平成25年07月20日
平成25年07月20日「血統前年度比101% ゲノミック評価の普及推進に努める」 ~日本ホル協第63回総会~ | |
社団法人日本ホルスタイン登録協会(北良治会長)の第63回通常総会が、6月21日、東京都中野区の中野サンプラザで開催され、平成24年度事業報告案と収支決算報告案、平成25年度事業計画案と収支予算案、一般社団法人化に向けた移行申請の際に必要な事項、役員辞任に伴う役員補欠選任等、全ての議案が原案通り可決承認された。 | |
会長挨拶 | |
北会長が挨拶に立ち、農林水産省をはじめ、日頃からご指導、ご支援をいただいている関係団体・機関、そして社員各位の多数の出席を賜り、盛会に開催できることに対し謝辞を述べた。 次に、酪農をめぐる情勢について、「我が国の景気は、一昨年の東日本大震災さらに福島第一原発事故による影響等も加わり、長らく低迷を続けてきたが、政府が実施した政策によるアベノミクス効果により、株価が上昇し、一部の業種には景気が底を打ったとの報道もされているが、為替が円安に振れたことにより飼料価格の高騰に拍車がかかり、経営環境の一層の悪化が懸念されているところである。さらに、TPP交渉の動向も不透明さを増しており、酪農を含め、我が国の農業全般に大きな影響を及ぼすものとして懸念されている」とし、「こうした情勢のもと、平成24年度における血統登録申込は前年度並みの実績を確保することができ、日頃から登録推進に向けご尽力いただいている社員各位をはじめ、日々、現場で登録のお世話をされている支部・承認団体の皆様方に心から感謝を申し上げる」と述べた。 また、乳牛改良に言及し、「世界各国で急速に進むゲノミック評価について、国は平成25年度から3ヶ年事業としてSNP情報を利用した遺伝的評価精度の向上対策事業を実施するが、当協会ではその事業実施主体となり、ゲノミック評価の普及推進に努めていきたい。ゲノミック評価にあたり、引き続き重要となる登録事業をはじめ体型審査事業についても、これら事業の一層の推進を図るとともに、生涯生産性の観点から、乳器、肢蹄に重点を置いた改良を進め、もって、堅固な酪農経営基盤の実現のため一層努力していきたい。引き続き皆様方のご支援、ご協力を賜るようお願いする」と述べた。 | |
来賓祝辞 | |
日本ホルスタイン登録協会の第63回通常総会に来賓として臨席され、祝辞を述べられた方々とその概要は以下の通り。 | |
ゲノミック事業構築~農林水産省畜産振興課菊地令畜産技術室長~ | |
東日本大震災、またそれに伴う東京電力福島第一原子力発電所事故から2年以上が経過したが、農林水産省として、本格的な復興に向け今なお全力を挙げて取り組んでいるところである。 復興には、能力の高い家畜を活用した効率的な牛群の再編が必要で、日本ホルスタイン登録協会の正確な登録情報が必要不可欠であり、引き続きご協力をお願いしたい。 生産性向上の基盤となる乳用牛の改良増殖には、長い年月と関係者のたゆまぬ努力が必要で、日本ホルスタイン登録協会では、長年にわたり改良の基礎となる血統登録や体型審査等に関する諸事業についてご尽力いただいている。その結果、ホルスタイン種乳量の遺伝的能力が毎年約100㎏以上増加し、全国平均では経産牛1頭当たりの乳量は約8,000㎏を超えるまで伸びている。 乳量、乳質に優れた高能力な乳用牛の選抜や、近親交配に配慮した適正な交配を行うには、血統登録が基本で、登録率の更なる向上を目指し、一層の推進に期待する。 本年度より、早期に雌牛の能力向上に反映させ、酪農経営基盤の安定化に資するためにゲノミック評価を普及推進させる事業が開始される。農林水産省の一般会計予算において経産牛、農畜産振興機構の事業においては未経産牛のSNP検査を行い、ゲノミック評価の精度向上を図る。 SNPを活用したゲノミック評価は、今後の乳牛改良において大変重要なものであると考えており、日本ホルスタイン登録協会では、このゲノミック評価、SNP検査で中心的な役割を担い、推進されていくことを期待している。 (大藪武史係長代読) | |
能力に根ざした牛群改良が必要~(一社)家畜改良事業団信國卓史理事長~ | |
