卵移植による生産牛を出品する場合は、登録時所有者の居住する都道府県を産地とする)。
①第1~12部出品牛は自県産で、出品者が22年9月30日まで引き続き6か月以上所有し、飼養していること(後代検定娘牛の部出品牛は出品者の所有牛とし、飼養期間は特に設けない)。
②第13~15部出品牛は22年9月30日まで引き続き1年以上所有し、飼養しているもの。
なお、出品者が居住する都道府県や市町村、加入団体等の所有牛は、出品者が引き続き前記①では6か月以上、②では1年以上管理していること。
③第16~19部(ジャージー)出品牛は、出品者が22年9月30日まで引き続き6か月以上所有し、飼養しているもの。
④未経産牛で生後20月以上のものは妊娠確実であること(種付日を含めて180日以上で早・流産したものは経産牛として取扱う)。
検定証取得が条件
ホルスタイン、ジャージーの出品牛やその母牛には、検定成績証明済みまたは申込中であることが条件づけられている。
①生後22月未満の未経産牛は、母牛が検定成績証明申込中または証明済みであること。
②30月未満の経産牛は、本牛が検定成績証明申込中であること。
③30月以上48月未満の経産牛は、本牛が検定成績証明申込中または証明済みであること。
④48月以上の経産牛は、本牛が検定成績証明済みであること。 →牛群検定成績の証明取扱要項
検定成績を申し込む
申込締切りは22年9月6日
第1期の出品申込は22年3月31日までとし、第1期申込牛の中から第2期出品牛を選定し、9月6日までに当協会あてに出品申込書を提出する。
出品牛の搬入は開会前日(10月7日)正午までとし、搬入に際しては各証明書などで個体および防疫の確認を行う。また、搬入・搬出に伴って家畜個体識別の転出・転入届の報告が必要となる。
出品牛の飼料費ほか出品に要する経費は、出品者の負担とする。なお、出品にあたって守るべき出品作法は別に定め、如何なる不正がないよう、これを順守しなければならない。
4部門から最高位と名誉賞
第1期の審査は各都道府県の出品委員が参加して行い、第2期の審査はこの共進会規則で掲げる審査委員が行う。
審査の結果、第1~6部、第7~12部、第13~15部、第16~19部の4部門から、それぞれ名誉賞と準名誉賞を選賞し、名誉賞の中から最高位賞1点を選賞する。
また、経産牛の各部にベストアダー(乳器賞)各1点、第8部と第11~15部、第19部の各部1等賞以上の中からSCM(固形分補正)乳量トップ牛にベストプロダクション各1点を選賞する。このほか、高等学校などの出品牛に対して特別賞を贈呈することがある。
平成21年1月20日
「2年連続減少」

~都府県血統登録~
1~3月で申込拡大図る
昨年4月から12月末までの都府県におけるホルスタイン種血統登録申込頭数は2万5849頭で、前年同期に比べて1635頭減少し、本年度の予算頭数に対する達成割合も52%と低調。なお、19年度も前年度を大きく割り込んでおり、このような構造的な登録減少が続けば、都府県の改良基盤が揺るぎ兼ねない状況である。
中・長期的には自動登録が普及し、効果を上げることが期待されるが、この年度末にかけて、会員酪農家の皆様には後継牛の登録洩れを防止していただくよう、また登録委員をはじめ関係各位には現場での一層の登録推進をお願い致したい。
このほか、会員申込は6200件で前年より184名減少、移動証明申込も4539件で795件減少した。一方、牛群審査・奨励審査受検頭数は6919頭で、前年より371頭増加しており、後代検定体型調査とともにほぼ計画頭数を達成できそうだ。
平成21年1月20日
「近交回避リスト使える種雄牛表示」

~今月からリニューアル~
日本ホル協はこのほど、牛群審査などの際に酪農家に配布している「近交回避リスト」を、現場でより利用しやすい様式に改善した。
これまでは、牛群検定農家の各検定牛に交配した場合、近交係数6・25%以上の強い近交になる種雄牛を表示し、強度の近親交配を避けるよう注意を促してきたが、新しいリストでは、近交係数5%未満となる種雄牛を表示し、このリストの中から交配種雄牛を選べるよう分かりやすい内容に変更した。
掲載の対象となる種雄牛は、直近に発表された国内の精液供給可能牛と後検候補種雄牛(都府県別で対応)、海外のNTPトップ40種雄牛(輸入実績あるもの)とし、種雄牛は略符号と愛称、国内種雄牛のうち肢蹄と乳器評価値の上位10頭にはそれぞれF、Uを表示している。新しい近交回避リストは1月の牛群審査から配付する予定 →近交回避リストの見方
近交回避対象種雄牛リストの見方
ET登録は供卵牛の親子判定も忘れずに
受精卵移植(ET)による生産子牛を血統登録する場合には、毛根による遺伝子型検査で親子判定に矛盾がないことを確認しています。また、その際には、供卵牛(受精卵を採取する雌牛、ドナー牛)についても遺伝子型検査によって親子の確認を行うことが義務づけられています。
しかしながら、供卵牛が遺伝子型検査を行わないまま死亡したために、ET産子を登録できない例が近年増えています。
これを未然に防ぐためには、受精卵の採取を計画した段階で、供卵牛となる雌牛の毛根を別図の要領で採取し、速やかに遺伝子型検査申込みをしていただくようお願いします。(登録課)
平成21年1月20日
「新年ご挨拶」

