平成27年01月20日
平成27年01月20日「再確認・出品条件等!」 ~第14回北海道全共に向けて~ | |
年が明け、いよいよ第14回全日本ホルスタイン共進会が開催される年がスタート。開会式まで残すところ9ヶ月に迫ってきた。そこで、出品条件の飼養期間や検定等について一部変更もあるので、再度確認の為、昨年の本紙9月号掲載のQ&Aから抜粋して紹介する。 | |
全共まであと276日 | |
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平成27年01月20日「新年ご挨拶」 ~(一社)日本ホルスタイン登録協会会長北良治~ | |
平成27年の新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。 当協会の登録事業の普及・発展につきまして、日頃より会員の皆様をはじめ関係各位のご理解とご協力を賜り、誠に有難う御座います。 | |
皆様のご協力で第14回全共を成功裡に! | |
昨年を振り返りますと、梅雨明け以降、途切れることのない猛烈な暑さや、かつて経験したことがないような集中豪雨による被害に見舞われる等、自然災害が多発し、酪農にも被害が及んだ年でした。 また、国内経済は消費増税の影響もあり、低水準の経済成長に留まる中、財政・金融の規制緩和政策を敢行したアベノミクスは、急激な円安誘導となり、飼料原料や燃料の多くを輸入に頼る国内酪農において、生産コストの大幅な上昇をもたらしました。さらに、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉についても、依然として楽観視できない状況であると認識しています。 酪農を取り巻く環境について、こうした厳しい状況にある中、当協会の登録事業は、会員数や登録件数等が漸次減少の傾向を示しておりますが、このような時期であればこそ、近年、似通った系統から作出される傾向にある種雄牛によって近交係数が急激に上昇し、近交退化という弊害を回避するための血統登録の励行と、飼養管理や搾乳作業面でも有効であり、故障や疾病に対する抵抗性が増し、維持管理費の縮減にもつながる牛群検定や牛群審査を一体的に取り組むことは、酪農経営の基盤の安定強化を図るために一層重要になると考えております。 さらに、近年著しく進歩したゲノミック評価値は、従来の後代検定による評価値と組み合わせることによって、さらに信頼度の高い遺伝評価値を得ることができ、世代間隔の短縮や遺伝的改良量の増大等、今後のわが国乳牛改良にとって大きな推進力になると考えます。 登録事業が乳牛改良の基礎として、皆様方にとって使いやすく、高い信頼性を持つものであることが重要であり、その実現に向け、本年も当協会事業に対しまして引き続き皆様の特段のご理解とご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。 さて、今年は全日本ホルスタイン共進会が、実に10年ぶりに開催されます。第12回栃木大会後、2010年北海道で第13回を開く予定でしたが、国内での口蹄疫発生と翌年の東日本大震災の影響により、中止となっていました。既に4年近い月日が流れた東日本大震災と福島原発事故ですが、被災地では今もなお復興に向け、苦労を余儀なくされている方も多く、当協会としても出来る限りの支援、協力に勤めております。 第14回北海道大会では、被災地の酪農家を含め、さらに、酪農後継者の育成につなげるため、多くの若い世代に参加してもらうことを狙い、新たに高校特別出品枠を設けました。日本全国から選抜された400頭が日本一の座を目指し競うとともに、全国の酪農家や酪農関係者が一堂に会し、技術の研さんの場と親睦を深める大会として成功裡に終わるよう、関係者皆様の特段のご理解とご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。 最後に、本年の皆様方の益々のご発展とご健勝を祈念して、年頭のご挨拶と致します。 | |
