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機関誌

機関誌内容一覧

平成22年07月20日


平成22年07月20日
「血統登録3.5%の申込み」

~都府県は8%増の伸び~
日本ホルスタイン登録協会の第60回通常総会は6月18日、東京都中野区の中野サンプラザホテルで開催され、平成21年度事業と同収支決算報告、22年度事業計画案と同収支予算案などの議案を諮り、可決承認を受けた。21年度の血統登録申し込みは20万8316頭と前年度を3.5%上回った。都府県では、厳しい情勢と後継牛不足などから2年連続前年実績を下回っていたが、21年度は若干の乳代上乗せ、和牛交配率の低下、後継牛の確保等から、前年度を8%上回った。また、本年度は任期満了に伴う役員の改選が行われ、北良治会長が再選された。
改良でコスト削減
議事に先立ち、北会長が開会挨拶を行った。
北会長は、出席の登録協会社員及び農林水産省生産局畜産部畜産技術室の菊池室長をはじめ多数の来賓に対して謝意を述べた後、「宮崎県下で発生した口蹄疫により被災された酪農家、畜産農家の皆様に心からお見舞いを申し上げるとともに、防疫のため多大なご尽力をされている関係者の皆様に心から敬意を表する次第。国の指導の下、万全の対策が講じられているが、速やかな終息と宮崎県畜産の早期復興を皆様とともに祈念したいと存じます」と述べたうえで、「飼料価格の急激な高騰、飲用需要の低減等による乳価の低迷といった、一時期の厳しい状況は多少改善されたものの、構造的要因に変化はみられず、酪農経営にとって、なお厳しい環境が続いている。こうした傾向は、食料自給率の向上を目標とする「新しい食料・農業・農村基本計画」における生乳生産量の目標値をみても、平成20年度が795万㌧であったものが、平成32年度の目標生乳生産量が800万㌧と横ばい計画。生乳の安定生産のためには、将来的な傾向を踏まえたうえで、消費者、乳業、流通のニーズに対応した供給が必要となる。さらに大切なことは、生産者自らが多様なニーズに応えられるような体質づくりをいかにして実践するか、また徹底したコスト削減をいかにして図るかがポイントで、コスト削減の面においては、乳牛改良が重要な要素のひとつであり、当協会としては皆様のご協力の下、その推進に向け努力していきたい」と挨拶した。
全共・来年に延期
更に、去る5月28日開催の臨時理事会で、宮崎県での口蹄疫発生を受けて、延期を決定した「第13回全日本ホルスタイン共進会」について北会長からは「口蹄疫の発生に伴い、開催の自粛が決定した第13回全共については、北海道並びに北海道実行委員会に改めて来年の開催を要請し、正式に了承を得たことから、本日の理事会で正式に決定したところです」と報告があった。
来年10月7日(金曜日)~10日(月曜日・祝日)開催。出品区分における生年月日の範囲が変更されるが、出品区分や資格条件などの基本的な内容自体の変更はない。
登録・検定証明が増加
議事では、平成21年度事業報告と収支決算、22年度事業計画案と同収支予算案を協議し、原案どおり可決承認された。
21年度は、①役員定数検討委員会が設けられ、役員定数を現行22名から19名まで減らす。②公益法人制度改革にともなう新法人への移行について更に1年間延期して調整する。③登録審議会でブラウンスイス種の体型審査実施について答申を得たことから、実施に向け準備を整える。④会員数は本支局ともに前年比96.4%であったが、農林統計の酪農家減少率と比較すると、本局の会員数の減少は少なかった旨の報告があった。
また、血統登録申込みでは、2年連続前年割れが止まり、都府県で4万6560頭前年度比108.0%と回復し、北海道でも16万1756頭(同102.3%)となり、全体として20万8316頭(同103.5%)という実績となった。また、検定成績証明は全共開催に関連して増加した。特に都府県では前年度より29.2%増となったことが報告された。
北会長再任
日本ホル協の任期満了に伴う役員改選は、新任5名を含む理事16名と監事3名が選出された。
通常総会後に開かれた理事会では、北良治会長、尾形文清副会長、杉浦弘泰副会長及び藤村忠彦専務理事がそれぞれ再任された。
日本ホル協の新役員は次のとおり(敬称略)。
○会長=北良治(北海道・再)○副会長=杉浦弘泰(愛知・再)、尾形文清(福岡・再)○専務理事=藤村忠彦(学識経験者・再)○理事=角倉了一(北海道・再)、川又紀元(岩手・再)、安部正一(福島・再)、臼井勉(栃木・再)、細野勝美(群馬・再)、畔田正一(富山・新)、前田勉(長野・再)、加登孝明(兵庫・再)、三浦幹雄(鳥取・再)、東山基(岡山・新)、岡村隆生(高知・新)、南原需(鹿児島・新)、○監事=佐藤正志(宮城・再)、弓家善一(茨城・新・改選前は理事歴任)、石山宗行(宮崎・再)

