2020年07月20日号「日本ホル協特集号」
4面
血統登録数3年連続増 登録数は過去10年間で2番目に
-令和元年度都府県各種申込状況から-
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令和元年度における都府県別各申込状況を表1に、また平成22年度から直近10年間の各種申込件数の推移を表2および図1に示しました。昨年度の都府県の血統登録数は4万7751頭で、対前年比102.6%と若干ではありますが3年連続して前年度を上回りました。生産基盤確保のために性選別精液の利用率が多くなり、雌牛の生産が増え、それが血統登録の増加に繋がっていると考えられます。年々、酪農家戸数の減少は続いていますが、性選別精液の利用に加え、ゲノミック評価を活用することで、優秀な後継牛生産もできます。これからも効率的な雌牛生産を継続していただければと思います。
会員・移動証明は減少
会員数は対前年比96.9%と減少しています。酪農を取り巻く情勢は変わらず厳しく、農家戸数の減少は、やむを得ないところはあります。
移動証明は、自動登録の普及拡大に伴い、毎年減少しています。現在、自動登録は全体の66.9%となり、昨年度よりも増加しております。自動登録は移動証明申込みが不要となるため、自動登録が増えるほど移動証明の申込みは減少します。
表1の右列、都府県の自動登録実施状況ですが、昨年度都府県で自動登録を実施している農家は1959戸でわずかですが増加しています。昨年度に自動登録を開始した酪農家は70戸ありました。中でも、熊本県13戸、岩手県11戸と2桁の増加となっています。既に会員の9割が自動登録を実施している支部・承認団体もあり、皆様のご尽力により自動登録への切り替えが進んでいます。
毎年自動登録を実施する農家が増えている一方で、何らかの理由により自動登録を中止している農家も少なくありません。当協会ではこれからも自動登録の普及推進に努めてまいります。各地において自動登録の普及推進の研修会等が開催されておりますが、要望があれば説明会等で当協会からも担当職員を派遣して説明をさせていただきますので、その際には当協会へご連絡ください。新規EX牛279頭
審査成績は9395件で、昨年度よりわずかに減少しましたが、新たにEX(エクセレント)と評価した牛は昨年度より8頭多い279頭でした。平成29年に制定されたEX―E制度により、分娩更新して審査を受検し、複数回EXに評価された2E以上の牛は昨年度よりも19頭増え、149頭でした。体型に優れた牛が増えているのは、これまでの改良の賜物と思います。
昨年度の新規EX牛を都府県別に見ると岩手県が40頭と最も多く、次に群馬県29頭、熊本県28頭、栃木県23頭でした。複数回EXに更新された牛は、岩手県が21頭と多く、次に熊本県14頭、群馬県12頭でした。
検定成績証明は4299件で前年度より47件増、対前年比101.1%となりました。ただ、県による差が著しく、証明件数の少ない地域の普及・推進が望まれます。昨年度から開始した登録情報活用システム(通称RIUS・ライアス)では、血統能力証明書では表示しきれなかった血統情報や歴代の審査成績などをパソコンやスマートフォンで閲覧できます。すでに使われている方もおられると思いますが、すべての方が閲覧できるわけではなく、自動継続によって検定成績証明書を取得している酪農家が対象になります。このシステム、これからも皆様のお役に立てるように改良をしてまいります。改良には血統が必要
雌牛に優秀な精液を交配して後継牛を残すこと。当たり前のことと思いますが、後継牛を生産することも改良だと考えております。母牛の能力や体型など遺伝的能力を引き継ぐためには、まずは血統を把握することであり、牛群検定や体型審査も必要になります。「血統なくして改良なし」引き続き血統登録にご理解のほど、よろしくお願いします。
元年度血統登録5%増加 引き続き自動登録推進を
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日本ホルスタイン登録協会の会員並びに登録委員、酪農関係者の皆様方には、日頃より登録事業に対しまして多大のご理解とご協力をいただき深甚より感謝申し上げます。