最近の酪農情勢については、いろいろな事情に対する対応の在り方について、2つの点で注意しなければならない。 1点目は、日本経済がここ20年来デフレ状態にあり、どう脱却するか、一朝一夕に改善されるとは思われ難く、アベノミクスの動向にもよるが、その効果が多方面に及ぶまでにタイムラグが出てくる。畜産では元々、飼料価格が高止まりする中、円安の影響が加わり大変な影響が出ている。対応措置は、個々の酪農家でなく、国全体で取り組むべきである。 2点目は、農林水産省は、これからの農業は力強い農業にする必要があると言われているが、それには技術をどう発展させ、普及定着させるかであり、これには個々の酪農家の皆様が自らの問題として取り組むべきという視点が必要になる。 そういう点からすると、牛群検定の農家普及率は46%、頭数でも57%に留まっており、まだまだ普及する余地がある。当団としても、単に乳量、乳成分の計算だけではなく、給餌、繁殖、疾病の防除等についての有効性にも検討、改善を行い、更なる牛群検定の普及と活用を推進する。 もう一つ酪農を効率的に進めるためには、能力に根ざした牛群の改良が必要だと考えるが、インターブルのデータを基に家畜改良センターが取り纏めたデータによると、この10年間で我が国の乳用雌牛の遺伝的能力の伸び率は、主要国の中で最低である。なお、赤本掲載基準の上位100頭を見ると半数近くが国内産の種雄牛である。一方、輸入精液が40%台まで使用されており、その内の60%までは国が推奨するNTP40未満の種雄牛。外国産の雌雄判別精液については、更に70%までがNTP40以下となっている。ここでも国内の優れた凍結精液が普及する余地が残されており、当団としても今後とも普及推進に努力していくので、さらに乳牛改良が進み、我が国酪農が発展するよう引き続きご協力をお願いしたい。 | |
酪農ワーキングチームを設立~(一社)全国酪農協会馬瀬口弘志会長~ | |
日本ホルスタイン登録協会は、長年にわたり酪農の原点である乳牛登録事業、体型審査事業を通じて、酪農の発展に貢献されてきた。その功績は誠に大きく、改めて敬意を表する。 当会とは機関紙「全酪新報」の紙面を利用し、「ホルスタイン牛の広場」として改良の成果等を発信しており、今後とも一層の連携強化と友好を深めていきたい。 酪農情勢は、東日本大震災と原発による被害をはじめ、近年多くの自然災害の影響を受け、厳しい状況が続いている。さらに、TPP交渉への参加問題、FTA・EPA等の貿易交渉の拡大といった選択により、農業生産に対する意欲が減退し、生産量の減少と担い手不足といった多くの問題を生むこととなった。 このような問題解決には、生産者の努力とともに、国民合意のもと所得補償による畜産・酪農に対する手厚い対策が求められる。当会では、酪農経営を圧迫する配合飼料高騰対策や酪農版所得補償制度等、様々な問題に対する提言を発信するため、新たに酪農政策ワーキングチームを酪農研究会の中に設置し、専門家を中心に現在精力的な協議を続けている。この提言により、早急に問題解決するとは考えてはいないが、家族経営を中心とする我が国酪農の発展のために、中央団体が果たすべき役割を認識する中で、さまざまな課題について知恵を出し、提言をすべく努力をしていく。 さらに、当年度から3年間1億円の基金で、第2次地域酪農活性化事業を実施することとし、併せて酪農後継者育成の一環として酪農未来塾を開設、酪農青年の夢をサポートする事業も計画しているが、こうした活動にも今後とも一層のご支援ご指導を賜りたい。 (今関輝章常務理事代読) | |
落ち込み最小限 | |
先ず、平成24年度の事業報告案と収支決算報告案が一括上程され、原案通りに可決承認された。 報告によると、平成24年度事業実績で、会員数が1万4,864名(前年度実績比96.0%)と減少したものの、血統登録申込20万2,671頭(同101.7%)、移動証明1万1,621件(同105.5%)と、前年度を上回り、審査や検定は、北海道で前年度実績を下回りながらも、審査成績証明が都府県で2万1,633頭(同101.5%)とし、全体で6万1,025頭(同99.4%)、検定成績証明でも都府県で3,579件(同109.4%)、全体で7万9,281件(同99.9%)を確保して、落ち込みを最小限にとどめた。24年度一般会計収支計算書は別表の通り。 | |
ゲノミック評価実施 | |