平成22年07月20日
「来賓祝辞(抜粋)」

~日本ホルスタイン登録協会第60回通常総会~
日本ホル協の第60回通常総会に来賓として臨席され、祝辞を述べられた方々とその概略は以下のとおり。
改良が全ての基本~農林水産省生産局畜産部・菊池令畜産技術室長~
最近の畜産情勢として、宮崎県において発生した口蹄疫について、国・県をはじめとする各関係団体の協力のもと、現在全力を挙げて防疫対策の徹底に努めている。今後の早期終息に向けて更なる防疫対策の強化に努めるため、引き続き関係各位のご理解とご協力を賜りたい。
昨年度から酪農基本方針並びに家畜改良増殖目標の見直しに取り組んでおり、現在は最終調整を行っている。乳牛においては、生涯生産性や泌乳持続性のように新たな改良方向へ尽力していきたいと考えている。
生産性向上と品質向上、生産コスト低減には改良が基本となるが、改良には長い時間と多大な投資が必要となるため、計画的・効率的・一体的で間違いのない方向へ確実に進めることが必要。
従来の対策事業等が見直しにより縮小・廃止が余儀なくされている。厳しい財源のなか、事業の必要性に応じて重点的に対応し、事業が円滑に進められるように努めたい。
体質強化で難局突破~家畜改良事業団・藤井吉昭理事長~
後代検定事業で、毎年185頭の候補種雄牛から優秀な検定済種雄牛が選抜されている。日本の泌乳能力は年度改良量で100㎏を超え、20年間で約3000㎏の改良成果が得られた。その反面、繁殖の低下や周産期病の多発により管理が難しくなったと言われており、更なる技術の向上が必要。
現在公表のNTPは能力評価と体型評価が3:1の割合で構成されている。材料娘牛を含め年間3万7000頭の体型調査が行われ、この調査事業を日本ホル協に委託している。本年度から事業実施方法が変わり事業実施団体は事務が煩雑となっているが、日本ホル協と連絡を密にして円滑に実施願いたい。
少子化高齢化により酪農家戸数が減少に伴い生産乳量が減り、1頭当たりの収益性が減ったうえに、消費の低迷、口蹄疫の発生等暗い話題が多い今日であるが、世界の経済危機に端を発した一般産業も同様に厳しい状況である。この様な時こそ、堅実的な経営により無駄を省き、収益性を向上させ、体質を強化することが重要である。
地域酪農生産活性化事業で地域の酪農を支援~全国酪農協会・今関輝章常務理事~
都合により欠席した上野会長に代わり代読された。
機関誌全酪新報の「ホルスタイン牛の広場」を通して、日本ホル協には改良の成果や世界の情報を発信願っている。より一層の提携強化と友好を深めたい。
宮崎県において発生した口蹄疫の恐ろしさと、このことに伴う畜産農家の経営・生活・再建不安、何よりも心の痛みに尽きると思われる。政府による様々な政策支援により一刻も早い回復を願っている。
酪農経営においては、昨年の乳価引き上げにより多少の明るさは戻ったものの、長引く景気低迷による消費の停滞が引き続き厳しい情勢を続けるものとなっているが、全酪協では、昨年3月に酪農研究会専門部会の答申を受け、我が国酪農の持続的発展のために地域酪農生産活性化事業を設置し、生産者団体と基金を造成して、本年度は61の事業に対し助成を決定したところであり、事業を通じて少しでも我が国酪農の発展のために貢献できればと考えている。合わせて一層のご意見ご指導をお願いしたい。

平成22年07月20日
「遺伝的能力評価公表の変更」

~独立行政法人家畜改良センター~

(独)家畜改良センターの発表によると次回(8月)の遺伝的能力評価から公表回数等の変更がある。
公表時期・回数
公表回数は現在の年3回から国内種雄牛は年2回(2、8月)、国内雌牛は年4回(2、5、8、11月)、海外種雄牛は、年3回(4、8、12月)となる。
公表方法
公表の方法に関しては、乳用種雄牛評価成績(赤本)では、国内種雄牛の公表に合わせて年2回発行する。なお、2月分の赤本には海外12月分を、8月分の赤本には海外8月分を掲載する。
牛群検定事業で提供されている牛群改良情報は、国内雌牛の公表に合わせて年4回発行する。
家畜改良センターHPでは公表に合わせて掲載する。CD-ROMは、国内種雄牛と海外種雄牛を区分し、各々の公表に合わせて有償配付する。なお、これにはインターブルが行う国際評価において、国内向け公表対象となった海外種雄牛全てを掲載する。
乳用牛評価検索システムは国内種雄牛と海外種雄牛を区分し、各々の公表に合わせて掲載する。
評価の区分
国内の種雄牛評価と雌牛評価を次のように区分する。
種雄牛評価(2、8月実施)は泌乳形質、体型形質ともに、従来の手法から得られた評価結果を公表する。
雌牛評価の泌乳形質(2、5、8、11月に実施)は、従来の手法により得られた評価結果を公表する。体型形質は(2、8月に実施)新たに開始する初産と2産以降の記録を用いた2形質評価から得られた評価結果を公表する。
評価対象牛の充実
分娩難易についてはホルスタイン種未経産牛に肉用牛を交配するケースが多いため、評価に必要な記録を早期に十分得ることができなかったが、2産以降の記録を用いた分娩難易評価値や他の形質との相関関係をもとに初産時の分娩難易を予測することにより早期に公表が可能となる。
体型形質については、遺伝的改良をより推進する観点から2産以降の審査記録しか持たない雌牛の遺伝的能力評価についても公表する。
粗飼料利用性の向上や繁殖性の改善が期待される泌乳持続性は、先行して公表していた種雄牛に続き雌牛も公表する。
詳細は、(独)家畜改良センターHPの発表をご覧下さい。