7月に入り、熊本県、鹿児島県をはじめ九州の広範囲を襲った豪雨では、河川の氾濫や土砂災害が発生し、多くの死者や行方不明者とともに住宅の冠水・孤立等、日々の生活はもとより、酪農業にも大きな被害を受けました。被害に遭われた皆様に対しまして心よりお見舞いを申し上げるとともに、1日も早い復旧対策が進められますよう祈念申し上げます。第15回全共が中止に
さて、新型コロナウイルス感染症は今や世界中で感染者数1400万人以上、死者数も既に60万人を超えており、その感染力は一向に衰えを見せておらず、7月に入ってからも、特に東京都内では新規感染者数が100人を超える日が続いており、「第2波」の前兆ではと心配するところです。
このコロナ禍によって、今秋開催を予定していた第15回全共九州・沖縄ブロック大会は、開催延期どころか中止決定という苦渋の決断を行うに至りました。九州・沖縄ブロック全共開催に向けてご支援ご協力いただいた全共実行委員会並びに開催ブロックの各県関係機関各位、そして全共出品を心待ちにしておられた全国の酪農家並びに関係者の皆様には、そのご心痛をお察し申し上げます。生乳生産量、平均乳量は伸びる
新型コロナウイルスの感染拡大は、酪農乳業界にも大きな影響を与えました。本年3月の学校一斉休校による学乳休止や緊急事態宣言発出後の外出自粛等による消費停滞で乳製品の需要が大幅に減少しました。しかし、政府の各種対策や酪農乳業界の賢明な努力支援によって、生乳廃棄や搾乳牛淘汰という非常事態を回避することができました。むしろ、今夏の牛乳不足が心配されるところです。
毎年頻発する自然災害や今回の世界的なパンデミックの経済不況下にあって、昨年度の生乳生産量は前年度より1%増加し、本年4、5月の生乳生産量も前年同期を上回る等、順調に推移しています。また、先日発表された牛群検定の令和元年度におけるホルスタイン種の305日全国平均乳量は9760キロで、2年連続で過去最高乳量を更新しました。これらは、会員並びに牛群検定農家の皆様方の酪農経営並びに乳牛改良に対する真摯な取組みと努力の賜と言えましょう。血統登録22万7千頭で5%増
令和元年度の血統登録申込頭数は、昨年10月からの消費税増税にもかかわらず、全国で22万7千頭余を数え、前年度対比105%の伸びを示しました。都府県においても自動登録の割合が年々増加しており、乳牛改良の基礎となる血統登録集団の拡大に大きな効果を上げています。
しかし、本年度に入ってからは、コロナ禍の影響でやむを得ないところですが、特に個別登録申込が大幅な減少傾向にあります。登録委員の皆様には外出自粛等で現場に出向く機会が制限されたことで、登録申込書作成や人工授精証明書の整備ができなかったものと推察しております。他方で、申込書不要の自動登録は前年同期とほぼ同様の登録件数を確保しています。NTPや長命連産効果見直しも
当協会においても、コロナ禍の影響は大きく、緊急事態宣言下では在宅勤務実施等により、特に血統登録をはじめ各種証明書の発行が遅延したことや、6月末までの3か月間は牛群審査業務を実施できなかったこと、通常総会の開催延期、今夏の地区別登録委員研修会の中止等でもご迷惑をおかけしております。
このように、令和2年度の事業計画については既に一部変更を余儀なくされた点もありますが、前年度に引き続き、より多くの乳用後継牛を登録に結びつけるため、安価で申込書不要の自動登録を推進し、強い近親交配の回避や遺伝病発現の防止、遺伝的能力評価計算の基礎となる正しい血縁の構築と、Webサイトやスマホによる情報提供等の充実を行ってまいります。
また、国等の助成事業では、搾乳ロボットに関連した体型形質データ等の収集と適合性指数を開発、繁殖・疾病データの収集とゲノミック評価等を考慮した総合指数(NTP)や長命連産効果の見直し等を検討します。
本年度も酪農経営の根幹の1つである乳用牛改良のための登録、牛群審査、牛群検定の推進を図っていく所存ですので、会員並びに登録委員、関係各位の特段のご協力をお願い申し上げます。
新・審査委員紹介 事業部審査課 塩野雅一
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約1年半、審査委員に随行し14県282戸の酪農家で実習を行い、この度、4月1日付けの辞令で審査委員を拝命しました。実習にご協力頂いた支部関係者並びに酪農家の皆様に心よりお礼申し上げます。
今月からは、各都府県にお邪魔して隠しきれぬ緊張の中、皆様方の愛牛を評価させて頂くことになりますが、お世話になった皆様からのご指導を生かせるよう日々勉強し、審査委員として誠心誠意努めさせていただきますので、お伺いする際にはどうぞ宜しくお願いします。