次に、第3号議案平成25年度事業計画と第4号議案平成25年度収支予算案が一括上程され、原案通り可決承認された。 事業計画では、以下のことが取り上げられている。
また、公益法人制度改革に伴う一般社団法人への移行に向け、役員報酬等支給規程案並びに本総会後に認可申請を行う際に必要となる事項について、原案通りに可決承認を受けた。 | |
役員補選 | |
角倉了一理事(北海道)、尾形文清理事(福岡県)両名の任期途中による退任に伴う役員補選が行われ、小椋茂敏氏(北海道)、草場哲治氏(福岡県)の2名の役員候補者が、原案通りに可決承認された。任期は26年6月24日まで。 | |
平成25年07月20日「今後の行事」 ~日本ホル協~ | |
◇地区別登録委員研修会並びにゲノミック評価技術向上研修会
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平成25年07月20日「ほぼ前年度並みに」 ~24年度登録等申込状況(都府県)~ | |
平成24年は、前年までの世界的な干ばつとそれに伴う配合飼料価格の高騰、さらに為替の変動により、わが国畜産業界全体が落ち込みを余儀なくされた年でもあります。また、安倍政権の発足によりTPP交渉に入ることが明言され、農業・畜産・酪農業界としても将来の展望が開けない状況に置かれております。 かような情勢の中、都府県の昨年度の各種登録申込み状況を別表に示しましたが、会員数においては前年比94.9%、血統登録においては100.8%とほぼ前年並みの実績を残せました。また、移動証明においては104.8%、審査成績においては101.2%と前年を上回る数字が残せたことは、酪農家のご理解とご協力があったほか、関係登録委員並びに支部・承認団体のご支援の賜と改めて感謝申し上げる次第であります。 各都府県別の数字をみると前年比で10%以上増やしたところもあれば、かなり減らしたところもあります。最近の傾向としては年度による増減が著しく、一概に「その県が増えた、減った」とはいえない状況であり、数年間の傾向として登録事業がどのように推移しているかで判断することが妥当かと考えられます。 | |
愛知・兵庫・長崎県は血統登録申込3期連続でプラス | |
都府県全体としては、血統登録においては、平成21年度が4万6,560頭、22年度が4万5,700頭、23年度が4万5,180頭と徐々には減ってきましたが、昨年度は4万5,534頭と盛り返しました。全国の乳牛頭数が毎年のように減少していることから考えると、改良集団としての血統登録牛の比率が益々増えているといっても過言ではありません。なお、22年度から24年度までの数字をみると、血統登録申込においては、愛知・兵庫・長崎の3県だけが3期連続対前年比プラスの数字を残しています。関係者のご尽力に改めて深くお礼申し上げます。 ところで、平成22年度以降は審査成績の数字には後代検定材料娘牛と同期牛の体型調査頭数も加えており、これを除いた有料の審査頭数は、平成21年度が8,106頭、22年度7,418頭、23年度8,258頭、24年度9,225頭となり、この3年間は大きく増えてきました。まだ年による増減があるものの、一定レベルの頭数を受検していただいていることに対して、関係各位の改良事業に対する意識の高さを感じる次第であります。 (大西信雄登録部長) | |
平成25年07月20日「自動登録限定サービス開始」 ~出生届出と同時に命名~ | |
日ホ協は7月16日より、(独)家畜改良センター個体識別部と共同開発した補足情報報告システム(以下、システム)の運用を開始しました。 このシステムは、牛トレーサビリティ法に基づく出生届出の際に、同時に希望名号等の報告も行うことができるサービスです。自動登録の実施農家がインターネットを利用して出生届出を行う際に利用できます。 このサービスを利用すれば従来の「自動登録実施農家連絡書」に希望名号を記入してFAXで連絡する手間を省くことができます。また、出生届出と同時に報告することで誤りを少なくすることができます。 希望名号以外にも毛色、産子数、死亡や虚弱体質などの登録延期・放棄の報告も同時に行えます。 報告できる項目は以下のとおりです。
(登録部) | |
平成25年07月20日「生涯乳量」 ~都府県、25年5月~ | |
