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平成23年07月20日


平成23年07月20日「第14回全共 平成27年度開催」開催地は来年度総会までに

~日本ホル協通常総会~
日本ホルスタイン登録協会の第61回通常総会は6月21日、東京都中野区の中野サンプラザホテルで開催され、平成22年度事業と同収支決算報告、23年度事業計画案と同収支予算案などの議案を諮り、可決承認を受けた。22年度の血統登録申し込みは20万5235頭と前年度を1.5%下回った。
都府県では、口蹄疫、東日本大震災の災害などの厳しい情況の中、1.8%下回る程度で留まった。また、役員1名の補欠選任が行われ大友裕典事務局長が新専務理事に選任された。
未曾有の大災害
議事に先立ち、北会長が開会挨拶を行った。
北会長は、農林水産省生産局畜産部の葛谷課長補佐をはじめ多数の来賓並びに当協会社員に対し謝意を述べた後、「このたびの東日本大震災並びに原発事故において被災された、酪農家・畜産農家の皆様に対し、心からお見舞いを申し上げます。
第61回日本ホルスタイン登録協会通常総会(6月21日:中野サンプラザホテルにて)当協会は被災を受けられた酪農生産者並びに関係者・団体に対する復興支援を目的に、去る3月、全酪連、日本酪政連、全国酪農協会そして当協会の4団体で「東日本大震災対策酪農団体協議会」を設立し、義援金並びに要請活動を実施してまいりました。お陰をもちまして、多くの方々から暖かいご支援を賜り、5月に、東北・関東の生産者に義援金をお届けすることができました。ご支援を賜りました関係各位に厚くお礼申し上げます。震災、原発事故に伴う事態の正常化、並びに、被災地の早期復興を皆様とともに祈念したいと存じます」と述べたうえで、「生乳需要に関しては乳製品在庫の減少が見込まれるものの、全体としては不透明さがあり、一方、トウモロコシ価格の上昇により配合飼料価格の値上げが見込まれ、酪農経営を圧迫するリスク要因になるものと危惧されています。さらに、TPPへの加入やEUとのEPA交渉が、農業全般に極めて大きな影響を及ぼすこととして憂慮されています。
こうした厳しい情勢のもと、国際競争力のある酪農経営を実現するには、生産者自ら徹底したコスト削減をすることが重要です。申すまでもなく、乳牛改良が重要な要素のひとつであり、当協会としては、登録事業により、乳牛改良の推進に向け一層努力致しますので、引き続き皆様のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます」と述べた。
第13回全共は中止
更に、北会長より「去る4月13日開催の臨時理事会において、第13回全日本ホルスタイン共進会開催は、東日本大震災並びに原発事故の発生に伴う甚大なる被災状況を考慮し、被災酪農家をはじめ被災地域の復興を優先すべきとの結論に至り、苦渋の決断により、開催の中止を決定しました。なにとぞご理解賜りますようお願い申し上げます。」と報告があった。
第14回全共は平成27年
また、次の第14回全日本ホルスタイン共進会についても、会長から「当協会の役員を委員に『全共企画委員会』を立ち上げ、開催時期、開催地などを含めた今後の基本的な進め方等について協議することになり、去る5月19日、その第1回委員会を開催し、4年後の平成27(2015)年の開催を提案し、本日の理事会で決定したことをご報告申し上げます。開催地等につきましては、引き続き協議致します」と全共継続の報告をした。
登録は微減
議事では、平成22年度事業報告と収支決算、23年度事業計画案と同収支予算案を協議し、原案どおり可決承認された。
22年度は、口蹄疫、東日本大震災の災害の中、会員は1万6198名と3.5%の減少であった。都府県では5%の減少となり8千人を割り7,653名となった。
血統登録申込件数は、全国で20万5235頭(前年度対比98.5%)、都府県4万5700頭(同98.2%)、北海道15万9535頭(同98.6%)と微減に留まった。
移動証明申込は全国で1万1409件(同94.7%)となった。
ブラウンスイス審査始まる
審査成績証明については6万656頭(同239.3%)となった。これは、22年度事業再編により体型調査牛を牛群審査と同じ取扱いとなったため、審査成績証明に加えたことによる増加。
口蹄疫の影響で前期は九州を中心に13県で中止や延期を余儀なくされた。それにより、宮崎県では計画頭数に対し大幅な減少や、他県においても審査日程の変更等により、予定していた愛牛を受検が出来なかった農家もあった。
また、ブラウンスイスの審査が北海道・秋田県で始まった。
検定成績証明は7万9374件で前年度対比1.7%の減となった。都府県では全共で必要条件になっている検定成績証明を見込んでいたため3352件(同24.7%減)の大幅な減少となった。
口蹄疫により、夏の地区別登録委員研修会を中止とし、併設開催する事務担当者会議を1ヶ所で行った旨報告があった。
大友専務選任
大友裕典専務理事日本ホル協の藤村忠彦専務理事が任期1年を残し、都合により退任されたことに伴う補欠選任で、大友裕典事務局長が理事(学識経験者)として選任され、理事会により専務理事に互選された。