5面
「標準発育値」改め 「推奨発育値」発表
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このほど日本ホル協では25年ぶりにホルスタイン種雌牛の新しい発育値を発表した。従来の発育値は標準発育値と呼ばれ、1994(平成6)年に地方競馬全国協会の助成により家畜改良事業団が実施した「総合的遺伝能力評価のための基礎情報整備事業」において当協会が一部委託を受け、全国の農家でホルスタイン種の経産牛3245頭を測定したほか、家畜改良センター各牧場および都道府県の畜産試験場などから提供された経産牛と未経産牛のデータを使用し、ホルスタイン種雌牛の体格の現状把握および飼養管理上の客観的指標として利用されてきた。以来20年余りが経過し、その間、酪農経営者の高齢化や後継者不足などを理由に年々酪農家戸数および乳用牛の飼養頭数が減少し、さらに地震や台風等の自然災害による甚大な被害が続くなど、酪農を取り巻く情勢は年々厳しさを増している。乳用牛の改良面ではゲノミック選抜の実用化により泌乳能力の改良速度が加速している一方で、体のサイズの大型化が顕著に進んでいる。このような状況下、生乳生産量の回復には乳用牛の長命連産性および生涯乳量の向上が急務と考え、当協会は(公財)全国競馬・畜産振興会の助成により2017(平成29)年度から3年間、「乳用牛DNA情報による長命連産性向上事業」を実施し、ホルスタイン種雌牛の発育値、体のサイズ指数および肢蹄指数などを開発するための調査研究を行った。
今回は新しい発育値の開発に使用したデータ、推奨発育値の定義および使い方について説明するとともに、最新のデータから見直した胸囲からの体重推定法について紹介したい。(6面に関連あり)【使用したデータ】
測定データは、6道県14戸の酪農家で飼養されている雌牛898頭を生時から初産分娩後の早い時期まで最低2回以上測尺したものと、国および都道県の19畜産試験研究機関からも2000年から2015年までに誕生した雌牛の測尺データの提供を受けて分析に使用した。表1には推奨発育値を推定するために使用したデータ数を示した。測定部位は体重、体高、尻長、腰角幅、胸囲の5部位。ただし、体重は体重計による実測値に限ったため、研究機関のデータのみを用いた。
【発育値の定義】
初めに体型審査の線形形質を使用し、体のサイズと生産寿命の関係を生存時間解析で調査した。その結果、初産時における高さ、胸の幅、体の深さおよび坐骨幅はスコア5あるいは6を超えると淘汰の危険度が上昇を示し、一定以上の大型化は生産寿命の短縮を招くことが明らかになった。なお、「高さ」ではスコア5は142センチ、6は145センチに相当する。一方、測尺データを誕生年で集計したところ、2000年から2015年まで体重、体高、尻長および胸囲が大型化する有意な傾向が認められ、一般酪農家が現在飼養している雌牛は初産乳期中の体高が平均で148センチを超えていることも明らかになった。それゆえ、今回は現状の体サイズに合わせた標準的な発育値でなく、現状よりも体サイズは小さいが生産寿命の延長が期待できる「推奨発育値」という名称で発育値を開発した。
【標準発育値との比較】
表2には今回作成した推奨発育値と前回(1995年)の標準発育値の比較を示した。推奨発育値は各月齢においてすべての体型部位で前回の標準発育値を上回った。60月齢の発育値は前回の標準発育値と比較し、体重、体高、尻長、腰角幅および胸囲においてそれぞれ80.1キロ、8.9センチ、4.1センチ、2.9センチおよび9.7センチ大きくなった。特に体重、体高および胸囲の増加が著しい一方で、腰角幅はそれらと比較して小さな増加に留まった。このことは、現代の乳牛が一般に肢長で前躯の高さと幅がある一方、後躯の幅は顕著に増加していないことを示唆している。
【推奨発育値の使い方】