平成22年07月20日
「22年度事業計画・血統申込み20万5千頭」

~自動登録普及・定着に向け努力(都府県)~
口蹄疫の影響により、第13回全共が第1回全共以来の延期となった。また、夏の登録委員研修会の中止を決定した。
審査実施については、前期に予定していた九州7県が中止を決定した。ほかの地区でも中止した都県や地域が出ている状況である。特に、牛群審査並びに後代検定に係る体型調査データ収集の遅れを夏から取り戻すため、逐次中止をした県の審査日程についての要望を受け付けている。
こうした状況の中、今年度の事業計画として、乳用牛の改良、その基礎である血統登録、審査及び検定の普及拡大に努め、特に自動登録の普及・定着を図ることとした。
本年度のホルスタイン種登録申込見込頭数は、血統登録20万5000頭(本局4万6000頭、支局15万9000頭)、移動証明1万900件(本局7500件、支局3400件)、審査成績証明2万5095頭(本局7600頭、支局1万7495頭)とする。
審査においては今年度から線形評価値から決定得点を算出するシステムを新たに採用した。
ブラウンスイス種では審査基準を定め、体型審査を開始する。また、ジャージー種牛の事務を引き続き受託し、審査標準の改正に協力する。
登録などの広報・普及対策として、全酪新報日本ホル協特集号(年4回)を会員に直送、全酪新報ホルスタイン牛の広場(年9回)やホルスタイン手帳を発行する。
さらに、当協会HPの充実を図り、早期に情報を提供、特に、ジャージーHPの拡充を行い、その利用拡大に努める。
このほか、社員会議や地区別登録事務担当者会議の開催、審査・検定成績優秀農家の表彰や、優秀登録委員・各都府県支部・承認団体の表彰、シャージー種の登録などを行う。


