2021年03月20日号
4面
ホ種登録事業110年(その2)
牛群検定で始まった50年代の改良 血統、能力、体型併せて遺伝評価値公表へ
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昭和50年代から平成初期にかけては、牛群検定の実施とともに受精卵移植生産牛の登録や牛群審査開始、さらに後代検定による国内の種雄牛遺伝評価が公表される等、より科学に基づくホルスタイン改良の手法が整い始めた時期である。
ET生産牛や赤白斑牛登録
昭和50年2月には、家畜改良事業団がわが国の乳牛改良上で極めて重要な事業である牛群検定をスタートした。日ホ協では牛群検定で得られた検定記録を登録に取り入れることとし、その累計記録を生涯検定成績として選奨した。それまでの検定方法は毎日記帳と定期立会によるA、B検定法と毎月立会のC検定であったが、毎日計量の手間や料金面を比べても、牛群検定記録の登録への結び付けは簡便でより有益なものとなった。一方、53年には血統登録頭数が年間20万頭の大台に乗った。また、同年には受精卵移植による生産牛の登録を開始したほか、血統登録の毛色条件でそれまで認めていなかった雌牛の赤白斑(レッド)や異常斑紋(オーシー)を登録上認めることにした。そして3年後に開催された第7回群馬全共では、北海道の楠木牧場が出品した赤白斑のクリスタンが見事に経産牛名誉賞の座に輝いた。また、群馬全共ではわが国初のホルスタイン種雄・雌牛の標準体型像と絵が披露され話題になった。
第7回全共では北海道・楠木牧場出品の赤白斑牛が経産名誉賞に輝いた(昭56、群馬県前橋市)
個体から群へ牛群審査開始
この時期における登録事業の大きな変革として、昭和57年からの牛群審査開始が挙げられる。50年代後半には乳牛飼養頭数が200万頭を超え、1戸あたり飼養頭数も20頭以上になり、飼養規模の拡大が顕著になってきた。日ホ協では、牛群検定の普及と相俟って体型審査に関しても「個体から牛群で改良する時代」を目標に掲げ、特に北米における牛群審査システムを研究した末、57年秋から牛群審査の試験実施をスタートし、59年からは全国実施に踏み切った。この年の審査実施頭数は5万頭を超え前年の1.7倍の伸びを示した。同じ年、国の種雄牛後代検定事業は、それまで都道府県の畜産試験場等で行われていたステーション検定方式から牛群検定記録を利用したフィールド検定方式に移行した。血統登録雌牛頭数は通算で400万頭に達し、北海道では国内初の乳量2万キロ突破牛が誕生した。
種雄牛評価と体型調査開始
昭和59年からの種雄牛後代検定事業は牛群検定農家への調整交配、娘牛の生産、育成保留、授精、分娩を経て、63年には候補種雄牛の娘牛たちの初産検定が始まった。日ホ協では後代検定事業の一部委託を受けて候補種雄牛の初産娘牛並びに同期牛の体型調査を開始した。これ以降、日ホ協審査委員と各都府県の支部・承認団体担当者が牛群検定農家を訪問し、後検材料娘牛と同期牛の体型調査を継続的に実施し、今日まで体型データの収集に努めてきた。60年代は高等登録の廃止と輸入精液・受精卵による生産牛の登録を開始し、体型審査では線形評価法を採用した。全共関係では、60年の第8回全共が岩手県滝沢村の岩手県産業文化センターで屋内初の全共開催となった。岩手県が自県産牛の出品で好成績を収めたことは大きな成果であり、当県は元よりその後の都府県の体型改良にも好影響を与えた。
平成初期、熊本千葉で全共盛況
平成時代の幕開け、元年1月には血統登録雌牛通算500万頭を達成した。茨城県の牛で、血統を17代遡ると明治45年に登録されたオランダからの輸入雌牛に繋がる。また、4年には鹿児島県の牛が血統登録通算600万頭目となり、16世紀半ばにポルトガル人による鉄砲伝来の際に黒白斑の乳牛が種子島に上陸したという史実も伺った。平成2年に熊本県で九州初となる第9回全共が開催された。この全共では前回の岩手全共に引き続いて北海道の植田牧場出品牛が経産名誉賞の快挙を成し遂げた。また、7年に千葉市で開催された第10回全共では過去最多の84万人が来場し、首都圏での一般市民向けイベントとしても大成功を収めた。体型審査では、33年ぶりに審査標準を大幅改正した。これは世界ホルスタインフリージアン連盟からの勧告を受けて、審査標準の4大区分から機能的に重要な「肢蹄」を独立させ、「乳器」と合わせて配点を重視したものだった。また、審査委員が現場でデータ入力できるハンディコンピューターを導入し、さらに10年からは携帯用プリンターを持参して、現場で審査結果の打出しと情報還元の充実と審査の効率化を実現した。7年にはホルスタイン種雌牛の標準発育値を公表している。