~日本ホルスタイン登録協会会長北良治~
牛歩の如く着実な前進を~改良面から経営支援に努めたい~
新年あけましておめでとうございます。
平成21年の輝かしい新年を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
今年の干支は「丑(うし)」、牛ということもあり、当協会にとりましても、牛歩のごとく一歩一歩、着実に基盤の安定と強化に向けて前進できるように決意を新たにしているところです。
昨年を振り返れば、世界的な燃油高騰、アメリカに端を発した世界金融危機、円高の加速など物作り立国の日本として産業基盤を揺るがす深刻な状況に直面した一年でした。さらには、食の安全・安心を揺るがす事件も多発し、食料自給率向上の観点からも国内農畜産物の安全で安定的な確保がますます重要となっているところであります。
このような中で、酪農経営を巡りましては、国をはじめ関係団体各位のご努力ご協力と、消費者や流通業者、乳業者などのご理解を得ながら、昨年4月の乳価改定や7月からの補給金対策、さらに本年3月予定の乳価再引上げなどの諸施策がとられ、厳しい中にも先行きに明るさが見えてきたところです。
また、都府県の登録関係事業量から、将来の乳用牛基盤に不安を感じておりましたが、経営や生乳需給の環境が改善に向かいつつあり、交雑種への交配率も低下しているなど、乳用牛確保の面でもやや明るさを感じております。
今回の飼料問題で浮き彫りとなった酪農経営の脆弱性を、自給飼料割合を少しでも向上させるなど改善することは、わが国の食料自給率の向上にも寄与することになります。
当協会としても、乳用牛の面から支援できることに最大限努めていく所存です。
また、すでにご承知のとおり、来年の平成22年10月8日から11日までの4日間、北海道の玄関口である千歳空港に近い安平町で、第13回全日本ホルスタイン共進会を開催する運びであり、北海道の実行団体では従前の市場・共進会場を国内最大規模となる共進会実施施設として整備するなど諸般の計画を立て、全国の出品者・関係者を歓迎する準備を進めていただいております。
会員の皆様並びに関係団体におかれては、既にご準備いただいていることと思いますが、昨年末にお送りいたしました共進会規則などをもとに、ご準備よろしくお願いいたします。
平成21年が皆様にとってすばらしい年となるよう、また、ご家族のご健勝とご繁栄をご祈念申し上げ、新年の挨拶といたします。

