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機関誌

機関誌内容一覧

平成21年9月20日


平成21年9月20日
「あと1年」

~第13回全共(北海道)~
全日本ホルスタイン共進会(「第13回全共」という)は、平成22年10月8日から11日までの4日間、北海道勇払郡安平町にある北海道ホルスタイン共進会場において、ジャージー種60頭を含めた約400頭規模で開催される。残すところ1年余となり、北海道実行委員会では、イベントを含む開催の青写真に沿って準備を進めている。今号では、出品、参観とも間違いのない準備を進めていただくため、その機略について紹介する。
過去最大の出品
過去の反省から ホルスタイン種牛の全日本共進会は、ほぼ5年間隔で開催し、我が国の乳牛改良の成果と方向性を示してきた。そして、時には何らかの話題も提供してきた。特に最近では、出品牛の父牛の偏り(多くが国外種雄牛の娘)に対して様々な意見が出されている。
また、第9回以降は、牛乳・乳製品の消費拡大等を含めた一般県民を巻き込んだ催事となり、参観者は60万人を越えているが、開催県の負担も膨大になっている。
さて、来年開催の第13回全共では、これらの反省を踏まえ、①わが国の後代検定事業の普及宣伝のため、後代検定娘牛の部を設ける、②高校等特別枠を設け、酪農後継者育成の支援に努める、③既存の施設を使って開催経費の節減を図る、などの工夫をしている。宿の予約は直に 第13回全共の日程を表1に示したので、参観を計画する際の参考にされたい。特に、宿泊に関しては、実行委員会等による特別斡旋等は行わないので、ホテル等の手配は直接ホテルにお早めに。
検定証明は必ず 次に、表2に、第13回全共の出品区分と飼養条件・検定条件などを示した。月齢の算定、高校特別枠、出品の制限、出品牛の資格などについても下段に示したので、出品を考えている方は、是非ともこれらの事項についても熟知しておいていただきたい。
特に、①牛を動かした場合の個体識別センターへの転入・転出の報告、②本牛又は母牛の検定成績証明の早めの申込みは是非とも実行して欲しい。
各都道府県の平成21年8月末現在の出品希望頭数を表3に示した。「一般」、「後代検定」はまだ計画頭数を満たしていない。来年2月末まで受け入れ予定で、3月の日本ホル協理事会において、最終決定となる。
また、審査委員については、11月の同協会の理事会で選考方法をきめ、3月の理事会において決定する運びとなっている。
衛生要領遵守を また、全国から様々な飼養条件で飼われている牛が一堂に集まるため、家畜伝染病などに十分な配慮が必要である。第13回全共でも「衛生対策要領」を制定して、安全を期している。
ブルセラ病やヨーネ病をはじめとする伝染病等の予防に神経質なくらいの配慮をお願いしたい。
なお、「衛生対策要領」及び「検査・予防注射証明書様式」は、日本ホル協のホームページの下欄「第13回全日本ホルスタイン共進会について」に載せてあるので、参照いただきたい。
北海道的な展示など
第9回以降、開催経費が嵩んできたが、その多くはイベント事業に費やされたことから、第13回全共では、共進会以外のイベントは、約2㌶という限られた敷地内で開催できるものに特定して企画しているが、それでも、北海道らしさを発信しようと、いろいろなゾーンを設けて、共進会以外でも楽しく1日が過ごせるような計画が立てられている。
主なものを紹介する。
道外からの来訪者には、北海道の物産と北海道の食材を生かしたご当地グルメがいっぱいの「北海道物産パビリオン・北の食パビリオン」が用意されている。
また、一般の消費者も見て、触って、学ぶことが出来る「交流体感牧場」パビリオンが用意される。
この中の北海道酪農歴史や北海道酪農の父「宇都宮仙太郎氏の軌跡」の展示は是非とも見たいところ。
放牧事例紹介も また、日本ホル協では、濃厚飼料の多給に依存しない、放牧を主体とした粗飼料主体の飼養管理方式への転換の道を探るための事業に今年から取り組んでいるが、この中で放牧の実態調査を行った優良放牧の事例紹介や放牧に適した牛の展示とDVDやリーフによる紹介を行う。さらには、放牧牛が生産した牛乳・乳製品の特性を紹介するブースも設けられる予定となっている。
過去には・・・全共の歴史は、来年で60年を数えることが出来るが、それぞれの開催の概要を表4に示した。
戦後まだ厳しい世情の中、昭和26年3月に第1回が開催されたことに驚く。30都道府県、157頭も集まった。天皇陛下の行幸、そして吉田総理大臣をはじめ政府要人の来訪など、酪農家を元気づかせる催事となった。
長野県で開催の第3回には、ご成婚間もない皇太子殿下ご夫妻(現天皇)が開会式にご台臨された。雪の散らつくなか、多くの一般市民が詰めかけている写真が残る。
群馬県開催の第7回では、赤白斑牛が経産名誉賞を得た。赤白斑牛に血統登録の道が開かれて3年後のことである。
最後に、過去の歴代経産牛の名誉賞(最高位賞)を得た牛を表5に示した。
2回以上の経産名誉賞を獲得した人(牧場)は宇都宮勤(牧場)さん、町村敬貴さん、植田晃雄さんの3人、なお、植田さんは、第11回全共最高位賞牛の生産者でもある。
第9回と第11回の受賞牛は親子であることも特筆されよう。