NTPの開発と世界会議開催
平成元年には初の種雄牛国内統一評価となる「乳用種雄牛評価成績」が家畜改良センターから公表された。この年を境にして検定雌牛集団の遺伝的水準は年々改善されてきたことは言うまでもない。また、日ホ協が中心になって国内ホルスタイン種雄牛の遺伝的改良の指標となる総合指数(NTP)を開発した。
8年9月には札幌市でアジア初となる第9回世界ホルスタインフリージアン会議を開催し、海外35か国・地域と国内から総勢800名が出席して盛況を博した。会議では「消費者市場に適合した育種改良」をメインテーマとし、酪農収益性を上げるための育種と登録情報の活用等21題の発表と、環境問題に関する特別講演やパネルディスカッション、世界連盟の総会、さらに恵庭市の福屋牧場や北海道ホルスタインナショナルショウの視察も行われた。世界会議は昭和39年にオランダで第1回が開催されて以来、アメリカやカナダ、ドイツ、英国等の酪農主要国でオリンピック年に開催されてきたが、日本大会での出席者数は未だに破られていない。
(7月20日号に続く)世界35か国・地域から800名が出席した第9回世界ホルスタインフリージアン会議(平8、札幌市)
登録の現況 コロナ禍での1年
日ホ協事業部
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令和2年度(令和3年1月末現在)の都府県の血統登録雌牛申込頭数は、3万5902頭と前年同期比2777頭、率にして7.2%の減少となりました。
農林水産省発表の令和3年2月現在の「畜産・酪農をめぐる情勢」によると、飼養戸数は年率4%の減少傾向で推移していますが、乳用牛飼養頭数は平成30年度から増加しています。特に乳用牛の未経産牛の飼養頭数は、令和3年2月時点で51万頭と、昨年同時期と比べて約2万頭多くなっています。これは、性選別精液の利用が多くなったことで、乳用雌牛の生産が多くなってきたからなのではと推測されます。
酪農情勢を取り巻く情勢は変わらず厳しい状況ですが、これからも性選別精液の利用や、ゲノミック評価の活用等により、効率的な乳用雌牛の生産を続けてほしいと思います。
県別の血統登録をはじめ各種申込み頭数並びに会費納入件数を表1に示しました。
血統登録申込については前述のとおり減少していますが、その中でも栃木県が123頭と都府県の中では一番増加し、次に新潟県が108頭、福井県90頭と増加となった一方で、前年度同期比で減少している県が多く見られます。新型コロナウイルスの関係で登録業務が十分にできなかったこと等、様々な要因があると思います。3月末までの登録申込状況を注視したいと思います。
年次別の血統登録頭数と飼養頭数の推移を表2に示しました。全国乳牛飼養頭数・血統登録頭数は増加傾向でしたが、今年は飼養頭数に占める血統登録頭数の割合が減少しています。猛暑による繁殖への影響、乳用牛への黒毛和種精液の交配などが考えられます。この点についても3月末までの申込状況を注視したいと思います。自動登録は7割に
登録申込別でみると、自動登録の申込頭数は2万5237頭で血統登録全体の70.3%、前年同期比2.2%増加しました。自動登録推進をしていただいた関係者のご尽力に感謝申し上げます。北海道の血統登録における自動登録の割合は9割となっていますが、都府県の自動登録割合も8割、9割となっていくよう、引き続き自動登録の普及推進に努めてまいります。なお、2020年1月から12月までの自動登録農家戸数は1966戸となりました。
移動証明は増加会費は減少