25年5月、都府県で検定成績証明されたものの中から、別表には生涯乳量5万㌔以上の高記録牛25頭を示した。今回は上位2頭が総乳量10万㌔を突破した。 | |
1位・妹尾始さん(岡山県)所有「ヒールクレストイグナイターロングヘイブン」 | |
今回のトップには妹尾始さん(岡山県)所有牛「ヒールクレストイグナイターロングヘイブン」(平14.8.27生)の検定回数7回で検定日数2,684日、総乳量10万8,343㌔、総乳脂量3,494㌔、平均乳脂率3.2%、総乳蛋白質量3,261㌔であった。 本牛は平均乳量が1万㌔を超える高泌乳牛であり(最高乳量1万9,708㌔)、このたびの検定成績証明により、自身の持つ県内の歴代2位の記録をさらに更新した。 | |
2位・佐藤俊さん(宮城県)所有「ディフェンドマリーモアルドルフET」 | |
2位には佐藤俊さん(宮城県)所有の「ディフェンドマリーモアルドルフET」(平14.2.18生)の検定回数9回で検定日数2,702日、総乳量10万5,169㌔、総乳脂量3,671㌔、平均乳脂率3.5%、総乳蛋白質量3,349㌔であった。 このたびの検定成績証明により、県内の歴代4位の記録を獲得し、これにより宮城県内で生涯乳量10万㌔突破牛は9頭となった。また、佐藤さんは、審査成績優秀牛群の審査頭数30-49頭の部門において、平成22年度は3位、23年度は8位、昨年度は10位と連続してトップ10入りしており、今回10位の「イゼベル」の審査得点90点を始め、泌乳能力だけでなく体型においても優れた牛群である。 | |
3位・中六角保広さん(岩手県)所有「リバティファーム ネッド ルドルフ ウエイン」 | |
3位には中六角保広さん(岩手県)所有の「リバティーファームネッドルドルフウエイン」(平成14.4.30生)の検定回数7回で検定日数2,426日、総乳量9万6,859㌔、総乳脂量3,200㌔、平均乳脂率3.3%、総乳蛋白質量2,784㌔であった。また、中六角さんも、審査成績優秀牛群の審査頭数30-49頭の部門において、平成21年度は4位、22年度6位、昨年度は4位で表彰されている。今回5位の「ステフェンデリア」は審査得点92点、24位の「ダークサリー」も90点を獲得するなど体型においても非常に優れた牛群である。 前述の牛を始め、6位の吉原直樹さん(岡山県)所有牛「アルタチャント」も審査得点90点を獲得している。 | |
平成25年07月20日「年型別検定優秀牛」 ~平成24年度都府県~ | |
24年度都府県の検定成績優秀牛として、表に示した延べ33頭をまとめた。昨年度は日本記録並びに都府県記録の更新は無かったものの、都府県で優秀な成績を残している。 | |
(独)家畜改良センターが9部門でトップ | |
乳量では、(独)家畜改良センター所有牛の「バクスター」が2年型305日乳量1万5,632㌔で、同部門の歴代4位の記録を獲得した。参考までに、同部門の歴代記録トップも同センターの「ロックイーグルオメガシャムスーシャーキー」が、平成21年度に達成した1万6,975㌔である。また、同センター所有の「オーガスタ」の3年型305日乳量1万7,659㌔は、同部門の歴代記録3位である。 乳脂量では、山之内浩一さん(新潟県)所有の「トラディション」が、3年型365日で761㌔を記録し、同部門歴代5位を獲得した。 優秀牛の所有者に目を向けると、家畜改良センターが最多の9部門でトップ、次いで、有限会社加藤牧場(埼玉県)が5つの部門でトップを獲得し優秀な成績を収めた。 | |
平成25年07月20日「42年4ヶ月の軌跡」 ~日本ホルスタイン登録協会審査委員千葉義夫~ | |
はじめに | |
私はこの7月31日をもって社団法人日本ホルスタイン登録協会を退職することとなりました。定年後の再雇用の期間を合わせますと42年4ヵ月の長きにわたり、公私ともに温かいご指導とご厚誼を賜りましたことを厚くお礼申し上げます。 さて、私が日本ホル協に採用されたのは昭和46年4月ですが、昭和45年6月に教授の勧めで試験と面接を受け、2日後に採用通知をいただきました。教授の推薦状がものをいったと思いますが、今の学生と比べると、なんと恵まれた世界だったことか。「就活」なるものをせずに終わりました。 | |