平成23年07月20日「来賓祝辞(抜粋)」~日本ホル協通常総会~
日本ホル協の第60回通常総会に来賓として臨席され、祝辞を述べられた方々とその概略は以下のとおり。
血統登録が改良の基礎
農林水産省生産局畜産部畜産振興課菊地令畜産技術室長(葛谷好弘課長補佐代読) 東日本大震災への対応については、農林水産省として、災害発生以降、飼料給与体制の確保を始め、被害を受けた農業者の方々の経営維持に必要な支援を、最重要課題としてきた。
また、昨年から延期されていた、第13回全日本ホルスタイン共進会が震災の発生に伴い、残念ながら中止を決定されたが、次回開催に向け、より一層の尽力をお願いしたい。
生産性の基盤となる乳用牛の改良増殖には、長い年月と関係者のたゆまぬ努力が必要だが、日本ホル協においては長年にわたり、乳用牛改良の基礎となる血統登録や体型審査等に関する諸事業について尽力されている。
その結果、現在ではホルスタイン種の乳量における遺伝的能力が毎年約100㎏増加しており、全国平均の経産牛一頭当たり乳量は約8,000㎏を超えるまで伸びている。
乳量、乳質に優れた能力の高い乳用牛の選抜や、近親交配に配慮した適正な交配を行なうためには、血統登録が基本となる。このため、日本ホル協においては、登録率の更なる向上を目指し、血統登録の推進に期待する。
地域活性化事業 3年で150余事業
(社)全国酪農協会上野千里会長(今関常務理事代読)当協会とは機関紙「全酪新報」の「ホルスタイン牛の広場」に日本ホル協に利用していただき改良の成果、世界の情報を発信しているが、より一層の提携強化と友好を深めたいと考えている。
昨年は、4月に発生した口蹄疫、夏場の猛暑、そして本年3月の大震災による津波、原発による打撃など、まさに酪農業界にとり多難な年であり、また心痛む幕開けであったように思う。
特に、大震災に伴う津波の発生と予期せぬ福島原発の事故による被害は、わが国酪農業全体に及ぶ甚大な損害をもたらし、いまだ復興、復旧の見えない状況にある。
この対応のため、当協会、全酪連、酪政連と日本ホル協の4団体共同で震災対策酪農協議会を3月17日に設置し、義援金活動及び政策支援の二本柱で活動を展開した。幸い全国の酪農生産者をはじめとする関係団体、会社の熱い支援をいただき、5月10日及び30日の2回に分けて、合計1億8千万円を実際に被害に遭われた農家に対し、東北・関東の指定団体を通じて届けていただいた。義援金活動は6月までとし、今後、政策支援のための要請運動を引き続き継続して活動することとしている。
本協会は、一昨年から酪農研究会の答申を受けて基金事業を開始し、わが国酪農の持続的発展を目的とした地域酪農生産活性化事業については、日本ホル協からも貴重な意見をいただき、2年間で90を越える事業に助成し、本年は最終年度としておよそ64の事業について基金による助成を決定した。この事業を通して少しでもわが国酪農の発展に貢献を考えている。合わせて一層のご指導をお願いしたい。

平成23年07月20日「遺伝的能力評価の変更点」~2011年8月評価~
(独)家畜改良センターでは遺伝的能力評価国内種雄牛2011年8月公表の変更点を公表した。詳細はセンターHPをご覧いただきたい。
繁殖性の充実
(1)分娩難易
名称を分娩難易から難産率に改め、従来97~103の7段階で表示してきた遺伝的能力を、遺伝的に難産が生じる可能性をパーセントで表示。これまでは産子の父としての効果のみだったが、娘牛の父としての効果も併せて公表することとし、前者は産子難産率、後者は娘牛難産率とする。
(2)死産率
新たに、死産率を公表し、難産率と同様に、遺伝的に死産が生じる可能性をパーセントで表示することとし、産子の父としての効果を産子死産率、娘牛の父としての効果を娘牛死産率という名称で公表する。
体型の充実
(1)BCS
新たにBCS(ボディ・コンディション・スコア)の遺伝的能力評価を公表開始する。BCSとは、栄養管理の状況を把握するために、「痩せ」から「肥え」の状況を体脂肪蓄積の目安としてスコア化したもの。WHFF(世界ホルスタイン・フリージアン連盟)が、BCSを標準線形形質としたことを受け、日本ホル協が2007年から体型審査の一環で記録の収集を開始し、これまでに十分な記録が蓄積されたことから他の線形形質と同様にSBVで開始することとした。
(2)線形形質のグラフ
体型の線形形質の中にはスコア5(中等度)の前後に位置するものが良いという7形質(尻の角度、後肢側望、蹄の角度、前乳頭の配置、前乳頭の長さ、後乳頭の配置、BCS)について、初産雌牛の線形スコアが5の位置をSBV棒グラフ上に☆印で示す。
在群期間の向上
在群期間は、関連がある形質の情報を補助的に利用することで、評価をしている。この関連形質をいくつか変えることで、より信頼度が増すようにした。
気質・搾乳性の表示変更
7段階の評価の中央値100の範囲を2σの幅から1σの幅に変更。
長命連産効果(仮称)の公表
酪農家からは、これ以上乳量の改良は必要ない・難産になりにくい精液を利用したい等の要望から、日本ホル協によって長命連産効果(仮称)が開発された。
従来どおりNTPを指標としているが、選抜された精液供給可能種雄牛の中から、利用者のニーズによってこのインデックスで新たな指標として交配種雄牛の選定が可能となる。