平成22年07月20日
「WHFF審査員」

~ワークショップ開られる~
去る2月27日から3月1日までの3日間、フランス・パリのエキスポ会場において、世界ホルスタインフリージアン連盟(以下、WHFF)が主催する第9回審査委員ワークショップ(以下、WS)が開催された。わが国からは本局大西審査部長と支局佐藤審査部長の2名が参加したので、その概況をご紹介したい。
WS世界各国からの参加このWSはWHFFの体型審査部門における専門会議で、第1回を1990年にイタリア・クレモナで開催して以来、2年に1度、各国を巡回し、「国際的な遺伝評価統一のためには体型審査手法の国際調整が必要」をメインテーマとして、そのときどきの審査全般に関する話題を協議している。各国の審査部長級担当者が一同に集まり、研修、協議した後、自国に持ち帰り、国内の審査委員にその結果を伝達し実施する仕組みになっている。
今回はフランスのホルスタイン関係団体である「プリモ・ホルスタイン」が主体的な後援者となったこともあり、最大イベントである農業博が開催される晩冬のパリでのWS開催となった。ヨーロッパでの開催となり、EU加盟国のみならず東欧や北欧諸国からも数多くの参加者があったが、逆に北米やオセアニア諸国からは各1~2名程度と少なかった。また、アジアからは従来は日本のみであったが、今回初めて中国と韓国から2名ずつの参加があったことで、合計27カ国から52名の参加となった。
全体報告と技術会議
WSの初日は朝8時から、エキスポ会場の特別会議室において、オランダCRV審査委員でもあるアリ・ハモエン議長から、前回のイタリアでの体型審査の調和に関する概要報告から始まった。その後、小さいショウ会場と通路を使い審査の実技研修、会議室での技術会議、大きなショウ会場を使い実技研修、ホルスタインショウと、正味2日間で盛り沢山のプログラムが続いた。
各国の遺伝相関
まず、技術的な会議の概要を紹介すると、オランダCRVの遺伝分析担当者であるヨング氏からは、2010年1月のインターブル評価を使って21カ国の線形16形質と得点3形質(決定得点、乳房、肢蹄)を分析した結果について、各国間の遺伝相関(平均)の傾向が報告された。
線形形質では高さ、尻の角度、乳房の深さ、前乳頭の配置、乳頭の長さ、後乳頭の配置の6形質は0.97~0.90の高い相関を示しており問題ない。次いで、胸の幅、体の深さ、尻の幅、後肢側望、前乳房の付着、後乳房の高さの6形質は0.87~0.80とやや高い相関であるものの修正の必要がある。しかしながら、鋭角性、後肢後望、蹄の角度、乳房の懸垂の4形質は0.80以下と低い相関であることから問題があると報告された。
得点形質では、決定得点と肢蹄がやはり0.80以下と相関が低く問題ありとした。
歩様データの取扱い
WG現地研修では通路も使う一方、このWSのデータ集計を担当しているドイツのステファン氏からは、前回のWSで歩様(Locomotion)のデータを18番目の標準形質として採用することが決議されながら、いまだに実施している(遺伝評価を送ってきた)国が12カ国と少ないことに苦言が呈された。これに対して、参加者からはアメリカですら45%の牛しかデータが取れないことや、つなぎ牛舎が多い地域でのデータ取り扱いをどのようにするか決まっていないので結果に偏りが生じないかという指摘があった。なお、わが国でも平成16年からフリーストールやフリーバーン牛舎においてWHFFの定義に基づいた歩様のデータ収集は行っているが遺伝評価までは至っていない。関連して蹄の健康性に関するデータ収集や蹄病の問題を各国とも重要視していることが窺えた。これは、蹄の病気が歩様に影響を与えているのであれば、その健康性に関して定義を設けてチェックすべきではないかという新たな提案である。しかし、牛自体が健康であれば確実な歩様をするので遺伝によるものとは判断できないという反対意見も出され、全体としての同意は得られなかった。
審査委員のモニタリング
また、審査データの品質向上に関連して審査委員間のデータのばらつきを如何にして減らすかの提案が数カ国から行われた。オランダCRVのガーベン氏からは、データ収集の正確性を向上させることと同時に国間の遺伝相関をさらに向上させなければならないと指摘があった。また、審査委員のモニタリングシステムについての提案も行われた。ドイツのホルステ氏からは、モニタリングシステムの一手法として「2日続けて同じ牛20頭を審査させ、特定の審査委員に問題がないかどうかの分析をするとともに、さらに担当部長が同じ20頭を審査し、前日の人間と結果を比較するという手法をとって教育している」との報告があった。
話題のゲノム評価
デスクで研修最近の話題としてゲノム評価についての講演がオランダCRVのガーベン氏から行われた。この新しい技術によりヤングブルを選抜する時点でのPA(両親からの推定遺伝評価値)が現行なら50%程度にすぎないが、ゲノム評価をすることによってかなり高くなることが報告された。さらにある学説では現行の後代検定システムでは検定済種雄牛に選抜されるまで61ヶ月かかるのが僅か14ヶ月に短縮されることで大幅なコスト減が見込まれるなどの説解があった。但し、我々の行う審査業務とゲノム評価とがどのように関連するのか疑問視する声も多かった。
会議全体のまとめとしては、世界の審査委員が共通認識を持ち、幅広い情報を酪農家に提供することが大切であると結論づけた。
体型審査実技研修
WGでのグループ研修さて、WSでのもう一つの目的である世界の審査委員が共通の眼で牛を評価するため、体型審査実技研修にも時間と頭数をかけて行われた。
まず初日の午前にはエキスポ会場内の小リンクと通路を使い、「後肢後望」「後肢側望」「蹄角度」「歩様」という肢蹄関連の線形形質に限定して出席者の目合わせを行った。供試牛は近隣の酪農家から提供された初産牛20頭。1頭ずつリンクの中で牛を引かせながら全員が評価し、指名された参加者の一人が発表する。ワーキンググループのメンバーであるイギリスのグリボン氏やカナダのトム・バイヤー氏が主任という立場で再度正解を発表するという形式で行われた。しかしながら、前日の昼にワーキンググループで事前に目合わせした時とは牛の状態が変わった場合もあるし、リンクは細かい砂を固めた状態だが通路は堅い絨毯なので、やはり歩様の程度が異なることも事実であり、短時間で評価を決めることの難しさを改めて感じた。
また、午後からはエキスポ会場内の大リンク(ショウの審査会場でもある)を使い、参加者を5班に分け、前述の20頭の供試牛に関してWHFFの標準形質の目合わせを行った。言葉の問題があるので主任とサブの形をとり、第1班はスペインのガブリエル氏と日本の大西部長がグループリーダーを務め、他にベルギー・スウェーデン・スペイン・ラトビア・オーストラリア・アルゼンチン・日本の9名が参加した。ここでは、大西部長が司会を担当、参加者の一人が答案を発表したものに対してリーダーが改めて正解を発表するという進行で行ったが、一部の形質で国によって定義が異なるものがあるため、白熱した議論が交わされる場面もみられた。しかしながら、長年にわたりこのWSが続けられ、しかも参加者の多くが審査部長級の立場で複数回参加しているため、線形形質にしても得点評価にしてもそれほど問題となるような(他とかけ離れた)評価をする場面には出くわさなかった。繰り返し開催されてきた効果が出てきたものといえよう。
盛況だったホルスタインショウ
ホルスタインショウの最終序列決定前フランス最大のショウとのことであるが、レベルも高く、見応えがあった。審査委員はフランスの酪農家。当然のことフランス語で講評し、部分的に協会の女性が英語で通訳してくれた。出品部門は赤白斑が初産・2産と3産以上の2部13頭、黒白斑が初産(2)、2産(2)、3産(2)、4産、5産、6産以上の9部110頭。頭数の多い初産から3産は単純に2分割している模様。出品牛は全体に体高があり乳用性に富んだものが多い。グランドチャンピオンはルーベンスにデリーを交配した白い5産目の牛で、極めて優れた乳用性と乳房を備えていた。グラチャン決定の瞬間には牽いていた娘さんが飛び上がって喜び、さらに徐々にこみ上げてくるものがあったらしく、これは万国共通のものか。牛の体高は軽く160㌢を超えていた。
牛と人間の信頼関係
ところで、出品牛は数日前からエキスポ会場内のプリモ・ホルスタインブースに6頭セットで繋がれており、連日の多くの観客と照明・騒音にも拘わらずきちんと調整され、見事な体を見せてくれた。また、ベストアダー決定やチャンピオン決定に際しては、天井からの3色の照明が点滅し、更にロックミュージックとともに会場が拍手で包まれ、北米のショウとは趣が異なると感じた。また、クラスのトップやベストアダー牛は選ばれる度にリンクの端にセットされたお立ち台に登ってメダルを授与され、記念撮影をしていた。別の日には、シャロレーのような巨漢の肉用牛でさえもこのお立ち台に登っていた。習慣とは言え、牛と人間の信頼関係を見せられたような気がした。