平成21年9月20日
「円滑な推進に向けて」

~日ホ協・登録委員研修会開催~
223名が出席
日本ホルスタイン登録協会は7~8月、都府県5地区で、登録委員や乳牛改良関係者など延べ223名を集めて、平成21年度地区別登録委員研修会を開催した。
この研修会は、日頃酪農現場の第一線で活躍している登録委員を対象として毎年夏季に開催しているもので、今年度は、東北地区は山形県、中部・北陸地区は三重県、近畿地区は滋賀県、中国・四国地区は高知県、九州地区は沖縄県での開催となった。
1日目の事務研修では、先ず、主催者から、当協会の各表彰要領に基づき、20年度に登録推進に貢献された登録委員や支部承認団体、更に審査成績優秀牛群など、表彰対象者を紹介し、感謝と称賛の意を表した。そして、平成20年度の登録申込みでは4万3105頭で、昨今の酪農情勢の悪化により大幅な減少が危惧された中、前年度対比97・2%と僅かな減少にとどまったことに対し謝意を表するとともに、今後とも酪農経営の安定に欠かせない乳牛改良のより一層の推進をお願いした。情報の読み方も また、家畜改良事業団のご協力により、同団斎藤理事はじめ各種雄牛センター職員を講師に招いて「改良情報を読む」と題し、改良にまつわる話から、改良情報の見方、世界における我が国の種雄牛の位置付け、また最近話題になっている乳牛育種の新時代とも言えるゲノミック評価法などの乳牛改良に欠かせない貴重な講演をいただいた。
実務の研修では、近年の種雄牛の集中的利用により、近交係数の上昇が危惧されることから、「近親交配は避けよう」と題して、近親交配のデメリットを示すとともに近親交配を未然に防ぐ具体的な方法についてスライドによる提案、また証明書の早期発行に支障をきたしているトラブル原因及び申込みの際の注意事項などの確認が行われた。
2日目は、真夏の暑い中であったが畜産研究所や農業高校などの会場で、教材牛を用い審査研修を行った。出席者は牛の見方や線形評価法、得点評価などについて3時間にわたり熱心な研修を行った。なお教材牛の準備が困難な地区では、スライドによる研修となった。