登録との関わり | |
私が採用される前年の昭和45年度には全国で9万8,000人を数えた会員は平成24年度には1万5,000人までに減少しています。都府県は10分の1以下に、北海道は3分の2になっています。 また、雌牛の血統登録頭数は、昭和45年度は都府県12万8,000頭、北海道4万2,000頭となっておりましたが、ここ数年は、都府県5万頭弱、北海道15~16万頭で真逆になりました。最近、都府県では多少なりとも上向き傾向です。 会員の減少、都府県における血統登録頭数の減少は、わが国の酪農を取り巻く環境の変化によるものでやむを得なかったことかもしれませんが、日本ホル協に40年以上身を置かせていただいたわけですから、「何とか登録頭数を維持できないか」という気持ちが心のどこかに引っかかったまま今を迎えたように思います。「登録率を考えれば、もっと登録を伸ばし、改良の基礎が出来るはず」という思いです。 昭和50年代半ばに調査部に配属になり、日本ホル協が機関誌に指定している全酪新報(本紙)の定期号に設けられた「ホルスタイン牛の広場」と年4回発行の「日本ホル協特集」の担当となり、登録に関心を持ってもらうよういろいろな角度から企画し、様々な方々に執筆をいただき、また取材などから望ましい事例などを紹介させていただきました。全酪新報に延べ20年以上関わって来ましたが、時代の流れに抗することが出来ませんでした。 定年を迎える前の数年間は登録部の、そして事務局の責任者となり、平成15年度から始まった家畜改良体制整備事業の再構築に関わりました。 再構築では、個体識別データの利用により血統登録時のデータ入力の省力化や既にスタートしていた自動登録システムの拡充、登録情報をネット上で開示する「家畜改良データバンク」の構築などを行いました。北海道と都府県では登録頭数だけでなく、登録の仕組みも違いますし、農家や関係者の意識にも差があり、落としどころを見つけるのに苦心しました。 また、自動登録の都府県での推進にも勤めましたが、なかなか成果が見られませんでした。その後徐々に理解が得られ、10年が経過した現在、概ね登録の半分以上がこの手法により登録されるようになりました。因みに、北海道では97%以上がこれによって登録されております。 登録漏れや経費の節減、証明書の早期発行に有効ですので、是非とも自動登録への移行をお勧めします。長く日本ホル協に籍を置かせていただいた者が退職するに当たっての切なる願いです。 | |
全共との関わり | |
私が全日本ホルスタイン共進会を知ったのは昭和45年でした。採用通知をいただいた年の秋、第5回豊橋全共の手伝いに来いとの連絡を受け、岩手県から駆けつけました。 第6回淡路島、第7回前橋、第8回岩手、第9回熊本では、審査員の世話係や測尺係、付帯事業の酪農技術展の取材やパネルの編集、出品牛の記念撮影担当として酪農雑誌のプロのカメラマンと寝食を共にするなど、様々なことをやりました。 第10回の千葉全共未経産牛部門などの副審査委員をつとめ、会期中は審査場で十分牛を見ることができました。 第11回岡山全共の際は、併催された第3回全日本ジャージー共進会の名誉ある審査委員を担当させていただきました。 第12回栃木全共では裏方の責任者、第13回北海道全共にも参加できるかと期待していましたが、中止となり残念でした。 | |
審査委員として | |
私が審査委員の辞令をいただいたのは、昭和63年4月です。1年3ヶ月間におよぶ葛巻畜産開発公社(岩手県)での牧場実習を終え、1年間審査委員に同行して修行した後のことでした。 審査委員歴は25年4ヵ月になります。しかし、審査部に席をおいたのはわずか3ヵ月で、常に他の部署に所属し、審査は兼務でしたので、出張にいろいろと制約があり、審査頭数は7万頭弱に終わりました。平均すると年間2,800頭程度です。 最初は、通常の審査業務の他に、ステーション方式で全国の20数ヵ所に収容されている後代検定の候補種雄牛の娘牛の体型調査を担当しておりました。調査は4、5月でしたので、全国の春を満喫できたのは、やはり役得だったと思っています。 | |
今思うこと | |