平成21年1月20日
「アイルランドに34か国から290名」

~第12回世界ホルスタイン・フリージアン会議開催~
ホルスタイン種の改良と将来の方向を討議する第12回世界ホルスタイン・フリージアン会議が、アイルランド・キラーニー市のアイルランド・ナショナル・イベントセンターで10月9日~11日までの3日間開催された。当地はキラーニー国立公園の入り口で、近くにはアイルランド島最高峰のキャラントゥーアル山(1041m)がそびえている。この会議は4年に1度、各国の持ち回りで開催され、今回は34カ国から290名余の参加があった。日本からは当協会の北良治会長をはじめ関係者16名が参加し、ドイツ37名、開催国アイルランド並びにデンマーク24名、米国17名に次ぐ参加規模であった。
テーマは「From Grass to Glass」
今回のテーマは、“From Grass to Glass”(牧草からグラス「ミルク」まで)で、会議には飼料摂取から主婦の買物かごまで、牛乳生産の全ての見地において、技術的、科学的そして実用的なセッションが盛り込まれていた。
開催2日目までに6セッション(S)と17プレゼンテーションが行われた。
S1は「アイルランド農業とホルスタイン・フリージアン」のテーマで始まり、開催国の概況、歴史、育種の進展についての発表があった。
アイルランドはイギリスの西に位置する島国で、面積7万立方キロメートル、北海道より一回り小さい。地形は平坦で、人口は430万人(在留邦人は約千人)、首都ダブリンには120万人が集中している。気候は北緯53度と札幌の43度より高緯度であるが、北大西洋海流の影響で冬と夏の寒暖の差は小さく、夏季の平均気温は15度前後と冷涼。冬季は5度前後でめったに雪は降らない。
経済は牧畜が中心の農業国。他に電子・電気、化学などの製造業や漁業も盛んだ。土地利用は農地が全土の18%(日本13%)、牧草地44%(同1%)となっている。
乳牛110万頭(ホルスタインが95%)のうち大多数の農家が春生みの季節分娩で、10カ月以上放牧地で牧草を摂取している。1頭当たりの平均乳量は約4700㌔、検定牛は約6800㌔となっている。
データの一元管理で改良が急速に伸びた
S2の「適切な管理のための良質なデータ」では、アルゼンチン、アイルランド、ドイツが発表した。
特に、アイルランドの発表では、2000年に改良組織アイルランド・キャトル育種連盟(ICBF)を立ち上げた。ICBFは、農業食料省、登録協会(IHFA)、家畜人工事業体、牛群検定組織及び農家によって構成され、人工授精、登録、牛群検定、異動、そして屠場のデータが一元管理されている。このようなデータ管理方法の確立によって、遺伝的改良が急速に進んだと報告された。
ゲノム選抜が育種改良に劇的変化を
S3の「遺伝的進展のための新しいツール」では、アイルランド、イギリス、ニュージーランドの3か国が発表した。
特に、「ゲノム選抜」(ニュージーランド)では、2006年に牛のゲノム解読が完了したことからニュージーランドLIC(家畜改良協会)が、過去20~30年前から検定済種雄牛のゲノム解析に着手し、種雄牛の遺伝評価に遺伝情報を含めることに成功した。種雄牛を選抜するために各国では現在5年の歳月をかけているが、将来実用化されると2年足らずで作出することになる。このゲノム選抜によって育種改良計画に劇的な変化をもたらすことが期待される。
共進会で幼い頃から牛に触れる機会を
S4の「ブリーダーと科学者の共同作業」では、アイルランド、イギリスの2か国が発表した。
アイルランドの「どこで科学とショウリングが出会うか?」とは面白い表題であった。共進会は酪農家と遺伝学者の集まる場所でもあるし、消費者が牛に触れることが出来る絶好の機会でもある。また、子供たちには幼い頃から牛に触れる機会を持たせるべきで、共進会は交流の場として重要であることを説いていた。
繁殖性の改良は正確な記録から
S5の「乳用牛の繁殖能力を改良するための全体的なアプローチ」では、ドイツ、アメリカ、アイルランドから発表があった。
ドイツの「乳牛の繁殖に関する要因と補助的な形質(遺伝的な見解)」では、酪農家や改良にとって受胎率は最も重要な形質の1つであり、繁殖性の低下では多くの授精所が対策を実施しているが、それではカバーしきれていない。
繁殖性のための将来の形質の定義は、より生理学と関係が必要で、正確に記録されなければならない。高望みであるが、ゲノム選抜で出来ることを望むとした。なお、受胎率低下の原因については、近親交配が要因でないかと示唆していた。
体型審査を科学的に実証
S6の「ホルスタイン・フリージアン、その能力を最大にする」では、アイルランド、カナダ、アメリカからの発表があった。
カナダの「機能的な牛の育種」では、長命性に富み生産性に優れている牛の体型を骨格、内臓、筋肉から明らかにし、線形審査の科学的な根拠を示していた。このために、5頭のホルスタインを実際に解剖に使った。この成果は、カナダホルスタイン協会がCD媒体で頒布している。
次回は12年にカナダで
2日目の午後から世界ホルスタイン・フリージアン連盟の総会が開催された。
過去4年間の活動報告、6つのワーキンググループ(WG)の進捗報告、会計報告があり、会則・予算が討議された。
会則のうち、評議国は1か国増えて10か国になった。新たな評議国は、ヨーロッパ(ドイツ、オランダ、フランス、デンマーク、イタリア)、北米(アメリカ、カナダ)、中南米・アフリカ(アルゼンチン)、アジア(日本)、オセアニア(オーストラリア)。
また、北会長から2010年の全日本ホルスタイン共進会への招待挨拶を行った。
最後に、次回の第13回(2012年)はカナダ(拠点はモントリオールとトロント)に決定した。
チャンピオンは凄い
3日目は、会場からバスで1時間ほどのグリーン・グレンズ・アリーナでワールド・コンファレンス・ショウを見学した。このショウはジャージーを含む300頭以上の出品があった。その中でホルスタイン経産牛シュープリームチャンピオンに輝いたクローフフラン26は力強く乳器の素晴らしい牛であった。
なお、詳しくはホームページを参照下さい。WHFF
IHFA
審査の見方国際調和などWGの進捗状況報告
1.劣性遺伝子病に関するWG
劣性遺伝子病に関する情報交換の取扱を統一し、2桁から共通の3桁の略号システムを開発した。現在、集積用データベース作成が最重要課題の1つである。
2.機能的な体型形質に関するWG
前回の総会以来の体型形質統一の見方が示された。主要な取り組みは、歩様、ボディコンディションスコア及び鋭角性に関して行われた。WGは、様々な形質に関する定義の調和に取りかかっている。また、総会で審査報告を公開するという提案が同意された。
3.電子データ交換に関するWG
国間のデータ交換を推し進めている。利用している国は多くないが、新システムへの自動更新の企画を提案し、その必要経費を決定する予定である。
4.登録に関するWG
クローン産子の遺伝子型検査及び血液型検査、クローン産子の子孫登録に関連する方針と手順に関して改正した。
5.血統登録の発展に関するWG
その報告では、WHFFは新しい血統登録に提供することが出来たサービスを確認し、このWGは解散した。
6.繁殖性に関するWG
品種内で高まる繁殖性の問題が重要視され、繁殖性が多種多様の要因をもつことから、現在用いられている形質の調和が望まれる。
アイルランド地図WHFF総会風景
ワールド・コンファレンス・ショウ
後方には世界会議参加国の国旗が
経産シュープリームチャンピオン
クローフフラン26(父:エモリーデリー)
VG88初産305M9,388㎏F4.24%
平成21年1月20日
「都府県時自家産初の最高得点牛誕生」