平成21年9月20日
「EX牛67頭、前年より8頭増」

~21年度前期都府県牛群審査実施状況~
21年度前期の都府県における牛群審査と後代検定に係る体型調査が42都府県で実施され、審査頭数は3877頭で前年同期を83頭下回った。また、体型調査は998戸で6408頭を実施し、前年同期を103戸、909頭下回った。審査得点90点以上(EX)の雌牛頭数は67頭で、最高得点は栃木県・和田泰さん所有牛が9歳6産で93点を獲得した。
審査頭数前年並み
平成21年度前期に都府県で牛群審査を受けた戸数は360戸で3582頭、牛群奨励・個体審査は96戸で295頭、審査合計頭数は3877頭となり、前年同期比では牛群審査戸数が31戸増えたものの奨励審査戸数が減少したため全く同数。同じく頭数では牛群審査が36頭増えたものの、奨励審査等が119頭減ったため前年を83頭下回る結果となった。
一方、体型調査は延べ998戸の牛群検定農家を訪問し、初産泌乳中の後代検定材料娘牛1719頭と同期牛4689頭の合計6408頭の体型データを収集した。
表1には都府県別に牛群審査・体型調査実施状況をとりまとめた。審査頭数では岩手県が378頭で最も多く、以下熊本県の351頭、群馬県の320頭、愛知県の283頭、栃木県241頭、千葉県212頭と続いている。対前年比で頭数が伸びた県は愛知県で106頭の増、熊本県の89頭、埼玉県の67頭など、約半数の県で前年を上回った。これに対して岩手県は271頭と大きく下回ったが、これは大規模農場の受検がなかったことによる。
また、体型調査頭数では審査と同様、岩手県が最も多く591頭、以下熊本県506頭、群馬県476頭、栃木県392頭、宮崎県380頭、鹿児島県368頭と続いている。
なお、審査・調査の合計では岩手県が969頭と最も多く、次いで熊本県、群馬県、栃木県、愛知県の順。さらに、雌牛1万285頭の平均審査得点は80.57点で前年と全く同点であった。
栃木県で前期最高の93点
さて、前期都府県で審査得点90点以上(エクセレント=EX)に評価された雌牛を表2に示した。前年同期より8頭増え67頭となった。県別では岩手県と栃木県、熊本県が9頭で並び、次いで静岡県6頭、福島県5頭、群馬県4頭と続き、計21県でのEX誕生となった。
今回の最高得点は、栃木県・和田泰さん所有のリージェントリーダーキム(父コムスターリーダー)で9歳1月齢、6産で93点を獲得した。正確な骨格構造で肋の開張が極めて良く、年齢を感じさせない素晴らしい乳器が評価され、今回の快挙となった。
さらに、今回は次の方々で初のEXが誕生した。表2の上から岩手県・山火松雄さん、大井進哉さん、宮城県・高橋真さん、新潟県・高橋洋一さん、山之内浩一さん、山梨県・山口朝康さん、兵庫県・金澤益司さん、鳥取県・三浦幹雄さん、熊本県・立作浩一さんの9名で、長年にわたり改良を続けてきた成果が点数に現れたものと考えられる。また、熊本県・松島喜一さん方では一挙に5頭、栃木県・植木靖さんでも4頭、群馬県・都丸進さんでも3頭がEXに格付けされており、複数頭が同時に付けられることも珍しくない。やはり牛群としてのレベルが上がってきた成果ともいえよう。


EX牛は3産、9千㌔以上
ホルスタイン雌牛の審査で初めてEXに評価する場合は次の条件を全て満たすことが必要である。
①3産以上で正常分娩していること、②305日検定の実乳量が9千㌔以上、③泌乳中であること、④けいれん肢がないこと、⑤融合乳頭がないこと。

平成21年9月20日
「ソーサ「CV」判明」

~CV種雄牛交配を避けよう~
このほど、ジェネティクス北海道(GH)所有の検定済種雄牛フアーオーラサミーソーサET(JP3H52774)が、特定遺伝性疾患であるCVM(牛複合脊椎形成不全症)のキャリア「CV」であることが判明した。
本牛は平成14年にアメリカから生体輸入されたもので、同国での遺伝子型検査でCVM検査済正常「TV」と証明されていたため、日本でも血統登録証明書に「TV」と表示して、後代検定の結果、18年12月から一般供用してきた。
本牛は昨年2月に廃用し、精液在庫はない。
CVM(致死遺伝)はそのキャリア「CV」同志の交配では、生まれてくる産仔の4分の1がCVMを発症し死産してしまう。したがって、ソーサの産仔には「CV」である種雄牛を授精しないよう十分に気をつけていただきたい。また、ソーサの産仔を販売・導入する際には、本種雄牛が「CV」であることを事前に了承・確認する必要がある。
当協会では、8月15日以降に血統登録や移動証明した産仔等の登録証明書には本種雄牛欄に「CV」表示を行っているが、すでに登録済みの産仔について、登録証明書の更正(本種雄牛欄のCV表示)や遺伝子型調査(CVM判定のみ)を必要とする場合には、12月28日までに支部・承認団体まで申し出るようお願いしたい(料金負担はなし)。