移動証明申込件数について表1のとおり、現在2770頭で、前年同期比で229頭の増加となりました。特に秋田県で155頭、熊本県で112頭、栃木県で90頭と、前年同期比で大きく増加しました。
自動登録は移動証明をする必要がありませんが、個別登録農家については所有者の変更に伴う移動証明申込が必要ですので、引き続きご理解ご協力のほどよろしくお願いします。
最後に会費納入件数を表1に示しました。1月末現在で4701戸の方から会費を納入いただいておりますが、会員の減少等により前年同期比で203戸の減となりました。
2020年次年型別記録牛
最高乳量牛 杉浦尚さん・マギー
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2020年1月~12月末までに日ホ協で検定成績証明された中から、各年型別に乳量・乳脂量(2回搾乳)の全国トップ牛を調査し、表にとりまとめた。
表中、全年型を通じての最高乳量牛であったのは帯広市の杉浦尚さんのYKTテツチエマギーで、その記録は3.5年型365日で乳量2万5961㎏、乳脂量729㎏、乳脂率2.8%であった。
牧場別では、鈴木進さん所有牛が最多の6部門、鈴木牧場全体で見ると計11部門でトップの成績をあげている。
選挙について
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任期満了に伴う社員選挙(社員定数は全国58選挙区各1名で合計58名)を本年5月20日に実施します。詳細は4月30日に日ホ協のWebサイトで公示し、併せて各都道府県支部・承認団体において掲示します。
5面
種雄牛「ミミ」最多 海外種雄牛割合60%に迫る
-2020年次種雄牛別登録状況-
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血統登録された雌牛の父牛として、どのような種雄牛が多く利用されているかを調査し、表にまとめた。
表1には2020年次に全国で血統登録された雌牛頭数等を示した。登録頭数は21万7901頭で、その父牛数は1601頭を数える。地域別では、北海道が種雄牛1195頭で登録娘牛17万2571頭、都府県の種雄牛は1313頭、登録娘牛4万5330頭であった。また、種雄牛1頭当たりの登録娘牛頭数は、全国で136頭、北海道では144頭、都府県では35頭である。国内海外の繋留別では、国内種雄牛697頭による登録娘牛9万3866頭で登録全体の43%、輸入精液などの海外繋留種雄牛は904頭による登録娘牛12万4035頭で登録全体の57%を占め、その割合は昨年より4%上昇した。図1には、過去8年間の海外種雄牛の利用率の推移を示した。海外種雄牛の利用率は2015年以降増加を続けている。また過去には都府県の方が海外種雄牛の利用率が高かったが、2016年以降は逆転して北海道の利用率が上回っている。
904頭の海外種雄牛を国別に見ると、アメリカが658頭と最も多く9万8239頭の娘牛が登録され、続いてカナダ158頭から1万6881頭、オランダ49頭から6150頭、その他の国で39頭から2765頭の娘牛が登録されている。
次に種雄牛当たりの娘牛頭数に目を向けると、全国で5000頭以上の登録娘牛をもつ種雄牛は6頭、3000~4999頭が5頭、1000~2999頭が45頭、100~999頭が205頭、99頭未満が1340頭であり、その上位38頭の種雄牛で登録娘牛全体の50%を占めた。県別の国内・海外種雄牛の登録娘牛頭数を表2に示し、海外種雄牛の割合を図2に表した。登録雌牛の父牛のうち海外種雄牛の割合をみると、北海道が57.6%、都府県が54.4%と、北海道の割合が高くなっている。県別にみると宮城県、神奈川県、石川県、静岡県、福岡県が70%以上、山梨県が82.2%と一際高い。福井県、三重県、滋賀県、大阪府、広島県、香川県、沖縄県は30%以下と国産種雄牛の利用が盛んである。地区別にみると、九州地区が平均61.6%と全国平均を超えている。
表3には2020年次の登録娘牛を多く持つ種雄牛を北海道と都府県に分けて示した。北海道では昨年11位だったミミが、登録娘牛7356頭でトップとなった。2位は前年5位のコスモポリス、3位はドロリツチ、4位はルビコン、5位は前年1位のキユートマンの順。