栃木県・中山牧場のバーハム~歴代7頭目95点~
年も押し迫る昨年12月、また新たな記録が生まれた。栃木県那須鳥山市・中山真介さん所有のエスペランサレブロンレイジーファーストダーハムET(平12・9・13生、父ダーハム)が8歳2か月(20年7月6日に6産分娩)で国内最高得点に並ぶ95点を獲得した。しかも都府県で自家産は初めてのことである。
これで95点を獲得した牛は北海道5頭、岡山県1頭、栃木県1頭の合計7頭となったが、現存では堤牧場のローヤルテイ号と昨年度獲得した栗城牧場のレクサス号、今回のファーストダーハム号の3頭のみ。
本牛は2歳8か月で85点に評価され、初産から優美な体型をもち、将来が期待された。その後3歳88点、5才92点、6歳94点と年齢とともに艶やかさを増し、乳器の力強さに磨きをかけた。母牛のリブロンは、5才8か月4産で92点(乳器92)を獲得している。
また、共進会でも活躍し、記憶にも新しいが18年北海道B&Wショウでは「これほど雄大でバランスの良い牛はめったに見られない」と評価されグランドチャンピオンに輝いた、昨年の第8回関東B&Wショウでも最高位賞を獲得し、「素晴しい体と乳器をもっている」と審査員から絶賛された。
中山さんは、「とても光栄です。関係者皆様に感謝申し上げるとともに、これからも、今回の結果に満足することなく、乳牛改良に全力投球で努めます」と力強いコメントをいただいた。
中山牧場は、現在経産82頭、未経産55頭の137頭を飼養し、平均乳量10,130㎏、飼料畑11ヘクタール、奥さん(砂織さん)、ご両親(一郎さん、正子さん)と従業員1名の計5名で愛牛の世話をしている。酪農は戦後に始まり3代目。
昨年11月の第8回関東B&Wショウでグランドチャンピオンに輝いたファーストダーハム
平20年11月19日会場で撮影
写真提供デーリーマン様
名号エスペランサレブロイレイジーファーストダーハムET
生年月日平成12年9月13日(8才2か月)
分娩月日平成20年7月6日(6産分娩)
レーガンクレストエルトンダーハムET
アルピナフォーメーションリブロンET
母の父シェンバルエヌブイエムエムフォーメーションET
審査成績
2-0885点(外貌84点、肢蹄83点、乳用牛の特質87点、体積86点、乳器84点)
3-0888点(外貌90点、肢蹄86点、乳用牛の特質88点、体積89点、乳器87点)
5-0292点(外貌93点、肢蹄89点、乳用牛の特質91点、体積94点、乳器92点)
6-0994点(体貌と骨格95点、肢蹄90点、乳用強健性92点、乳器95点)
8-0295点(体貌と骨格95点、肢蹄93点、乳用強健性95点、乳器95点)
賞暦
第15回栃木県ホルスタイン共進会第3部優等賞1席
第35回栃木県B&Wショウインターミディエイトチャンピオン
第 3回酪農とちぎ共進会第6部優等賞1席名誉賞
2005年第12回全日本ホルスタイン共進会第11部優等賞4席
2007年北海道B&Wショウグランドチャンピオン
2008年北海道ホルスタインナショナルショウ成年クラス1等賞3席
2008年栃木県酪農フェアー経産牛名誉賞
2008年第8回関東ブラック&ホワイトショウグランドチャンピオン
牛群検定~1~3月日程~
牛群審査では、泌乳生産に最も重要な乳房と長持ちに関連深い肢蹄などの良否を明示して、飼養管理や選抜淘汰、交配種雄牛の選定のための資料を提供します。自分の牛群(経産牛)の体型特徴をきちんと把握するためには牛群審査を受けることをお勧めします。
本年1~3月に実施する都府県の審査日程は次のとおりです。審査に関する問合せは各都府県の登録取扱団体まで。 ◇
茨城県:2月12~27日
東京都:2月5~6日
長野県:2月16~27日
大阪府:1月26日
兵庫県:2月9~18日
奈良県:1月27日
広島県:1月26~30日
福岡県:1月26~2月6日
佐賀県:2月2~3日
長崎県:2月4~6日
熊本県:1月26~30日
今後の行事~日本ホル協~
日本ホル協
◇20年度社員会議
[東日本地区]
1月29日(木)東京都中野区、中野サンプラザ
[西日本地区]
1月22日(木)福岡市博多区、TKP博多シテイセンター
◇20年度冬季支部・承認団体登録事務担当者会議
[東日本地区]
1月30日(金)東京都中野区、中野サンプラザ
[西日本地区]
1月23日(金)福岡市博多区、TKP博多シテイセンター
◇第247回理事会
3月19日(木)東京都中野区、当会会議室