平成21年9月20日
「ホル協新人」

~栃木出身2名の活躍に期待~
近未来は審査委員!~日本ホル協登録部・高橋貞光~
7月1日付けで審査委員候補として当会に入会し、登録部証書課配属となりました高橋貞光(33歳)です。
私はいわゆる中途採用です。これまでは栃木県で改良事業に約10年間従事して参りましたが、この度縁あって当会にお世話になることとなりました。地元を離れ、人生初の電車通勤が始まり約3ヶ月、最近ようやく環境にも慣れてきたところです。
私は栃木県で登録事業・凍結精液・後代検定事業・体型審査・改良同志会事務局等を担当していました。業務を通して様々な事を学びましたが、特に血統登録・牛群検定・後代検定並びに体型審査は一体的な事業であり、乳用牛の遺伝的改良には必要不可欠な重要なものである事を学びました。その中でも様々な産次・月齢・分娩時期の牛を見ることが出来た体型審査は、とても興味深いものがあり、審査を勉強する機会を10年以上も与えていただいたことは、私にとって“役得”であったと感じております。
現在は、将来審査委員として独り立ちするために必要な知識を学ぶため、当会業務の基本である登録に関する一連の実務について勉強中です。今は皆様の財産である愛牛の血統を登録・証明する責任の重大さ、そして血統登録と同様に体格得点、検定成績証明等の全ては当会が永遠の記録として後代に残す大切なものであることを実感しています。
これからは、日本酪農と歴史を共にしてきたホルスタイン登録協会の職員としての自覚を持ち、そして皆様に納得していただけるような目を養い、一日でも早く審査委員として皆様の牛舎にお伺いできるよう、知識や経験を積み重ねて参りたいと思いますので、お会いする際にはどうぞ宜しくお願い致します。
酪農の発展に貢献したい~日本ホル協総務部・立間小百合~
今年7月1日付で、当会の正職員になりました立間小百合です。
これまでは、契約社員として経理の仕事を担当してまいりました。
出身は栃木県です。実家は養鶏業を営んでおりましたので、生き物を飼い育てるということの大変さは、両親の姿を通して切実に感じてまいりました。大きな体を持つ牛の管理は、鶏を飼育するよりもさらに苦労の多いことと思います。
仕事をさせていただく中で、乳牛に関しては素人同然の私ですが、酪農家の皆様、支部承認団体の方々、同僚の方々に支えられ教えていただきながら、乳牛の魅力、その血統登録という合理的かつ有益な仕組みを知りました。これからもこの仕事に従事しながら、血統登録という制度の必要性や重要性を伝えられるよう、日々努力していきたいと思います。全頭登録を目標に、血統登録と品種改良の推進に力をそそいでまいりたいと思います。
畜産業というものは、生き物を愛して共存しながら、生命の源となる食品を生産するという、大変すばらしい仕事であると思います。そうした産業を支え、さらに広めるためのお手伝いができますことを、誇りに思っております。
今後ともよろしくお願い致します。