乳牛の発育は遺伝や飼養管理の違いによって多少の差異がある。推奨発育値は、現状のホルスタイン種雌牛の標準的な発育値を示すものではなく、生産寿命の延長が期待できる発育値を示している。図1には体高の推奨発育値を示した。発育曲線のグラフには中央に平均発育値の曲線を示し、上下2本の曲線(平均値±1標準偏差)は集団のおおよそ70%が該当する発育値の範囲を示している。実際の計測値(実測値)がこの上下2本の曲線の間にあれば、発育状況は生産寿命の延長が期待できる「良好」な発育と言える。現在飼養中の雌牛の体格はこの推奨発育値よりも大型化しているので、実測値が推奨発育値よりも上方の曲線の上側(範囲外)に偏る場合があり、これらの雌牛は飼養管理が難しく不本意な淘汰によって生産寿命の短縮を招く危険性があるので、次世代の更新牛生産には体サイズの大型化につながる種雄牛の交配を避けるべきだ。また、飼養管理面では体各部がバランス良く発育しているか、肉付きや健康状態などを観察し、過肥にならないよう留意してほしい。実測値が下方の曲線の下側(範囲外)にある場合、不適切な管理により良好な発育状況とは言えない場合も考えられるので、飼料給与の内容や健康状態などを検討・改善するよう心掛けよう。
経産牛は妊娠、分娩、泌乳及び乾乳など各ステージの条件下で、特に体重や胸囲などは変化するので、これらの生理や健康状態、肉付きなどを観察して必要以上に過肥または痩せ過ぎ(削痩)にならないよう留意してほしい。なお、不本意な淘汰とは泌乳量などの低能力による理由でなく、機能的体型が欠如して飼養管理が難しくなり酪農家が淘汰せざるを得ないと判断する場合のことを指す。
最後に推奨発育値の詳細については「ホルスタイン種雌牛の推奨発育値(令和2年3月発行)」を参照してもらいたい。この冊子は当協会のWebサイトからダウンロード可能である。
6面
宮城県・佐藤俊さん 県内記録更新 生涯乳量都府県令和2年4~6月
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令和2年4月から6月に都府県で検定成績証明されたものの中から、別表には生涯乳量上位牛46頭を示した。今回は6頭が総乳量(M)10万キロを突破した。
1位 佐藤俊さん(宮城県)
今回の1位は佐藤俊さん(宮城県)の「デイフエンド ジヤステイス イゼベル」の検定回数11回で検定日数3323日、M14万3501キロ、総乳脂量(F)5368キロ、平均乳脂率(F%)3.7%、総乳蛋白質量(P)4489キロであった。今回の記録は11産目を証明したことによるもので、30年度に証明された(株)布田牧場所有の「ジユリア」が持つ宮城県内1位の記録を塗り替え、東北地方においても歴代2位となる素晴らしい記録となった。
一時代を築いたオーマンの娘牛である本牛の血統をひもとくと7世代前に佐藤牧場で基礎登録された「クリスタン(1985年生)」まで遡る。昭和から平成、令和と自家生産を続け、地道な改良の成果として本牛の誕生となった。
11産をした本牛の長命連産性は素晴らしく、加えて体型面においても2度もEXを獲得しており、泌乳・体型の両面に優れた名牛である。本牛を生産した佐藤牧場は体型面の改良にも力を入れており、全国の強豪を抑え審査成績優秀牛群として毎年、表彰され、同牧場では本牛を含め8頭ものEX牛(全て自家生産)が誕生している。2位 藤ノ木昇さん(新潟県)
2位は藤ノ木昇さん(新潟県)の「サザンクラウド ビレツジ ドツト パンジー」の検定回数8回で検定日数2500日、M10万8278キロ、F3912キロ、F%3.6%、P3292キロであった。この記録は新潟県内で7位となる。
北海道から導入されてきた本牛は新潟の地で血統を繋ぎ、世代はひ孫まで誕生している。3位 小針勤さん(栃木県)
3位は小針勤さん(栃木県)の「ビクトリア ハンナ カーニー デイアナ ET」の検定回数6回で検定日数2792日、M10万6419キロ、F3894キロ、F%3.7%、P3315キロであった。
4位は前原和明さん(宮崎県)の「Jリード マウイ オーマン ET」の検定回数6回で検定日数2264日、M10万5694キロ、F4313キロ、F%4.1%、P3863キロで宮崎県内5位の記録となった。
5位は村上四郎さん(岩手県)の「ルンド シヤルネス マーク」の検定回数8回で検定日数2990日、M10万4544キロ、F4154キロ、F%4%、P3665キロであった。
6位は(農)新林牧場(秋田県)の「シヤインズヒル ベール デキスター」の検定回数10回で検定日数3390日、M10万721キロ、F3903キロ、F%3.9%、P3139キロで、秋田県内2位の記録となった。
また、1位佐藤俊さんを始め松島太一さん(熊本県)、石川和博さん(静岡県)、佐藤範之さん(茨城県)、植木靖さん(栃木県)、八幡勝幸さん(岩手県)、(有)加藤牧場(埼玉県)は90点以上を獲得しており、体型においても優れた成績を残している。
胸囲からの体重推定値 推奨発育値により精度向上