平成27年01月20日「新会員になる方へ」 ~日本ホル協総務部より~ | |
当協会へ新しく入会される方は「会員入会申込書」にご本人が記入・押印をしていただき、所属農協または当協会支部・承認団体へ提出してください。この「会員入会申込書」は当協会ウェブサイトよりダウンロードができます。ダウンロードは、トップページ→トピックス→本局トピックスで入手できます。また、その記入方法は、同じページに「会員入会申込書記入例」がありますので、そちらをご覧ください。 ウェブサイト「本局トピックス」のページには、その他多数の申込書やマニュアルなども載っておりますのでご参考ください。 経営上、息子さんへの代替わりや住所の移転、酪農を廃業する際は、速やかに所属農協または当協会の支部・承認団体へご連絡をお願い致します。 | |
平成27年01月20日「平成27年度ジャジング・スクール 参加者募集中」 ~3月5~6日沖縄県で開催~ | |
平成27年01月20日「検定成績優秀牛」 ~都府県、平成26年12月証明分F偏差値~ | |
平成27年01月20日「カナダ酪農視察報告記」 ~(一社)日本ホルスタイン登録協会椛沢洋二~ | |
デーリィマン社と北海道ホルスタイン農協が企画する、「カナダ・ホルスタイン酪農視察」2014年11月11日~17日(7日間)に参加したので、その概要を報告します。 このツアーの参加者は北海道を中心に全部で21名でした。 「自分に足りない目を養うため」を目標としてこの視察研修に参加しましたが、ロイヤルウィンターフェアを視察するのは、今回で2回目になります。 前職の時に当時群馬県乳牛改良協会の真下豊会長に「世界感が変わるから一緒に行こう」と誘われ、1週間の休暇を取りロイヤルを見学に行きました。当時はカナダという国に圧倒されるばかりだったのと時差ボケに悩まされ、あっという間に帰国した記憶しかありません。 しかし、今回は「それではいけない、何かを掴んで帰らねば!」という思いで参加、2回目のカナダということもあり、それほど時差ボケにも悩まされず、順調に有意義な日程を過ごせました。 ロイヤルの前日は朝から曇天で、冷たい強風のなか、ナイアガラ近郊の酪農家を視察しました。 | |
サミットホルムホルスタイン | |
案内して頂いたカール氏兄弟と息子の3人で管理。フリーストール牛舎で飼養頭数約750頭、内搾乳牛370頭を16頭ダブルのパーラーで3回搾乳。305日の平均乳量は1万2500㎏(初産は1万800㎏)と能力が高い。約350haにデントコーンとアルファルファを外部委託で作付け。驚いた事が2点あり、牛舎内ベッドの敷き料が「砂」であること。カール氏いわく、牛の事を考えると一番良いがバーンスクレッパーなどの機械の故障があるのが難点。そして、牛舎内に停まる所がない構造になっているため、害鳥がいないこと。日本の牛舎では、当たり前の様に鳩や雀が合唱会をしていますが、まったく鳥の姿を見る事はありませんでした。牛のコンフォートを第一に考えた経営方針でした。 | |
ボスデールホルスタイン | |
この牧場は繋ぎ牛舎で、飼養頭数350頭のうち150頭が搾乳牛で平均乳量は1万800㎏。現在は50頭が体格得点EX(90点以上)、VG(85点以上)が120頭も居るとのことなので、体型にかなり力を入れている様子。少し離れた牧場では養豚も経営。470haにコーン、グラス、麦を作付け。牛舎内がとても綺麗だったので秘訣を伺うと、年に1度洗浄機を使い、牛は繋いだままで洗浄を行っているとのことでした。 | |
ウォールナッツファーム | |