平成21年9月20日
「新規「トレジャー」が1位」

~2009-Ⅱ乳用種雄牛評価成績~
先般発表された2009年2回目の乳用種雄牛評価では、総合指数(NTP)4回連続トップを守ってきたNLBCマーシャルユースETを2位に抑え、新規選抜牛スミックランドフリートレジャーがトップに輝いた。このほか、新規選抜牛は3位トラクション、9位ハイデンなど、トップ40に13頭が登場した。海外種雄牛ではロングラングスオーマンオーマンETがトップに、また、乳用雌牛評価ではヘンカシーンヒラリーオリーブETが前回2位から再びトップに返り咲いた。
国産種雄牛、世界トップレベル維持
家畜改良センターの「2009‐Ⅱ評価の概要」によれば、我が国種雄牛の遺伝的能力は、近年では酪農主要国と肩を並べる水準にあり、2003年生まれの乳量(平均値)では、日本が+1170㌔で、フランスの+1046㌔、アメリカの+980㌔、カナダの+824㌔を大きく上回り、引き続き世界のトップレベルとなっている。
別表には国内種雄牛NTPトップ40と海外種雄牛トップ15を示した。
国内トップは、新規選抜の「トレジャー」でNTP+2345、父「フリーランス」×「BWマーシャル」の組み合わせ。形質別では乳脂率7位、決定得点4位、肢蹄9位、乳器1位など高い評価を得ている。
2位の「ユース」はNTP+2211で乳量、乳代効果、肢蹄の改良に期待できる。
3位にも新規選抜の「トラクション」が入った。乳量2位、乳代効果1位と高く評価された。
「サリーオリー」は前回13位から5位とトップ10に返り咲き、7位「ノマド」は平成16年から19回の公表でベスト10に12回選抜されるなど常に上位に君臨し、安定した成績を残している。

新たに産乳成分と体型成分を公表
総合指数(NTP)は、牛群の中で長持ちしてしっかりと働いてくれる、経済性の高い乳牛を作るための遺伝的な指標で、「産乳成分」と「体型成分」から構成されている。これまでこれらの値は公表されていなかったが、酪農関係者の皆さんが交配種雄牛の選定等に活用できるように今回の評価から公表となった。
今後の変更計画
2010年以降、評価精度の向上等を目的として以下のような変更が計画されている。
①遺伝ベースの変更
個体の遺伝能力は、基準となる年(ベース年)に生まれた雌牛の平均値をゼロとしてそこからの差として表示される。遺伝評価値は、平均的な乳牛に交配した場合に期待される遺伝的改良量を示すことが望ましいため、定期的にベース年を変更する必要がある。インターブルでは5年に一度の変更を奨励しており、わが国もその方法を採用している。
前回の変更は2005年に行われ、2000年生まれの雌牛の平均がゼロとなるように設定されている。前回の変更から5年後、すなわち2010年が次のベース年変更の年に該当する。これにより、遺伝ベース変更後の遺伝評価値は、2005年生まれの雌牛の遺伝的能力を基準として表される。
②遺伝評価方法の変更
泌乳各形質の遺伝評価は、これまでの乳期当たりの305日総生産量を評価する乳期モデルと呼ばれる方法から、検定日ごとの記録をそのまま計算に使用する検定日モデルへと変更する予定。これにより、より正確に乳期全体の遺伝評価値を計算でき、データ採用は早く、これまでより評価成績の公表タイミングが早まることが期待される。
③種雄牛ごとの泌乳曲線の表示と泌乳持続性評価法の変更
泌乳各形質に遺伝評価法が検定日モデルに変更されることに伴い、これまでの305日生産量の育種価だけでなく、種雄牛ごとの遺伝的能力を泌乳ステージに応じた曲線で表示することができるようになる。また、泌乳持続性の評価値も検定日モデルによって推定される泌乳曲線から計算したものに変更される。
海外種雄牛
海外種雄牛のNTPでは、オーマン×アーロンの組み合わせの「マンオーマン」が+2881で新たなトップを飾った。2位には「ボルトン」、3位には前回トップの「プラネット」が入った。14位にはドイツの「ジャーディン」がランクインされた。
「ヒラリー」強し
雌牛評価では、北海道の加藤智行さん所有の「オリーブ」が再びトップを飾った。母牛である2位の「ハーシェル」と常にトップ争いを行っている。4位の「プリンセス」は「ハーシェル」の妹、14位「レンジ」は「オリーブ」の妹で、一族の強さを物語っている。
また、スイーティー族の3位「フォー」と9位「マリアン」は姉妹で、12位「カトリーヌ」は叔母にあたる。
同じようにジュディ一族の7位「オング」と8位「アイリス」は姉妹で、15位「バーサ」は叔母にあたる。
都府県では唯一ベスト10内に入ったのが9位の兵庫県・小谷正子さんの「パラダイス」。上位100傑には、24位の静岡県・大美伊豆牧場さん、30位の新潟県・畜産研究センターを含めて19頭が入った。