平成22年07月20日
「フランス農業博」

~見聞録~

農業博開催宣伝この農業博は毎年この時期に開催されているが、今年も2月27日から3月7日までの9日間、パリ市内のエキスポ会場で行われた。パリの中心部からは(エッフェル塔と仮定して)電車で約20分程度と比較的近く、車の交通の便もよい立地である。例年70万人もの入場者があり、朝早くから多くの家族連れで賑わっていたし、ラジオのニュースで開催を伝え、また、夕方のテレビニュースでも開催を放映していた。閣僚大臣クラスの方々も視察にこられるようで、いかにフランスが農業大国であるかを物語っている。農業博で農業全般にわたる数棟の展示パビリオンがあり、当然のことながらありとあらゆる家畜が展示されている。教科書でしか見たことのない品種の牛が原則6頭ずつ繋がれ、それぞれがショウを通じて比較され賞を授与されている光景は感動に値する。その家畜を飼養することに対して誇りを持っているだろう。
一方、ヨーロッパ全体がEUに統合されて以来、農業生産物の価格が厳しく押さえられて生活できないというジレンマがあり、棺桶と幟旗を掲げたEU各国の農生産者数百人が展示場の中をデモ行進する場面に出くわしたが、ホルスタインショウをやっている真横を行進するということ自体が信じらず国民性の違いを痛感した。

平成22年07月20日
「登録推進に尽力」

~登録委員73名を表彰=日ホ協=~
日本ホル協では、登録委員に対する記念品贈呈要領に基づいて平成21年度表彰登録委員29府県73名を公表した。
登録委員は、酪農現場の第一線で登録申込書の作成や登録推進、改良指導などで活躍されており、登録の普及啓蒙に欠かせない人材である。日ごろからの努力に対して心から感謝の意を表する次第である。
21年度表彰登録委員は次のとおり(敬称略)で、後日感謝状と記念品が贈られる。
(青森県)藤谷龍
(岩手県)森谷進、畑中翔太、竹田将悠規、中山淳史、千葉一晃
(宮城県)小野由紀子、須藤芳広
(山形県)加藤伸
(福島県)矢内三夫
(茨城県)安原剛
(栃木県)大田原勝男、手塚寛信、岡信也、村山ハルノ、上野圭夫
(群馬県)奥平康子、福田真由美、青木裕治、樺沢秀朔、相川朋信
(千葉県)林敦久、森清之、増戸弘典、水野好幸
(新潟県)神田太一
(山梨県)山田篤
(長野県)清澤理、松沢幸児、柳澤太郎、弓田洋介
(岐阜県)和田幸治
(静岡県)工藤千尋、平野安邦
(愛知県)伊藤幸介、犬塚保夫
(京都府)大江学、俣野明弘
(兵庫県)仲哲也、宮本信治、清水啓貴、高田仁史、藤野幸一
(奈良県)堀川佳代
(鳥取県)今吉正登、登倉浩、山本雄一郎
(島根県)尾添大助
(岡山県)池田直人、難波正憲
(広島県)難波匡克、走崎秀紀
(山口県)藤田尚子
(愛媛県)有友文昭、西川芳満
(福岡県)赤塚修二、山下登、藤井直樹、林国男
(佐賀県)貞松義紀
(熊本県)中村泰博、山崎誠二、松岡孝浩、中村壽宏、丸山きみ子
(宮崎県)國井隆徳、黒木信宏、倉掛健治
(鹿児島県)日高央元、田中直幸、泊秀一、米田秀一、宇都良博
普及推進に貢献~宮崎県経済連など表彰~
日本ホル協では毎年度、会員拡大や血統登録、審査の普及推進に貢献している各都府県支部・承認団体を表彰している。21年度の表象団体は次のとおり。
◇会員拡大推進団体
(優秀賞)宮崎県経済農業協同組合連合会(優良賞)熊本県酪農業協同組合連合会、福島県酪農業協同組合(努力賞)鹿児島県酪農業協同組合、鳥取県ホルスタイン協会、岩手県支部,全国農業協同組合連合会青森県本部、兵庫県酪農農業協同組合連合会
◇自動登録普及推進団体
①増加指数によるもの
(殊勲賞)全国農業協同組合連合会長野県本部(敢闘賞)静岡県ホルスタイン協会、熊本県酪農業協同組合連合会(努力賞)(社)岐阜県畜産協会、秋田県支部、(社)滋賀県畜産振興協会、宮城県ホルスタイン協会、おかやま酪農業協同組合
②普及指数によるもの
(殊勲賞)鳥取県ホルスタイン協会(敢闘賞)秋田県支部、鹿児島県酪農業協同組合(努力賞)愛知県酪農農業協同組合、熊本県酪農業協同組合連合会、おかやま酪農業協同組合、茨城県酪農業協同組合連合会、(社)岐阜県畜産協会
◇血統登録普及推進団体
(殊勲賞)秋田県支部(敢闘賞)佐賀県農業協同組合、宮崎県経済農業協同組合連合会(努力賞)(社)岐阜県畜産協会、静岡県ホルスタイン協会、熊本県酪農業協同組合連合会、ふくおか県酪農業協同組合、大分県酪農業協同組合
◇審査普及推進団体
①増減率によるもの
(優秀賞)(社)群馬県畜産協会(優良賞)愛知県酪農農業協同組合、ふくおか県酪農業協同組合(努力賞)千葉県酪農農業協同組合連合会、全国農業協同組合連合会長野県本部、宮崎県経済農業協同組合連合会、福島県酪農業協同組合、全国農業協同組合連合会青森県本部
②審査頭数によるもの
(優秀賞)(社)群馬県畜産協会(優良賞)熊本県酪農業協同組合連合会、岩手県支部(努力賞)酪農とちぎ農業協同組合、愛知県酪農農業協同組合、茨城県酪農業協同組合連合会、ふくおか県酪農業協同組合、鹿児島県酪農業協同組合