平成21年1月20日
「素晴らしい体型と乳器」

~米エキスポ視察、審査研修を終え~
昨年10月1日から約2週間の行程で、アメリカ最大の乳牛共進会であるワールド・デーリイ・エキスポの視察と合わせて、ウイスコンシン・ミネソタ両州のホルスタイン、ブラウンスイス飼養農家を訪問し、体型審査のトレーニングを行ったので、その概要を報告する。
世界最大規模のショウを満喫
本会北海道支局の藤澤審査委員、千葉技師(現審査委員)とともに、1日夕刻にデーリ・エキスポ会場があるウィスコンシン州マディソンに到着し、翌日から3日間はショウを視察した。
デーリ・エキスポは、世界84か国から2800名余りの見学者や関係者が来場し、参観者総数は6万8000名を超える。また、世界23か国から700社以上の企業が出展するなど、まさに世界最大規模の酪農トレードショウである。
会場はアライアント・エナジー・センターと呼ばれる巨大な円形ドームで、審査会場と合わせて最先端の酪農用機器、遺伝子研究に関する最新技術の展示を行っていた。ドームを中心にして農業機械や酪農資材などの出展ブース、出品牛の繋留場などに分かれており、会場全体を見るには大変な時間と労力を要するほどだ。
ショウには、アメリカ37州とカナダ7州から、世界の7大乳用種であるエアシャー、ブラウンスイス、ガンジー、ホルスタイン、ジャージー、乳用ショートホーン、レッド&ホワイト種の合計2600頭を超える牛が出品されている。出品牛はいずれも肢蹄や骨格構造が素晴らしく、乳房の付着の強さや後乳房の幅、乳房の質の良さにはただただ驚かされる。
全品種の最高の名誉であるシュープリームチャンピオンにはホルスタイン種のグランドチャンピオン、カナダ・ケベック州のピエール・ボーレット氏所有のスルーレーンジェームスローズ(父、ジェームス)、リザーブチャンピオンにはブラウンスイス種のグランドチャンピオン、アメリカ・バージニア州のアレン・バスラー・ジュニア氏所有、オールドミルEスニッカードゥードル OCSが受賞した。
ホルスタインの父牛別出品頭数では、日本でも馴染みのダンディーの95頭を筆頭に、ゴールドウイン67頭、ダーハム64頭、アスペン23頭、ジョーダン18頭、セプテンバー・ストーム15頭、ダミオン13頭、チャンピオンやギブソンの娘牛も多く出品されていた。
乳用強健性に富む各牛群
デーリ・エキスポ視察後の4日間は、アメリカホルスタイン協会のスーパーバイザー、サイ・レター氏に同行し、ウィスコンシン州の4戸の牧場でホルスタインの審査トレーニングを受けた。
ジョーキット牧場は経産牛70頭で非常に衛生的な牛舎と好体型の牛群。ヒルローズ牧場は経産牛90頭で平均乳量1万3000kg以上、特に乳器の素晴らしい牛群だ。
ウェルスター牧場は体型得点95点を筆頭に、骨格や乳用強健性に優れ、今回のデーリ・エキスポでもレッド&ホワイト種でジュニアチャンピオンを獲得している。圧巻はゲートウェイ牧場で、経産牛90頭の平均乳量は1万400kg、長命連産性をめざし、乳器と乳用強健性に優れた牛群だ。これまでに22頭のEXを作出している。
アメリカの線形評価は1~50のスコアを使っている。現在では日本を含めてほとんどの国が1~9のスコアを使っており、今回のアメリカ方式に初めは戸惑いも感じたが、数値を幅広く使うことで種雄牛の遺伝的特徴をより明確に把握できるという説明にはうなづけるところも多かった。
ブラウン飼養農家でも研修
今回はホルスタインの審査トレーニング後の3日間、アメリカ・ブラウンスイス協会の遺伝評価部長、レオナルド・ジョンソン氏に同行し、4戸の牧場でブラウンスイスの線形評価と体型得点評価を勉強した。
今回訪問したベーグリー牧場は、搾乳牛190頭の1日1頭あたり平均乳量が34kgであり、ホルスタインに劣らないほどの高い乳量水準である。
ブラウンスイスの線形評価法は、日本のホルスタインで行っている内容とほぼ同様で、得点形質は体の深さと体貌、乳用性、尻、運動性、乳器の5区分で評価しており、生産寿命や生涯生産性を重視する内容だった。