平成21年9月20日
「平均乳量9147㌔ 1戸当検定牛56.2頭」

~20年度牛群検定成績~
先般、家畜改良事業団から平成20年度牛群検定実施状況と成績(速報)が発表された。
表1には牛群検定農家戸数・頭数の推移を示した。これによると、全国では1万142農家、56万9782頭の乳用経産牛が牛群検定に参加している。検定農家戸数は前年より239戸減少したが、検定牛頭数は267頭増加した。前年は検定頭数が7623頭と大幅に増加し、過去最多の17年の頭数に迫る勢いであったが、やや伸び率が鈍化した。また、1戸あたり検定牛頭数は、過去最多となった昨年を更に1・3頭上回り56・2頭となった。
地域では、北海道が5138戸で36万1465頭(1戸あたり70・4頭)、都府県は5004戸、20万8317頭(同41・6頭)で、北海道では検定戸数が前年より92戸減少したが、頭数は約5千頭増えた。
昨年2月畜産統計の成畜飼養農家に対する検定農家比率では、北海道が66・6%、都府県は31・7%、全国平均43・2%となり、いずれも前年を若干上回った。
また、経産牛頭数に対する検定牛比率では北海道が75・1%(前年より0.4%減)、都府県40・3%(同0.8%増)、全国平均は57・1%(同0.8%増)となった。
表2には、検定農家・検定牛比率の高い都府県を示した。普及率が最も高かったのは鳥取県で、89・0%、検定農家比率も72・6%と群を抜いている。次いで鹿児島県73・4%、宮崎県72・7%、以下、福岡、岡山、熊本、愛媛、広島が続き、西日本に集中している。一方、検定牛普及率20%未満が6府県、20~30%未満が12府県となお多く、その普及推進に苦慮している状況だ。
表3には牛群検定成績(ホルスタイン種立会、305日、2回搾乳)の推移と20年度の実績を示した。
20年度の全国平均乳量は9147㌔で、前年より7㌔の微増だった。昭和50年に牛群検定がスタートして以来、平均乳量は60年に7千㌔、8年後の平成5年に8千㌔、9年後の14年には9千㌔を突破した。その後6年が経過したが133㌔の増加にとどまり伸び悩んでいる。地域別乳量では都府県が9315㌔(前年より17㌔増)に対して北海道は9053㌔(同3㌔増)で、都府県が4年連続で北海道を上回り、年々差は広がっている。
また、乳成分率(全国)は乳脂率3・95%、乳蛋白質率3・23%、無脂固形分率8・72%でほぼ前年並み。因みに、牛群検定発足当初の平均乳脂率は3・60%で、33年間で0・35%上昇した。同じく、昭和62年に計測開始した乳蛋白質率は21年間で0・21%、昭和60年に計測開始した無脂乳固形分率は23年間で0.12%、上昇した。



平成21年9月20日
「生涯乳量」

~都府県21年7~8月~
本年7~8月に都府県で検定成績証明された牛のうち、別表には生涯乳量5万㌔以上の高記録牛44頭を示した。
今回の生涯乳量トップは宮崎県・前原和明さん所有の「ハピニスファームマグネットメイリン」(平9・8・5生)で、7回の検定・3032日、総乳量11万3865㌔、乳脂量4082㌔、平均乳脂率3・6%、乳蛋白質量3951㌔を記録した。
「メイリン」は宮崎県で総乳量歴代1位であり、本年6月に11歳10月齢、7産時に体型審査89点を獲得しており、泌乳・体型両面に優れた名牛である。これで都府県で生涯乳量10万㌔突破牛は85頭となった。
2位は埼玉県・亀田康好さん所有の「シンボライズレインビューティエチュード」、6回の検定で総乳量9万6495㌔を達成した。
また、5位の岩手県・藤岡俊策さん、6位の埼玉県・青木雄治さん、11位の福島県・(財)郡山市観光交流振興公社さん、25位の埼玉県・亀田康好さん所有牛は審査得点90点以上である。