平成22年07月20日
「生涯乳量」

~都府県22年3~6月~

本年3~6月に都府県で検定成績証明されたものの中から、生涯乳量6万㌔突破牛をとりまとめた。
今回は岩手県・中六角保広さん所有牛をはじめ、上位7頭が総乳量10万㌔を突破し、これで都府県の生涯乳量10万㌔達成牛は計95頭になった。
今回の生涯乳量トップは岩手県・中六角保広さん所有の「リバテイーフアームヒンペルクリスタルアンナ」(平7.4.5生)で、10回の検定・3,255日、総乳量(M)11万8410㌔、乳脂量4,584㌔、平均乳脂率3.9%、乳蛋白質量3,504㌔を記録した。
本牛は初産305日検定でM1万㌔にわずかに届かなかったが、2産以降は9産連続1万㌔以上を安定して記録し、9産時に10万㌔を達成していた。また、4歳7月齢、3産時の体型審査で86点を獲得している。アンナ自身は既に死亡しているが、孫の世代まで枝葉を伸ばしており後代の活躍を期待したい。
僅差の2位は同じく岩手県の外谷辰也さん所有の「ノースランドダビドソンジユラー」(平10.10.19生)で、7回の検定・2,893日、総乳量11万6442㌔、乳脂量3,403㌔、平均乳脂率2.9%、乳蛋白質量3,704㌔を記録した。
本牛は泌乳能力と同様に、体型能力も優れている。2歳6月齢、初産時の体型審査で85点を獲得し、2産を経た5歳0月齢で90点、7歳6月齢、6産時に91点を獲得している。
3位は埼玉県・高田茂さん所有の「タカダフアームエムビーリンカーン」(平7.11.7生)で、10回の検定・3,185日、総乳量11万2103㌔、乳脂量5,079㌔、平均乳脂率4.5%、乳蛋白質量3,729㌔を達成した。
4位は岩手県・川村正義さん所有の「アマリアフエイアークマツト」(平8.5.12生)で、10回の検定で総乳量10万9982㌔。5位は福島県・小林知史さん所有の「ヒンペルデイローテリス」(平11.10.26生)で、7回の検定で総乳量10万6105㌔。6位は宮崎県・前原和明さん所有の「ハピニスフアームマグネツトストームメイ」(平11.11.1生)で、8回の検定で総乳量10万4939㌔。7位は埼玉県・青木雄治さん所有の「ブルーバンブーラグアツプルベルルドルフ」(平10.6.29生)で、8回の検定で総乳量10万2029㌔を達成した。
また、審査得点90点以上の記録牛は2位の岩手県・外谷辰也さん、8位、15位の福島県・(財)郡山市観光交流振興公社、9位の栃木県・植木靖さん、11位の愛知県・榊原廣さん、31位の静岡県・石川和博さん、33位の埼玉県・亀田康好さん、35位の茨城県・佐藤創一さん所有牛であった。

都府県22年3~6月(生涯乳量6万㌔突破牛一覧)

平成22年07月20日
「優秀牛&優秀牛群牧場」

~21年度都府県検定成績から~

21年度都府県の検定成績優秀牛として、表に示した延べ32頭をまとめた。昨年度は日本記録2つ(表中、名号前の○印)と都府県記録5つ(同*印)が更新された。
石川和博牧場(静岡)エレガンス号~日本記録4つ保持~
日本記録は、石川和博さん(静岡)所有のプーリーブリッジスカイチーフエレガンス5ET(体型得点90点、父スカイチーフ)で、4.5年型の305日乳脂量1,320㌔、365日乳脂量でも1,532㌔を記録し、2部門で乳脂量日本記録を塗り替えた。また、305日乳量で唯一2万㌔を突破し2万0272㌔、365日乳量2万3365㌔で都府県記録であった。これらの記録は全年型を通して最高乳脂量である。また、今回の記録達成でエレガンス号は4つの日本記録を持つこととなった。
都府県記録を更新したのは2年型305日乳量で家畜改良センター(福島)所有のロツクイーグルオメガシヤムスーシヤーキーと2年型365日乳量で同センター所有のWHGラブラーンスレツトアプト2ETと4年型365日乳脂量でシヤインビツクレベニユーガバネスローンW8。
優秀牛の所有者に目を向けると一ノ瀬正幸さん(福島)が最多の6つの部門でトップ。続いて家畜改良センター(福島)、生田目孝夫さん(栃木)、石川和博さん(静岡)が4つ、石川昭さん(栃木)が3つの部門で優秀な成績を収めた。
丸山孝夫牧場(新潟)~高い泌乳能力牛群~
21年度都府県の検定成績優秀牛群表彰では、丸山孝夫さん(新潟)の牛群が飼養経産牛頭数16頭のうち14件証明から平均乳脂肪量(F)偏差値177.6でトップに輝いた。高い泌乳能力を持つ選び抜かれた牛群である。2位は、矢内孝久さん(群馬)の38件証明のF偏差値171.4、3位は郡山市観光交流振興公社(福島)の19件証明の偏差値166.8で同公社は今回、審査でも牛群表彰されている。
また、5位高田茂さん(埼玉)、8位植木靖さん(栃木)は証明件数が年間100件以上と非常に多いながらも、いずれも好成績を収めている。
なお、矢内さんを除く牛群はいずれも検定成績証明の自動継続申込みを実施している。