都府県では昨年3位だったアリーが登録娘牛1866頭で1位、2位には昨年26位だったミミがランクインした。3位はエモーシヨン、4位コスモポリス、5位キユートマンであった。
因みに、全国集計では1位ミミ、2位コスモポリス、3位ドロリツチの順となる。
登録頭数1位 群馬県・(有)品川牧場 -2020年次都府県登録状況-
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令和2年1月~12月に都府県で血統登録された雌牛について、日ホ協の会員別に登録頭数をとりまとめた。都府県で昨年1年間に血統登録された雌牛は4万5330頭で前年より2175頭と大幅に減少した。また血統登録を行った酪農家戸数は3483戸で前年より133戸減少したが、酪農家1戸あたりの血統登録頭数は前年との大きな差はなく、13.0頭となった。
4年振りに登録頭数減少
表1には最近7年間の登録頭数と登録実施農家戸数の推移を示した。酪農家戸数の減少傾向は変わらないながらも、ここ数年は登録頭数の増加が続いていたが、コロナ禍の影響からか昨年の登録頭数は減少した。
表2に昨年1年間に70頭以上の血統登録を実施した会員を示した。集計では家族会員などは1つにまとめて、登録頭数の多い会員名で表示した。
登録頭数の最も多かった会員は、(有)品川牧場(群馬県)で619頭であった。一昨年首位に返り咲いてから2年連続の首位獲得となった。
2位は(有)PIONEERFARM(茨城県)の372頭。一昨年は7位だったが、登録頭数を約1.5倍に伸ばし、一躍2位へと躍り出た。
3位は前回と同じく(有)ロマンチツクデーリィファーム(群馬県)の323頭。一昨年よりも登録頭数は少し減少したが、それでも3位を死守した結果となった。
4位野村栄一さん(茨城県)315頭、5位(株)みんなの牧場(鳥取県)269頭、6位小岩井農場(岩手県)252頭、7位(有)むらかみ牧場(熊本県)238頭、8位山中誠さん(岡山県)225頭、9位中川秀夫さん(岩手県)224頭、10位古川牧場(株)(群馬県)205頭と続き、上位10会員が年間200頭以上を登録した。
以下、(独)家畜改良センター(福島県)、原田正隆さん(徳島県)、吉野藤彦(群馬県)、(株)マルニトータルサービス(千葉県)、雪割牧場(有)(福島県)、(株)竹信牧場(岡山県)、(有)阿部牧場(熊本県)、(有)バイオトラスト軽井沢牧場(群馬県)、(株)ブッシュクローバーズ(鳥取県)、(株)フェリスラテ(福島県)、(有)安曇野牧場(長野県)、伊藤髙行さん(栃木県)、本多昌仁さん(愛知県)、(有)江藤牧場(大分県)、(株)西ハルナファーム古賀良牧場(群馬県)、ITOU牧場(株)(愛知県)、(株)赤羽根PVファーム(愛知県)、宮沢智浩さん(茨城県)、(株)こはら(岡山県)の計29戸が昨年1年間で100頭以上を登録した。
今回とりまとめた年間70頭以上の登録を行った54農家の内、8割以上の46農家が自動登録を実施している(表中、*を表示)。
多頭数飼養農家では申込書不要、料金割引、登録洩れの防止、移動料無料など、メリットが大きい自動登録を今後も活用していただきたい。
令和3年度審査日程
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6面
令和2年度後期(10月~2月)・都府県 審査頭数95%に回復
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令和2年度における都府県の審査は、3月上旬をもって全ての日程が終了した。国内初となる新型コロナウイルス感染症が確認されて1年以上が経過したが、今年度の審査日程は感染拡大・減少の波に伴う政府・都府県の各種要請等により、これまでと異なる対応を求められることとなった。特に、前期審査においては、国内初の緊急事態宣言が発出されたことで都府県をまたぐ移動が制限されるなどの影響から、日ホ協は審査委員の感染防止対策と衛生管理の徹底を図ることを目的に、不要不急の外出を減らすために審査委員を在宅勤務としてそれぞれの居住地区から直接現地入りするなどの対応を実施。また、地域の実情に即した対応が求められたことから、支部・承認団体に実情調査を実施することで、対応が可能な県を優先して段階的に前期審査を開始した。この結果、予定していた45都府県のうち前期審査が実施できたのは例年の半数以下となる21府県、前期審査・調査の合計頭数は前年同期比42%となり、過去例がないほどに激減する結果となった。