繋ぎ牛舎で親子2人の経営。飼養頭数100頭のうち50頭が搾乳牛で平均乳量は1万700㎏。140haにコーン、大豆、グラスを作付け。日本からの視察は初めてとのことで、牛舎内はとても綺麗な状態でした。育成牛舎が別棟にあり、ほ乳ロボットも設置。今まで私が見た事があるのはネックタグで識別している物でしたが、こちらの農場はイヤータグにICチップが入っていて、それで識別を行っていて、個体識別耳標がそのまま使える事に驚きました。交配種雄牛もゲノムのヤングサイアーを率先して使っていました。 | |
フラドンホルスタイン | |
こちらの牧場は以前違う場所で経営していましたが、6月に離農した現農場に越して来ました。フリーストール牛舎で飼養頭数200頭のうち65頭が搾乳牛で平均乳量は1万㎏。80haにグラス、コーン、大豆を作付け。以前の場所では兄弟で経営をしていましたが、移ったときに別々に始めたとのこと。現在は親子2人で経営し、好みで牛舎内の1/4がRED牛(赤白斑紋牛)を飼養。また、別棟には受精卵を処理する施設が付属しており、他の農場から牛を預かり、月に2回程度技術者が処理に訪れている。 今回、視察させて頂いた4つの農場はいずれもとても綺麗で、牛たちもゆったりとしていました。なかには雌牛の個体販売まで行なっている農場もありました。 カナダ国内で牛乳を出荷するにはそれに伴う権利を購入しなければならないと聞きました。かつて訪れたドイツでも、アニマルウェルフェアや環境の観点から、1頭飼養するのに必要面積の土地を所有または購入しないと酪農業を営めないことを思いだしました。両国共に酪農産業を守る観点から、間接的に国で保護をしているのでしょう。 | |
ロイヤルウィンターフェア | |
トロント市内の住宅街から少し離れた所に突如現れるメッセ会場が共進会会場。昨年11月7日~16日の10日間に渡り開催される中、13~14日のレッド&ホワイト、ブラック&ホワイトホルスタインのショウ並びに受精卵等のセールを視察しました。 会場内はホルスタインのショウのみならず、馬車競技やロデオ、羊やアルパカ、山羊等のショウもあります。メッセ会場ではバターやチーズ、農機具の展示や物品の販売等も行われており、会場に行くだけでも楽しくなる雰囲気でした。畜産に関係する人はもちろん小学生や家族連れも来ていました。農業や畜産に理解を得る最高の場でもあると思われます。 13日は特設会場の小リングで行われ、14日は普段アイスホッケー会場となるリコーコロシアムで開催されました。初日は目線の高さで牛を見ることができますが、2日目は上から見下ろす形になり、サイズ感等は少々見づらい状態でしたが、ショウ自体は様々な演出がされていました。最高位が決定される際は、照明が落とされ、自然に湧き上がった手拍子のなか、ファンファーレが流れスポットライトが当たる!など会場は興奮状態。ただ優劣を競うだけでなく、会場全体で楽しめます。 各地区のショウを勝ち上がって来た愛牛は、フレームや肢蹄の良いもの、乳器の形状の良いものが沢山出品されていました。特に平骨で肋間に拳1個は入りそうな広い骨間と、良く開張している牛に驚くばかりでした。繋留場で搾乳後の状態と比較すると、収縮性の富む質の良い乳器にも驚きました。日本と施設や血統については大きな差は無いはずなのに、なぜこのような差があるのか?という疑問ばかりが頭に浮かびあがりました。ただ、4農場の視察から、育成時の管理と食べているものに差があるのではないかと推測できましたが、明らかな答えは見つかりませんでした。 グランドチャンピオンになった、「RFゴールドウィンヘイリー」(父・ゴールドウィン)は会場内で一際の輝きを放っていました。肋の開張や尻や乳器の正確さ、産次を重ねても乳房底面が高い点など、圧巻でした。 今回、研修に参加しカナダの酪農の実情を目の当たりにし、ロイヤルばかりでなくエキスポでも最高位を取った牛を間近に見る事ができ、充実した7日間を過ごす事が出来ました。この研修で見た事や感じた事を念頭に、これからの仕事に生かす努力をしたいと思います。写真は、(株)北海道協同組合通信社(デーリィマン社)より提供 | |