平成23年07月20日「血統申込み19万7千頭」大震災の影響を考慮8千頭減~23年度事業計画~
第13回全日本ホルスタイン共進会を中止とし、第14回全共企画委員会を立上げ、平成27年開催を提案、理事会で決定をした。今後企画委員会で候補地の協議を進め、来年度の総会までに公表する予定である。
23年度の血統登録の計画頭数は、震災の影響を考慮して前年より8千頭少ない19万7千頭(都府県4万1千頭、北海道15万6千頭)と見込む。
自動登録の推進に向け、その仕組みを見直し、普及・定着を図ることとした。
審査成績証明は、体型調査が昨年は農畜産業振興機構の公募に変わったばかりだが、今年から農林水産省へと事業再編が行われ、応募団体の変更も行われ、各県支部・承認団体が応募できるように改変された。
ゲノミック、クローンなどの新しい技術についても注目し、将来の登録事業との関係に配意し情報収集に努める。
WHFF(世界ホルスタイン・フリージアン連盟)に引き続き加入し、日常的な登録情報の円滑な交換、広く共通の課題であるゲノミック等の扱い、近交と弊害、繁殖障害、遺伝病などについて情報の交換に努める。また、審査ワークショップ(各国の審査委員の目合せ)開催の年のため、担当審査委員を派遣(カナダ)する。
ジャージー種牛の事務を引き続き受託し、審査標準の改正に協力する。
登録などの広報・普及対策として、全酪新報日本ホル協特集号(年4回)を会員に直送、全酪新報ホルスタイン牛の広場(年9回)やホルスタイン手帳を発行する。
さらに、当協会HPはサーバの更新等の充実を図り、早期に情報を提供、その利用拡大に努める。
このほか、社員会議や地区別登録事務担当者会議の開催、審査・検定成績優秀農家の表彰や、優秀登録委員・各都府県支部・承認団体の表彰などを行う。
人事異動~日本ホル協~
(7月1日付け)
◇事務局長兼登録部長(登録部長)栗田純
◇登録部証書課証書係長(証書係主任)高橋貞光
◇総務部経理課経理係主任(経理係)立間小百合


平成23年07月20日「放牧農家の経営と牛」〜日本ホル協が行った調査から〜
海外からの購入飼料に対する依存を減らして、国産飼料生産、利用拡大を図る方向へと転換するための模索が始まり、その一方策として、放牧に目が向けられている。日本ホル協では、放牧酪農も所得上では舎飼い酪農と何ら遜色がないことを確かめた上で、放牧酪農への関心を持っていただくとともに、そこで飼養する牛の生産性をより高めるために、現在わが国にある遺伝資源をもとに牛づくりのお手伝いすることを目的とし、JRA特別振興事業の一つに取り組んでいる。即ち、国産飼料生産・利用拡大調査研究事業(牛の粗飼料利用性調査研究事業うち乳用牛粗飼料利用性調査研究事業、3ヵ年)である。今回は、事業半ばであるが、この事業で行った乳用牛放牧実態調査で得られた知見から放牧酪農の可能性と放牧に向けた乳用牛の改良方向等を紹介したい。
購入飼料費に大きな差〜乳生産費は6.1円安く(�s)〜
所得減の背景は
酪農経営の収益性について、平成17年度と21年度の農水省の畜産物生産費調査の比較からみる(表1参照)。
搾乳牛通年換算1頭当たりの所得は19万6千円から12万7千円へと約6万9千円も減少した。
17年度の1戸当たり搾乳牛通年換算頭数は37.5頭であったから、1戸当たり所得は735万円と計算され、20年度は45.3頭で575万円と計算されるので、160万円の減となった。
また、1日当たり所得は1万5千円から1万円に減少している。
当然ながら、純収益は平成17年度からは赤字に転じ、平成20年度はマイナス5万9千円にもなっている。
収益性悪化の背景として、物材費の高騰があげられるが、同じく17年度と20年度を比較してみる(表2参照)と、搾乳牛通年換算1頭あたり生乳生産物材費が51万4千から59万8千円へと8万4千円も跳ね上がっており、その中で購入飼料費が5万円と物材費値上がり分の約60%にもなっている。
従って、この大きな圧迫材料を取り除くためには、濃厚飼料主体の飼養管理から粗飼料基盤に立脚した飼養管理方式への転換を図ることが求められている。
国では、国産飼料資源活用促進総合対策事業に平成19年度から取組み、自給可能な国産飼料のいっそうの生産・利用拡大を図ろうとしている。
その中に、粗飼料自給率向上総合対策事業があり、その柱として放牧利用推進が掲げられている。
放牧でもやれる
日本ホル協が取り組んでいる事業では、放牧酪農の特徴を把握するため、平成21年度に乳用牛放牧実態調査として、放牧農家(以下「放牧」と略)37戸(北海道33戸、県4戸)、舎飼い農家(以下「舎飼い」と略)13戸(北海道10戸、県3戸)を対象に、道県の(酪農)畜産協会等にお願いして経営内容を調査した。
放牧と舎飼いの経営内容は表3に、また物材費の比較は図1に示した。
要約すると次のようになる。
  1. 放牧の経産牛1頭あたりの飼料作物面積は舎飼いの1.6倍の面積をもつ(1.1�f)。
  2. 飼養する経産牛の頭数の差はわずか。
  3. 経産牛1頭あたり乳量は、放牧が811�s低い。
  4. 年間平均乳脂率では差が見られない。乳蛋白質率、無脂乳固形分率には僅かな差が見られる。
  5. 繁殖関係では、舎飼いよりもやや劣る。
  6. 分娩間隔、種付け回数の平均は舎飼いに劣る。
  7. 飼養牛の平均産次及び除籍牛の平均産次は、放牧の方がよい。
  8. 診療・医薬品費は、放牧が約5千円少ない。
  9. 経産牛1頭あたりの購入飼料費は、放牧が22万5千円と、9万2千円も安くなっている。
  10. 経産牛1頭あたり費用合計は、放牧が71万円、舎飼いが80万円でその差は9万円となった。
  11. 生乳1�sあたり生産費は、放牧が74.8円で舎飼いより6.1円低くなっている。
  12. 経産牛1頭あたり所得は、放牧の方が16万5千円で、2万3千円高い。
以上のように、経営面からは放牧を取り入れた酪農経営にはそれなりのメリットがあげられる。
乳量が少なく、日々の乳代が少なく、何となく魅力が感じないかもしれないが、最終的には経産牛1頭当たり所得が多いのだから、一考の価値が有りそうに思われる。

