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機関誌内容一覧

2018年09月20日号「日本ホル協特集号」

4面

創立70周年を祝う 

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    酪農業関係者140名以上が出席
    「事業の継承と最新手法の利活用を」

     日本ホルスタイン登録協会は、9月5日に東京・中野サンプラザで創立70周年記念式典を開催した。式典には農林水産省をはじめ中央畜産関係団体や日本ホル協支部・承認団体関係者など140名余が出席した。

    前田会長式辞

     前田勉会長から「わが国のホルスタイン登録事業は明治44年の日本蘭牛協会に始まり、以来途切れることなく連綿と継続されてきた。その間、いくつかの登録団体の変遷を経て、昭和23年に、国の認可の下、全国一円でホルスタイン登録事業を行う公益法人として創立され、本年で70周年を迎えた。
     今般、酪農情勢は誠に厳しい局面を迎えているが、乳用牛の遺伝的改良を通じて酪農生産性の向上と後継牛の確保を図り、血統登録や牛群審査を推進するとともに、牛群検定や後代検定、さらには最新の改良手法であるSNP情報やゲノミック評価法を有効に利活用することが最良の方法と考えている。
     これまで多くの会員や関係各位によって引き継がれてきた乳牛改良事業、血統登録事業を継承すると共に、今後の酪農の発展に向けて、益々のご支援、ご協力をお願い申し上げる。」と挨拶した。

    功労者表彰 ~61名に感謝状贈呈~

     登録事業功労者表彰では、長年にわたり当協会の役員として協会運営に尽力し、登録事業の発展と振興に特に功労のあった前田勉会長、三浦幹雄前理事、臼井勉理事の3名に農林水産大臣感謝状が、千葉準一監事ら9名に生産局長感謝状が贈られた。また、当協会社員として会の運営に特に長きにわたり支援・協力された19名、登録委員として第一線の現場で活躍された方々14名、支部・承認団体等職員として長年にわたり登録の普及推進に尽力された16名に会長感謝状が贈られた。各受賞者は次のとおり(敬称略)。

    • ◎農林水産大臣感謝状
       前田勉、
       三浦幹雄
       臼井勉
    • ◎農林水産省生産局長感謝状
       杉浦弘泰
       弓家 善一
       岡村隆生
       南原需
       千葉準一
       藤岡俊策
       阿部正一
       湊惠
       松島喜一
    • ◎日本ホルスタイン登録協会会長感謝状
      ▽社員
       山口哲朗
       水本隆夫
       中家重夫
       井上宏三
       木塚陽一
       真下豊
       青木雄治
       長谷川行夫
       高来直人
       田嶋敏
       松尾一雄
       中山庄司
       和田健敏
       千葉靖代
       東山基
       原田康典
       片岡義澄
       石川俊彦
       新里重夫

      ▽登録委員
       石川久雄
       遠藤菜菜
       遠藤強
       潮田寛見
       海澤勝利
       諸橋清隆
       山下秋広
       澤村正次
       尾川淳
       中村健一
       北村猛
       野口浩和
       奥山康恵
       貞松義紀

      ▽支部・承認団体職員等
       堀江徹
       富樫眞悦
       木村紀美江
       古田土学
       今吉正登
       赤堀弘
       大村耕治
       齋藤眞澄
       藤澤義美
       河原孝吉
       小泉俊裕
       渡邊時三
       大西信雄
       渥美正
       薄田正之
       千葉雅子

    農林水産大臣並びに農林水産省生産局長感謝状を受賞した方々
    前列左から山口副会長、三浦前理事、枝元生産局長、前田会長、臼井理事、清末副会長
    後列左から藤岡前理事、岡村前理事、弓家前監事、湊前理事、松島理事、千葉監事