平成27年01月20日「『会員情報』がリニューアル」 ~日本ホル協登録部より~ | |
読者の皆様は家畜改良データバンクをご存知ですか?日本ホル協が運用している家畜改良データバンクのウェブサイトでは、血統情報や近交回避情報、雌牛成績情報などを誰でも閲覧することができます。 この度、データバンクの「会員情報」をリニューアルしましたので、このページで何ができるのかご紹介します。 | |
飼養牛全頭を一覧表示 | |
「会員情報」画面では、農場コードとパスワードを入力して農家別のページにログインすると、「農家別登録牛情報」と「人工授精データ入力」の二つのメニューが表示されます。 まず、「農家別登録牛情報」画面(図1)には、ログインした農家で現在飼養されている乳用牛が全て表示されます。ここでは登録の有無に拘わらず表示されるので、血統登録していない牛や雄牛も含まれます。また、項目を押下すると、昇順・降順に並び替えることができます。 血統登録牛については、登録番号、血統濃度、名号、登録所有者名などの情報が確認できます。そして、登録番号をクリックすると血統情報(3代図)が表示されます。 牛群検定に加入している牛は牛群検定牛コード、また検定で報告された最近分娩日や産次を確認することができます。 さらに、これらの情報データはダウンロードして、表計算ソフト等で利用することができるのでとても便利なツールといえます。 図1の右側部分の最終授精記録及び授精履歴を表示させるには、次に説明する「人工授精入力」画面でのデータ入力・送信が必要です。 | |
授精記録の入力 | |
「人工授精データ入力」画面(図2)は、主に自動登録に必要な授精報告を行うために利用されています。 この画面で授精を行った雌牛の登録番号、授精年月日、交配種雄牛を入力し、データを送信すると、「農家別登録牛情報」画面で授精記録として表示されます。 なお、「会員情報」を利用するには、日本ホル協の会員であることと、牛個体識別全国データベースの情報利用同意書提出が条件となります。 ※自動登録とは、生産者が報告した個体識別データと授精データを用いて、血統登録申込書用紙を記入することなく自動的に血統登録を行う仕組みで、平成25年度都府県では約50%、北海道では96%の牛がこの方法で登録されています。 | |
その他も情報満載 | |
家畜改良データバンクでは「会員情報」のほかにも閲覧できる情報が沢山あるのでご紹介します。
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PDF版 | |
平成27年01月20日「インターブルとゲノミック評価について」 ~乳用牛改良に関するセミナーより~ | |
2014年12月8日、北海道の帯広畜産大学で開催された「乳用牛改良に関するセミナー」についてレポートしたい。ここでは乳用種雄牛の国際評価機関であるインターブルの設立者の1人であるヤン・フィリップソン博士の講演並びに国内の研究者によるゲノミック評価の現状報告を紹介する。 | |
ヤン・フィリップソン博士の紹介 | |
1967年に畜産科学の修士号を取得後、ウィアド研究所に家畜育種の研究者として着任。76年に博士号を取得後、スウェーデン農科大学の助教授に就任。83年より同大学の教授。乳用牛、肉用牛、乗用馬、羊などの育種改良に関する研究および教育活動に従事し、09年に同大学を退職。現在、同大学名誉教授。乳用種雄牛の国際評価機関であるインターブルの設立に尽力し(インターブル事務局は農科大学内にある)、その事務局長を83年から11年まで務める。 また、母国スウェーデンでは、アニマルモデルBLUP法による乗用馬の改良体制を構築し、さらに乗用種雄馬の国際評価を行うインタースタリオン・プロジェクトを立ち上げる。自身も乗用馬の牧場を経営しており、ブリーダーとしても知られている。 | |
インターブルの設立とその目的 | |