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わが国の酪農産業ではホルスタイン種雌牛の胸囲から体重を推定する手法が普及しています。1985(昭和60)年には80㎝から230㎝までの胸囲で体重を推定する体重推定尺が開発されましたが、体サイズの大型化にともない2011(平成23)年には270㎝まで胸囲を測定できるように拡張しました。今回は推奨発育値の開発に利用した測尺データに基づき、胸囲から体重推定値を新たに開発しました。新しい体重推定値は特に胸囲210㎝以上で推定体重の精度がより向上しています。
検定成績優秀牛 -都府県令和02年度06月証明分F偏差値-
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社員補欠選挙 当選者
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群馬県及び山口県の社員辞任に伴う補欠選挙が7月6日に実施され、無投票で当選者が決定したので公示します。
【敬称略】
第16区・群馬県2
長坂仁
第44区・山口県
榎本要
人事異動 日本ホル協
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(7月1日付)
◇池田泰男全共対策室長兼事業部審議役(全共対策室長)
今後の行事 日本ホル協
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◇第302回理事会、第303回理事会
7月31日、書面により実施
◇第70回通常総会
7月31日、書面により実施
◇中間監査会
10月18日、日ホ会議室
◇第15回全共実行委員会
◎第10回幹事会
7月22日、Web会議
◎第6回総会
7月27日、Web会議
◇令和2年度地区別登録委員研修会・夏期登録事務担当者会議
中止
◇東西社員会議・冬期登録事務担当者会議
令和3年1・2月頃
7面
10年間の審査成績を振り返る 都府県が誇るEX牛
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都府県における過去10年間の審査成績、特にEX牛に関してまとめた。
図1は2010~2019年度の45都府県での審査頭数および審査得点90点以上(エクセレント:以下EX)牛の割合であるEX率をまとめたものである。棒グラフが審査頭数(体型調査も含む)、折れ線グラフがEX率を表しており、左縦軸が頭数、右縦軸が割合、横軸が年度を示している。図1では同じ牛が複数回審査または体型調査を受けていた場合、受けた回数それぞれを1件として集計している。
審査頭数については2012年度をピークに一度減少しているが、2016年度から2019年度にかけて順調に増加している。2019年度には2012年度の審査頭数を上回り、過去10年間で最多の審査頭数となった。一方で、EX率は年々増加してきている。2010年度には約0・75%だったものが2019年度には約2%と倍以上に増加している。なお、EXを獲得するには、3産以上で正常分娩し泌乳中であること、かつ305日検定の実乳量が9千㌔以上でけいれん肢と融合乳頭がないという高い水準であることが必要になるため、乳牛の改良がこの10年間で大きく進んでいることが伺える。
表1は過去10年間の都府県ごとの審査頭数、EX牛の頭数とその割合、および都府県内での最高決定得点をまとめている。EX牛頭数の多い上位10県には欄に色がついている。表1および後述の表2では、同一農家に所有されている間に複数回審査または体型調査を受けた牛の場合、その牛の最高決定得点を獲得した年度のデータを採用しており、1頭につき1件として集計している。EX牛最多は岩手県 2位熊本県、3位群馬県
EX牛頭数が最も多かった県は岩手県であり、その頭数は236頭、県内のEX率は約1.94%だった。2位は熊本県の210頭で、審査頭数に関しては岩手県の1万2184頭を上回る1万7228頭であり、都府県内1位だった。3位は群馬県の209頭で2位の熊本県とわずか1頭の差となった。県内最高決定得点は95点と、岡山県と並び都府県内での最高点をマークしている。審査頭数は1万2889頭、EX率は1.62%。
以下、4位は栃木県の177頭、5位は千葉県の111頭、6位は岡山県の101頭、7位は茨城県の88頭、8位は愛知県の86頭、9位は福岡県の85頭、10位は長野県の72頭となっている。