今回訪問した牧場で感じたことは、検定や体型審査を堅実に実施することによって乳牛そのものの遺伝的レベルを高め、長持ちと効率的な牛群を確保していることである。日本とアメリカでは、経営規模や飼料の自給率、酪農を取り巻く情勢に違いはあるにせよ、昨今の配合飼料や生産資材価格の高騰などの事態にも動ぜず対応するためには、一層の乳牛改良が必要であり、その基礎である登録は勿論のこと、牛群検定と合わせて体型審査を拡大推進することが急務である。
体型審査業務を担う審査委員として、一層のスキルアップを図り、その使命を果たしていかなければならないことを痛感した。
デーリイ・エキスポのホルスタイン部門の審査で
は16クラスに500頭余りが出品し、体型の栄
を競った


圧巻は6歳以上クラス。トップはシュープリーム
チャンピオンに輝いたジェームス。その後をダー
ハム、リー、クストーの娘が続いた
シュープリームチャンピオンのスルーレーンジ
ェームスローズの乳器。昨年秋の体型審査では
97点(乳器97%)を得ている。
ウィスコンシン州・ジョーキット牧場での審査ト
レーニング。清潔な牛舎と好体型の牛群が印象的
だった

平成21年1月20日
「長持ちし、生産性高めるためにNTP40を使おう」

総合指数(NTP)は、泌乳能力と体型をバランスよく改良するために、「乳脂率を下げずに、乳蛋白質率の遺伝的改良量がマイナスにならないよう、乳量や乳成分量、長命連産性の改良量が最大になる」ように、泌乳および体型形質の推定育種価(EBV)に重み付けした指数である。
NTPの計算式(別図)は、産乳成分と体型成分の加重された総和で示される。産乳成分は乳脂量と乳蛋白質量、体型成分は肢蹄と乳房成分(乳器得率と6つの乳房関連の線形評価値で構成)の標準化遺伝評価値からそれぞれ求められる。
NTPを用いて種雄牛と雌牛の選抜を進めた場合の1年当たり遺伝的改良量は、乳量で128kg、乳脂量5.2kg、乳蛋白質量4.4kg、SNF量11.5kg改善され、体型面でも決定得点0.・07点、乳器0.08%、肢蹄0.04%上昇する。これによって長命連産性(84月齢までの搾乳日数)は13日延長する。
日本は、平成15年からインターブルに参加し、海外種雄牛と国内種雄牛の評価値を比較できるようになり、日本の検定済種雄牛が世界のトップレベルにあることが実証された。年3回発表される乳用種雄牛評価成績(赤本)には、泌乳・体型形質のほかにも気質・搾乳性や在群期間、体細胞スコア、08年Ⅲからは泌乳持続性の遺伝評価値が開始されるなど、国内を中心に各種雄牛の遺伝的特徴や交配の際の有益な情報が多く掲載されている。
牛群を長持ちさせ、生産性をより高めるためには、信頼できる国内の遺伝評価値と世界のトップレベルの実力を持つ国内種雄牛を効果的に利用することが得策だ。
アカツキ牧場(愛知)で生涯乳量14万kg
昨年9~12月に都府県で検定成績証明された牛のうち、別表には生涯乳量5万kg以上の高記録牛を示した。
今回の生涯乳量トップはアカツキ牧場(愛知)所有のドーンデールオレゴントング(平4.11.19生、体型得点88点)、で11回の検定で検定日数4351日、総乳量14万5990kg、乳脂量5521kg、平均乳脂率3.8%、乳蛋白質量4592kgを記録し、現存牛では生涯乳量都府県トップ、歴代でも乳量2位、乳脂量でも歴代3位の快挙を遂げた。
2位は佐藤和彦さん(群馬)所有のコロニーラビッシュバニーで、8回の検定で総乳量10万kgを突破した。これで都府県の生涯乳量達成牛は81頭になった。
19年度検定成績優秀牛(群)~10牛群32頭を表彰~
日本ホル協では昨年11月、公表が遅れていた平成19年度都府県における検定成績優秀牛群と検定成績優秀牛を発表、表彰した。
検定成績優秀牛群表彰は、牛群検定参加牛に占める検定成績証明割合を勘案した上で平均乳脂量(F)偏差値による次の10牛群。
郡山市観光交流振興公社(福島)F偏差値188.1、佐野茂樹さん(岩手)187.9、矢内孝久さん(群馬)174.9、丸山孝夫さん174.4、藤ノ木昇さん167.2、山之内浩一さん162.9(以上、新潟)、小林正春さん(長野)160.4、近野亮一さん(山形)159.5、高田茂さん(埼玉)158.1、荒木春次さん(熊本)157.2。
検定成績優秀牛表彰では、2年型365日乳量および乳脂量で都府県記録を更新した石川和博さん(静岡)所有のプーリーブリッジスカイチーフエレガンス5ET、2年半型305日乳脂量で佐藤浩通さん(福島)所有のクリークファームルドルフツルマツ、4年型365日乳脂量で渡辺征央さん(静岡)所有のRCAアウトサイドASアニー、成年型365日乳量で一ノ瀬正幸さん所有(福島)のジョハナジュラートゥーマーの都府県記録牛4頭をはじめ、19年度の各年型最高記録牛の合計32頭(詳細は全酪新報昨年12月20日号3面または本会ホームページの「機関紙」欄を参照)。