25年間、農家を訪問し、牛を見てきて、いま思うことを記してみます。 ホル種牛は、能力面では、牛群検定の成績が示すとおりですが、体型面でも同じことがいえます。90点以上牛の頭数の増加がその一端を示しているものと思います。昨年は都府県だけでも196頭を数えております。 後代検定娘牛などの体型調査実施牛は、都府県で年間1万2,000頭程度、四半世紀の間に決定得点で1点程度は高くなっているのではないでしょうか。背景には、優良遺伝子が多く取り込まれてきたことと、飼養管理面での改善があると思います。 取引の基準乳脂率が3.5%に引き上げられ、良質粗飼料の給与を心がけた頃から、牛の状態がよくなったと個人的には思っております。ただし、飼養管理が適切になったことからか、牛も遺伝的に持っている素質を十分発揮させるようになった結果、「大きい牛」が多くなってきたことも事実ですが。 体型上、改良が進んだ部位は乳房だと思います。後乳房の付着、乳房底面の高さ、後乳房の幅、そして乳頭の長さなどが適切な牛を多く見るようになりました。また、蹄の角度、蹄踵の厚さも適切なものになってきています。 一方、人が牛の寿命を縮めているのでは・・と思うことにもしばしば遭遇しました。少しでも牛のストレスをなくすように環境を整えれば、牛も長持ちし、残るお金も増えるはずと思うのですが。 繁殖に供する牛達の体型情報を得て更なる改良に役立てるため、牛群審査を大いに活用して欲しいものです。 | |
思い出の一頭 | |
25年余の思い出で、印象に残る牛は何頭かいますが、1頭をあげるとすれば、福島県浪江町に住んでいた今野剛さん所有のユニオンデールダンディガール(H17年生まれ)です。3産後と4産後に審査する機会を与えられ、91点、そして93点を付けました。その後、東日本大震災、東電の原発事故で移転を余儀なくされ、同県本宮市に(株)T・ユニオンデールとして再開された牧場で94点となった牛です。輪郭鮮明で、乳用強健性に優れ、乳房も形状、付着がよく、すばらしいものでした。先月末、福島県の審査で訪れたときは、すでにこの世にはいませんでしたが、94点を得てすぐに撮影した写真が飾ってありました。力強さが加わっていました。お産を重ねた姿を見たかったと思う牛です。 最後になりましたが、日本ホルスタイン登録協会が堅実な歩みを続けますことと、会員をはじめ関係者の皆様の益々のご発展、ご健勝をお祈り申し上げ、この稿を閉じさせていただきます。 本当に長い間、ありがとうございました。 | |
平成25年07月20日「審査成績優秀牛群選奨」 | |
平成24年度牛群審査は774戸、8,530頭という実績を残すことができた。昨年と比較し戸数では57戸、頭数では952増加し、前年度実績比112.6%と大幅に増加した。 24年度審査成績優秀牛群として審査頭数10~29頭、30~49頭、50頭以上の3クラスで各10農家計30農家を表彰した。 | |
審査頭数10~29頭佐野茂樹さん(岩手県) | |
審査頭数10~29頭クラスでは佐野茂樹さん(岩手県)が11頭受検で審査受検率78.5%、平均得点88.2点、平均体型偏差値173.2で2位との差を大きく開きトップとなった。2位は兵庫県立播磨農業高校で16頭を受検し審査受検率76.1%、平均得点86.4点、平均体型偏差値159.5であった。3位には熊本県立菊池農業高等学校で播磨農高同様平均体型偏差値が150を超えるすばらしい成績であった。 | |
審査頭数30~49頭古川豪樹さん(佐賀県) | |
審査頭数30~49頭クラスでは古川豪樹さん(佐賀県)が35頭受検で審査受検率72.9%、平均得点86.4点、平均体型偏差値155.1で昨年より成績を一つ上げトップとなった。この成績は昨年のトップの平均体型偏差値が151.0であったのに対し4.1ポイント上回る成績であった。2位には当協会監事である松島喜一さん(熊本県)が37頭受検し審査受検率は80.4%、平均得点85.4点、平均体型偏差値147.7あった。3位には鷹箸稔さん(栃木県)が入った。 | |
審査頭数50頭以上釘田武さん(鹿児島県) | |
