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CVM(Complex Vertebral Malformation:
牛複合脊椎形成不全症)について

CVMは、2000年にデンマークにおいて発見された遺伝性疾患であり、2001年8月に原因遺伝子の突然変異部位を検出する確定診断法が開発されました。

CVMの症状は、流産・死産による出生率の低下や新生子の死亡であり、発症牛で生存する個体はありません。発症牛の特徴は、頚部あるいは胸部の脊椎骨の短縮、両前肢手根関節や飛節関節の左右対照的収縮と捻転であり、心奇形を伴う場合もあります。

CVMの検査結果は、正常型(TV)、保因型(CV:一般にキャリアと呼ぶ)と表示されます。TVは正常遺伝子だけをもち、本牛は健康であり、またその子孫に正常遺伝子だけを遺伝します。キャリア牛は正常遺伝子と疾患遺伝子を1つずつもつ牛で、本牛は全く健康であり、疾患症状を示すことはありません。また、その牛が生産する牛乳や牛肉も、正常であり人の健康に何の影響も与えません(下表参照)。しかし、その子孫に正常遺伝子と疾患遺伝子をそれぞれ2分の1の確率で遺伝します。我が国における疾患遺伝子の増大は望ましくないことから、当該遺伝子の扱いは慎重に行う必要があります。

遺伝子型と症状の関係

遺伝子型表記法健康状態
正常型TV健康
保因型CV健康
疾患型CVM複合脊椎形成不全症

CVMは、父牛と母牛がともにキャリア牛の組み合わせで交配した場合にその4分の1の確率で発生し、その他の交配では発生しません。従って、公表された検査成績を利用して、キャリア牛同士の交配を避けることによって疾患牛の発生を抑制することが可能です(下表参照)。

遺伝子型と症状の関係

交配様式子における遺伝子型の分離比
父牛×母牛正常(TV)キャリア(CV)疾患型(CVM)
正常×正常100
正常×キャリア110
キャリア×正常110
キャリア×キャリア121

雌牛の父や母方祖父にキャリア牛がいる場合には、正常(TV)種雄牛を交配してください。キャリア牛で血統的に最も古いものはアメリカのペンステート アイバンホー スター(1441440A,15HO103)であり、その息牛であるカーリンエム アイバンホー ベル(1667366A,7HO543)やベルの息牛のサウスウインド ベル オブ バーリー(1964484A,29HO5296)もキャリア牛であり、これらの娘牛への交配には注意が必要です。

また、キャリア牛を交配する場合には、雌牛の祖先にキャリア牛がいないことを確認してください。

CVMの遺伝子を拡散させないために、今後、下記事項を実施することとしています(一部実施済み)。

  • 13年度の対応
    1. 13後検後期分の後代検定事業参加候補種雄牛からキャリア牛を排除。
    2. 専門家による検討会を開催し、キャリアの候補種雄牛の取扱い等今後予想される遺伝病への対応について検討を開始する。
    3. 供用中検定済種雄牛及び待機中候補種雄牛を全頭検査の上、結果を公表して供用
      (検査結果公表方法)
      1. 都道府県畜産主務課及び畜産関係団体宛送付
      2. 乳用種雄牛評価成績(以下「赤本」という。)へ掲載
      3. (独)家畜改良センター、(社)家畜改良事業団及び家畜人工授精事業体のHPへ掲載(同時に畜産関係団体のHPへリンク)
      4. リーフレットの配布
    4. 日本ホルスタイン登録協会に対して、血統登録証明書に検査結果の表示を付すことを要請
    5. 家畜精液輸入協議会に対して、検査済み精液の販売と検査結果の公表を要請
  • 14年度以降の対応
    1. (1)の③の種雄牛を除く15才未満の検定済種雄牛について可能な限り検査をし、結果を公表(検査の結果が早く判明した場合、前倒してその結果を公表:公表方法は同上)
    2. 15才未満の種雄牛由来の輸入精液のうち未検査のものは赤本に掲載しない。

このように、国としても、我が国の乳用牛改良に支障を来さないように、関係者の協力を仰ぎながら、適切な対応に努めておりますので、無用の混乱が生じないよう対応方よろしくお願いいたします。