平成21年1月20日
「期待のLIAJ供用種雄牛」

~2008-Ⅲ乳用種雄牛評価成績~

昨年11月25日に公表された乳用種雄牛評価成績では、NTP第1位に3期連続の「ユース」、第2位に決定得点1位、乳器2位の「マセラテイ」、第3位に抜群の高能力と好体型の改良力をもつ「ベチー」、さらに現在共進会などで活躍している「ブラックス」や「リヴェレスト」など幅広い特色をもった家畜改良事業団の供用種雄牛(共有種雄牛を含む)16頭がNTPトップ40以内にランクインしました。
ユース~3期連続NTP国内ナンバー1~
1昨年の2007年8月の成績公表で選抜された「NLBC マーシャリーズ ユース ET」は、08年Ⅰ、Ⅱ、Ⅲと3期連続でNTPナンバーワンに輝きました。
「ユース」の誕生は、家畜改良センターのドナー検定の手法によって当時多くの家畜人工授精所の注目を集めた新冠牧場繋養のユング セシリア コンビンサー ETに「BW.マーシャル」を交配したことに始まります。また、祖母のユング セルシアス スキャント ETは高能力・好タイプのエリート・カウとして高い評価を得ており、同じファミリーからは姉のユング ルーク シャーリー ETを祖母に持つ「ワイズダム(JP5H52674)」も選抜されており、ファミリーの遺伝レベルの高さを窺わせます。
泌乳能力では、特に乳量EBV+2202kg(3位)と突出しており、乳蛋白質量+58kgはNTP第3位のJP5H52811「ベチー」と肩を並べて堂々の1位になっています。また、SNF量2位、乳脂量10位と実力を備えています。
体型面では、鋭角性や肢蹄、乳用強健性、乳器でSBV+2.00以上、決定得点は+1.87と高く、特に肢蹄では後肢後望が平行、乳器は後乳房の高さや乳房の懸垂で高い数値を示しています。
乳房の懸垂では、JP5H52083「ブラックボックス」やJP5H52850「ブラックス」を凌ぐ+4.38の改良力を持ち、全種雄牛の中でトップです。体型の改良力は娘牛ブルームウードゴールドジュラーユース(2産、体型得点86点)に見られるように、鋭角性に富み、肢蹄や乳用強健性、乳器、決定得点でも素晴らしい表型を示しています。
マセラテイ~エルヒローズ息子で決定得点1位~
NTP第2位の「NLBC エルフィン マセラテイ ET」は、家畜改良センターが輸入受精卵によって生産したマーシー デイサイダー R マーシヤル ETと「エルヒーローズ」の交配で誕生、「エルヒーローズ」を父にもつ国内唯一の種雄牛としてデビューしました。
本牛は、家畜改良センターが平成13年度から取り組んでいるドナー検定で作出された種雄牛で、今回の評価でもNTP第1位の「ユース」に続いて2頭目の選抜となりました。ファミリーでは曾祖母のシツケマスターダブリューエルト メイシー ETは、3才88点(乳器EX)を獲得し、「ハイメトロ」など体型改良に優れた種雄牛を輩出したことでも知られており、特に乳器の改良力はこのファミリーの遺伝能力の高さを余すところなく表わしています。
特筆すべき点は、決定得点EBV+2.31で1位、乳器+2.06で2位、さらに乳用強健性に富み、十分な高さと体の深さを持ち合わせるなど、すばらしい体型の遺伝改良力を備えています。泌乳能力でも12万円を超える乳代効果と1900kgを超す乳量など、牛群の改良を体型と泌乳能力の両輪でサポートします。
高い泌乳能力と抜群の体型の遺伝改良力を備えた「マセラテイ」の娘牛たちは、乳量と乳成分率も高く、酪農家の皆様が最も期待している乳器の形状が特に優れていることです。体型の線形グラフが示すように、特に乳器では前乳房付着の強さや後乳房の高さ、後乳房の幅の素晴らしい娘牛が多く見受けられます。さらに、乳用強健性に優れ、乳器を含めた体躯のバランスも素晴らしいものがあります。
交配に関しては、高い決定得点と近交を回避するのに適した種雄牛であることから、どのような雌牛にも交配が可能な、まさにオールラウンド種雄牛と言えます。娘牛を飼養する酪農家からは「おとなしくて飼いやすい」という声が多く聞かれます。
ベチー~NTP3位で乳用乳代15万円高能力発揮~
NTP第3位にランクされた「ベチー」は、NTP第7位の「WGボギー」と同じく、ウエルカムガーターの息牛です。父「ガーター」は高能力と機能的な体型でよく知られた種雄牛です。