    全共は未来志向の共進会へ 農林水産省・枝元生産局長

     農林水産省・枝元真徹生産局長からは「70年の長きにわたり、血統の登録事業のみならず、遺伝的改良のための情報の収集・分析、飼養管理技術の改善、また、優れた人材、組織の育成など、育種改良、生産振興について常に先導的役割を果たしてきた。
     わが国の改良、ひいては酪農業の発展に大きく貢献してきた貴協会の功績に対して、深く敬意を表する。近年、人口減少や高齢化などによりわが国の農林水産業は大きな転換期を迎え、改良も乳量だけではなく、繁殖性や搾乳ロボットに適合した体型など、様々な酪農現場のニーズに応えた改良を進める必要が生じており、貴協会の役割はますます重要になると考える。
     2020年には初の試みであるブロック開催による第15回全共が宮崎県で開催されるが、新しいニーズに応える未来志向の共進会として、改良の新たな方向性を示す契機となることを期待している。」など労いの言葉が贈られた。

    改良のため連携・協力を 家畜改良事業団・伊地知理事長

     一般社団法人家畜改良事業団伊地知俊一理事長は、「ホルスタイン種の登録は明治44年に日本蘭牛協会によって始められ、中央畜産会、全国農業会などを経て、戦後の混乱期の昭和23年に貴協会が設立されて引き継がれた。その後、貴協会は時代の要請に応え、登録関係業務の拡充、効率化等を図り、今日まで一貫してわが国の乳牛の登録や育種改良の中核的な組織として、我が国酪農の振興、発展に重要な役割を果たしていることに対して心から敬意を表する。
     近年は酪農家の高齢化などにより、酪農家戸数の減少に歯止めがかからず、生産基盤が縮小、弱体化している。一方で、TPP11協定やEUとのEPA協定の早期発効に向けた手続きが進められている。
     こうした内外の情勢のもと、乳牛の改良を通じた生産性向上による酪農の収益性向上と経営体質の強化が一層重要となっており、乳牛改良の基本となる貴協会の登録関係業務の役割もますます重要なものとなっている。
     国際化が進展する中で、乳用牛の効率的、効果的な改良を推進し、我が国酪農の振興に寄与するためには、今後一層、貴協会と当団は連携、協力して互いの業務を推進することが極めて重要だ。」などと祝辞を述べた。

    より一層の連携強化を 全国酪農協会・馬瀬口会長

     一般社団法人全国酪農協会馬瀬口弘志会長から「貴協会は昭和23年の創立以来、酪農の基礎を成す、乳業改良事業の中心となり、我が国の酪農発展に寄与されてきた功績は大きい。今日、こうして新鮮かつ安全な牛乳乳製品を食することができるのも、ひとえに貴協会のこれまでの尽力によるものであり、改めて敬意を表する。さて、貴協会は、本会や全酪連、酪政連とともに、いわゆる酪農友好4団体として、全国の酪農生産者の生の声を政府・国会に届け、日本の酪農を少しでも良い方向に改善するために農政活動をはじめ一体となって活動してきた。平成23年3月の東日本大震災、平成28年4月の熊本地震に際して、全国における義援金の募集活動や要請活動を展開したのは記憶に新しい。
     さらに、貴協会は昭和48年に本会の機関紙「全酪新報」を貴協会の機関紙にも指定し、現在は年4回会報として、ご活用いただき、そして、「ホルスタイン牛の広場」として毎月、全国に内外の改良の成果等を発信していただいている。今後ともより一層の提携強化と友好を深めていきたい。」との祝辞が述べられた。

ブラウンスイス血統書は水色へ
-平成30年10月1日発行分から-

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     平成30年4月よりホルスタイン種以外の乳用種の血統登録証明書の枠外に品種名を表示しておりますが、ブラウンスイス種は近年、登録頭数の顕著な増加が見られることから、ホルスタイン種の証明書と容易に識別できるよう平成30年10月1日発行分より用紙の色を変更します(図1)。なお、エアシャー種およびガンジー種の血統登録証明書の用紙は変更しませんが、証明書の枠外右上部の品種名を引き続き表示します。

審査日程-平成30年10月~平成31年2月-

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5面

近交係数上限値の直しと最新技術を学ぶ
-平成30年度 地区別登録委員研修会-

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     (一社)日本ホルスタイン登録協会(前田勉会長)では、都府県を6地区に分け、登録委員を対象にした1泊2日(関東は別項目)の研修会を行いました。この研修会は、日頃酪農現場の第一線で活躍している登録委員を対象として毎年夏期に開催しており、今年度は7月下旬から8月上旬にかけて、東北地区(宮城県)、中部・北陸地区(石川県)、近畿地区(和歌山県)、中国・四国地区(徳島県)、九州地区(沖縄県)の5地区で開催され、今年は事務研修に加えて、「近交係数の上限値の見直しと国内ゲノミック評価の動向」と題して講演会を開催しました。今回はその講演会の内容を紹介します。