平成21年9月20日
「事故0で早期発行」

~血統登録申込チェック~
会員の皆様には厳しい酪農情勢の中、乳牛改良の原点である登録事業にご協力いただきありがとうございます。
当協会では、登録証明書の有効活用を図ってもらうために1日でも早く皆様のお手元に届くよう早期発行に努力しております。しかしながら、申込書類の事故のため登録書の発行が遅れてしまう場合があります。移動未了・授精データ未報告が4割 別図には平成20年度血統登録申込みにおける事故照会内容の内訳を示しました。個別登録の事故照会の第1位は、導入牛の移動未了(事故全体の39%)で他を圧倒し、次に精液ラベル不備(16%)、家畜個体識別センターへの出生報告の遅延(12%)、在胎日数の不合理(8%)、授精証明書と個体識別センター報告との母牛相違(8%)が続き、上位5項目だけで全体の8割以上を占めています。
一方、自動登録は現在、血統登録頭数の約30%まで伸びており、当協会としても今後の有効な登録手段として、自動登録の普及拡大を一層推進していくところです。しかしながら、授精データ未報告(42%)、母牛無登録(22%)、在胎日数の不合理(21%)などで申込事故全体の85%を越えており、証明書の早期発行に支障をきたしています。正確な繁殖情報は登録に限らず酪農経営の根幹をなす重要な情報でもありますので、家畜個体識別センターへの早期の出生報告と当協会への正確な授精データを報告願います。
なお、個別登録申込みの際に事故にならないために注意願いたい項目を挙げましたので申込みの際には確認をお願いいたします。
[事故にならないための血統登録申込みチェック項目]
①家畜個体識別センターへ出生報告をしていますか。また登録申込書の記入内容と一致していますか。
②申込者と母牛の登録証明書に記載された所有者は一致していますか。
③在胎日数(280日±15日)を確認しましたか
(265日未満、296日以上の場合は授精台帳の写しを要添付。なお260日~264日、もしくは296日~300日の場合は「早産」「長期在胎」などを申込書に付記することで写しの添付は省略可)。
④授精時に使用した精液ラベルを貼付していますか(精液採取日が授精年月日よりも以前のものかどうか)。
⑤同性双子の場合は同時に申込みをしていますか。異性双子の場合はフリーマーチンでないことを確認していますか。
⑥授精証明書の内容が申込書の記入内容と一致していますか。
⑦ET牛は遺伝子型検査による親子判定の申込みをしていますか。また、供卵牛の親子判定は済んでいますか。
(登録部)

平成21年9月20日
「高記録誕生」

~検定成績証明8月証明分~
本年7~8月に都府県で検定成績証明された牛のうち、別表には生涯乳量5万㌔以上の高記録牛44頭を示した。
今回の生涯乳量トップは宮崎県・前原和明さん所有の「ハピニスファームマグネットメイリン」(平9・8・5生)で、7回の検定・3032日、総乳量11万3865㌔、乳脂量4082㌔、平均乳脂率3・6%、乳蛋白質量3951㌔を記録した。
「メイリン」は宮崎県で総乳量歴代1位であり、本年6月に11歳10月齢、7産時に体型審査89点を獲得しており、泌乳・体型両面に優れた名牛である。これで都府県で生涯乳量10万㌔突破牛は85頭となった。
2位は埼玉県・亀田康好さん所有の「シンボライズレインビューティエチュード」、6回の検定で総乳量9万6495㌔を達成した。
また、5位の岩手県・藤岡俊策さん、6位の埼玉県・青木雄治さん、11位の福島県・(財)郡山市観光交流振興公社さん、25位の埼玉県・亀田康好さん所有牛は審査得点90点以上である。