肢蹄、乳房に特徴顕著〜改良の焦点は乳脂肪率向上〜
初産牛に差なし
上述の実態調査対象農家が飼養する経産牛1千948頭について体格と体型の調査を行った。内訳は、放牧農家飼養牛1千442頭、舎飼い農家飼養牛506頭である。なお、多頭数飼養農家では、50〜60頭無作為で抽出して調査した。
調査牛の年齢構成は、放牧、舎飼いによる大きな差は見られなかった。6歳以上の割合をとってみてもわずか1ポイントの差があるに過ぎない。
なお、初産牛の割合では放牧が26.4%、舎飼い27.5と僅か1.1ポイントの差しか無い。
また、初産時月齢でも放牧25.4月、舎飼い25.6月と0.2月の差があるにすぎない。
中型が長持ち
放牧牛の体格のうち、体高、胸囲について6ヵ月毎の月齢階層別に平均と標準偏差を求め、比較したが大きな差は認められなかった。
先ず体高を比較すると29月未満では1.1�pほど低かった放牧牛も48月齢までにはほぼ追いついている。
なお、体高が最もある階層は舎飼いでは66〜71月で1470.0�pあるのに対し、放牧では72〜77月の階層の牛で146.4�pであった。そして、それ以上の階層になると体高が低くなっている。極論かもしれないが、大きな牛は長く生き残れないことを示していそうである。
また、胸囲は、29月齢未満では197.2�pで、1.6�pほど放牧牛が低い値を示しており、その差は78〜84月齢の階層まで続いており、84〜89月になって逆転している。
舎飼い牛で最も胸囲があった階層は78〜83月で217�p、放牧牛では84〜89月で216�pであった。
肢蹄の強い牛が
実際に現在飼養している牛はどのような体型をしているか。
体貌骨格、肢蹄、乳用強健性、乳器の4区分と決定得点、そして、線形20数形質について日本ホル協の審査委員が出向いて調査した。
その結果を6月齢ごとに階層分けをして、比較を行った。
多くの形質においては大きな差がなかったが、肢蹄と乳器に放牧牛の特徴が出た。
即ち、図2に肢蹄に関わる線形3形質、図3に乳器に関わる線形2形質を示したが、これらに差が見られた。
先ず、肢蹄に関する線形形質「後肢側望」は、舎飼いでは月齢が進むにつれてスコアが高く(飛節の曲がりが強く)なっているが、放牧では60月以上でも平均で5.5〜6.0と望ましい状態になっている。
言い換えれば、飛節の曲がりが強くなった牛は、歩行困難となり牛群に留まれないことを意味しているのかもしれない。
蹄に関わる線形形質「蹄の角度」、「蹄踵の厚さ」とも、月齢が進むほど舎飼いとの差が大きくなっている。望ましい「蹄の角度」の牛、「蹄踵の厚さ」のある牛が舎飼いよりも多く残っていることを物語っている。
乳房は小さめ
次に、乳房であるが、線形形質「後乳房の幅」は、66〜71月齢までは、月齢が進むとともに、放牧、舎飼いとも広くなるが、どの月齢層とも舎飼いの方が広い。
また、「乳房の深さ」も月齢が進むとともに深くなっているが、どの月齢層においても、放牧の方が浅く、月齢が進むとともにその差が大きくなっている。
即ち、放牧の牛は、舎飼いと比べて後乳房の幅が狭く、乳房底面が浅いということで、乳房の容積が小さいことを意味している。
長く牛群内に留まるためには、放牧に適した適度の容積をもつ乳房、即ち、後乳房の幅、深さが適度であることも条件となっているようだ。