    登録は改良の基本

     当協会では、強度の近親交配の回避と、遺伝的不良形質(遺伝病)の発現を未然に防ぐために、血統登録を推進してきました。
     しかし、繁殖技術の発達、ゲノミック評価の導入により世代間隔が縮まり、近年の登録雌牛の近交係数は年々上昇しております。

    上昇し続ける近交係数

     約50年間の日本及びアメリカの登録雌牛の近交係数の推移を図1にしました。1970年では日本、アメリカともに近交係数は1%未満でしたが、年々、近交係数は上昇し2017年生まれの日本の登録牛の近交係数の平均は6.35%(アメリカは7.23%)となっています。
     近交係数が上昇すると、乳量や決定得点の低下、空胎日数の増加などの近交退化が現れます(図②)。近交係数に近交退化量を乗じた数字が農家の損失と言っても過言ではありません。
     また、BLAD、CVMなどの遺伝的不良形質がありますが、おじ・めい交配などの非常に近い近親での交配は未知の悪性劣性遺伝子がホモになる確率が高くなり、早期胚死滅や子牛が死亡することがあります。子牛が生産されなければ酪農家には大きな損害となります。

    退化量を上回る改良を

     近交係数の上昇による近交退化や遺伝的不良形質の発現が酪農業に影響があることから、当協会では近交係数の上限値の目安を6.25%にして、それ以上になるような交配を避けることを推奨してきましたが、6.25%の上限値では、遺伝的に優秀な種雄牛を選定することが困難になってきました。
     このことを踏まえ、近交係数の上昇にともなう近交退化量を調査したところ、現状の6.25%を数%超えたとしても、生産性を大きく低下させるほどの強い影響がなく、むしろ近交退化量を上回る遺伝的能力の高い種雄牛を交配することで、改良を維持できることがわかりました(図③)。
     改良をしていく上で近交係数の上昇は避けることはできませんが、非常に近い近親での交配や、近交係数を急激に上昇させるような交配は近交退化量が増大することから、緩やかに近交係数を上昇させることが重要になります。

    上限値の見直しを検討

     そこで、新たな近交係数の上限値を設定するために、昨年の初夏、北海道内で開催した研修会等で意見交換を実施したところ、近交係数の上限値は今後も必要であり、急激な上昇により繁殖性の低下や遺伝的不良形質の発現に不安があるが、段階を追って上げていく方が良いという意見がありました。反面、海外と比較して緩やかな上昇は授精師の努力によるものであり、上限値を変更するのは努力が無駄になる等の意見もありました。

    6.25%から7.20%に変更

     調査結果や意見交換などを考慮して、北海道では昨年10月から先行して現行の近交係数の上限値を約1%上げて7.20%として、近交回避情報の設定値やweb上の近交係数情報に利用しています。
     都府県については、本年10月から同じく上限値を7.20%に変更し、家畜改良データバンクの近交回避情報の変更をいたします。

    SNP検査は年々増加

     SNP検査の検査状況は2013年からSNP検査を開始して、2018年3月末時点で約6万のデータが蓄積されています(図④)。SNP検査は、早い月齢で実施して遺伝評価値を得ることで、子牛の時点で選抜することができます。検査開始当時は月齢に関係なくSNP検査をしていましたが、最近では検査月齢が早まり生後1~2ヶ月齢でSNP検査する牛が多くなってきました。

    子牛の時期に選抜

     未経産の従来の評価値PAにDGV(直接ゲノム価)を追加することで、未経産のPAの信頼度は50%未満であったのが、DGVが加わりゲノミック評価値GPIとなり、信頼度が50%を超えます。評価値の信頼度が低い未経産についてはDGVの寄与が大きいことがわかります。反対に、経産牛従来の評価値であるEBVはDGVが加わるとゲノミック評価値GEBVになりますが評価値の信頼度はわずかに増える程度です(図⑤)。
     また、GPIが高い牛は、分娩後にGEBVを得ても高い傾向があり、SNP検査は子牛時点の選抜手段として有効の評価技術です。