平成22年07月20日
「岩手県が3冠達成」

~21年度都府県の各種申込み~
平成21年度の都府県別登録申込状況は別表のとおり。
会費納入件数は8,057名で前年より303名減少した。都府県別のトップは岩手県の1,165名で都府県合計の15%を占める。会員数の多い上位5県で全体の40%を占める。
都府県の血統登録申込数は4万6560頭で前年より3,455頭増加した。近年は申込頭数が減少傾向であったが、回復傾向が見られる。登録申込がもっとも多かったのは岩手県の5,477頭で、以下、熊本県、群馬県、愛知県、鹿児島県、栃木県が2,000頭以上を数えた。
前年度よりも登録申込の増えた県は31都府県で、そのうち年間1,000頭以上登録した県は12県である。増加数のトップも岩手県で859頭の申込となった。会員酪農家をはじめ、登録委員、県支部や関係者各位の努力に敬意を表したい。
審査成績証明(体型調査頭数分は含まない)は8,106頭で前年に比べて471頭増加した。審査頭数のトップは岩手県。次いで熊本県、群馬県、栃木県、愛知県の順となった。審査頭数が100頭以上で前年度よりも大幅に伸びたのは熊本県と愛知県で150頭以上増加した。以下、埼玉県、鳥取県、長野県、千葉県と続いた。
検定成績証明書は4,882頭で前年度より1,157頭増加した。トップは栃木県の1,115頭で、以下、茨城県、埼玉県、岩手県となった。

平成22年07月20日
「事故0で早期発行」

~申込書⑫のチェック~

ホル協登録部では、皆様からの登録申込書類について、血統や生年月日、母牛の授精や産歴、所有者などのチェックを行っていますが、申込書の内容に不備がある場合は事故照会し、事実を確認させていただいてます。
申込みが事故になると登録証明書の発行が遅れてしまいますので、次の点に注意して申込書や人工授精証明書の整備をお願いします。
①申込牛の家畜個体識別センターへの出生報告は済んでいますか?
②申込書の記入内容は、家畜個体識別センターへの報告内容(本牛と母牛の個体識別番号、本牛生年月日など)と一致していますか?
③申込者は、母牛の登録証明書に記載された所有者と一致していますか?申込事故の約30%は母牛の移動未了です。導入などで母牛の所有権が移った場合は、母牛の移動証明も合わせて申込んで下さい(自動登録を除く)。
④在胎日数の確認をしましたか?在胎日数が265未満か296日以上の場合は、授精台帳等の写しを添付して下さい(但し260日~264日、296日~300日の場合は、申込書欄外に早産、遅産に相違ない旨を付記すれば台帳等の写しは省略可能)。
⑤人工授精時に使用した精液ラベルを貼付していますか?精液ラベルに記載されている採取年月日や発行年月日が精液注入年月日以降の日付であるなど、係る授精とは違う精液ラベルが貼付されている場合は事故になります。
⑥人工授精証明書には、母牛の個体識別番号(登録番号)と生年月日、名号、授精年月日、証明年月日、飼養者が記載されていますか?また申込書の内容と一致していますか?
⑦同性双子は同時に登録申込みしていますか?一子が虚弱等のやむを得ない理由で登録しない場合は申込書にその旨を記入して下さい。
⑧異性双子は分娩または受胎確認された上での申込みですか?登録を急ぐ場合はフリーマーチン判定で不妊でないことを確認して下さい。
⑨登録委員による確認(登録委員番号、氏名の記入と押印)をお願いします。
⑩受精卵移植生産牛(ET牛)は遺伝子型検査による親子判定をしていますか?またその供卵牛についても親子判定をしていますか?
⑪名号を希望する場合、同一牛群で重複しないようにして下さい。また名号は32文字以内とします。
⑫赤白斑・異常斑紋の確認をしていますか?赤白斑の場合は申込書のRED欄に○印を、異常斑紋の場合はОC欄に○印を付けて下さい。
(登録部)事故にならないための血統登録申込チェックシート
平成22年07月20日
「全共審査の変遷」