博士の要旨は次のとおりである。現在では一般的である凍結精液や受精卵の普及に伴い、乳牛の市場は国内に留まらず、世界規模の市場に成長した。市場は大規模になったが、個々の国や環境で、どの種雄牛が優れているかは分からなかった。国ごとに種雄牛の遺伝的能力(以後、育種価)を評価していたが、国をまたいで育種価を比較することは出来なかった。生産者とAI事業体は客観的な情報と、国間で比較可能な育種価を必要としていた。 そこで83年にインターブルが設立され、「輸入者と輸出者の利便のため、主要な乳用種の種雄牛に関する正確な遺伝情報を提供することで、酪農産業を支えること。それにより、異なる国、環境、改良目標に関するベストな遺伝子の選抜を促進する」ことを目的とした。 | |
インターブルによる国際評価 | |
インターブルは、参加各国から提出された国内の種雄牛評価結果を元にし、国毎の遺伝相関と種雄牛間の血縁関係を利用したMACE法を用い、図のように参加国毎のものさしでそれぞれの国の環境に応じた評価値を形質別に計算し、参加各国に提供している。例えば、ニュージーランドのような放牧主体の環境下で能力を発揮する種雄牛を日本の飼養環境下で国内の種雄牛とともに順位づけが可能になる。 | |
インターブルの功績とこれからの役割 | |
インターブルは民間と研究組織の間での研究開発の場となり世界的な討論の場・基礎を確立した。また、独立組織として存在し国際遺伝評価のシステムの確立、世界的規模での改良目標・環境にあった最適な選抜を可能にし、酪農産業の競争力を高めることになったことがインターブルの功績と言える。 インターブルはこれからも従来の種雄牛国際間遺伝評価を行っていくとともにゲノミック選抜などの新しい技術の検討や研究開発するためのデータ蓄積・分析する場、まとめ役としての重要な役割がある。 PHENOTYPE is still KING! 講演の最後に博士はこの言葉を残した。直訳すると「表型値は今でなお王様である」となる。ゲノミック評価では従来の評価方法とは異なり、乳量や体型形質などの表型値を必要としない。しかしながら、ゲノミック評価の精度向上には牛群検定や体型審査からの情報は不可欠である。博士はKINGという言葉を用いてこれからも牛群検定や体型審査の実施の重要性を強調していた。 | |
日本におけるゲノミック評価の現状 | |
日本ホルスタイン登録協会北海道支局の馬場氏から日本におけるゲノミック評価の現状について報告があった。国内のゲノミック評価は08年から調査、SNP検査の試験的検証が行われて、2013-11月評価より公表が始まった。公表は年4回の頻度で家畜改良センターが行う。若雄牛と未経産牛が対象で未経産牛は血統登録を行い、家畜改良事業団が実施する牛群検定に事前加入し、初産分娩後には登録協会が行う体型審査を受検する必要がある。最新の評価では3,945頭の未経産牛が評価・公表された。 一方の雄牛についてのゲノミック評価の利用は、後代検定候補種雄牛選定の事前選抜に利用されており、これまでの評価値では同値であった全兄弟の差異が分かる等のメリットがあるが、諸外国のようなゲノミック評価値のみを持ったヤングブルの一般供用はされておらず、現状では世代間隔を短縮して改良速度を上げるというゲノミック選抜のメリットを活かしきれてはいないと言える。 | |
ヤングブルの輸入精液利用は増加の一途 | |
ゲノミック評価値のみを持ったヤングブルの輸入精液の利用は年々増加している。表に北海道内の授精状況を示した。10年より利用され同年では人工授精を行った精液のうち3%の利用状況であったが13年では15%と3年で5倍と大きくシェアを伸ばしている。中でも石狩、空知、留萌地域では20%を大きく超えており、特に留萌地域では3割近く利用している。ヤングブルは遺伝的な改良が進んだものが多いが、盲目的にならず通常の輸入精液と同様に利用する際には近交係数に注意し、牛群改良に寄与する優秀なものを選ぶ必要がある。 | |