母系は、曾祖母のプライセスメルウッドベチーまで遡ると、「ルドルフ・ベチー(JP5H51281)」を輩出し、雌牛でも多くの著名牛、例えばルーク・ブリザードやルーク・バンディット、国内でもオムラ・ベッツイーを輩出するなど、国内外で大変繁栄している系統です。
泌乳能力では、乳代効果が15万円を超え、乳量は約2300kgと高い上に乳脂量やSNF量、乳蛋白質量でも高い改良力を示しています。体型面でも高さや胸の幅、鋭角性に富み、特に乳器では後乳房の高さと幅が優れています。
WGボギー~父ガーター優れた乳房付着と高さ~
NTP第7位にランクされた「WGボギー」は、高能力牛ミスオータム ルド ビスケット ETに、当時はアウトクロスブルとしても人気のあった「ガーター」を交配して作出されました。
母牛のビスケットは当時、それほど有名なファミリーではありませんでしたが、雄大なフレームと胸の強さに加えて4万ポンドを超える乳量と、アメリカ・コネチカット州2位という乳脂量の高さから一躍、授精所の注目を集めることになりました。現在では、このファミリーから多くの高能力牛が誕生し、各地の牧場で活躍しています。
泌乳能力では、12万円を超える乳代効果を示し、1700kgを超える乳量、乳脂量、SNF量、乳蛋白質量でも高い改良力を示しています。
体型面では、特に乳器EBVが+1.80と素晴らしく、線形形質では前乳房の付着+2・09、後乳房の高さ+2・64など特筆すべき点があります。
BWアニー~BWマーシャル息子の傑作!~
今や、改良事業団を代表する種雄牛となったNTP第9位の「BWアニー」は、泌乳能力と体型で定評のあるロンナンリードマンアニーETを曾祖母に持つ「アニーファミリー」から作出された種雄牛です。
ご存知のように、「アニーファミリー」からは「アトロン」、「アルカデイア」、「サンシャイン」、「アクエリアス」など多くの種雄牛が選抜され活躍しており、このファミリーの能力の高さは折り紙付きです。
泌乳能力では、乳代効果をはじめ乳量、乳脂量、SNF量で抜群の改良力を示しており、体型面でも決定得点、肢蹄、乳用強健性が大変優れ、特に乳器では後乳房の高さや後乳房の幅、乳房の懸垂に関しては他の種雄牛を圧倒する改良力を持っています。
娘牛の体型特徴としては、大きさは中程度であり、そのほかの形質では線形評価値が物語るように胸の幅、体の深さ、鋭角性に優れている点が特長です。乳器では、後乳房の高さと幅は目を見張るものがあり、乳房の懸垂も強くて明瞭です。
ブラックス~父ジェスロ国産で成分率と乳器定評~
NTP第18位の「ブラックス」は、乳量と体型に強い改良力を発揮した「ジェスロ」の息牛です。父の遺伝能力を遺憾なく発揮し、体型の改良力に優れています。特に乳器では、前乳房付着の強さ、後乳房の高さと幅、乳房の懸垂で大変高い評価を得ており、後乳房の幅と乳房の懸垂では父を凌ぐ値を示しています。
また、国内外で数多くの検定済種雄牛を生産しているプルシャンスキー ニール フルートのファミリーから作出されたエリートブルであり、過去に「バーマ(P549)」や「ポンチアク・ペン(P5651)」、今回選抜された「プル(JP5H52965)」などが活躍中です。
「ブラックス」は、体型の遺伝能力を遺憾なく発揮した「アーロン」の娘牛ティーウェーブ ホリ フリスキー アー ナンシーと「ジェスロ」の交配によって誕生した「純国産種雄牛」です。
リヴェレストシーク系~乳量と好体型~
「リヴェレスト」は、カナダを代表する著名雌牛コムスター ローリーシークのファミリーから輩出されました。「ローリー・シーク」ファミリーからは、北米のみならず世界中で活躍しているコムスター・リー、コムスター・エルヒーローズなど好体型の種雄牛が数多く輩出されています。「リヴェレスト」の母は、カナダで7歳級の乳量記録を持つオコナーズTVFルドルフ リリーで、期待どおりの成績で選抜されました。
体型では、決定得点や体貌と骨格、肢蹄、乳用強健性、乳器に優れており、泌乳能力では乳量、乳脂量で高い能力を示しています。娘牛は鋭角性に優れており、後乳房の幅や前乳房の付着が強く、皮膚被毛の柔らかい、スタイリッシュな特徴を持っています。