    血縁の矛盾が分かる

     SNP検査で得られたデータは能力や体型のデータだけではなく、血縁も確認することができます。当協会ではSNP検査した牛のデータが、血統登録上の血縁と矛盾が無いかを確認しております。
     しかしながら、数%の割合で登録とSNPデータの血縁に違いがあり、その牛を血縁疑義牛として、正しい血統であるかを確認するために、再度毛根を抜きなおして親子判定をしてから血統更正をしております。
     当協会の受付分、ALIC事業の受付分を見てみると、どちらにおいても都府県の血縁疑義率が高く推移しています(図⑥)。正確な登録の報告をするために、血縁疑義率を少なくするような対策をしていただきたいと思います。

    疑義の解消は早めに

     親子判定では父母子間のDNAの照合により確認するマイクロサテライト法が一般的ですが、SNPでの親子判定では親子間でのSNPデータの照合と、血縁行列法での血縁を確認する方法の2つがあり、当協会では血縁行列法で親子関係を確認しています。
     血縁行列法は、血縁情報由来の数値とSNP情報由来の数値を見て判断する方法で、血縁とSNP情報由来の数値がほぼ同じ値になれば血統が正しいと証明され、血縁とSNP由来の情報が大きく異なっていれば血統が違うと判断する方法です。
     血縁疑義が解消されないとせっかくのSNPデータが採用されませんので、血縁疑義が判明したら早期に解決できるよう対応をお願いします。

検定成績優秀牛群-都府県、平成30年8月証明分F偏差値-

6面

審査頭数4552頭・EX161頭
-平成30年度前期(4月-7月) 都府県-

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     都府県の牛群審査・体型調査は4月~7月で前期の日程を終えた。ホルスタイン種の牛群審査は4259頭、牛群奨励・個体審査は293頭、合計4552頭を実施し、前年同期比で318頭減少した。他品種では、ジャージー種67頭(5頭増加)、ブラウンスイス種2頭(1頭増加)の審査を実施した。また、本年度の後代検定材料娘牛とその同期牛の体型調査は、666戸で3714頭の体型データを収集した。 
     なお、161頭(ホルスタイン160頭、ジャージー1頭)がエクセレント(審査得点90点以上)と評価され、E表記(複数回EXに評価された)牛51頭が誕生した。

    審査頭数は通年ベースで推移

     平成30年度前期の都府県における牛群審査と奨励・個体審査は、前年同期比13戸・318頭減少し、4552頭の審査を実施した。主な減少の要因として、平成28年の熊本地震の影響で、分娩の都合から時期が合わず審査できなかった熊本県内の牛達が、平成29年前期に審査したことでその年の審査頭数が一気に増加したものであり、過去5ヶ年間の都府県平均頭数と今期審査頭数を比較すると概ね通年ベースの実績であった。
     また、後代検定材料娘牛と同期牛の体型調査は、毎年10%以上の予算が削減される中、材料娘牛の体型データを効率よく収集するため、都府県の牛群検定加入戸数・頭数と後代検定材料娘牛保留頭数、そして血統登録の有無を条件に計画頭数を配分している。都府県毎に酪農家戸数が異なることから調査頭数の大小で都府県の実績に優劣をつけるものではないが、調査頭数が多いほど血統登録並びに牛群検定の加入が進んでいるものと言える。このような状況の中、今年度前期の体型調査は都府県666戸で調査を行い、計画頭数の約半数に当る3714頭のデータを収集した。
     なお、昨年後期より開始したJRL事業による歩様調査は体型調査と並行して実施したが、歩様スコアの収集が可能なフリーストール・フリーバーンといった牛舎形態に限定されたこともあり、都府県171戸で1180頭の調査を実施し、計画頭数の4割弱のデータ収集に留まった。10月から後期審査が開始されるので、引き続きこれらの調査への協力をお願いしたい。