表2は2010年度~2019年度にそれぞれの都府県内で、最もEX牛を輩出した会員(家族会員も含む)と審査頭数(体型調査も含む)、EX牛の頭数とその割合、および最高決定得点をまとめている。表1と同じくEX牛の頭数が多い上位10会員の欄には色がついている。また、同じ都府県内でEX牛を輩出している数が同数の会員が複数いる場合には列挙している。
最もEX牛を輩出したのは岩手県の小岩井農場の65頭で、審査頭数1378頭、EX率は4.7%、最高決定得点は92点だった。小岩井農場ではこれまでに92点を獲得した牛が4頭誕生している。2位は群馬県の長坂喜義さんの48頭であり、審査頭数139頭、最高決定得点93点。EX率は34.5%と、長崎県の県立島原農業高校の37%に次ぐ高い割合となっている。3位は佐賀県の古川豪樹さんの39頭だった。審査頭数139頭、最高決定得点92点。EX率については28.1%とこちらも高い割合となった。
以下、4位は熊本県の松島太一さんの30頭、5位は静岡県の石川和博さんの28頭、6位は茨城県の弓家直人さんと栃木県の植木靖さんの23頭、8位は宮城県の(有)半澤牧場、長野県の小林正春さんの21頭、10位は岡山県の妹尾優佳さんの20頭だった。
都府県の歴代最高得点牛は95点を獲得した4頭である。最後に、過去10年で95点を獲得したギンとリコダツチを紹介する。今後もこれら優秀牛に勝るとも劣らない名牛の誕生を期待したい。
写真はデーリィマン社より提供。グランデイール スター PT ギン 2006.12.07生(父:ポツター) 岡山県・吉原直樹さん所有
フアイン リコ ダツチ 2010.3.31生(父:ラテイチユ-ド) 群馬県・遠坂和仁さん所有
令和2年度 審査日程 ~前期審査は3カ月遅れて開始~
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日本ホル協では令和2年度の審査日程は、新型コロナウイルス感染症の影響により、都府県における全ての審査を一時中止していたが、緊急事態宣言の解除に伴い、対応が可能な都府県を優先して審査を再開することとした。
日程再開は段階的に
4月7日に我が国初となる緊急事態宣言が発出されてから約2ヶ月間、不要不急の外出自粛や都道府県をまたいだ移動の自粛に加え、鉄道・航空各社による減便など、各自治体それぞれで当感染症の拡大防止の対応が図られた。これに先立ち当協会は、審査業務では県をまたいだ移動や現地滞在などが避けられないこと、何よりも生産者の安全を最優先することを目的として、4月13日から予定していた都府県における全審査日程の一時中止を決定した。
この結果、当感染症の1日当たりの新規感染者数は4月のピークを境に減少傾向に転じ、政府は5月25日に約2ヶ月間に及んだ緊急事態宣言の解除を発表した。
これを受けて当協会は、一時中止していた審査日程を対応が可能な都府県を優先して段階的に再開することを決定した。
しかしながら、解除後も第2・3波の発生防止に向けた各自治体における自粛要請の継続や緩和に向けた取り組みが異なることから、当協会は支部・承認団体に聞き取り調査を行い、前期の日程再開を希望すると回答があった23府県を対象として、今年度に限り期間を7月6日から9月11日までに変更することで令和2年度(前期)審査日程を段階的に再開することとした。
また、審査委員は審査の再開に備えて7月からの日本ホル協(事務所)への出勤を自粛して在宅勤務を基本とすることで不要不急の外出を減らし、審査の際にはそれぞれの居住地区から直接現地入りすることとした。今後の対応
なお、後期審査日程は現在のところ予定どおり実施することとしているが、今後の状況によっては前後期ともに審査を中止する場合があり、引き続き当感染症に注視しつつ状況を判断することで対応を図るものとする。
世界を震撼させた当感染症は我が国においても例外ではなく、有効なワクチンや医療体制の確立に向けて各国がその開発を進めているが、完全な終息に向けては未だ不透明な状況にあり、新たな生活様式に対応しつつ一人一人が衛生管理の徹底に努め、一日も早く平時に戻ることを願うとともに、審査未実施となっている都県を含めた全国で牛群審査・体型調査・ロボット調査の再開と減少分の回復を目指すものとしたい。今後も引き続き会員をはじめとする関係各位の深いご理解とご協力をお願いしたい。