F%改良に努力
次に、調査牛で、乳量と乳脂率の遺伝評価値をもつ牛について、年齢層別にまとめたものを図4に示した。
先ず、乳量の育種価は、放牧と舎飼いとも2歳以上と7歳以上では約500�sの差があり、若い牛ほど高い評価値を得ているが、放牧は全世代を通じて舎飼いよりも100�sほど低くなっている。
また、乳脂率は、放牧、舎飼いとも若い年齢層ほど低くなっている。しかし常に放牧の方が高く、若い年齢層ほど舎飼いとの差が大きくなる。
このことは、放牧農家では、放牧期間中も安定した乳脂率の乳を求めるための改良を怠っていないことの証と言える。

放牧に向く牛に
以上のような調査結果等を踏まえて、「放牧に向いた牛づくり」のための交配種雄牛検索システム=乳用牛群改良交配システムを開発し、利用いただくことにしている。
このシステムの流れは、
  1. 基礎データの取り込みと入力
  2. 環境設定
  3. 交配予定雌牛の選定
  4. 改良目標の設定
  5. 受精可能種雄牛の選定
  6. 適正種雄牛の選定
の順になっている。
なお、5の受精可能種雄牛の選定は、国内で遺伝評価値の出ている検定済種雄牛が中心であるが、候補種雄牛も含めることにしている。これは、放牧農家では後代検定へ協力するため候補種雄牛の精液を積極的に利用していることから、近親交配による弊害を回避するためである。最近の日本ホル協の調査では、2009年生まれの登録雌牛で近交係数が5.4%にもなっており、注意を怠ると強い近交となるケースが多い。
放牧という条件下で長い飼養に耐えられる牛、即ち、適度の乳量と乳成分率を保ち、肢蹄がしっかりして、放牧に耐え得る適度な容積の乳房をもつ牛を揃えることが更なる生産コストの低廉化に繋がるのではなかろうか。
放牧する牛の改良にも目を向けていただければ幸いである。


平成23年07月20日「登録推進に尽力」~登録委員76名を表彰~
日本ホル協では、登録委員に対する記念品贈呈要領に基づいて平成22年度表彰登録委員30府県76名を公表した。
登録委員は、酪農家に最も身近な立場で登録申込書の作成や改良指導などに尽力されており、登録推進には不可欠な存在である。日頃からの努力に対して心から感謝の意を表する次第である。
22年度の表彰登録委員は次のとおり(敬称略)で、後日感謝状と記念品が贈られる。
(青森県)藤谷龍
(岩手県)松本嗣美、岩脇秀身、佐藤亘、皆川孝之、佐藤龍哉、打座美智子
(宮城県)半沢善幸、高橋弘人、遠藤菜菜
(福島県)柳沼鉄治、岡野巧、佐藤正吾、板橋泰之
(茨城県)渡辺和弘
(栃木県)村山ハルノ、大田原勝男、岡信也、手塚寛信、斎藤克彦
(群馬県)福田真由美、宮崎智裕、青木裕治、田村弘幸、大畠哲治
(千葉県)高梨義教、川奈清和、山口英一郎、小澤敬好
(新潟県)塩田歩
(石川県)普神正史
(長野県)佐々木究、裏見尚
(岐阜県)和田幸治、澤村正次、丸山雅義
(静岡県)吉岡武志、澤里尚広
(愛知県)伊藤幸介、犬塚保夫
(京都府)大江学
(兵庫県)藤野幸一、宮本信治、清水啓貴、谷川正昭、牧井修司
(奈良県)金原稔子
(鳥取県)本池茂樹
(島根県)若槻素直
(岡山県)奥山康恵、森中友美
(広島県)上富士、櫻木茂夫
(山口県)藤田尚子
(愛媛県)宮内友也、鈴木久仁翁、上杉博賢
(高知県)岡野秀樹、山脇健世
(福岡県)赤塚修二、山下登、藤井直樹、林国男
(佐賀県)貞松義紀
(熊本県)淵田瑞穂、福島功久、矢島裕久
(大分県)日隈界治
(宮崎県)徳留和夫、諏訪智洋、田畑克幸
(鹿児島県)日高央元、町田市夫、泊秀一、水口一幸、宇都良博
熊本県酪連などを表彰~普及推進に後検~
日本ホル協では毎年度、会員拡大や血統登録、審査の普及推進に貢献している各都府県支部・承認団体を表彰している。22年度の表彰団体は次のとおり。
◇会員拡大推進団体
(優秀賞)熊本県酪農業協同組合連合会、(優良賞)宮崎県経済農業協同組合連合会、福島県酪農業協同組合、(努力賞)鹿児島県酪農業協同組合、全国農業協同組合連合会青森県本部、大山乳業農業協同組合、岩手県支部、愛知県酪農農業協同組合
◇自動登録普及推進団体
①増加指数によるもの
(殊勲賞)全国農業協同組合連合会長野県本部、(敢闘賞)静岡県ホルスタイン協会、広島県酪農業協同組合、(努力賞)兵庫県酪農農業協同組合連合会、酪農とちぎ農業協同組合、(社)福井県畜産協会、おかやま酪農業協同組合、(社)滋賀県畜産振興協会、
②普及指数によるもの
(殊勲賞)大山乳業農業協同組合、(敢闘賞)秋田県支部、鹿児島県酪農業協同組合、(努力賞)愛知県酪農農業協同組合、おかやま酪農業協同組合、全国農業協同組合連合会長野県本部、(社)福井県畜産協会、熊本県酪農業協同組合連合会
◇血統登録普及推進団体
(殊勲賞)秋田県支部、(敢闘賞)佐賀県農業協同組合、宮崎県経済農業協同組合連合会、(努力賞)(社)岐阜県畜産協会、静岡県ホルスタイン協会、熊本県酪農業協同組合連合会、ふくおか県酪農業協同組合、大分県酪農業協同組合
◇審査普及推進団体
①増減率によるもの
(優秀賞)熊本県酪農業協同組合連合会、(優良賞)岩手県支部、おかやま酪農業協同組合、(努力賞)鹿児島県酪農業協同組合、ふくおか県酪農業協同組合、愛知県酪農農業協同組合、大山乳業農業協同組合、千葉県酪農農業協同組合連合会
②審査頭数によるもの
(優秀賞)熊本県酪農業協同組合連合会、(優良賞)鹿児島県酪農業協同組合、おかやま酪農業協同組合、(努力賞)千葉県酪農農業協同組合連合会、大山乳業農業協同組合、兵庫県酪農農業協同組合連合会、宮城県ホルスタイン協会、山形県支部