    審査頭数1位は岩手県

     今期の審査頭数を都府県別にみると、昨年に引き続き岩手県の581頭が最も多く、次に熊本県が521頭で2位、3位となった栃木県が348頭、4位が群馬県の337頭、次いで5位が千葉県と続き5位までが220頭以上を受検、審査頭数は昨年と同様の順位となり、上位5県の審査頭数は都府県全体の45%を占める結果となった。
     一方、後代検定事業の体型調査は、前述のとおり都府県に計画頭数を割り当てることで実施している。その中で、調査頭数が最も多かったのが熊本県の603頭。次いで岩手県の412頭、以降、群馬県・鹿児島県・福岡県と続いた。
     また、JRL事業による歩様調査を最も多く実施したのは熊本県の182頭。次いで栃木県・鹿児島県・鳥取県・群馬県・岩手県と続いた。
     牛群審査と体型調査・歩様調査の合計では、熊本県が1306頭でダントツの1位。次の岩手県までが1千頭を超える1060頭。以降、群馬県681頭・栃木県642頭・鹿児島県428頭・千葉県420頭の実施となった。

    EX牛は161頭

     都府県で審査得点90点以上(エクセレント=EX)に評価された雌牛を表に示した。県別では群馬県が最も多い16頭、次いで岩手県15頭、栃木県14頭、熊本県12頭、福岡県11頭、宮城県8頭と続き、33都県でホルスタイン種160頭、ジャージー種1頭がEX牛として評価された。
     また、前期EX牛161頭のうち2Eが33頭(同点14頭)、3Eが16頭(同点9頭、減点1頭)、4Eが2頭(減点1頭)誕生した。健康であることはもちろん、長命連産性に優れ、素晴らしい体型を維持している証である。
     高得点では、EX93点と評価された牛が3頭(本誌2018年7月20日の日本ホル協特集号で紹介)、山形県深瀬牧場「ビツグジン・マツトソン・リン」が91点から93点(3E)に更新、静岡県大美伊豆牧場「ハイブリツジ・フアースト・カツト・パラダイス」が92点から93点(3E)に更新、愛知県ウィス牧場「HEF・デイーエス・ブバルデイア・ET」が91点から93点(3E)に評価された。このほかに、福島県・目黒牧場、木目沢牧場、群馬県・長壁牧場、須藤牧場、細野牧場、千葉県・糟谷牧場、鳥取県・岸本牧場、高知県・宮本牧場のそれぞれで初のEX牛が誕生。長きにわたり続けてきた改良努力の成果と優れた管理技術に敬意を表したい。

平成30年度ジャジング・スクール IN 岡山

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7面

近交情報システムWeb 10月より全国版が利用可能に

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     日ホル協では近親交配を避けるために様々な情報を提供している。審査受検時に配布する「近交回避リスト」やインターネットを利用した家畜改良データーバンクの近交回避情報がある。
    平成30年10月1日よりスマートフォンでの利用を想定した新たなサービス「近交情報システムWeb」を開始するので紹介したい。
     平成29年3月より北海道内で先行リリースされていた近交情報システムWeb(図1)が平成30年10月1日より、全国版として利用が可能になります。スマートフォンやタブレットを使って、全国の雌牛と供用可能種雄牛との間に生まれる産子の近交係数を検索できるシステムです。利用申込み不要で、サイトにアクセスすることで誰でも無料で使用できます。

    農家選択(図2)

     農場コード(10桁の個体識別農場コード)を入力して農場を追加します。「削除」しない限り、次回以降も追加した農場コードのデータは残ります。また、人工授精師や獣医師の方は複数の農家を登録して選択することもできます。その際は農場コードの追加に併せて農場名を入力すると管理が容易になります。

    種雄牛選択(図3)

     種雄牛は国内、海外種雄牛および後代検定候補種雄牛、さらには供用中の国内ヤングブルを含み、約700頭の中から選択することができます。利用する種雄牛が決まっている場合は、その対象種雄牛を選択し、選択種雄牛として保存すれば、毎回選び直す必要もありません。
    また、ホルスタイン種以外にもジャージー種とブラウンスイス種も利用可能です。

    雌牛選択(図4)