前記の2クラスは飼養経産牛頭数に占める審査受検率70%以上の条件があるが、審査頭数50頭以上のクラスにおいては受検率を既定していない。 このクラスでは、釘田武さん(鹿児島県)が50頭受検で審査受検率75.7%、平均得点85.6点、平均体型偏差値144.1で初のトップとなった。2位には当協会代表監事である弓家善一さん(茨城県)が54頭受検し審査受検率は36.4%、平均得点84.4点、平均体型偏差値137.6であった。 3位には当協会副会長である三浦幹雄さん(鳥取県)で、58頭受検し審査受検率は79.4%、平均得点84.6点、平均体型偏差値135.9と、昨年の平均得点並びに平均体型偏差値を上回っての成績であった。 なお、平成25年度前期牛群審査は、例年より1ヶ月遅れの5月から始まったが、概ね昨年並みの戸数・頭数で推移したが、後期審査も更なるご理解ご協力のもと、受検頭数増加を期待する。 | |
平成25年07月20日「94点グランディールスターPTギン」 ~岡山県吉原直樹さん~ | |
平成25年5月に実施された岡山県の前期牛群審査において94点という高得点が出た。津山市金井に住む吉原直樹さんが生産・所有する「グランディールスターPTギン」(父ポッター)である。本牛は平成18年12月7日生まれで、審査時で6歳5ヶ月齢であり、5産目を平成24年12月19日に分娩した。今年5月16日の県日程最終日の審査において見事94点を得た(5月25日確認審査実施)。 スター号は平成23年10月16日開催の第66回岡山県畜産共進会で見事にグランドチャンピオンに輝き、その直後の牛群審査において4歳11月齢の若さで92点獲得の快挙を遂げた。産次を更新した今回は2点アップの94点となった。 本牛の検定証明された4乳期合計の成績は、乳量3万4,478㌔、乳脂量1,297㌔で、4産目には305日、1万2,161㌔、乳脂率3.8%を記録した。写真は(株)北海道協同組合通信社(デーリィマン社)より提供 | |
「グランディールスターPTギン」(6歳5ヶ月齢:5産)H18.12.07生 審査得点94.0点
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平成25年07月20日「WHFF評議員会報告」 〜オランダアムステルダムで開催〜 | |
去る4月18日と19日、オランダのアムステルダムにおいて、世界ホルスタイン・フリージアン連盟(WHFF)の第29回評議員会議が開催され、日本ホル協から大友専務理事が評議員として出席した。評議員会においては、とくに各国の登録団体の共通的重要事項について、小委員会やワークショップを設け、議論を深めている。このたびの会議において、親子鑑定に係る小委員会の議長を務めるオランダから、マイクロサテライト(Microsatellite)とSNP(一塩基多型)を用いた親子鑑定の現状について報告があったので、その概要を紹介する。 | |
マイクロサテライトの精度 | |
現在の乳牛親子鑑定は、基本的にDNAマーカーを利用している。これは、種雄牛または母牛の持つ特定の対立遺伝子(DNA型、遺伝子多型)を、子供のDNA型から遡れるか否かで判定する。親子判定で高い精度を維持するためには、多くの異なる遺伝子多型をもつマーカーを一定数用いる必要がある。その点でDNAマーカーにマイクロサテライトを利用することは、よい選択である。マイクロサテライトは1つのマーカーにつき20以上の遺伝子多型を持っている(詳細は説明1参照)。12から15種類のマイクロサテライトマーカーを用いた場合、計算上99.999%の正確性で「真でない父を否定できる」十分な判定精度が得られる。 しかしながらマイクロサテライトにはいくつかの欠点はある。検査にいくぶん手間がかかり、結果解析の自動化が難しいことが挙げられ、この2点がマイクロサテライトを用いた親子判定の費用を押し上げている。ウシにおける通常の価格は30〜35ユーロである。 【1ユーロ=約130円】 | |
SNP検査の利便性 | |
一方でゲノミック評価の導入に伴い、膨大な量のウシがDNA検査の対象となり、異なるDNAマーカーが用いられるようになった。いわゆるDNAの変異を見るSNP(一塩基多型)である。SNPの特に有利な点は、数百から数千ものSNPマーカーを簡単に検査・分析ができ、加えてとても安価なことである。現段階ですでに、大量のウシのSNPデータが、ゲノミック選抜のため保管されている。逆にSNPの大きな欠点は、あるマーカーの遺伝子多型が2種類しかないことである。しかしながら、数種類のSNPを組み合わせた、いわゆる「ハプロタイプ」と呼ばれるものに変換することで、マイクロサテライトと同じくらい多様な種類の遺伝子多型を作り出すことができる(詳細は説明2参照)。さらに、このSNPハプロタイプからマイクロサテライトの繰り返し数を推定することができ、逆も可能である。この推定作業により、いずれか一方のマーカーの検査だけで相互の親子鑑定が可能となるため、両方のDNAマーカー情報を保有している必要はない。 | |