平成23年07月20日「生涯乳量」~都府県23年3月~6月~
23年3~6月に都府県で検定成績証明されたものから、別表には生涯乳量高記録牛41頭を示した。今回の記録では、上位5頭が総乳量10万㌔以上を記録し、多くの県において歴代記録の更新があった。
今回の生涯乳量トップは都丸進さん(群馬県)所有の「リーダーマースローヤルミヤコ」(平8.10.6生)、で12回の検定で検定日数3,922日、総乳量137,851㌔、乳脂量6,101㌔、平均乳脂率4.4%、乳蛋白質量4,125㌔を記録した。
本牛は約40年前に父・定雄さんが北海道大樹町の堀川牧場から導入した母系で5世代もの自家生産を経て誕生した。今回の記録達成で同牧場「ラベラー」が持つ群馬県内の歴代記録を更新し、都府県記録では「エレン」、「トング」に次ぐ第3位、現存する牛では都府県の最高乳量記録を誇っている。また現在13乳期目を泌乳中で、更なる記録更新が期待される。
2位は和田正さん(新潟県)所有の「モリサンベーターペニーゴーフタゴ」(平9.2.8生)で、9回の検定で検定日数3,804日、総乳量123,503㌔、乳脂量4,401㌔、平均乳脂率3.6%、乳蛋白質量4,268㌔を記録した。
本牛は、今回9産次の乳期記録を追加し、自身が持つ、新潟県内の生涯乳量歴代記録を更新し、都府県歴代で15位と好成績を記録した。
3位は谷口学さん(京都府)所有の「ラーンデールジャスティンアンナ」(平7.9.11生)で、11回の検定で検定日数4,187日、総乳量118,738㌔、乳脂量5,014㌔、平均乳脂率4.2%、乳蛋白質量4,025㌔を記録し、9歳1月齢、7産時の体型審査で90点を獲得している。本牛も自身が持つ、京都府内の生涯乳量歴代記録を更新し、都府県歴代乳脂量では9位を記録した。
4位は新海益二郎さん(長野県)所有の「ハイカップルヒッポブラックスター」(平11.1.28生)で、9回の検定で検定日数2,958日、総乳量115,220㌔、乳脂量4,411㌔、平均乳脂率3.8%、乳蛋白質量3,688㌔を記録した。
本牛は初産305日検定で乳量1万㌔にわずかに届かなかったが、2産以降は8産連続して乳量1万㌔を突破し、平均で1万2千㌔を超える高泌乳能力牛である。
5位は中六角保広さん(岩手県)所有の「ホープヒルロンジョンスターメープル」(平11.8.22生)で、8回の検定で総乳量108,259㌔を達成した。
また、3位の京都府・谷口学さん、20位の長野県・新海益二郎さん、38位の長野県・小林正春さん所有牛は審査得点EX(90点以上)を獲得し、体型においても優れた成績を残している。

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平成23年07月20日「優秀牛&優秀牛群牧場」~22年度都府県検定成績から~
3部門で都府県記録更新~(独)家畜改良センター(福島)~
22年度都府県の検定成績優秀牛として、表に示した延べ32頭をまとめた。昨年度は日本記録の更新は無かったものの家畜改良センター(福島県)所有牛が3つの部門で都府県記録(表中、名号前の*印)を更新した。また、中原せつ子さん(群馬県)所有牛が9つの部門でトップを獲得した。
都府県記録は、家畜改良センター(福島県)所有のロックイーグルオメガシャムスーシャーキー(父シャーキー)が2年型365日乳量で20,330㌔を記録し、都府県で初めて2年型での乳量2万㌔を突破した。この記録は全国記録でも3位であり、これまでの都府県記録を2千㌔近く上回る素晴らしい記録であった。また、本牛は同年型305日乳量の都府県記録を持っている。
2頭目は同センター所有のロックイーグルユングマーシュチャンピオンET(父チャンピオン)が3年半型365日乳量で20,102㌔を記録した。本牛もシャーキーと同様に3年半型365日乳量で初めて2万㌔を突破した。
3頭目も同センター所有のロックイーグルゼルダコーチストーマティック2ETが4年型365日乳脂量の部門の記録を更新した。
優秀牛の所有者に目を向けると中原せつ子さん(群馬県)が最多の9つの部門でトップ。続いて家畜改良センター(福島県)が6つの部門で優秀な成績を収めた。