     選択した農家に在籍している雌牛が個体識別番号の拡大4桁順に表示されます。一度、農家選択(図2)と種雄牛選択(図3)を設定すると、次回以降は雌牛選択(図4)から始めることができます。また、飼養牛が多く該当雌牛を探すことが大変な場合は、拡大4桁の枠に入力(一部の数字でも可能)することによって雌牛を絞り込んで表示することができます。

    近交情報の確認(図5)

     雌牛をタップすると雌牛と選択した種雄牛たちを交配した際の近交係数が表示されます。近交係数は数値に関わらず表示され、加えて種雄牛のNTP・乳代効果も表示されますので遺伝評価値と近交係数を考慮した交配が可能になります。
     「名号」以外の項目をタップすることで並び替えが可能です。また、全種雄牛を対象として名号、略符号、登録番号の一部の文字列から近交係数の検索が出来ます。なお、未入力状態で検索をすると全種雄牛との近交係数が表示されます。

    Q&A

    • Q1:パソコンでも使えるの?
      A1:利用できます。ただし、スマートフォンやタブレットの画面で操作することを想定したサイトですのでページの余白が多くなります。
    • Q2:無登録牛は選択できるの?
      A2:血統登録牛のみ選択可能です。
    • Q3:預託に出した牛は利用できないの?
      A3:利用できます。ただし、雌牛選択画面には個体識別上在籍している牛が表示されますので、預託に出ている牛は選択できませんが、トップ画面から登録番号を入力することによって利用できます。
    • Q4:印刷はできるの?
      A4:牛舎や放牧地で携帯端末を見ながらの利用を想定にしていますが、パソコンからは印刷は可能です。

    アクセスは

     日ホル協Webサイトのトップページ、もしくはQRコードを読み取っていただくか、次のアドレスをご入力ください。

    http://www.hhac.info/cgi-bin/kinkai_sp/kinkai_sp.cgi

『ミミ』新規でNTP1位
-2018-8月 国内種雄牛評価-

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     (独)家畜改良センターは8月14日、乳用種雄牛評価成績2018-8月を公表した。下表には精液供給可能な国内種雄牛71頭のうち、総合指数(NTP)トップ40の種雄牛を示している。
     今回トップ40には新規選抜牛が11頭、ベスト10には4頭が登場しており、紹介するベスト3は全て新規選抜牛だった。

    1位「ミミ」 JP3H56556

     今回トップを飾ったのは初登場の「ミミ」。父牛「ブツケム」と母方祖父「フレデイー」の交配で誕生。泌乳形質の改良に優れており、乳蛋白質量2位、産乳成分3位、無脂固形分量4位のほか、体型形質でも耐久性成分5位、乳器が7位に入っている。

    2位「コスモポリス」 JP3H56732

     2位も初登場の「コスモポリス」。「モーグル」と「オブザーバー」との交配で誕生。乳蛋白質量が1位、産乳成分2位と泌乳形質に優れているほか、乳器と決定得点でも4位と、体型形質の改良にも期待が持てる。

    3位「グリーングラス」 JP3H56735

     3位も初登場の「グリーングラス」。「モーグル」と「アルタアイオタ」の交配で誕生。産乳成分と乳脂量が4位、乳脂率と乳蛋白質量が9位のほか、体型形質でも乳器が10位に入っている。

G評価は毎月評価へ 家畜改良センター・改良部

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     (独)家畜改良センターは、さらなるゲノミック評価の定着を図ることを目的に、偶数月評価から毎月評価に移行すると公表した。
     未経産牛に関しては、2月、8月および12月に公式評価を実施するほか、公式評価から次の公式評価の間に新たにSNP検査を行った未経産牛について毎月評価を行うこととなる。これまでよりも早く未経産牛のゲノミック評価結果が生産者に提供されることとなり、より早期に後継牛を選択し、牛群改良を効率的に行うことができる。
     後代検定候補種雄牛の候補となる若雄牛の予備選抜にゲノミック評価結果が活用されてきたところだが、より効率的に予備選抜が実施できるように、未経産牛と同様に毎月評価に移行する。
     参考に左表には毛根到着日から日ホ協の情報提供までの流れを示した。