審査の受検意欲高まる
後期審査の実施に際しては、前期に引き続き感染防止対策を目的とした実情調査を支部・承認団体に行い、44都府県から後期審査実施の回答を得ることができた。しかしながら、1月に国内2度目となる緊急事態宣言が発出されたことで、対象地域となった複数県での審査中止が余儀なくされ、後期審査は38都府県の実施に留まる結果となった。今年度の都府県それぞれの実施状況では、前期・後期ともに実施したのは19府県となった一方、前期・後期どちらかの実施が21府県、前期・後期ともに実施できなかったのは5県となった。
後期のホルスタイン種の審査・奨励は38都府県で357戸・4591頭を実施し、前年同期比では85戸・217頭の減少となった。実施した農家からは、「本当は前期に受検したかった」、「次が何時になるか分からない」、「受検できるときにやる」など、定期的な受検ができないことへの不安と体型審査の必要性から受検意欲が高まり、1戸当りの受検頭数が増加したことで、後期の審査頭数は95%まで回復し、概ね前年同期並みの実績を確保することができた。体型調査・ロボット調査
一方、後代検定候補種雄牛材料娘牛と同期牛の体型調査は、439戸・4618戸を実施し、前年同期比で128戸減少するも調査頭数は590頭増加、115%の実績を確保することができた。但し、前期終了時点で大幅な計画未達が予測されたため、期中に計画頭数を下方修正していることから、今年度実績は修正後の計画対比107%となり若干超過したものの、当初計画対比では80%となっている。
また、将来のロボット指数開発を目的として前年後期から事業開始した搾乳ロボット適合性調査は、75戸・1513頭を実施し、前年同期比で55戸・444頭減少するも、前後期合計では計画対比100%の実績を確保することができた。年間頭数は75%に留まる
この結果、令和2年度におけるホルスタイン種の牛群審査・体型調査・ロボット調査の前後期を合計した年間頭数は、審査・奨励が496戸・6006頭を実施し413戸・3383頭減少、前年対比64%となった一方、後代検定候補種雄牛材料娘牛と同期牛の体型調査は、610戸・6157頭を実施し520戸・1060頭減少、前年対比85%となった。また、ロボット調査は、100戸・1800頭を実施し30戸・157頭減少となったが、事業計画どおりの実績を確保することができた。
ジャージー種の審査は8戸・80頭実施し前年対比で29頭減少したが、ブラウンスイス種は都府県初となるブラウンスイス種のみの牛群審査を日光霧降高原「大笹牧場(栃木県酪農業協同組合)」で8頭実施したほか、3頭の個体審査を加え2戸・11頭実施し、前年対比で7頭増加となった。
これにより今年度の審査・体型調査・ロボット調査を合計した年間頭数は1万4054頭となり前年対比で4622頭減少。コロナ禍の社会情勢にある中で、受検意欲の高まりから後期に審査頭数を回復するも、前期の激減が大きく影響したことで前年対比75%に留まることとなった。令和3年度の審査に向けて
前述のとおり、審査の実施に際しては審査委員が事務所(東京)に出勤することなく、それぞれの居住地区から直接現地入りするほか、常時マスク着用はもちろん現地滞在中の夜間外出・外食・懇親会参加の自粛など、審査委員の感染防止対策と衛生管理の徹底に努めるものとしている。また、都府県それぞれにおいても、移動時間の短縮や公共交通機関の利用を避けるための対応・審査日程の効率化など、感染防止対策において支部・承認団体の深いご理解と多大なる協力のもと、令和2年度の審査日程を無事に終了することができた。令和3年度においても引き続き、同様の感染防止対策を徹底することで審査実施を予定している。会員並びに支部・承認団体、関係各機関の深いご理解とご協力をお願いしたい。