~第9-12回~

過去2回の「日本ホル協特集」(1月20日号と3月20日号)で第1回から第8回までの「全共審査の変遷」について紹介してきたが、今号では9回以降について紹介したい。
(バックナンバー1月20日号3月20日号
第13回全共に関する情報
第9回~熊本県~
第9回は、本州を離れ、初めて九州の熊本県合志市(旧合志町)で、平成2年11月22日から5日間の日程で開催された。多くの一般消費者を巻き込んだ大イベントとなり、参観者は64万人を数えた。
未経産4部門、経産4部門と多回検定の部、母系群(経産)の計10部門に、45都道府県から297頭が出品された。このとき、沖縄県が初参加したことも特筆されよう。
審査は、未経産、経産、多回検定・母系群の3つに分け、それぞれに審査委員と副審査委員各1名を配して行われた。審査は、前回と同じく個体審査と比較審査に分けて行ったため、牛は日を改めて2回リンクに上った。
序列は各部とも約半数の上位入賞牛のみとした。
この共進会では経済的な観点から、出品制限も厳しくされた。
即ち、未経産牛の出品制限を、前回の28月齢未満から26月未満とし2月間短縮するとともに母系群を含めて出品牛又はその母の乳脂量指数を175以上から180以上に、多回検定の部では、3回の平均乳脂量指数を170以上から175以上とし、6歳以上という年齢制限を削除した。
なお、出品牛の体格については、わが国の審査標準に当てはめ、これに著しく逸脱するものについてはその程度により評価するとし、実行したことも特筆されよう。
第10回~千葉県~
10回目という節目の全共は、平成7年11月23日から4日間、千葉市において開催された。会期が1日短縮されたにもかかわらず、首都圏という地の利もあって、参観者は、その後の全共も含め、最高の84万人を数えた。
45都道府県から298頭の出品をみた。
審査区分は、第9回と同じで未経産4部門、経産4部門、多回検定の部及び母系牛群の計10部門とされた。
審査は、未経産部門と母系群、経産部門。多回検定を、それぞれ2組の正・副審査委員を配して実施した。審査方法は、前回までとは異なり、円形歩行審査後、抜出しをして序列を決定した。牛のリンク登場は1回だけとなり、牛及び出品関係者の負担は大幅に軽減された。
なお、経産牛を5部門とし、3歳未満、3歳、4歳、5歳、そして今まで多回検定の部としていた部門を6歳以上経産(多回検定)の部とした。
また、出品牛のうち経産牛で検定記録を有するものは乳脂量指数が185以上と、条件がさらに厳しくなった。ただし、6歳以上経産(多回検定)の部は、検定成績3回の平均乳脂量指数180以上とした。一方、未経産牛及び4歳未満の検定記録を有さない牛にあっては、母牛が検定証明済み又は検定証明申込中のものと緩和した。
第11回~岡山県~
平成12年11月2日から4日間の日程で岡山県灘崎町において開催され、44都道府県から297頭が出品された。参観者は66万人であった。
我が国において、口蹄疫が90年ぶりに発生し、開催が危ぶまれたが、早めに終息したことから何とか予定通りに開催することができた。
なお、岡山県がジャージー種牛の主要飼養地であることから、第3回全日本ジャージー共進会も合わせて開催された。
ホルスタイン牛においては、未経産は12月齢以上24月齢未満までに制限するとともに各部の月齢範囲を短縮して5部門とした。また、経産は2歳級と3歳級をジュニアとシニアに分けて7部門とし、多回検定や母系群は廃止した。
また、出品牛または母牛の能力上の条件を緩和し、検定証明済み又は検定証明申込中のものとした。なお、経産各部にベスト・アダーを設けるとともに、3歳ジュニア以降の部にはベストプロダクションを設けた。
審査は、未経産、経産の2部門に分け、それぞれ正・副審査委員各1名を配して行い、各部とも、前回同様1回の比較審査で序列を決定した。
第12回~栃木県~
第12回は、平成17年、11月3日からの4日間の日程で栃木県壬生町において開催され、44都道府県から303頭が出品された。このときも、前回と同じく第4回全日本ジャージー共進会を併せて開催した。なお、参観者は69万人を数えた。特に、初日、会場に向かう各道路で大渋滞が発生したため、開会式を遅らせるなどの混乱があったことが記憶に残っている。
審査区分は、前回と同じで、未経産5部門、経産7部門としたが、審査は正・副審査委員一組で全体の審査にあたり、1回の比較審査で序列決定までを行なった。
第12回全共で特筆されることをあげると、まず第1に、後代検定娘牛22頭(3事業体の種雄牛8頭から生産)を特別に展示・パレードに供するとともに、各都道府県の出品枠外の4頭が共進会本番に出場したことがあげられよう。
また、高校生を対象とした「ホルスタインの見方」に関する講習会を開催したことや出品者が同じワッペン(牛乳に相談だ!)をつけて消費拡大に努めたことも特筆されよう。
なお「出品作法の厳守」の徹底もより強力に推進された。
最後に
第1回全共時は出品頭数が少なく、4区分で実施したこともあり審査委員も少人数で済んだが、第2回全共からは区分も細分化されたことによりそれに準じて審査委員も増加している。
審査団の編成についてはそれぞれ時代の背景もあり、また、開催前には色々と論議された上での結果と思われる。
審査方法についても、現在は円形歩行審査による一発勝負が一般的であるが、過去の全共においては出品番号順に並べて個体審査を行い、その後に出品牛を並び替えての比較審査を合議制で行っていたこともある。牛も2~3回引き出されることもあった。
この方法では出品者は勿論、参観者にとってもわかりづらかったのではと考えられる。
諸外国のショウのやり方や、国内のショウを国外の審査委員にお願いしてそのやり方等を参考にしながら検討を重ね、第12回全共において初めて審査委員、副審査委員各1名により、全部門を担当し、各部とも円形歩行審査と並列審査を組み合わせた方法で実施された。この方法は、出品者にとっては一人の審査委員に集中できるし、参観者にとっても進行がスムーズで見ていて非常に分かりやすい方法である。
今後の開催に当たっても、審査団の編成についてはいろいろ論議されるものと思われるが、スムーズな進行と出品者・参観者及び関係者等に分かりやすく見やすい方法を考えるべきと思う。

平成22年07月20日
「検定成績優秀記録牛F偏差値上位牛」

~都府県22年5月15日~6月証明分~