ゲノミック評価の今後の取り組みについて | |
ゲノミック評価・選抜はもはや主流の技術であり、新しい技術ではない。まずはこの認識を変えることが必要で、国内における研究事例が少ないことを多くの研究機関が連携して解決していく必要がある。そのためには血統登録をはじめ、牛群検定や体型審査を行い、基本的な情報を集積していくことが重要となる。 | |
平成27年01月20日「生涯乳量」 ~都府県26年12月~ | |
26年12月に都府県で検定成績証明されたものの中から、下表には生涯乳量5万㌔以上の高記録牛39頭を示した。今回は上位5頭が総乳量10万㌔を突破した。 | |
1位・鈴木篤さん(埼玉県)所有 「アドルフリーマックスアップル」 | |
生涯乳量トップは、鈴木篤さん(埼玉県)所有の「アドルフリーマックスアップル」(平12.12.6生)の検定回数10回で検定日数3,639日、総乳量12万2,035㎏、総乳脂量5,127㎏、平均乳脂率4.2%、総乳蛋白質量4,184㎏であった。今回10産目の305日検定成績証明を申請したことにより総乳量12万㌔超えを達成し、県内の歴代3位の記録を獲得した。これにより、県内で総乳量12万㌔突破牛は3頭となった。 | |
2位・中六角保広さん(岩手県)所有 「リバティーファームプレステージアウトサイドマスター」 | |
2位は、中六角保広さん(岩手県)所有の「リバティーファームプレステージアウトサイドマスター」(平12.2.19生)の検定回数12回で検定日数3,696日、総乳量12万1,928㎏、総乳脂量4,854㎏、平均乳脂率4.0%、総乳蛋白質量3,681㎏であった。本牛も今回の検定成績証明を申請したことにより、県内の歴代3位の記録を獲得し、総乳量12万㌔突破牛は3頭となった。 | |
3位・川又紀元さん(岩手県)所有 「マンテラCLダーハムアサヒ」 | |
3位は、川又紀元さん(岩手県)所有の「マンテラCLダーハムアサヒ」(平14.1.27生)の検定回数9回で検定日数2,750日、総乳量11万1,323㎏、総乳脂量3,400㎏、平均乳脂率3.1%、総蛋白質量3,646㎏で、今回検定成績証明を申請したことにより総乳量10万㎏を突破した。また、本牛は審査得点90点以上(EX)を獲得しており、体型面においても優れた成績を残している。本牛には在籍している娘牛が4頭おり娘牛の活躍にも期待したい。 | |
4位・(独)家畜改良センター(福島県)所有 「ロックイーグルマドンナルージュウイーブET」 | |
4位は、(独)家畜改良センター(福島県)所有の「ロックイーグルマドンナルージュウイーブET」(平13.12.18生)の検定回数8回で検定日数2,281日、総乳量10万5,391㎏、総乳脂量4,289㎏、平均乳脂率4.1%、総乳蛋白質量3,444㎏であった。 | |
5位・妹尾始さん(岡山県)所有 「ヒールクレストドミノブリジット」 | |
5位は、妹尾始さん(岡山県)所有の「ヒールクレストドミノブリジット」(平15.12.20生)の検定回数7回で検定日数2,586日、総乳量10万5,050㎏、総乳脂量3,251㎏、平均乳脂率3.1%、総乳蛋白質量3,283㎏であった。本牛は、平均乳量が1万5,000㎏を超える高泌乳牛である。今回検定成績証明を申請したことにより県内の歴代4位を獲得した。 前述の牛を始め、8位・山口貴士さん(兵庫県)、12位・川田佳男さん(栃木県)、20位・植木靖さん(栃木県)、37位・小林正春さん(長野県)所有牛は、審査得点EXを獲得しており、体型においても優れた成績を残している。 | |
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平成27年01月20日「ホルスタイン手帳好評発売中」 ~2015年版~ | |
平成27年01月20日「急増するレッド雌牛」 〜赤白斑牛のとりまとめ〜 | |