後期EX頭数233頭最高得点は「シーバー」93−5E
都府県で審査得点90点以上(エクセレント=EX)に評価された牛を左表(一部7ページに掲載)に示した。県別では岩手県が34頭で1位。次いで群馬県25頭、栃木県22頭、熊本県21頭、岡山県・福岡県13頭と続き、30都府県で228頭、ジャージー種5頭がEX牛として評価された。このうち2E54頭、3E20頭、4E9頭、5E2頭が分娩更新するとともに、その評価を更新した。
最高得点では、神奈川県相模原市の(有)グツドリバー所有の「シーバー」が前回審査と同点の93‐5Eと評価された。
このほかに、ホルスタイン種で岩手県・臼井敏彦氏、同県・板谷一吉氏、長野県・(株)三村牧場、愛媛県・楠亮氏の4牧場、ジャージー種で栃木県・眞嶋大輔氏、神奈川県・田中浩典氏の2牧場において、それぞれで初EX牛が誕生した。長きにわたり続けてきた改良努力の成果と優れた管理技術に敬意を表したい。
今後の行事 日本ホル協
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◇令和3年度臨時総会
4月9日、書面開催
◇社員選挙
5月20日、各選挙区
◇社員選挙管理委員会
5月21日、日ホ会議室
◇令和2年度決算監査会
5月21日、日ホ会議室
◇第306回理事会
6月4日、日ホ会議室
◇第307回理事会
6月25日、東京都、中野サンプラザ会議室
◇第71回通常総会
6月25日、東京都、中野サンプラザ会議室
◇地区別登録委員研修会・夏期登録事務担当者会議
7月中旬〜8月上旬予定、Web開催(審査研修中止)
◇中央審査研究会
9月下旬予定、場所未定
7面
自動登録をスムーズに行うために ~自動登録の現況から~
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日ホ協では申込方法が簡便な「自動登録」を引き続き推進しており、今年度の都府県における自動登録率(血統登録雌牛のうち自動登録によるものの割合)は70.3%まで増加する見込みです。会員農家の皆様にはご理解ご協力を頂き誠にありがとうございます。
自動登録は、「出生報告」と「授精報告」をデータの形で日ホ協が受け取り、それらを元に血統登録証明書を発行するという血統登録のやり方です。
申込書を記入する必要はありませんが、「出生報告」や「授精報告」が間違っていると、血統登録の情報にも誤りが生じることがありますので、報告の際には十分な注意が必要です。ETなのに誤ってAI登録
最近増えてきた誤りで、受精卵移植(ET)によって生まれた産子なのに、人工授精(AI)産子として自動登録されてしまったという事例があります。
誤りの原因には、授精報告の際にETであることを報告せずに、受精卵の種雄牛の略号を報告してしまったというケースが見られます。ETの時の授精報告にはくれぐれもご注意願います。
自動登録ではET生産牛を血統登録することができません。ET生産牛は、遺伝子型検査による親子判定や受精卵証明書や移植証明書の提出など血統登録するのに必要な事柄があるためです。よって、個別に血統登録申込書の提出が必要です。
このような血統登録の誤りが判明した場合は、血統登録証明書を回収し一旦登録を取消して、再度ET生産牛としての血統登録申込を頂き、再登録をすることになっております。事務作業上、煩雑な処理になってしまいますので、くれぐれもご注意頂きますようご理解の程お願いします。希望名号早めに連絡を
自分の牛に付けたい名号がある時、個別の血統登録では申込書に希望する名号を記入して頂きますが、自動登録では申込書の記入がいらないため、別の方法で希望名号の連絡をお願いしています。
自動登録は、出生報告から約10日後には血統登録証明書を印刷発行していますので、早めに希望名号の連絡を頂かないと、日ホ協でのシステム上の自動命名によって名号を決めてしまいます。
最近、希望名号の連絡が遅れてしまうケースが見られるようになってきました。出生報告から1週間以内には連絡をして頂きますよう早めの対応をお願いします。