佐野茂樹牧場~少数精鋭の高能力牛群~
22年度都府県の検定成績優秀牛群表彰では、佐野茂樹さん(岩手県)の牛群が飼養経産牛頭数14頭のうち21件証明から平均乳脂量(F)偏差値177.4でトップに輝いた。この表彰は牛群検定参加牛に占める検定成績証明割合を勘案した上でF偏差値により行っている。
トップの佐野牧場は過去10年間で1位3回、2位3回と継続して好成績を収めており、高い泌乳能力を持つ選び抜かれた牛群と言える。2位は、中原せつ子さん(群馬県)の61件証明のF偏差値170.5、3位は山之内浩一(新潟県)の38件証明の偏差値165.6であった。
なお、佐野さんと中原さんを除く牛群はいずれも検定成績証明の自動継続申込みを実施している。


平成23年07月20日「厳しい酪農情勢にあって」〜平成23年度都府県の各種申込状況〜
昨年度の酪農情勢を振り返ると、飼料穀物などの生産資材は一時より下がったものの高止まり状態にある一方、長引く経済不況により酪農・乳製品の需要が減少傾向にあります。
また、国内で10年ぶりに口蹄疫が発生し深刻な被害を生み、酪農畜産界を震撼させました。今年3月に起きた東日本大震災と大津波、さらには福島第一原子力発電所事故による放射能物質の被害は大きな爪痕を残し、現在もまだ収束する気配が見えない状況であります。被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。
このような情勢の中にあって当協会も登録頭数の減少は避けられないと危惧するも、検定成績証明を除く主な登録種別全体では対前年比2.7%の減少で終了したことは、会員及び登録委員をはじめ関係者の多大なる協力によるものと感謝申し上げます。なお、検定成績証明頭数の大幅な減少は、第13回全共の中止が大きく響いたものであります。
厳しい酪農情勢ではありますが、乳牛改良の土台である各種登録事業については、酪農経営の安定的発展に欠かせない改良の基本であります。遺伝評価値の活用や近親交配を避けることによって充分な遺伝能力を発揮し、効率的な生乳生産ができるよう、当協会も更なる登録証明書の利活用に向けた推進を図ってまいりますので、血統登録をはじめ牛群審査等により一層のご協力を賜りたく、また、自動登録の普及定着につきましても特段のご協力をお願いいたします。