バリアント・レッドのコード化 | |
世界ホルスタイン・フリージアン連盟(WHFF)の評議員会が、昨年5月ドイツのベルリンで開催された。そこで「変則赤毛因子(バリアント・レッド)のコード化」についての提案があった。 従来の赤白斑はメンデルの法則に従い、黒白斑に対して劣性である。ところが、バリアント・レッド因子は「黒白斑(ホモBB)との交配でも変則的に赤白斑が生まれることがある」というもので、従来の赤白斑の遺伝子座と位置が違うことが分かっている。 | |
そのほかのレッド遺伝子 | |
レッドにはもう2つ、不思議なものがある。1つは、生まれたときは赤白斑だったが成長すると黒白斑(おおむね3〜6カ月)になってしまうもので、その因子を持っている代表牛は「ロイブルックテルスター」(63年生)とその息牛「ハノーバーヒルトリプルスレットRED」(72年生)で「ブラック・レッド」と呼ばれている。 2つ目は「ワイルド・タイプ」と呼ばれるもので、「アグラベーシヨンローンボーイPRED」(02年生)が代表牛である。これは片方の遺伝子が劣性レッド因子で発症し、年を取るとともに赤毛が先端で色濃くなる。 バリアント・レッドが3番染色体であるのに対し、そのほかはすべて18番染色体で、優性黒白斑遺伝子(B)、黒赤遺伝子(T)、ワイルド・タイプ(W)、そして従来の劣性赤白斑遺伝子(r)の優劣関係はB>T>W>rとなる。 | |
雌牛のレッド登録頭数は過去最高 | |
今回、レッドの状況について、日本ホル協が持つ血統登録データ1,000万頭余の中から赤白斑牛4万1,834頭を調べた。図は、雌牛の赤白斑登録頭数を生年別に取りまとめたものである。70年代前半が少ない理由は、日本で赤白斑牛の登録ができるようになったのが78年からであるからだ。 世界で一番早く赤白斑牛が登録できるようになったのはカナダで69年、その1年後の70年に米国が開始している。日本では、2000年辺りまでは年間500〜1,000頭程度の登録であったが、02年の750頭から急上昇して13年では過去最高の2,877頭となっている(図)。 | |
雌牛のレッド頻度も急上昇 | |
登録頭数との頻度について見ると、93年の0.17%から上昇を始め、14年には1.50%まで達した。赤白斑は「かわいい」とか「きれい」ということからか、最近はことさら人気があるようである。筆者は約20年前に米国ウィスコンシン州のビゴー牧場を訪問したが、そこでは多くの赤白斑牛が繋養されており、牛名板の父牛名号はほとんどがREDだった。家や牛舎、トラクタもすべて赤白斑(茶と白で統一)であったことを思い出す。 | |
歴代作出1位はアドベント | |
表1は、全登録データから種雄牛別にレッドの娘牛頭数を見たものである。ここでいう種雄牛は、自身がレッドのもの(名号の末尾にREDが付く)と、黒白斑でレッド因子を持つもので取りまとめた。一番多かった種雄牛は、アドベントREDで1,598頭であった。続いて、ダブルスレツトの1,128頭、オランダのレノREDの1,028頭で、ここまでが1,000頭を超える。4位には、いにしえのクリスタンが入った。 | |
歴代のレッド頻度はルデイー | |
表2は、種雄牛ごとに血統娘牛に対するレッド娘牛の出現頻度を見たものである。上位牛はすべて種雄牛自身がレッドで、1位はルデイーREDの60.63%であった。また、日本の種雄牛で上位に入ったのはバルストREDの39頭。レッド頻度11.85%で、現在は赤本72位だが、体型が秀でているという理由からだろうか…。 | |
現存するレッド娘牛もアドベント | |