連絡方法は、「自動登録実施農家連絡書」という用紙に記入してFAXするなどいくつか方法はありますが、手書きのFAXの場合は「ア」と「マ」、「シ」と「ツ」、「コ」と「ユ」など読み取り間違いが起こりやすいため、分かりやすくはっきりと書いて頂く必要があります。
また、希望名号の連絡方法で、一番連絡が早くて確実なのが「補足情報報告システム」です。このシステムは自動登録農家限定のサービスで、家畜改良センターの「届出Webシステム」から出生報告すると、続けて希望名号を入力できるというものです。出生報告と同時に希望名号を連絡できますので、確実に血統登録証明書に希望名号を印刷発行することができます。入力手順をご覧頂き、ぜひ利用してみてください。
(事業部・門間)
乳用種雄牛評価成績2021-2月 「ハウル」前回3位から首位へ
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(独)家畜改良センターは2月16日、乳用種雄牛評価成績2021-2月評価を公表した。
今回の評価成績では精液供給可能種雄牛は62頭、新規種雄牛は総合指数(NTP)上位40頭に8頭が入った。1位「ハウル」
今回の評価では前回3位のピユアソウルビジヨンSIハウルET(シルバー×マツカチエン)が1位となった。ハウルは2020-8月評価で初登場3位となり、今回の評価で首位となった。本牛は乳器等の体型面、乳脂肪等の成分面、共に優れたバランス型である。
2位にはレツドスターキングピンサムET(キングピン×ソクラ)が初登場でランクインを果たし、3位は前回1位のグリーンエンジエルラークレストJCスターET(ジエイシー×フエイスブツク)となった。新規種雄牛は8頭
今回の公表で新たに選抜された種雄牛は8頭で、その最高位は2位のサム、次に4位のチヤツプ、9位モント、20位ミスター、23位ラビドリー、24位ジグソー、32位サフアイア、34位モンデイであった。
トップ40中の父牛別ではモントロスの息子牛が4頭、シルバー、ブツケム、スノーの息子牛がそれぞれ3頭であった。母方祖父牛別ではスーダンが6頭、スーパーステイシヨンが5頭、ブツケムが4頭となっている。
乳用牛の遺伝的能力評価における変更点
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家畜改良センターは2021−2月評価から後代検定済種雄牛の遺伝ベース並びに中程度が望ましい体型形質の最適なSBVの値を変更すると発表した。
遺伝ベースの変更
2020-12月評価に実施した雌牛と海外種雄牛の遺伝ベースの変更に続き、後代検定済種雄牛についても遺伝ベースの変更を実施する。
体型形質の最適なSBVの値の変更について
体型形質(線形形質)の遺伝評価値は、遺伝ベース年生まれの雌牛の評価値の平均値をゼロ、標準偏差を1とした標準化育種価(SBV)で表示されている。体型形質のうち線形スコア1〜9の範囲で審査される線形形質の中には、中程度なスコア(4又は5)が望ましいとされる形質が、7つ(BCS、尻の角度、後肢側望、蹄の角度、前乳頭の配置、後乳頭の配置および前乳頭の長さ)ある。これら7つの線形形質は、SBVがゼロになるように交配種雄牛を選定すれば、生まれてくる雌牛の線形スコアが中程度になると思われるが、遺伝ベース年生まれの雌牛のスコアの平均値が、中程度であるとは限らない。そこで、交配種雄牛選定をしていく際の一助となるように、乳用種雄牛評価成績(赤本)や種雄牛のパンフレット等に掲載されている体型形質のSBVの棒グラフ上に、中程度なスコア5(後乳頭の配置はスコア4)となる最適なSBVの位置に☆印を付している。
また、これら線形形質は、遺伝的改良が行われることにより、世代が進むにつれて最適なSBVの値が変動する。したがって、遺伝ベースの変更の都度、最適なSBVの値を更新する必要がある。そこで、今回の遺伝ベースの変更に伴い、これら7つの線形形質の最適なSBVの値の変更を行った。
なお、詳細は同センターのWebサイト(http://www.nlbc.go.jp/)を参照のこと。