平成23年07月20日「早期発行への近道」〜13のチェックポイント〜
日ホル協登録部では、皆様からの登録申込書類について、血統や生年月日、母牛の授精や産歴、所有者などのチェックを行っていますが、申込書の内容に不備がある場合は事故照会し、事実を確認させていただいております。
事故照会になると登録証明書の発行が遅れてしまいますので、次のポイントに注意して申込書や人工授精証明書の整備をお願いします。
  1. 申込牛の家畜個体識別センターへの出生報告、転入報告は済んでいますか?
  2. 申込書の記入内容は、家畜個体識別センターへの報告内容(本牛と母牛の個体識別番号、本牛生年月日など)と一致していますか?
  3. 申込者は、母牛の登録証明書に記載された所有者と一致していますか?申込事故の約25%は母牛の移動未了です。導入などで母牛の所有権が移った場合は、母牛の移動証明も合わせて申込んで下さい(自動登録を除く)。
  4. 在胎日数の確認をしましたか?在胎日数が265日未満か296日以上の場合は、授精台帳等写しを添付して下さい(但し260日〜264日、296日〜300日の場合は、申込書欄外に早産、遅産に相違ない旨を付記すれば台帳等写しは省略可能)。
  5. 申込書に人工授精証明書を添付していますか?人工授精証明書を省略できるのは、授精した人工授精師(または獣医師)と登録委員が同一人物もしくは同一所属団体である場合、または自家授精の場合に限ります。
  6. 人工授精証明書には、母牛の個体識別番号(または登録番号)と生年月日、名号、授精年月日、証明年月日、飼養者が記載されていますか?また申込書の内容と一致していますか?
  7. 人工授精時に使用した精液ラベルを貼付していますか?精液ラベルに記載されている採取年月日や発行年月日が精液注入年月日以降の日付であるなど、係る授精とは違う精液ラベルが貼付されている場合は事故になります。
  8. 同性双子は同時に登録申込みしていますか?一子が虚弱等のやむを得ない理由で登録しない場合は申込書にその旨を記入して下さい。
  9. 異性双子は分娩または受胎確認された上での申込みですか?登録を急ぐ場合はフリーマーチン判定で不妊でないことを確認して下さい。
  10. 受精卵移植生産牛(ET牛)は遺伝子型検査による親子判定をしていますか?またその供卵牛についても親子判定をしていますか?
  11. 名号を希望する場合、同一牛群で重複しないようにして下さい。また名号は32文字以内とします。
  12. 赤白斑・異常斑紋の確認をしていますか?赤白斑の場合は申込書のRED欄に○印を、異常斑紋の場合はОC欄に○印を付けて下さい。
  13. 登録委員による確認(登録委員番号、氏名の記入と押印)をお願いします。
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平成23年07月20日「播磨農高(兵庫)など表彰」〜審査成績優秀牛群〜
22年度審査成績優秀牛群として審査頭数10-29頭、30-49頭、50頭以上の3つのクラスで各10農家計30農家を表彰した。
審査頭数10-29頭クラスでは兵庫県立播磨農業高校が19頭受検で審査受検率86.3%、平均85.6点、平均体型偏差値148.7でこのクラスのトップになり3連覇を達成した。2位は前年の2位に引き続き(財)郡山観光交流振興公社(福島県)が11頭受検で平均85.7点、3位は長崎県立島原農業高校が12頭受検で平均85.8点だった。4位には谷口学さん(京都府)が入った。5位には30-49頭のクラスで8年連続トップであった松島喜一さん(熊本県)が29頭受検で平均85.0点であった。昨年度の九州地方は宮崎県で発生した口蹄疫の影響で前期の審査日程が後期にずれ込んだ結果、受検間隔が6か月に満たない飼養牛が多数になってしまったことが要因と言える。
審査頭数30-49頭クラスでは成田博さん(愛知県)が49頭受検で審査受検率85.9%、平均84.2点、平均体型偏差値129.4でトップになった。2位は青木雄治さん(埼玉県)が31頭受検で平均84.3点、3位は佐藤俊さん(宮城県)が41頭受検で平均83.7点、4位は福士牧場(岩手県)、5位には長谷部裕行さん(宮城県)が入った。
審査頭数50頭以上のクラスでは日ホル協理事でもある三浦幹雄さん(鳥取県)が59頭受検で審査受検率84.2%、平均84・1点、平均体型偏差値130.0でトップになった。2位は衛藤彰一さん(熊本県)が56頭受検で平均83.6点、3位は(有)萩原牧場(群馬県)が62頭受検で平均83.8点、4位は福井邦仁さん(愛知県)、5位には西山友之さん(鳥取県)が入った。
なお、前記の2クラスは飼養経産牛頭数に占める審査受検率70%以上の条件だが、50頭以上クラスでは受検率を既定していない。

平成23年07月20日「BYキャリア種雄牛の一部公表」〜ブラキスパイナ〜
本紙20年9月20日特集号で紹介した遺伝的不良形質であるブラキスパイナ(BY)のキャリア種雄牛の調査結果がアメリカのホルスタイン登録協会から公表された。
まず、BYは2006年にデンマークやオランダで確認された遺伝的疾患で症状は、流産や死産によって出生率が低下、または新生子が死亡し、発症牛で生存する個体は確認されていない。発病牛の特徴は、脊椎骨の短縮と長い四肢、腎臓や睾丸、心臓の奇形など器官の異常が見られる。
遺伝様式はBLADやCVMと同様に単純劣性遺伝であり、両親がキャリア牛の場合に限って25%の確率で発現する。この保因牛を遡ると、スイートヘイブン トラディションに辿り付く。現在、BYはオランダでは個体集団の8%が、アメリカでは6%が保因していると推定されている。BYの原因となる特定遺伝子はまだ不明だが、遺伝子マーカーテストでは95%の正確性があることが分かっている。逆にBYと判定されても5%の誤りがあると言える。
アメリカの検査結果を見るとキャリアの中にはサンデイバレーボルトンETなどの著名な種雄牛が含まれていた。
平成22年度の血統登録雌牛の父牛のうち、アメリカで調査したキャリア317頭の供用状況は表のとおり。これらの種雄牛の交配には注意が必要である。
日本ではBYの遺伝子マーカーテストが完全でないことから、まだ種雄牛の検査を実施してないが、日ホル協では、分かる範囲で酪農家に不利益が出ないような情報の発信を考えている。

平成23年07月20日「今後の行事」〜日本ホル協〜
◇地区別登録委員研修会
◎7月28・29日東北地区
青森県七戸町、富士屋ホテル・県産業技術センター
◎8月5日関東地区
東京都中野区、日ホ協会議室(事務担当者会議のみ)
◎7月26・27日中部・北陸地区
愛知県岡崎市、岡崎ニューグランドホテル・県畜産総合センター
◎7月26・27日近畿地区
京都府京都市、JA会館会議室
◎7月28・29日中国・四国地区
広島県三次市、三次ロイヤルホテル、県畜産技術センター
◎7月21・22日九州地区
鹿児島県鹿児島市、城山観光ホテル
◇第2回全共企画委員会
8月22日東京都中野区、日ホ協会議室

平成23年07月20日「検定成績優秀牛偏差値上位牛」〜都府県23年06月証明分〜

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