次に、現在生存しているレッド雌牛1万3,140頭とその父牛(種雄牛)別に取りまとめた。種雄牛は277頭で、また、そのうち生存娘牛レッドがいない父牛(レッド・キャリア)も含めると578頭となる。 そのうち娘牛100頭以上の種雄牛は37頭であった。その内訳は、レッド種雄牛は32頭、キャリアは5頭であった。表3は、レッド娘牛の多いものから示している。娘牛頭数1位はアドベントREDで、レッド娘牛1,047頭を作出した。アドベントは、特に体型の改良に人気があるレッド種雄牛である。しかしながら、総合指数(NTP)は現在-299と低く、乳量もマイナスである。2位のレッドライナーREDが、娘牛643頭でNTP+849。 上位20頭を見ると、9位のアイオーンだけが日本の種雄牛であり、NTP+3,250(21位)と高い値を示している。これらの種雄牛の遺伝評価値は、交配したときから少し時間がたっているものの、NTPが低いものが散見される。 | |
アクティブNTPトップはストーン | |
表4は、NTP40位(輸入精液は40位相当)以内の種雄牛で、本牛がレッド・キャリアまたは娘牛にレッドがいる(レッド・キャリア未検査)もの16頭(うち日本の種雄牛11頭)を示した。 1位はストーンでNTP+3,881、昨年8月評価ではNTP3位であった。検査ではレッド・キャリアであるが、まだ赤白斑の娘牛は出ていない。2位は、アレックスでNTP4位。16頭の中には日本の種雄牛も数多くいるので、赤白斑娘牛を作出したい場合は、これらの中から近交係数を考慮して交配していただきたい。 しかし、16頭の中には種雄牛がレッドのものは残念ながらいない。NTP41位以下では、65位のトップスピードが59頭中、レッド娘牛5頭。NTP72位のバルスト REDが306頭中、レッド娘牛が38頭であった。この2頭は、5年前の21後検に5頭エントリーされたレッドのうちの2頭である。その後、候補種雄牛ではレッドは1頭もいない。このため、レッドの娘牛を得たいときは、26後検のレッドが検定済みになるまでの間は、日本の種雄牛ではアイオーンをはじめとするレッド・キャリアを利用して総合力に優れた種雄牛を交配に利用していただきたい。 | |
平成27年01月20日「『ヒラリーウインド』初1位」 〜2014-11月国内雌牛評価〜 | |
11月25日に国内雌牛2014-11月遺伝評価値が公表された。上位15位以内に新規が1頭入った。 | |
1位ウインド | |
前回の8月公表で新規でありながらいきなり3位に食い込んだ「ウインド」(北海道・加藤智行牧場)がトップに上り詰めた。母は前回まで8回1位に選抜され、今回3位となった「ジャーディン」であり、名門「ヒラリー」一族である。 叔母には7位の「ピクシー」、その娘「オリーブ」11位を筆頭に、25位「アコム」(宮崎県・前原牧場)、30位「セブン」、31位の「リー」、32位「ボルトン」と続くほか、後代検定の候補種雄牛も数多く輩出している。 「ウインド」の成績は、NTP+6,132、乳量+3,406。また決定得点、肢蹄、乳器など体型全般も優れた成績を打ち出した。同牧場ではベスト15に前述の4頭に加え、10位「スターシャ」と計5頭も入る素晴らしい牛群である。 | |
2位プラネット | |
常にトップ争いをする内田牧場の「プラネット」は、僅差で2位となった。産乳成分並びに乳量では「ウインド」を上回っている。この一族も優秀牛が多く、母牛の「ブランデイ」は23位と健闘している。同牧場もベスト15には、新規で4位に入った「ブラインド」、そしてその母牛「ソレイユ」も5位、14位「ビーコン」と4頭入り、こちらも素晴らしい牛群。 | |
宮崎県前原牧場が6位 | |
6位には唯一都府県でベスト15位以内に入った「オーマン」がいる。名門「マウイ」一族で、母の「タイタニック」は、乳量305日並びに365日において3.5年型歴代6位に輝く成績。 | |
平成27年01月20日「海外種雄牛評価成績」 〜2014-12月公表〜 | |
平成27年01月20日「今後の行事」 〜日本ホル協〜 | |
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