オランダCRVの現状 | |
これまで当協会(オランダCRV)では、数千の検体を用いてマイクロサテライトとSNP両方のDNA型による親子判定の研究と、マイクロサテライトとSNPハプロタイプの関係性の調査を行ってきた。 例えば、マイクロサテライトの「マーカーP:5回繰り返し」はSNPハプロタイプで「GCTGAGT」と、「マーカーP:8回繰り返し」は「CCAGAGT」と結び付けることができた(例えば、マーカーPにはSNPマーカー25〜30が対応)。 6,000〜1万のSNPを用いたゲノミック選抜にかかる検査費用は30〜40ユーロである。選抜に用いたSNPデータは、追加料金なしで親子判定に利用することができる。別途要する解析は、SNPハプロタイプの決定と、親子関係のチェックだけである。 | |
結論 | |
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平成25年07月20日「登録推進に不可欠な存在」 〜登録委員77名を表彰〜 | |
日本ホル協は、登録委員に対する表彰要領に基づき、各都府県支部・承認団体から推薦のあった31府県77名の登録委員の方々を表彰した。 登録委員は、酪農組合などの技術職員で、日本ホル協が委嘱し、酪農家に最も身近な立場で登録申込書の作成や改良指導などに日頃から活動されており、登録推進には不可欠な存在である。常々のご尽力に対して心から感謝の意を表する次第である。 24年度の表彰登録委員は次のとおり(敬称略)で、後日感謝状と記念品が贈られる。
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平成25年07月20日「登録推進で団体表彰」 〜自動登録普及は大山乳業農協(鳥取県)〜 | |
日本ホル協では毎年度、会員拡大や血統登録、審査の普及推進に貢献している各都府県支部・承認団体を表彰している。平成24年度の表彰団体は次のとおり。 | |
会員拡大推進団体 | |
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自動登録普及推進団体 | |
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血統登録普及推進団体 | |
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審査普及推進団体 | |
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平成25年07月20日「検定成績優秀牛群」 〜郡山市観光公社(福島県)〜 | |
24年度都府県の検定成績優秀牛群表彰では、公益財団法人郡山市観光交流振興公社(福島県)の牛群が飼養経産牛頭数30頭のうち30件証明から平均乳脂肪量(F)偏差値178.7でトップに輝いた。この表彰は牛群検定参加牛に占める検定成績証明割合を勘案した上でF偏差値により行っている。 | |
1位・(公財)郡山市観光公社(福島県) | |
今回トップの(公財)郡山市観光公社は、19年度の表彰でもトップを獲得しており今回2回目のトップ獲得となった。また、21年度の表彰では第3位を獲得している。毎月20日号の全酪新報に掲載している検定成績優秀牛F偏差値上位牛でも、多くの所有牛が上位に入っており、牛群の能力の高さが伺える。 2位は丸山孝夫さん(新潟県)の19件証明のF偏差値172.7、3位は山之内浩一さん(新潟県)の82件証明のF偏差値171.4であった。 なお、岡本雄司さんを除く牛群はいずれも検定成績証明の自動継続申込みを実施している。 | |
平成25年07月20日「検定成績優秀牛」 〜都府県、平成25年6月証明分F偏差値〜 | |